DX時代に必要なデータドリブン経営とは?メリットや進め方、事例を解説

 2021.06.01 

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価値観の多様化が進む昨今、企業が顧客ニーズを深く理解し、社会情勢の変化に素早く対応していくためには、客観的なデータに基づき意思決定を下す「データドリブン経営」の実現が重要です。社内外のあらゆるデータを収集し、それらを多角的に分析することで、より客観的で精度の高い意思決定が可能になります。本記事では、データドリブン経営を行うメリットや、企業での具体的な進め方を紹介します。

データドリブン経営とは? DX時代に知っておくべき実行プロセスや事例

データドリブン経営とは

データドリブン経営の「データドリブン(Data Driven)」とは、計算機科学における計算モデルであり、経営やマーケティングで使われているプロセスを指します。「個人の主観的な判断」ではなく、さまざまなデータを多角的に分析し、処理された結果からさらに分析し、そのデータから経営戦略の意思決定を行うプロセスです。

対峙する経営プロセスに、従来タイプのKKD経営がありますが、これはデータドリブン経営にあてはめることができます。KKDとは「経験」「感」「度胸」のことです。データドリブン経営とKKDは対照的な概念ですが、相反するものではありません。

なぜなら、経営において100%データドリブンのみで判断する、KKDは一切含めない、ということは不可能だからです。また、顧客が人間である以上、KKDを完全に否定することはできません。

しかし近年、可能な限りデータドリブンを重要視し、KKDは最小限に抑えるという動きが強まっています。データドリブン経営は、膨大なデータが蓄積されていくDX化時代の企業の組織強化に効率的です。

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データドリブン経営が必要とされる背景

企業のDX化で充実したIT環境となり、膨大にデータが蓄積されるようになりましたが、それを積極的に活用している日本企業は決して多くありません。そこで、DXの達成で重要視されるのがデータドリブン経営です。

データドリブン経営では客観的なデータに基づいて判断を行うため、多様化した顧客のニーズに応えやすいというメリットがあります。なぜなら、データドリブン経営は客観的、KKDは主観的という違いがあるからです。

データドリブン経営ではデータに基づいて判断を行うため、ほとんど主観の入り込む余地がありません。一方で、KKDは主観に基づく判断です。KKDで自分ではなく顧客側の目線に立って考えたとしても、主観を拭い去ることはできません。

データドリブン経営では、自分がまったく予期せぬ結論が導き出される可能性もありますが、KKDでは自分の予想の範疇でしか結論を導き出せません。またビジネスにおいては、必ずしも経営者本人がよいと思うものが利益に結びつくとは限らないでしょう。

逆にいえば、経営者本人がよいと思わないものでも、市場では大きな需要がある、といったことも多々あります。KKDでは自分がよいと思うものしか出てきませんが、データドリブン経営なら自分の主観に捉われないので、経営者の志向とは無関係の判断ができます。

今の時代、価値観が多様化していて、主観だけではこの多様化を理解することが不可能になっています。KKDだけで判断していると、大きなビジネスチャンスを逃す可能性が高いということです。そのため、主観を排してデータドリブン経営を中心に置くことが重要になります。

ITテクノロジーの進化

データドリブン経営が重視されている背景のひとつに、ITテクノロジーの進化があります。

これまで人間がデータを収集する際には、インタビューやアンケート、目視による観察など、アナログな手法が用いられてきました。データを分析する手法としては統計学が主流で、専門的な知識を持った人でなければ取り扱うことができませんでした。

しかし、コンピュータが発達し、IoTやAIといった新しい技術が開発されたことで、以前よりも格段に効率的なデータの収集・分析が可能になりました。IoTとは、センサーやカメラが搭載されているIoTデバイスを利用して、モノをインターネットに接続する技術のことです。これによって、遠隔地からモノの動きや状態に関するデータを収集することが可能になります。

また近年は、インターネット上にあるデータを自動的に収集する「Webスクレイピング」という技術も登場し、大量のデータの中から分析に必要な特定のデータだけを抽出できるようになっています。

さらにデータ連携ツールを活用すれば、部署ごとに別々の業務システムを利用している場合でもそれらのデータを統合できるため、社内に散らばっているデータを一元管理することが可能です。

データを収集する技術だけでなく、「データレイク」や「データウェアハウス(DWH)」といった大量のデータを蓄積・保管しておくための技術も飛躍的に進化し、膨大なデータをひとつのデータベース上で高速に処理できるようになりました。

こうして収集したデータの分析を助けてくれるのが、AIです。AIは、これまで人間が統計学を用いて行ってきたデータ分析を、より高速かつ正確に行うことを可能にします。数字や文章などの構造化データに加え、音声や動画・画像といった非構造化データも含めた、より多種多様なデータを分析できるのが特徴です。

このようなテクノロジーの進化によって、誰もが手軽にITを利用できる環境が整ったことにより、企業でもビッグデータを経営の意思決定に活用する動きが高まっています。

消費者行動の多様化

インターネットの普及により消費者の購買行動やニーズが多様化したことも、データドリブン経営への注目度が高まっている理由のひとつです。

顧客が商品の存在を認知してから購買に至るまでの一連のプロセスは、従来に比べて複雑化しています。インターネットがない時代、顧客の購買行動は企業のテレビCMや新聞広告などマスメディア広告によって左右され、消費者の情報源は限定的なものでした。

しかし、インターネットが普及し、パソコンやスマートフォン、タブレットの利用が一般化したことで、消費者は自分の求めている情報を容易に入手できるようになりました。商品に関する情報は、もはや企業から消費者へ一方通行的に届けられるものではありません。現代の消費者は、興味のある商品を自ら検索し、ネット上の口コミやレビューをもとに、数ある選択肢の中からより自分の好みやニーズに合った商品を選ぶのが当たり前です。

この「口コミやレビューを見て商品を選ぶ」という行動の背景には、モノが溢れすぎた現代において「商品を選ぶのが面倒」「なるべく失敗したくない」といった心理が隠れています。品ぞろえが豊富であることは、消費者に多くの選択肢を提供する一方、「どれを選べばいいのかわからない」という悩みも同時に生み出します。そして、そうした消費者が抱える問題を解決するためには、一人ひとりの趣味・嗜好に合わせて商品やサービスを提供する、パーソナライズやカスタマイズといったニーズに応える必要があります。

また、SNSが普及し、企業だけでなく個人が大衆の行動に大きな影響を及ぼすようになったことも見過ごせません。消費者は、単に「商品が欲しい」という欲求に突き動かされるだけでなく、その商品を紹介している人物に共感することで購買に至るケースが増えています。

そもそも、モノを所有したり購入したりすることに対する価値観も、時代とともに大きく変化しました。近年は市場の成熟化によって「モノが売れない時代」といわれており、所有するよりも「その時々に応じていろいろな商品・サービスを利用したい」というニーズが高まっています。シェアリングサービスやサブスクリプションサービスの市場拡大が、その最たる例です。

このように、時代とともに大きく変化する消費者の購買行動を捉えるには、消費者のニーズを把握するためのデータ収集が不可欠です。

データドリブン経営のメリット

データドリブン経営には、主に「迅速に精度の高い意思決定ができる」「顧客ニーズの理解ができる」といったメリットがあります。以下でそれぞれ解説します。

迅速に精度の高い意思決定ができる

データに基づいて判断することで、なるべく主観を排除し、客観性を保った精度の高い意思決定が可能になります。

現代はITテクノロジーの急激な進化や、異業種の新規参入による企業間競争の加速など、企業が将来の見通しを立てるのが難しい時代です。既存のビジネスモデルを破壊するような革新的なイノベーションは「ディスラプション」と呼ばれ、小さなベンチャー企業の発明が既存の製品や技術に取って代わり、あっという間に大企業が現在のシェアを奪われる、という事態が現実に起こり得ます。

また、新型コロナウイルスのような感染症の流行や、台風・地震といった自然災害など、予測できない異常事態が発生することもあり、現時点でビジネスが安泰だからといっても、それがいつ崩壊してもおかしくありません。

このように、変化が激しく先行きの不透明な社会情勢は、「変動性(Volatility)」「不確実性(Uncertainty)」「複雑性(Complexity)」「曖昧性(Ambiguity)」の頭文字を取って「VUCA(ブーカ)」と称されています。VUCAの時代において企業が生き残るためには、時代や市場の変化の兆しを正確に読み、迅速な経営判断を下していくことが欠かせません。

そこで重要になるのがデータです。これまでの経験や勘に頼ったKKD経営では、未知の問題に遭遇した際に対処ができず、やがて市場から淘汰されていく可能性があります。

それに対し、データドリブン経営ではデータに基づいて議論や意思決定を行うため、経験や勘、思い込みなどの主観要素を排除し、より客観的で事実に基づいた判断を下すことが可能です。

ここで扱われるデータには、顧客情報や売上データ、Web上での行動を解析したデータなど、さまざまなデータが含まれます。それらを多面的に分析することで、より費用対効果の高い戦略を立てることが可能になり、その分だけ売上アップや利益率の改善につなげやすくなります。

顧客ニーズの理解ができる

顧客によりよい商品・サービスを届けるためには、顧客ニーズに応える必要があります。データドリブン経営では、蓄積されたデータをもとに分析を行うため、顧客が何を求めているかを把握できます。顧客ニーズを深く理解できれば、自社の商品やサービスの改善に役立てることも可能です。

ちなみに、「ニーズ(Needs)」という言葉をそのまま訳すと「需要」「要求」といった意味になりますが、マーケティングの世界においては、理想と現実の間に生じているギャップを解消したいと思う欲求のことを指します。

ひとつ例を挙げると、「日傘が欲しい」と思っている消費者にとって、日傘とはあくまでもギャップを解消するための手段でしかありません。「なぜ日傘が欲しいのか」という理由こそが消費者ニーズの本質です。そこには「日焼けをしたくない」「肌のシミが気になる」「熱中症を防ぎたい」などさまざまな理由があり、それを把握することにマーケティングの狙いがあります。

データドリブン経営では、SNSを参考にしたソーシャルリスニングや、Web上での閲覧履歴、顧客アンケートなど、さまざまなデータを駆使して顧客ニーズを探ります。先ほどの日傘の例でいえば、「暑さ対策として日傘を探している消費者」に対しては遮光率や遮熱効果が高いものを、「紫外線対策が目的の消費者」に対してはUVカット率が高いものを提案することで、購入につながる可能性を高められるでしょう。

また、顧客の本質的なニーズを満たす商品を併せて提案することで、クロスセルも期待できます。たとえば、日傘と一緒に日焼け止めやシミ対策の美容液、熱中症対策グッズなども勧めてみる、といった具合です。

顧客ニーズを正確に把握できれば、提案の幅が広がるだけでなく商品開発にも活かせるため、売上アップにもつながります。

データドリブン経営に必要な基本要素

データドリブン経営はデータ活用を前提としているため、データを収集・蓄積・分析・可視化するための基盤整備をする必要があります。システム面での整備だけでなく、データを活用する文化を社内に根付かせるための取り組みも重要です。データドリブン経営に必要な基本要素としては、主に「データ蓄積プラットフォームの構築」「データ分析ツールの導入」「データ活用に向けた社内環境の醸成」の3つが挙げられます。以下でそれぞれを詳しく解説します。

データ収集プラットフォームの構築

データを活用するためには、さまざまな情報源からデータを収集し、蓄積するためのプラットフォームの構築が欠かせません。とはいえ、企業が扱うデータは多岐にわたり、収集経路もさまざまです。

たとえば、Web上のデータであればWebスクレイピングツールを活用することで、プログラミングのような専門知識がなくとも簡単に自動収集できます。しかし、より多くのデータを集めたいのであれば、アクセス解析ツールや各種の業務システムなどからもデータを収集する仕組みを構築する必要があります。

収集したデータは、あとで活用できるように一箇所に保管しておきます。データを保管しておくためのツールとしては、データレイクやデータウェアハウスが利用されます。

データレイクとは、データの形式にかかわらず、あらゆるデータを蓄積しておくためのリポジトリ(収納庫)です。ここには、CSVデータのように構造化されたデータだけでなく、構造化されていないテキストや音声、画像、動画といったデータもそのままの状態で蓄積していきます。

データレイクに蓄積された膨大なデータは、形式が揃っていないため、そのままでは分析に使うことができません。そこで、分析ツールで処理できる形式に加工する必要があります。

データの加工には、ETLツールを用いるのが一般的です。基幹システムやクラウドサービスなどから収集した膨大な量のデータを、自動で分析に適した形式に変換・加工してくれるため、Excelなどを使って手作業で加工する手間を省けます。

データレイクから取り出して加工したデータは、データウェアハウスというシステムに格納しておきます。データウェアハウスには形式化されたデータを時系列やサブジェクトごとに整理しておけるので、取り出してすぐ分析に活用することが可能です。ここまでが、データを収集して分析するまでの準備プロセスです。

データ分析ツールの導入

収集・加工したデータは、BIツールというデータ分析のためのツールを用いて可視化していきます。データのボリュームが小さい場合は、Excelなどの表計算ソフトを使って手作業で分析することも可能です。しかし、ビッグデータのような膨大なデータの場合、人間が全体を把握することは難しく、それを手作業で分析するのは非効率かつ無謀です。

「Microsoft Power BI」や「Tableau」などに代表されるBIツールは、さまざまなデータを蓄積して分析し、経営の意思決定を支援するためのツールです。データアナリティクスのような高度な専門知識がなくともデータ分析を行えるのがメリットで、分析結果から自社のマーケティング戦略を見直したり、商品・サービスの改善に活かしたりすることにも役立ちます。

BIツールでは、顧客の属性や売上データなどの複数のデータを多角的に分析し、さらにひとつのデータを複数の視点から分析することも可能です。たとえば、売上データを地域別・年度別・商品別などで確認するといったことも、再集計や形式の変更なく、設定ひとつで簡単に行えます。複数のデータの因果関係を明らかにして、不確実な要素を排除できるので、精度の高い分析と未来予測が可能です。

BIツールは基幹システムやSNS、クラウドサービスなど、幅広い種類のデータソースに連携できるのも特徴です。AIによる自動分析も可能で、分析結果はスマホやタブレットから確認できるほか、多くの製品は自動でレポートを作成する機能も備えています。プログラミングの知識がない人でも直感的に操作できるよう設計されており、マウス操作だけでわかりやすいグラフやチャートをつくれるのも便利です。

データ活用に向けた社内環境の醸成

データ活用を行う準備として、システム基盤を整備するだけでは不十分です。企業全体でデータを活用していこうという社内の文化を醸成し、従業員にデータの重要性やデータの加工・処理方法、各システムの使い方などを理解してもらうための教育や研修も同時に必要になります。

過去の成功体験にとらわれる傾向が強い縦割り構造の企業や、経営陣のデータリテラシーが低い企業では、データドリブンの文化を根付かせるのに苦労するかもしれません。その場合には、特定の部署など一部領域からデータドリブンの活動をスモールスタートし、少しずつ実績を積み重ねて徐々に社内全体へと広げていくのがおすすめです。

データの重要性を従業員に理解してもらうことは、正確な分析結果を得るうえでも意味があります。現場で入力されるデータが間違っていると、データの品質が低下し、それをもとにした分析の結果も実態に即さないものとなってしまうためです。

また、従業員のデータリテラシーの習熟度は、年齢や職種によって差があるのが普通です。全員が分析ツールを使いこなせる状態になるまではハードルが高くても、データドリブン経営を実現させるためには最低限、誰もが必要な情報に自力でたどり着ける程度のリテラシーは必要です。それぞれの習熟段階に応じてスキル教育を行い、社内全体でのデータリテラシーを高めていくとよいでしょう。

データドリブン経営の進め方

非構造化データを活用し経営的な意思決定を実施するまでの、データドリブン経営プロセスのポイントを紹介します。

DX時代に必要なデータドリブン経営とは?メリットや進め方、事例を解説

データの収集

最初のステップとして、データ収集を行います。具体的には、IoT・RPA・AIなどの活用で蓄積された散らばったビッグデータを、各部門のシステムやIoT、インターネットなど外部サービスから収集します。

この段階では、データの取捨選択はあまり行わず、事業に関係ありそうなデータを幅広く収集します。まったく関係ない情報まで拾っているとキリがないので、ある程度の取捨選択は行いますが、この段階で絞りすぎると選択肢が狭まります。

データの可視化

集めたデータを可視化する作業を行います。次のステップのデータ分析のために可視化するので、集計数値やグラフなどにできるとよりよいです。Excelなどを使用し、半手動で可視化している企業もありますが、ツールを導入して自動で可視化している企業も増えています。

ツールを活用した場合、データを集めれば自動的に可視化されるので利便性が高く、また人為的なミスを防げます。

データの分析

以前から企業経営においてデータ分析は重要視されていましたが、DX化が推進され始めてからは、よりデータ分析の重要性が高まりました。その理由は、価値観が多様化しているために企業の選択肢が増えたことと、データ分析の技術が上がっていることです。

データ分析の技術が上がっているということは、その分、競合企業がデータ分析に力を入れ、合理的な選択を取るということになります。競合企業がデータ分析に力を入れる中、自社だけデータ分析を行わないようでは、市場で不利な立場になることは避けられません。

もはや企業が勝ち続けるためには、ツールによる効率的なデータ分析が不可欠な時代となっています。流れとしては、データサイエンティスト(専門家)がデータを分析し、バラバラに存在するデータの関連性を分析したのち、傾向を導き出します。

データサイエンティストとは、ビッグデータを分析し、その結果をもとにビジネス視点での改善策を立案する専門家です。

意思決定の実行

意思決定の実行プロセスでは、分析結果から導き出された知見をもとに、経営の施策・方向性を決定します。意思決定のプロセスは、完全に自動化することはできません。最終的には人間が意思決定することになりますが、前提となるデータは機械的に収集・分析するのが、データドリブン経営の考え方です。

データドリブン経営に役立つツール

データの収集・分析や、データ加工に伴うデータの可視化の作業は時間がかかってしまうため、支援ツールの導入が有効です。具体的には、下記のツールが挙げられます。

  • DMP
  • MA
  • SFA
  • CRM

以下、それぞれ詳しく解説していきます。

DMP(データマネジメントプラットフォーム)

DMP(データマネジメントプラットフォーム)とは、インターネット上にあるさまざまなデータを一元管理・分析・最適化するためのプラットフォームです。インターネット上にあるデータを収集するだけのツールというわけではなく、自社データと外部データを統合できるという点に特徴があります。

MA(マーケティングオートメーション)

MA(マーケティングオートメーション)とは、顧客情報を収集し、そこからマーケティングをサポートするツールです。最適な営業タイミングや方法の提案なども行います。MAには、自社サイトにアクセスしたユーザー情報をリスト化し、顧客の育成を行う機能があります。

顧客の育成は、適切なタイミングで適切な情報を自動配信することで行います。顧客の情報を数値化し、最適な営業活動につなげることが可能です。随時情報をフィードバックし、次の営業活動に活用します。

SFA(セールスフォースオートメーション)

SFA(セールスフォースオートメーション)とは、営業担当者の作業を自動化・効率化するためのツールです。MAは営業活動そのものを行うツールでしたが、SFAはデータの管理からメンバー間の共有、顧客対応などをサポートする機能を持ちます。

細かく売上情報を把握する機能があり、具体的には会社全体や部署別、顧客別、商材別といったセグメントに分かれます。売上とコストを対比しながら分析できるので、利益拡大に貢献します。

CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)

CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)とは、顧客情報を管理しつつ、顧客との関係性を深めていくためのツールです。最終的には売上に貢献します。CRMはデータの収集から加工までを行うツールですが、有効活用することでマーケティングに役立ちます。

顧客ごとのニーズを分析するうえでも役立つので、顧客ごとにどのようにアプローチするのが最適かを判断することが可能です。

データドリブン経営のポイントと注意点

ツール以外で、データドリブン経営を推し進めるためのポイントを紹介します。

企業組織全体での理解

企業組織全体での理解とは、組織におけるサイロ化を解消し、組織横断的な取り組みにするということです。データドリブン経営を成功させるためには、各部門間で情報を共有し、足並みをそろえる必要があります。

せっかく経営に重要なデータを集めて方針が明確になっていても、部門間での情報共有に時間がかかっていると、ビジネスチャンスを逃す可能性が高くなります。また、情報共有がスムーズに行われないとトラブルを誘発したり、業務効率を損ねたりするため、企業組織全体でデータドリブン経営を理解し、情報共有を効率化する必要があります。

データの分析・活用スキルを持った人材の確保

データドリブン経営においては、収集・分析したデータをもとに最適なアクションを立案・実行することが重要です。そのためには、ツールを導入するだけでなく、専門的な知識やスキルを持った人材を確保する必要があります。具体的には、以下のような人材が挙げられます。

  • 経営視点から改善策を提案できる人材
  • ITツールに精通した人材
  • 統計学の知識やマーケティングスキル、論理的思考力を有する人材

これらの人材を確保することで、ツールによって収集したデータを有効活用できます。

データドリブン経営の成功事例

最後に、データドリブン経営で成功を収めた企業事例を紹介します。

「モダンなコーポレート」を掲げてバックオフィス業務への投資を強化し、財務会計システムの刷新に取り組んでいるのがヤフーです。同社は、企業買収やグループの再編を経たことで業務の可視化が難しくなり、同じ業務プロセスが重複して行われるような状況にありました。加えて、各事業やサービスなど、それぞれ個別の部門で最適化されたシステムが構築されていたため、データの連携が難しいという課題も抱えていました。

そこで同社は、「Oracle Fusion Cloud ERP」を導入してコーポレート機能を標準化・集約化し、情報共有の円滑化を図ることで、激しい市場の変化に対応できる体制を整えました。

「Oracle Fusion Cloud ERP」に代表されるERPシステムは、部署や部門ごとに分断されたシステムを統合し、部門横断的な情報共有や業務連携の実現をサポートします。データドリブン経営への移行を考えている企業は、ヤフーの成功事例を参考に、ぜひERPシステムの活用を検討してみてください。
参照元:https://www.oracle.com/jp/erp/

まとめ

データドリブン経営とは、経験や勘といった主観を極力排除し、さまざまなデータを多角的に分析して得られた結果をもとに、経営戦略の意思決定を行うプロセスです。未来の予測が難しい不安定な社会情勢にあって、昨今はデータドリブン経営の重要性が増しています。また、消費者の購買行動が複雑化・多様化する中、従来のような経験や勘に頼った判断では、もはや顧客ニーズを正しく捉えることはできません。

データドリブン経営を行っている企業は、そうでない企業に比べて意思決定のスピードが速く、より精度の高い経営判断が可能になるメリットがあります。それは反対に、データドリブン経営を行っていない企業は時代や顧客ニーズの変化についていけず、淘汰されやすくなることも意味しています。

データドリブン経営の実現には、データ収集基盤の整備と分析ツールの活用、そしてスムーズな情報共有が行える体制の構築が欠かせません。

Oracleが提供する「Oracle Fusion Cloud ERP」は、財務会計を中心に調達・物流・生産といった、企業内のあらゆるデータや業務プロセスの統合・一元管理を可能にするソリューションです。データの統合・収集・分析・管理を総合的にサポートし、企業のDX推進を後押しします。自社のDX推進およびデータドリブン経営の実現を目指している方は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
参照元:https://www.oracle.com/jp/erp/

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