クラウドERPとは? メリットやデメリット、
選び方などを分かりやすく解説

 2022.07.15 

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クラウドERPは、従来オンプレミスソフトウェアとして提供されていたERP(統合基幹業務システム)パッケージの機能をクラウド環境で使えるようにしたアプリケーションの総称です。

ERPをオンプレミス環境で導入する場合に比べ、コストや導入期間など多くの点で評価されており、競争が激化する現代社会において柔軟な展開が可能であるため、多くの企業で採用が進んでいます。

クラウドERP躍進の背景

調査会社のデータによると日本国内でクラウドERPを導入する企業は、現状それほど存在していないと報告されています。しかし、約4割の企業がクラウドERPに高い関心を寄せており、北米においては最早クラウドERPは市民権を得たといっても過言ではないほどです。海外であたりまえのように導入されていることを鑑みると、明らかに日本でも採用が加速すると捉えた方がよいでしょう。

採用が加速する背景には、多くのユーザー企業が従来型のオンプレミスERPに対する課題や不満を抱えている現状があります。1990年代に全盛であったオンプレミスERPの登場は、コスト削減や現場の生産性向上、あるいは全体最適化、データ標準化といった期待を一身に背負っていました。その一方で、必ずしもそれらの期待に応えることができていない現状があるのも事実です。また、維持・メンテナンスコストの増大や柔軟性の欠如などに加えて、ビジネスのグローバル化や持たざる経営を実践するクラウド容認企業の台頭がオンプレミスERP離れを物語っています。

そのような状況においてクラウドERPを活用するメリットが注目を集めています。たとえば、海外拠点向けに財務会計や販売管理といった基幹システムが必要なケースを考えてみてください。クラウドERP提供ベンダーとの契約とコンフィグレーションのみで利用を開始できるようになるため、従来型に比べて圧倒的に短期間かつ低コストで導入が可能になります。もちろんこれらの特性を生かすことで、スタートアップや成長企業などIT資産を持たざる経営を実践している企業なども事業に集中できるため、魅力的に映るのではないでしょうか。

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中堅中小企業向け クラウドERPのROI

クラウドERPの主な機能

クラウドERPには企業のビジネス活動を支えて効率化するための機能が備わっています。代表的な機能としては、販売管理や財務会計、生産管理などが挙げられます。

販売管理

誰に・何を・いつ・いくらで、といった物の流れとお金の流れに関する具体的な情報を集約・整理するのが販売管理です。商品・サービスの販売計画から仕入れ、発注、受注、出荷、納品の一連の流れや関連データを一元管理します。一元管理ができると複数の部署を跨いだ情報共有のミスがなくなり、データ状況のリアルタイムな把握がしやすくなります。

物やお金の情報を適切に管理することで納期の遅れ、業務ミスの防止につながり、在庫の管理もしやすくなるでしょう。そして、お金の流れを管理することで顧客ごとの売上実績などが可視化でき、分析と改善に役立てることが可能です。こうしてもたらされた適切な業務改善は、顧客満足度を向上させる効果も期待できます。

企業によって訪問販売やウェブ受注など、販売手法は異なります。そのため、ERPを選ぶときは自社の販売形態と相性のよいシステムを選択する必要があるでしょう。

財務会計

財務会計は、企業の財政状態・経営成績を可視化し、株主や取引先、投資家などの外部ステークホルダーに開示するためのものです。社内向けの管理会計と違い、財務会計は外部向けに情報開示するための会計であり、処理方法や報告形式の基準が定められています。その基準として使われるのが財務諸表であり、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書が重要視されます。

3つの書類は、企業の円滑な資金調達や公正な取引を実現するために必要なものであるため、ERPの財務会計には財務諸表の作成、資産の管理などのサブ機能があることが多いです。財務会計機能のあるERPを導入することで、ほかの業務システムのデータを収集しながら財務会計に反映させられるようになります。入力作業の手間がなくなるため、会計業務の効率化が可能です。

生産管理

生産計画や原料仕入れ、検品など生産に関連する業務の管理をするための機能です。受注・工程・品質・出荷などの管理や生産計画などの機能が備わっています。適切な生産計画や購買計画の立案、コストや品質の管理をする役割もあります。質を高めて継続的な収益につなげるため、品質・コスト・納期を表す「QCD」の向上を図ることが生産管理を行う目的です。

生産管理には、家電や汎用製品向きの量産型と大型機械や造船向きの個別型という2種類があり、利用できる機能に違いがあります。量産型では所要量計画、作業者の負荷計算などの機能が使用できます。個別型は製造指図管理などの機能があります。

どこまでの機能に対応しているかはERP製品によって差があります。受注管理や生産計画、材料シミュレーションなど基本機能はどの製品でも大体対応していますが、必要なものが備わっているか念のため確認しましょう。業界独自の機能に特化する生産管理ができるものもあるため、自社の要件に合ったものを慎重に選ぶ必要があります。

輸出入管理

輸出入で必要になる契約や輸送・決済のプロセスなど、貿易にかかわる一連の事務処理に対して一元管理を行います。在庫管理とそれに伴う経費計算、為替管理、三国間取引管理、書類の自動作成などの必要な機能が備わっています。

貿易管理はグローバルな視点が求められ、事務処理の量も膨大です。専門知識がある担当者に業務が属人化しているケースも少なくありません。業務の効率化や業務プロセスの標準化を実現するためにも、業界に合ったERPシステムを導入することが望ましいでしょう。

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クラウドERPの3つのタイプ

一般的にメディアや市場ではクラウドで動作するERPをひとくくりに「クラウドERP」としています。しかし、それを紐解くと大きくは「プライベートクラウドERP」「パブリッククラウドERP」「ハイブリッドクラウドERP」という3種類に分けられます。

クラウドERPの3つのタイプ

プライベートクラウドERP

プライベートクラウドERPは、既存のオンプレミス型のERPをAmazon Web ServicesなどのIaaS基盤上やシステムインテグレーターが運営するデータセンターで実装され、展開されるサービスです。SLAやアップグレード時のコストなどは契約企業ごとに不透明なケースがあります。

パブリッククラウドERP

パブリッククラウドERPは、NetSuiteやWorkdayに代表されるベンダーのデータセンター上で構築されており、シングルインスタンスでありながらマルチテナントで提供されるのが一般的です。ユーザーは、アップグレードやバックアップ、システムのメンテナンスの一切を提供ベンダーに一任することが可能になります。

ハイブリッドクラウドERP

ハイブリッドクラウドERPは、プライベートとパブリック、オンプレミスとパブリックといったように複数の種類を採用するケースです。最近では硬直化したオンプレミスERPとパブリッククラウドERPを連携させる「2層ERP」を実装するケースも増えています。

クラウドERPのメリット

クラウドERPを導入することで、コストや機能面で企業に様々なメリットがあります。代表的なメリットは以下の通りです。

ITコストの大幅な削減

クラウドERPの場合、そのままクラウドの恩恵を享受することが可能です。ハードウェアやソフトウェアの投資、キャパシティプランニング、設計、初期導入費用などは一般的に存在せず、クラウドERP提供ベンダーのデータセンターで構築され、通常は契約ベースで企業にインターネット上で提供されます。企業は、利用するという形態になるため固定資産や導入に関わる初期コストを大幅に削減できるというメリットがあります。

迅速な導入

クラウドEPRは、オンプレミスERPに比べて短期間での導入が可能です。いままでのようにERPの導入に1年以上かけるといった手間は存在しなくなり、契約後すぐに使えるという特徴があります。そのため、ERPの導入に関わる煩雑な作業は一切必要ありません。

グローバル対応機能

ビジネスがグローバル化するなかで、日本語のみ対応のソフトウェアでは円滑な意思疎通を阻む可能性があります。インターネットを通じてサービスが提供されるクラウドERPは、グローバルでの利用を前提に提供されているのが一般的です。データは一箇所に存在しますが、言語や通貨などは自国もしくは都合の良いものにリアルタイムに変更可能です。それだけでなく、NetSuiteなどは現地の税務報告書などに対応しているケースもあります。

また、クラウドにすると、グローバルにビジネス展開をする企業が現地IT人材の採用やIT機器の調達をする必要がなくなるため、速やかに展開できることも魅力のひとつです。これは海外展開に限ったことではなく、新規店舗や支店、事業所などを展開する企業にとっても魅力的なものでしょう。

リアルタイムな情報把握による迅速な意思決定

マルチテナント型で提供されるクラウドERPでは、データは常に一箇所で管理されています。財務会計や受発注、在庫管理、購買管理、プロジェクト管理などあらゆるビジネスプロセスがリアルタイムで更新されるため、ビジネス全体の情報の可視化が可能になります。

今まで分断されていたシステムから情報を抜き出し、Excelなどで加工するといった作業も必要なくなります。また、クラウドERPで提供されるビジネスインテリジェンスやダッシュボード、レポートの機能を利用してリアルタイムかつ正確なデータをいつでも参照可能です。こういったメリットを最大限に活用すれば、スピード経営の実践にも役立つでしょう。

単一システムによる生産性の向上

クラウド上で企業プロセスを統合できるクラウドERPは、CRMから販売管理、顧客管理、受発注や購買、在庫管理などの企業全体のプロセスを有機的に結合した状態で利用できます。そのため、これまで部署間やシステム、業務ごとに電話や手作業で行っていたプロセスをクラウド上で自動化でき、企業の生産性を大幅に向上させることが可能になります。また、社内や顧客間のやり取りで発生する、人為的なミスを極力排除することも可能です。

いつでも、どこからでも

インターネット経由でサービスを提供するクラウドERPは、Webブラウザからいつでも、どこでもアクセス可能です。出張中や移動中などにおける承認が必要なプロセスの実行、カフェでの経費精算など、企業の生産性向上とユーザーの優れたワークライフバランスを実現します。また、ベンダーによってはモバイル対応のネイティブアプリケーションを提供しており、日々変化するビジネス状況も逃さずに対応可能です。

バージョンアップ

ソフトウェアにはバージョンアップがつきものです。今までのオンプレミス型ERPでは、ベンダーから提供される最新のソフトウェアにバージョンアップする際に多大なコストと労力を必要としていました。そのため、何年もERPを塩漬けしている企業も少なくありません。しかし、クラウドERPは、バージョンアップの作業はすべてベンダーが行います。一般的には年に数回バージョンアップが行われ、常に最新の環境をユーザーは利用可能です。

カスタマイズと適用

オンプレミスERPの場合、自社の要件にカスタマイズする企業が大半でした。カスタマイズ性はオンプレミス型の大きな特徴ですが、クラウドERPでもカスタマイズすることは可能です。

開発というよりはコンフィギュレーションに近い形で設定します。自社のニーズに合わせて改変するだけでなく、スクリプトを利用したビジネスプロセスの構築なども可能です。もちろんバージョンアップの際は、構築したそれらの動作は保証されます。

強力なセキュリティと、可用性そしてデータ管理

一般的に自社データセンターのセキュリティを確保・維持したい場合、多大なコストと労力の負担が必要になり、セキュリティリスクが発生しやすいです。しかし、クラウドERPの場合だと、提供ベンダーが巨大なデータセンターを自社で運用しているため、数多くのセキュリティ認証を取得しています。

たとえばNetSuiteでは、SAS 70タイプII、PCI DSSおよびEU-US免責条項などの強固な認証を取得しており、このレベルのセキュリティを企業が行うのはあまり現実的ではありません。しかし、企業がクラウドERPを利用する分にはサービス料金を負担するだけで、優れたデータセンター管理や自動データバックアップ、そして厳格なサービスレベルの保証などを受けられます。

クラウドERPのデメリットと対策

クラウドERPを導入した場合、メリットだけでなくデメリットもあります。デメリットをただ受け入れるのではなく対策する視点を持つことで、自社に合った製品を選びやすくなるでしょう。

サービスレベルがベンダー次第である

システムの稼働などはすべてベンダー任せになるため、大規模な停電などが発生した場合には使えなくなるケースがあります。しかし、それでは安心してユーザーが利用できないため、一般的にクラウドERP提供ベンダーは厳格なサービスレベル契約(SLA)を締結することが多いようです。

たとえば、NetSuiteの場合には製品に対して99.7%の稼働を保証しており、2022年から過去5年間は平均稼働実績99.96%で継続的にサービスを提供しています。4半期で稼働率が99.7%を下回った場合は1ヶ月無料利用できることになっています。

ほかには、オンプレミスERPより拡張性が低めなこともあり、システム性能もベンダー次第なところがあります。また、ベンダーのサービスレベルが低かった場合は、アップデートされない、セキュリティの脆弱性が多いなどの問題が出てくるでしょう。

稼働率や性能面を含め、こういったサービスレベルのデメリットを補う方法として挙げられるのは、自社に必要なサービスと機能を備えている最適な製品を丁寧に探すということです。適切な製品を探すためにも、ERPを導入する目的や必要な機能を明確にし、要件定義を行うことが大切です。選ぶにあたっては、ベンダーの実績や導入事例なども参考にしましょう。

インターネット環境に左右されやすい

クラウドはインターネット経由で利用するサービスのため、ネットに接続できる環境がない場合は使用できません。ユーザー側のインフラが問題で接続できないケースもありますが、サービス提供者側の原因で接続障害が発生することもあります。どちらかが原因で障害が発生した場合、業務も一緒に停止する可能性があるため、インフラ関係のトラブルには注意する必要があります。

もちろんサービス提供者側も障害が発生しないような取り組みをしています。しかし、有名なクラウドサービスでもシステム障害が発生するときはあるため、そのつもりで準備しておく方がいざというとき混乱せずに済むでしょう。

普段の接続障害以外では、天災や火事などが原因で障害が起きることもあります。自然災害の影響も考慮した上で事業の継続性を考えるなら、何らかの障害が起きても稼働できるように予備システムやインフラを整備するなど、対策を行っておくとよいでしょう。

カスタマイズが難しい場合がある

クラウドERPはベンダー保有のサーバーで稼働しています。基本的にベンダーのサービスとして提供される標準機能を利用するため、自社に合わせたカスタマイズをするのは困難です。業務フローが複雑な場合や独自機能が必要になる場合、クラウドタイプだと対応しきれないこともあるでしょう。カスタマイズの自由度や追加機能を多く求めるなら、オンプレミスERPを検討した方がよいケースもあります。

とはいえ、最近ではカスタマイズ性に重きを置いたクラウドERPも登場しています。そういった製品では、追加機能である程度自由にカスタマイズすることが可能です。よほど特殊でなければ大抵の場合は機能の追加で事足りるでしょう。

しかし、オプションをつけるほどコストが増加することが多く、求める機能を搭載する製品を探すとなると数が限られる点がネックです。それでもカスタマイズ性をある程度求める場合は、条件に合う製品の選定をすることが重要になります。

セキュリティに対する不安がある

クラウドERPでは、社内のデータを外部のクラウドに保管するため、セキュリティの観点から不安の声があがることもあります。企業としてもITが普及した現代においてサイバー攻撃への対策は必須のものであり、セキュリティに不安があるサービスに大切な自社のデータを渡すのは抵抗があるでしょう。

クラウドERPを利用する場合にできるセキュリティ対策として、利用前にベンダーのセキュリティ要件を確認した上で選ぶことが挙げられます。また、内部犯行による情報漏洩や不正アクセスを防げるよう、権限管理機能があるかどうかもチェックしておきましょう。

NetSuiteの機能例を挙げると、侵入検知システム(IDS)で悪意のある侵入が識別される体制が整っています。認証のない不正なアクセスはブロックされる仕組みがあり、記録と調査も行われます。

ベンダーのセキュリティ要件をチェックする以外にも対策はあります。たとえば、データの扱いに間違いが起きないよう、クラウドを使う社員にセキュリティ教育を行うことなどが挙げられます。

現場社員の負担になる可能性がある

新しいシステムを導入することは、経営者目線ではデータの一元管理や意思決定の迅速化といった意義があります。しかし、現場の社員からするとシステムの変更が大きな負担になる可能性があることも理解しておきましょう。

データの一元管理による業務の効率化は、現場との連携があって達成されるものです。そのため、ERPの導入で目的を達成したいなら、現場の効率化を優先して考える必要があります。現場の声や不安を無視して独断で進めようとすると、導入が難航しやすいです。特にシステム変更による手間やトラブルが不安視されることが多いため、現場社員の理解と協力、ヒアリングに重きを置いて進めると説得に成功しやすいでしょう。

スムーズにシステム変更を進めるために、導入を検討している初期段階から関係する各部署の責任者を巻き込んで要件定義を行っていくことも重要です。また、導入後に操作性に不満があると作業に支障があるため、無料デモを活用して現場社員が使いやすいかどうかも確認しておきましょう。

クラウドERP選び方のポイント

クラウドERPを選ぶ際は様々な点を気にする必要があります。たとえば、行き当たりばったりに進めたり、機能性や価格だけを見て選んだりすると失敗する可能性もあります。クラウドERPを導入する目的を達成できるよう、ポイントを理解しておきましょう。

多機能・低価格だけで選ばない

多機能な製品ほど様々なことができて便利なように思えますが、必ずしも自社に最適な製品とは限りません。多機能なツールをすべて使いこなせるなら、費用対効果が見合っていると言えるかもしれません。しかし、大抵の場合は業務に関係のない機能は使う機会がないため、その分はムダなコストとなり、システムの煩雑さにもつながります。多機能な製品で大雑把に業務をカバーするのではなく、必要な機能を明確にして自社の業務に見合った製品を選定することが大事です。

また、価格が安いから導入するというのも注意が必要です。価格面では安い製品はメリットが大きくて導入しやすいように思えますが、価格が低い分、機能が少なく業務で利用するには十分でないケースも考えられます。価格が適正かどうかは本来の目的を達成できるかどうかで判断するとよいでしょう。

導入によって変化することを予測する

ERPの導入は社内の業務形態に変化を与えます。どの程度変化させる必要があるかは、事前に予測しておく必要があるでしょう。

従来の業務でExcelを使っていた場合、導入したいERPでも同じような機能がないと二重管理になってしまい、作業手順が余計に煩雑になります。結果的に導入する製品に合わせて業務形態を大きく変化させる必要性が出てきて、現場の負担が増加してしまうでしょう。導入に失敗しないためにも業務プロセスの洗い出しを行い、ERPで対応できる範囲と無理な部分を明確にしておくことが大切です。

業務形態に変化を加えることは大なり小なり現場に負担がかかることであるため、できれば最小限に抑えたいところでしょう。自社に適した製品を選定するためにも、導入によってどれぐらい業務形態を変化させる必要があるのか、どれくらいの効率化が望めるのかを視野に入れてください。また、なるべく従業員を巻き込みながら導入を進めると、スムーズな移行ができるでしょう。

デモや無料トライアルを実施する

要件を満たしている製品でも、使いやすいかどうかは別の話です。実際に使ってみないと操作性は評価できません。そのため、無料トライアルを導入前から積極的に試していくことが大切です。実際に触ってみて初めて分かる課題もあります。

製品を試す際は、必ず現場社員に触ってもらうこと、様々な社員の声を聞いて評価してもらうことが大切です。導入により効率化を達成するためにも、一番使いやすいERPを探す必要があります。また、ほとんどのサービスには試用期間が設定されているため、試すときは計画的に利用しましょう。データ保存などの機能は制限がされている場合があり、無料トライアルでは確認できないことがあります。

クラウドERPのおすすめ製品

おすすめしたい企業向けのクラウドERP製品が2つあります。どちらも大手ソフトウェア会社Oracleが提供する製品です。特徴を比べて自社と相性のよさそうな方を検討してみてはいかがでしょうか。

Oracle ERP Cloud

「Oracle ERP Cloud」は、長年にわたってグローバルに製品を提供し続けてきたOracle社のクラウド型ERPシステムです。網羅性が高く、経営マネジメントに必要なモジュールがそろっています。

財務会計から調達管理、リスク管理、EPMなどの管理系業務、物流や製造に必要な業務システム、企業活動に関わる情報の一元管理など様々な機能が搭載されており、あらゆる業種とマッチする環境を提供できます。リアルタイムにデータ分析を行う基盤にもなるほか、業務アプリケーションやデータプラットフォームとの連携も可能です。

企業の活動内容に応じて段階的に機能を追加できるのも魅力的です。追加する場合でも整合性が保たれるため、煩雑になるといったデメリットは感じないでしょう。加えてインテグレーションコストが不要な点もOracle ERP Cloudを選ぶメリットです。必要なときに必要なモジュールの導入が可能です。Oracle ERP Cloudなら、現代のニーズを汲み取った上で経営と現場の両方に最適な環境を提供できます。

Oracle NetSuite

中小・スタートアップ企業向けにおすすめするクラウドERPが「Oracle NetSuite」です。長年にわたって提供され続けており、世界中の31,000社を超える多くの企業が採用しています。ガートナー社の調査では「上位10社の財務会計システムにおいて世界で最も成長している企業」としてNetSuiteが選出された実績もあります。Oracle社にNetSuiteが買収されてからも事業部として残り、お客様への支援を継続しています。

Oracle NetSuiteでは、ERPはもちろん、会計システムやCRMなど主要な業務アプリケーション機能を単一のシステムで実現可能です。デフォルトでリアルタイムに経営状況の分析ができるBI機能とダッシュボードも利用できます。

19種類の言語と190種類以上の通貨・為替レートなど、グローバル向けにも対応しています。海外拠点を持つグローバル企業にも最適なシステムです。最新バージョンへのアップデートはベンダー側が責任を持って行うため、バージョンロックの心配は不要です。また、事業の成長に合わせて拡張できるため、中小・スタートアップでこれから規模が急速に拡大する可能性がある企業でも導入しやすいでしょう。

まとめ

クラウドERPとは、従来のオンプレミスERPのようなアプリケーションをクラウド環境で利用できるようにした製品のことです。多くの企業で導入が進む理由として、オンプレミスERPに課題や不満を抱えているケースが増加していることが挙げられます。それに加え、持たざる経営やビジネスのグローバル化の後押しもあり、オンプレミスからクラウドに移行する企業が増えつつあります。企業側としても、ITコストの削減やリアルタイムな情報把握といった点は導入メリットです。カスタマイズ性やセキュリティへの不安など、デメリットもありますが、適切な製品選定を行うことで対策できます。

特に中小・スタートアップ企業向けとしておすすめしたいクラウドERPが「Oracle NetSuite」です。31,000社を超える世界中の企業が採用している実績があります。販売管理や生産管理、財務会計などクラウドERPの主な機能が搭載されているほか、通貨や為替レートなどのグローバル対応もしています。システムに拡張性があるため、これから急拡大の見込みがある企業でも導入しやすいでしょう。
https://www.netsuite.co.jp/products/erp.shtml

ERP(統合基幹業務システム)の導入を成功に導く10のステップ

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