製造業における生産管理システムとは

 2018.08.23  2023.02.09

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製造業に欠かせない業務と言えば“生産管理”でしょう。これを効率良く実行するためのITソリューションが“生産管理システム”です。

生産管理の最終目標は製造の“QCD(品質、コスト、納期)”を確保することです。製造業では顧客が要求する品質基準を達し、かつ自社の利益を確保しながら生産を納期に間に合わせることが大切です。QCDは製造業において絶対の基準であり、QCDの達成無くして事業成長はありえません。その重要なQCDの達成を支えているのが生産管理というわけです。

今回は、この生産管理について整理しつつ生産管理システムの重要性についてご紹介します。

生産管理とは?

生産管理は企業によって定義が違いますが、一般的には次のような業務が含まれます。

  • 現時点での生産能力の算出
  • 販売計画に基づいた生産計画を立てる
  • 生産計画から調達計画を立てる
  • 生産に必要な予算を確保する
  • 生産能力に応じて人員を手配する
  • 調達計画にもとづいて仕入先を選定および開拓する
  • 仕入先との価格交渉や契約締結を行う
  • 予算に応じて治工具の手配や配備を行う
  • 適切なタイミングで資材調達を実行する
  • 生産設備や生産ラインの調整を行う
  • 品質管理と連携し品質維持・改善に取り組む
  • 生産全体の進捗管理を行い調整する
  • 標準原価を設定し、実際原価との差異分析を行う
  • 原価維持や改善に向けた取り組みを行う
  • etc…

この他にも様々な業務があり、やはり企業によってその範囲は異なります。ただ共通して言えることは、いずれも広範囲な業務を総じて生産管理と呼んでいる点です。では生産管理の目的とは何でしょうか?

それは、現場がスムーズに生産着手できること、順調な進捗と完了支援することにあります。一つの商品を生産するためには部品や原材料の調達から始まり、仕入から在庫への移動、在庫から生産現場への供給、作業場所や設備の確保、人員配置や必要に応じた教育など様々な要素が必要です。生産管理はそれらのすべてにおいて現場を支援することが大切です。

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生産管理システムはなぜ必要?

生産では仕入、検品、在庫、供給、製造、仕掛品、販売、原価、出荷、配送など複数の部門と業務が複雑に絡み合っています。これらの業務はすべて鎖のように繋がっており、この一連のプロセスを“サプライチェーン(SC)”と呼びます。さらに、生産管理はこれらの業務すべてに関係し、適切な指示によってそれぞれの業務の発生のタイミング、優先度などを決定した上で生産を実施していきます。

もしもこの時、各業務の情報を一元的に管理することができたらどうでしょうか?生産管理はよりスムーズに実行できますし、QCDの達成に大きく貢献するはずです。ちなみに生産管理システムは、主に次のような機能を持ちます。

調達管理

部品や原材料の仕入れなど生産に欠かせない資材を調達する機能です。調達管理システム上から仕入を行ったり支払いまで管理します。

在庫管理

在庫は多すぎると経営を圧迫してしまいますし、少なすぎると機会損失を招いてしまいます。そのため様々な工程と在庫管理システムを連携して、常に適正在庫を管理しなければなりません。

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工程管理

製造のQCD維持・向上を目指すためには製造工程の進捗管理および品質チェックが欠かせません。工程が適切に進んでいるかどうか、これを管理するのが工程管理の役割です。

生産管理

様々な情報から生産計画を立案します。各業務から情報を収集し、それをもとに無理なく利益を最大化できる生産計画を立案できます。

受注管理

製品見積もりや受注、出荷、売上、在庫など様々な要素を一元管理するための機能です。受注管理システムでは製品を受注したタイミングで在庫情報を更新したり、販売数や売上情報をもとに請求処理も行います。

原価管理

企業が経営活動を維持するためには継続的に収益を拡大する必要があります。そのためには当然売上を増加させることも重要なのですが、それ以上に原価低減を目指すことが大切です。原価低減のためには、原価管理システムによる原価の可視化が欠かせません。

出荷管理

製品を出荷してから顧客のもとまで配送するまでを管理するための機能です。ただし生産管理システムによっては出荷管理をカバーしていないこともあります。生産後の物流システムと連携することで全体の最適化が可能です。

品質管理

顧客に販売した製品に不良があると企業の信頼を失うだけでなく大きな損失になります。なので、納入前の最終段階での品質管理において厳重にチェックすることが大切です。製品ライフサイクル管理システム(PLM)によって、継続的な品質管理と製品ライフサイクルを可能にします。

生産管理システムが提供する機能は製品によっても違います。上記のような機能をすべて保有する生産管理システムは中~大規模なものです。製品によってはもっと機能が少なかったり、需要分析に特化したものなどもあるでしょう。

生産計画の重要性

生産管理業務の中でも大切なのが“生産計画”です。生産計画とは販売計画の基づき、生産に必要な部品や原材料、人員、配置、設備、生産期間、生産量などを確定していきます。この生産計画に基づいて調達計画や人員計画が立ったり、生産を進めていくわけです。

そのため生産計画とは生産の起点になるようなものなので、適切な計画を立ててスムーズに進行することが大切です。

しかし、計画通りに生産が進むことはなかなかありません。顧客からの納期変更や仕様変更などにより、日々計画は変化していきます。その中でも生産計画を正しく実行していくために欠かせないのが関連部門の連携でしょう。

生産に関わる部門全体が一つの生産管理システムを共有して、そこに様々な情報を集約することで急な生産計画変更にも耐えられる組織を作ります。

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生産管理システムとERP

ERP(Enterprise Resource Planning)というソリューションをご存知でしょうか?これは、企業経営に欠かせないあらゆる業務システムを一つに集約した製品であり、ERPを導入するということはすべての業務システムがシームレスに連携した環境を構築するということと同義です。その中にはもちろん生産管理システムも含まれています。

生産管理では関連部門が連携することが大切と説明しましたが、生産管理システムを単体ソリューションとして導入しても、なかなか上手くいきません。いかなる部門でも共有可能案状態を作ることが重要なのです。

その点で言えばERPほど最適な製品はないでしょう。生産管理システム、調達管理システム、販売管理システム、在庫管理システム、顧客管理システム、営業支援システム、この他にもERPで統合されている業務システムはたくさんあります。

ここで心配になるのが、ERPの導入コストと運用負担でしょう。ここまで大規模なシステム環境を構築するのですから、それ相応のコストと負担が生じるのではないか?と考えるのではないかと思います。

確かに、以前はERPは大企業が導入するものという認識が強かった製品です。導入コストは巨額になることも珍しくありませんでしたし、導入後の運用負担も必然的に大きくなっていました。

しかし近年人気を集めている“クラウドERP”は中小企業でも導入が進むERPです。システムはインターネット経由で提供されるので、正確に言えば導入するのではなく契約・利用します。

それによって導入コストを大幅に抑えつつ、特別な運用スキルが無くともベンダーがシステムを運用しているので、その点も心配はいりません。ただしクラウドであるためカスタマイズ性が低いという傾向はあるので、その点に注意は必要です。

まとめ

皆さんの会社でもこの機会に、生産管理システム並びにERPの導入をご検討ください。正しい生産計画を立案したり、製造のQCDを達成するための積極的に活用していただければと思います。

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