ERPとは? シェアや機能などをわかりやすく解説

 2022.07.20 

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ERPとは、企業の経営資源を統合的に管理するためのシステムを指します。変化が加速する現代市場において、企業が競争優位性を確立するには、ERPの戦略的な活用を通じた迅速な意思決定や、全社的な情報共有が欠かせません。本記事では、ERPの基本的な概要や基幹システムとの違いを解説し、導入手順やおすすめのソリューションについても詳しく紹介します。

ERPとは?

「ERP」とは「Enterprise Resource Planning」(企業資源計画)の略称で、日本語では「統合基幹業務システム」や「基幹システム」と呼ばれます。財務管理、人事管理、在庫管理、販売管理など、企業経営に欠かせない複数の業務システムをオールインワンで提供し、業務の効率化や情報の一元管理を実現するソリューションです。

本来、ERPは経営の管理手法や、その概念を指す言葉でしたが、転じて経営管理を実現するシステムそのものを呼ぶようになりました。

代表的なERPのソリューションにはSAP社のSAPや、Oracle社のNetSuiteがあり、多くの企業が導入しています。ERPの活用により、企業全体の情報共有や業務プロセスの最適化が可能です。

ERPの標準的な機能

ERPの業務領域に関する代表的な機能は、財務会計や人事管理、購買管理、生産管理、在庫管理、販売管理といった基幹業務の統合管理です。企業の主要な業務プロセスがERPによって一元化されることで、効率化につながります。

ERPが提供する機能の具体例を挙げると、次のとおりです。

  • 財務会計管理
  • 予算管理
  • 財務会計管理
  • 販売管理(受注・請求)
  • 購買管理
  • 顧客管理
  • 営業支援管理
  • 倉庫・在庫管理
  • プロジェクト管理
  • 人材管理
  • マーケティング管理
  • Eコマース
  • ビジネスインテリジェンス(BI)

ERPを導入することで、製品の受発注や売上・売掛の一元管理、財務状況や在庫状況の可視化が可能になります。また、財務諸表の作成や生産計画の策定といった業務も統合的に管理できるため、経営全体の状況を把握しやすくなります。

このように、ERPは経営状況の可視化や迅速な意思決定を支援し、部門を横断した情報共有や業務連携を促進します。ただし、すべてのERPが同じ機能を持つわけではなく、製品によって具体的な機能は異なる場合があるため、導入時には注意が必要です。

※上記機能はクラウドERP NetSuiteを参考にしています。

その他保守に関する機能:セキュリティ、バックアップ機能など

ERPには、保守管理を支える重要な機能として、「セキュリティ機能」と「バックアップ機能」があります。機密情報の保護やシステム障害時の事業継続を確保するために欠かせないものです。

ERPでは、従業員の個人情報や製品開発情報などの機密データを扱うため、高度なセキュリティ対策が求められます。ERPに搭載されたログイン認証やアクセス権限の管理機能が、不正なデータアクセスを防ぐ仕組みです。

また、万が一の障害時にも基幹業務データを守るために、定期的なデータバックアップが不可欠です。障害の発生時はバックアップ機能が迅速なシステム復旧を可能にし、事業活動の停止リスクを軽減します。

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ERPと基幹システムの違い

ERPと基幹システムの違いは、管理の範囲にあります。ERPは「統合基幹業務システム」として、複数の基幹システムをひとつのプラットフォームで一元管理するソリューションです。一方、基幹システムは財務会計システム、人事給与システム、購買管理システム、生産管理システム、在庫管理システム、販売管理システムなど、特定の業務領域ごとに個別に管理されています。

つまり、基幹システムは主に部門ごとに独立して構築されているのに対し、ERPはこれらを統合することで、組織全体の情報共有や業務の効率化を実現するものです。

【関連記事】基幹システムとERPの違い

ERPとBPRの違い

ERPは、人的資源・物的資源・資金・情報を統合的に管理する経営管理手法、またはその実現を支援する業務システムを指します。一方、BPRとは「Business Process Re-engineering」の略称で、「業務プロセスの再設計」を意味する経営管理手法です。BPRは既存の業務フローを見直し、単なる業務改善にとどまらず、事業構造そのものを変革することを目的としています。

BPRの実現には、ERPの導入が不可欠です。ERPは業務を効率的に一元管理し、変革された業務プロセスを支える役割を果たします。また、ERPを効果的に活用するには、BPRの指針に基づいて業務プロセスを再構築することが求められます。

ERPの主な利用形態2つ

ERPには「オンプレミス型」と「クラウド型」という、2つの主要な利用形態があります。

オンプレミス型

オンプレミス型ERPとは、自社で保有するサーバーにシステムをインストールして運用する形態です。自社でインフラ環境を構築・管理するため、柔軟なカスタマイズが可能ですが、その分、開発費用をはじめ導入の初期費用や運用コストが高くなりがちです。

主に大企業では、データの完全な管理やセキュリティ重視の観点からオンプレミス型を選ぶケースが多く見られます。ただし、システムの保守・運用には専門知識が必要であり、ITリソースの確保が課題となることがあります。

クラウド型

クラウド型ERPとは、自社ではなく他社(ベンダー)が提供するオンラインサーバーを用いて、ネット上で動作するERPのことです。企業は自社でサーバーを持つ必要がなく、インターネット環境とPCがあれば利用できます。クラウド型の主な利点は、初期費用を抑えられる点と、スピーディーに導入できる点です。

クラウド型ではベンダーがシステムの運用・保守を行うため、利用企業は自社の業務に集中できます。また、システムは常にオンライン上でアップデートされているので、ログインするだけで最新のバージョンを使用可能です。このため、特にITリソースが限られた中小企業やスタートアップにとっては、魅力的な選択肢になり得ます。

現在、日本国内で提供されている主要なクラウド型ERPには、NetSuite、Oracle ERP Cloud、Microsoft Dynamicsなどがあります。これらの製品はERPの成長を牽引する存在でもあり、様々な業界のニーズに対応しています。

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ERPの主な導入形態3つ

ERPには「統合型」「コンポーネント型」「業務ソフト型」の3つの導入形態があります。それぞれの特徴は次のとおりです。

統合型

統合型ERPは、すべての基幹部門のデータを一元管理するタイプです。財務会計、人事管理、生産管理、販売管理など、複数の業務システムを統合することで、全社的な業務効率の向上やデータ連携を実現します。多くの場合、ERPといえばこの統合型を指します。

コンポーネント型

コンポーネント型ERPは、財務会計、人事管理、購買管理など、自社に必要な基幹システムを組み合わせて導入するタイプです。各システムを独立して導入できるため、企業の規模やニーズに合わせて柔軟に構築できるメリットがあります。

業務ソフト型

業務ソフト型ERPは、特定の業務領域に特化したソリューションです。主に財務会計や人事給与など、特定の業務のみを効率化するために導入されます。特化型のため導入コストを抑えやすく、小規模な企業や特定の業務を強化したい場合に適しています。

用途によって異なるERPの種類と選び方

ERPの種類にどのような特徴があり、また、どのように選ぶと良いのかについては「用途によって異なるERPの種類と選び方」でも詳しく解説しています。参考にしてください。

ERPのメリット

ERPを導入することで、企業はシステムを統合し、効率的な経営を実現できます。具体的なメリットは次のとおりです。

  • 情報の一元化ができる
  • システム同士の連携による業務効率がアップする
  • 情報資源の可視化ができる
  • 経営意思決定の迅速化が期待できる
  • 顧客満足度が向上する

それぞれ詳しく解説します。

情報の一元化ができる

ERPを導入すると、企業全体の情報が一元化され、マスターデータとして管理されます。これにより、異なる部門間でのデータのばらつきや重複がなくなり、正確な情報を迅速に共有できるようになります。

ERPの導入以前は、各部門が独自の業務システムを使用しているケースが多く、情報の整合性が取れず、エラーや重複作業が生じる環境でした。ERPの一元化により、正確なデータを迅速に確認・共有できるようになるため、情報管理の効率が飛躍的に向上します。

システム同士の連携による業務効率がアップする

ERPの導入によりシステム間の連携が強化され、業務効率が大幅に向上します。たとえば、従来のシステムでは取引が発生するたびに、販売管理システムに売上情報を入力し、さらに顧客管理システムに取引情報を手動で入力するなど、重複作業が発生していました。この複雑なプロセスがERPにより自動化されると、情報がシームレスに連携されるようになります。結果として、手間が減少し、リソースを別の業務に割けるようになるため、全体の生産性が向上します。

情報資源の可視化ができる

ERPを活用すると、企業に必要な情報資源が簡単に可視化され、迅速な意思決定が可能になります。経営戦略には、売上データや在庫データ、営業実績、事業成長率など、多岐にわたるデータが求められます。しかし、これらのデータを抽出・加工し、レポートを作成するには膨大な時間と労力がかかることが課題でした。

ERPはBI(ビジネスインテリジェンス)機能を備えており、必要な情報を瞬時にダッシュボードへ可視化します。これにより、担当者がレポート作成に1日を費やすことなく、戦略的な判断を素早く行えるようになります。

経営意思決定の迅速化が期待できる

ERPを導入すれば、経営意思決定を迅速化できます。現代の企業に求められるのは、データをもとにした迅速かつ的確な経営戦略、いわゆる「データドリブン」な意思決定です。ビジネスのスピードが重要な時代では、1日や2日の遅れが大きな影響を及ぼすこともあります。

ERPは情報を瞬時に可視化し、タイムリーな意思決定をサポートするため、データドリブン経営の実現に貢献します。

データに基づいた戦略的な判断を行う手法については、関連記事もぜひ参考にしてください。

【関連記事】DX時代に必要なデータドリブン経営とは?メリットや進め方、事例を解説 | クラウドERP実践ポータル

顧客満足度が向上する

ERPを活用すれば、顧客への対応速度をアップできるため、顧客満足度の向上にも寄与します。たとえば、製造業で顧客から緊急の発注があった場合、通常は生産管理や物流の担当者に連絡し、納品可能な製品や製造後に納品する製品を確認する必要があります。このやり取りが遅れると、顧客の期待に応えられない可能性が出てきます。

そのようなとき、ERPを導入していれば各部門の情報がリアルタイムで把握でき、迅速な対応が可能です。他部署への問い合わせが不要となり、即座に顧客へ回答できるため、結果として顧客満足度の向上につながります。

ERPのデメリット

ERPには多くのメリットがありますが、次のようなデメリットも存在します。

  • 選定に時間や手間がかかる
  • 導入や運用に関するコストが発生する
  • 従業員教育が必要になる

事前にこれらの課題を理解しておくことが、導入後のトラブルを防ぐために重要です。

選定に時間や手間がかかる

数多くあるERPシステムから適切な製品を選定するには、時間と労力が必要です。国内製品だけでも数十種類もの選択肢があり、海外製品を含めるとさらに幅が広がります。そのため、選定プロセスには十分な期間を確保し、慎重に進める必要があります。

ERPの選定にあたっては、自社に必要な機能を洗い出すだけでなく、不足を補う考え方も求められます。たとえば、複数のサービスを組みあわせる「Fit to Standard」や、自社の業務に合わせて足りない機能をアドオンで追加する「Fit & Gap」についても覚えておくとよいでしょう。

導入や運用に関するコストが発生する

ERPの導入には大きなコストが伴います。特にオンプレミス型の場合、システムインフラの構築やハードウェアの購入が必要なことから、初期費用が高額になる傾向があります。

一方、クラウド型は初期費用が抑えられるものの、月額課金や従量課金によって継続的なランニングコストがかかります。さらに、既存のデータを新システムに移行する際の費用や、システムカスタマイズにかかるコストにも注意が必要です。

このように、いずれの形態もコストがかかるため、長期的なコスト管理計画を立て、試算した上で製品を選定することが重要です。

従業員教育が必要になる

ERPを効果的に運用するためには、業務プロセスの理解や操作方法の習得、セキュリティリテラシーが必須のため、従業員への教育が欠かせません。しかし、マニュアルの整備や研修の実施にはコストがかかるほか、従業員の学習時間が業務に影響を及ぼすこともあります。

また、オンプレミス型を導入する場合は、自社で保守管理する関係上、そもそも自社内にERPに精通した人材が必要です。しかし、専門知識のある人材となると、企業によってはただちに確保できない可能性も考えられるので注意しなければなりません。

ERPを導入する流れ・手順

ERPを導入する際は正しい手順に則って、段階的に開発プロセスを踏破していかなくてはなりません。

まずはERPを導入する目的を明確化し、ERP製品と設計・開発を支援するベンダーを選定します。

次に、ベンダーとともに導入スケジュールを調整し、業務要件とシステム要件を具体化していくプロセスが必要です。

そして、定義された要件に基づいてシステムを設計・開発し、事前テストやユーザー教育を経て本格的にERPの運用開始となります。

ERPの選び方でのポイント

ERPには豊富な種類があるため、自社のニーズに合ったものを選ぶことが重要です。ERPを選ぶ際に着目すべきポイントとしては、以下のものが挙げられます。

自社に必要な機能があるか

ERPを選ぶ際には、自社の業務に必要な機能が揃っているかを確認することが大切です。特に、パッケージ商品は機能が限られており、すべてのニーズを満たせない可能性があります。念のため、機能のカスタマイズ可否やシステムの拡張性もチェックしましょう。ただし、カスタマイズが可能であったとしても、実現にはコストや手間がかかることがあるため要注意です。

費用対効果が見合っているか

ERPの導入においては、費用対効果も重要なポイントです。初期導入費用は大きくなることが多いですが、成功すれば業務効率化によるコスト削減効果が期待できます。

オンプレミス型は初期費用が高く、クラウド型は継続的なランニングコストが発生するため、どちらが自社に適しているかを見極める必要があります。

同業種での導入実績があるか

同業種での導入実績や成功事例の有無も、ERP選定時の重要なポイントです。ERPの機能は製品ごとに異なるほか、貿易、医療、教育など特定の業界に特化したERPもあるので、業種に適したものを選ぶ必要があります。

自社と同業種の企業での成功事例がある製品であれば、自社でも効果を発揮する可能性が高いと考えられます。

ERPなら世界最大規模のNetSuite(ネットスイート)がおすすめ

ERPを導入する企業に特におすすめなのが、Oracle社が提供するNetSuiteです。NetSuiteはクラウドERPの代表的製品であり、ERP全体で見ても、SAPと並ぶ世界的なシェアを誇ります。全世界40,000以上の企業での導入実績があるのが特徴です。クラウド型のため導入費用や運用コストを大幅に削減でき、スタートアップや中小企業から大企業まで、規模を問わず活用されています。

クラウドサービスはかつて、高度なセキュリティが求められる場面では敬遠されがちでした。しかし、近年のクラウド技術の進化により、政府機関や金融機関でも採用されるようになっています。NetSuiteもまた、Oracleの技術力を活かし、堅牢なセキュリティポリシーで情報資産を保護する点が高く評価されています。

NetSuiteのもうひとつの大きな特徴は、その国際対応力です。27の言語と190種類以上の通貨に対応し、各国の商習慣や税制にも柔軟に対応できるため、グローバルビジネスに適しています。各国のデータをリアルタイムで共有・連携できるのは、海外拠点を持つ企業にとって大きな魅力です。

また、NetSuiteは将来的に生成AI(ジェネレーティブAI)が組み込まれると期待されています。現在でもAIの活用は行われており、業務の簡素化や、データの可視性と透明性の向上などに役立っています。今後さらにAI導入が進めば、企業の生産性は大幅に向上し、戦略的な意思決定をより迅速に行えるようになるでしょう。

Oracle社が提供するNetSuiteの詳細を知りたい方は、以下のURLをご覧ください。
https://www.netsuite.co.jp/products/erp.shtml

まとめ

ERPは現在、規模を問わず多くの企業で導入が求められる重要なソリューションとなっています。しかし、ERPに対する理解不足やコストの問題から、まだ一歩踏み出せていない企業も少なくありません。

とはいえ、経営戦略や意思決定のスピードが求められる現代において、ERPの活用は避けて通れない課題です。これからの成長と、10年・20年先の企業の存続を見据えて、ERPの導入を前向きに検討してみる価値は十分にあります。

慎重な計画と運用基盤を整えることで、ERPの導入は企業に多くのメリットをもたらします。本記事が、貴社のERP導入を検討するきっかけとなれば幸いです。

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