受注管理システム
受注管理システムとは?
業種や規模を問わず、すべての企業において発生する業務の一つが受注です。受注により正式に提供者と顧客という関係になるため、非常に重要なポイントです。そのため、元来は単純に受注した情報を管理するのが受注管理でしたが、現在はより多くの意味を持つとともに、顧客としての関わりの始点として重要度が増しています。
顧客からの受注を効率化することで、そのあとに続く納期回答や納品時期などを早めて顧客満足度を向上します。従来は受注はメールや電話、FAXなどを使用し、それをシステムに入力するなどしていたため、スピードと正確性を求めるのは難しい面がありました。
そこで受注を効率的に管理し、そのあとのプロセスを円滑に進めるのが受注管理システムです。
たとえば、受注管理システムが無い場合とある場合とでは、基本的な受注業務一つとってもその効率性は大きく違います。
- 受注管理システムが無い場合
メール、電話、またはFAXで製品受注を受けてから在庫状況を確認する。在庫状況に応じた納期の回答をして、顧客から了承を得ればExcelフォーマットで見積書を作成する。上長や部門責任者から見積書を承認を取り、顧客にそれをメールまたは郵送で送付します。その後Excelフォーマットで出荷指示書を作成し、出荷担当に送付する。
- 受注管理システムがある場合
受注管理システムを通じて顧客からの受注デートを受領し、即座に在庫管理システムと連携して在庫の引き当てを行う。顧客に納期回答し、問題が無ければ受領データからそのまま見積書を作成する。受注管理システム上で上長や部門責任者の承認を得て、顧客にそれを送付し、その後システムから作業指示を送信する。
このように具体的にイメージすると、受注管理システムによって受注管理が大きく効率化されることがお分かりいただけるでしょう。
背景/目的
受注はお客様から製品注文を受ける際の窓口です。ここから様々な業務や担当部門に指示を与えることで、製品の出荷準備を整えたり売上計上を行ったりする、実際のビジネスの起点とも言うべき業務です。
では、従来の受注業務はどれほど効率性が考えられていたのでしょうか?多くの企業は受注業務を効率化するために様々な取り組みを行ってきましたが、実態として受注業務を効率化することは難しい問題でした。
まずメールや電話、FAXなどの受注ではその内容を人手で別のフォーマットやシステムなどに転記しなければなりません。そこから在庫の引き当てを行うためには、在庫担当者に連絡したり在庫管理システムで照会する必要があります。しかし、在庫担当者が不在なら業務スピードは停滞してしまいますし、在庫管理システム上のデータが信頼できない場合は自ら足を運んで在庫を確認しなければなりません。
そのため、顧客への納期回答だけでも1日以上の時間を費やすケースが少なくありませんでした。その後の出荷指示なども別のフォーマットやシステムを使用して作成したりするため、やはり時間がかかりました。このように、受注業務は他の業務プロセスとのかかわりが深く、それ自体を効率化することが難しいのです。
受注管理システムは、こうした受注業務の問題を解消すべく効率化のために生まれたシステムです。
課題
受注管理システム導入の課題は、他の業務システムやEコマースとの連携です。受注管理システムで受注業務の効率性を高めるためには、在庫管理システムや出荷管理システムなど複数のシステムと連携し、スムーズにデータのやり取りを行うことが大切です。
たとえば在庫管理システムと連携していれば、顧客からの受注を受けて即座に在庫照会ができ、納期回答を早めることができます。出荷管理システムと連携していれば、出荷指示を迅速化して納期を厳守することができるでしょう。
もう一つ重要な課題がEコマースとの連携です。近年ではEコマースを通じて製品を販売する機会が多くなり、その際は受注管理システムの存在が欠かせません。なので、複数のITシステムと連携しつつEコマースとも連携すれば、在庫の一元化などが実現でき受注業務を効率化するだけでなく、コスト削減にも効果を発揮します。
ソリューション(解決)
受注管理システムの課題を解決するには3通りの方法があります。
一つ目は既存システムと連携して受注業務を効率化することです。多くの受注管理システムは他の業務システムと連携するためのインターフェースを備えているため、在庫管理システムや物流システムと連携することで業務効率を向上します。
二つ目の方法はクラウド型の受注管理システムを導入することです。クラウドとはインターネット上で提供されるサービスのことであり、社内インフラに受注管理システムを構築するのではなく、契約料金を支払ってサービスとして利用します。クラウド型受注管理システムの場合、導入が容易でかつEコマースとの親和性が高い傾向にあります。
三つ目の方法はクラウドERPを導入することです。ERP(エンタープライズリソースプランニング)とは複数の業務システムを統合的に備えた製品のことで、これをクラウドで提供するのがクラウドERPです。クラウドERPには受注管理システムをはじめ在庫管理システム、出荷管理システム、生産管理システム、財務会計システム、顧客管理システムなど様々なシステムを備えており、そのすべてがシームレスに連携しています。そのためITシステム間でのデータのやり取りが非常にスムーズであり、受注業務だけでなく様々な業務を効率化できます。
機能
受注管理システムは一般的に次のような機能を備えています。
- 見積入力
- 見積書作成
- 在庫引き当て
- 納期回答
- 受注伝票
- 受注残高
- CRM連携
- 出荷指示
- 売上計上
- 請求書発行
- EC連携
- 決済対応
- データ検索
まず自社の業務に必要な機能を棚卸し、必要な機能を選択します。将来的に業務の拡張やビジネスモデルの変更などもあり得るため、それを見据えた観点で確認します。
メリット
受注管理システムを導入することで、企業は次のようなメリットを享受できます。
- 受注業務の効率化
- 顧客側の発注業務効率化
- 人為的ミスの削減
- 納期回答の迅速化
- 出荷指示の簡素化
- 在庫状況への反映
- EDI(電子データ交換)の活用
- 顧客満足度の向上
- 生産性の向上
- 決済方法への対応
受注管理システムには様々な領域や製品があるため、自社の課題や求めるメリットを明確にするのも重要です。たとえばクラウドERPならば、既存システムとの連携がネックになることはなく、運用を一元化できるというメリットがあります。
デメリット
受注管理システムを導入するデメリットは、場合によって既存の受注プロセスが変わり、顧客側がそれを受け入れられない可能性があるということです。受注業務をシステム化するということは、顧客にとっても発注方法がこれまでと変わる可能性があるということです。さらに、システム化によって柔軟な納期対応ができないといった可能性も出てくるため、それによって顧客側がその変化を受け入れられない可能性があります。
そのため、顧客ごとにシステム化された受注業務と例外処理としての従来通りの受注業務が入り混じり、以前に増して受注業務が複雑化することもありえます。こうしたデメリットを回避するためには、受注管理システム導入前に業務上の要件やパターンを洗い出しておくことが重要です。
選び方のポイント
受注管理システムを選ぶ際はやはり他の業務システムとの連携が非常に重要なポイントです。受注管理システム単体では、導入効果を十分に最大限引き出せない可能性があります。
特に物理的な販売窓口とEコマースの在庫を一元化したいと考えている場合などでは、受注管理システムは他の業務システムに加えてEコマースともシームレスに連携しなければなりません。
まとめ
受注形態の多様化によって、受注管理システムは以前にも増して重要な領域として認識されています。そのためにはリアルタイムに他の業務データと連携し、顧客に適切な対応を行う入り口としての役割が期待されます。
この観点で、すべての業務データが一元的に管理されているERPは非常に合理的な選択肢です。さらにクラウド型のERPを選択することで、導入や最新機能の活用などが円滑に行えるようになります。
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