販売管理システムは主に小売業/卸売業、製造業において必要になってくる基幹業務システムですが、どんな機能を提供しているのか少々分かりづらい部分がありますね。
理由としては、他システムより比較的に多くのサブシステムが集合し販売管理システムを形成しているからです。
今後導入を予定している企業や開発を任されているシステムエンジニアの方は、まず販売管理システムについて知る必要があるでしょう。
そこで今回は、そもそも販売管理とは?から始まり、販売管理システムが持つ多くのサブシステムなど販売管理システムに関するアレコレについて解説していきます。
販売管理システムとは
ひとことで"販売管理”と言えばなんとなく理解したような気にもなりますが、そもそも何を管理するためのものなのでしょうか?
販売管理とは以下のような管理を指します。
- 何を(What):どんな製品を売るのか?
- 誰に(Who):誰(消費者or企業)に売るのか?
- いつ(When):納期はいつまでなのか?
- どのくらい(How many):販売量はどれくらいか?
- いくらで(How much):単価、総額はいくらか?
さらに以下のような項目も販売管理の分野となります。
売掛金(売った製品の代金)はいつ支払われるか?
買掛金(仕入れた製品の代金)はいつ支払うのか?
つまり販売管理とは、企業が売上げを上げるための直接的な活動を管理するための領域ということになります。
そして販売管理システムには上記の項目を体現するため、受注管理/発注管理/入出荷管理/在庫管理/債権管理といったサブシステムが集合しているのです。
受注管理
受注管理は顧客との取引を記録するためのシステムであり、販売管理に必要な項目のほとんどをここに記録します。
ですので受注管理データの正確性が最重要であり、受注段階でミスが発生していると後々のコスト増や顧客からの信頼損失にも繋がりかねないので注意が必要です。
システム選定や開発のポイントとしては、多機能で複雑化されたシステムではなくシンプルで視認性のよいUI(ユーザーインターフェース)に着目することでしょう。
顧客との取引情報を細部まで記録するシステムでただでさえ煩雑化しやすいので、できる限り使いやすいシステムを選ぶことが大切です。
発注管理
製品を顧客へ販売するためには、原材料を仕入れたり製品そものもを仕入れる必要があります。
これを管理するのが発注管理であり、管理項目としては受注管理と類似している部分が多いでしょう。
受注管理が何を/誰に/いつ/どのくらい/いくらでなら、発注管理は何を/"誰から"/いつ/どのくらい/いくらでを管理するためのものです。
原材料や製品の仕入れが遅れるとその分、顧客への納品が遅れることになるので、受注管理同様にかなり重要な管理システムです。
入出荷管理
受注管理、発注管理とくれば次は製品や原材料の入出荷管理が必要になります。
発注した原材料または製品は仕入先から正常に納品されたか?品質は悪くないか?などを管理するのが入荷管理。
そして受注されていた製品の納期や納品数に間違いはないか?正しく出荷されたか?を管理するのが出荷管理です。
債権管理
債権管理とは先に紹介した「売掛金(売った製品の代金)はいつ支払われるか?」「買掛金(仕入れた製品の代金)はいつ支払うのか?」を管理するためのシステムです。
企業の収支を管理するためには欠かせないシステムであり、会計システムとの連携性が重要となります。
また、売掛金や買掛金に支払いが遅延している場合はアラートし、早急に請求書を発行したり支払いを済ませるよう促す機能が必要です。
以上4つのサブシステムから成るのが販売管理システムであり、それぞれのサブシステムはインタラクティブに連携していることが大前提です。
販売管理システムにもクラウド化の波
皆さんは"クラウド"という言葉をご存知でしょうか?
既に一般化されている言葉でもあるのでご存知の方が多いと思いますが、クラウドとは2006年米国で開催された「サーチエンジング戦略会議」にて当時のGoogleのCEO(最高経営責任者)であるエリック・シュミット氏の発言が発端とされています。
"ふわふわと実体のないインターネット上の世界”を表した言葉ですが、現在ではインターネット経由で利用するシステムやサービスを総称してクラウドと呼びます。
そして近年では数々のシステムがクラウド化していますが、販売管理にもクラウド化の波が押し寄せているのです。
クラウド販売管理システムのメリット
クラウド販売管理システムの最も大きなメリットとして挙げられるのが"コスト削減"と"運用業務負担の軽減"です。
まずインターネット経由で利用するという特性上、システムを利用するにあたり必要なものはインターネット環境とPCのみです。
これまで必要とされていたサーバ環境などは一切必要ありません。
従来のオンプレミスではサーバ調達からパッケージ購入、インストールなどを踏まえると導入だけで数百万円のコストがかかるのはザラであり、場合によっては数千万円の導入コストがかかることもあります。
一方クラウド販売管理システムでは初期費用無料~数万円程度で導入することができ、また迅速性があることからも導入コストを大幅にカットしています。
また、オンプレミスであればサーバの運用業務が必要不可欠であり、情報システムの負担となっているケースが少なくありません。
しかしクラウド販売管理システムではベンダーが保有するサーバ上でシステムが稼働しているので、ユーザー企業はサーバ運用にノータッチでシステムを利用することができるのです。
つまり情報システムは負担の大きい運用業務から解放され、それ以外の業務やIT戦略により注力することができるようになります。
運用業務が必要ないということで、そこにかかる人件費の削減にもなるのでランニングコストの削減につながるケースもあるのです。
クラウド販売管理システムのデメリット
メリットがあれば当然デメリットもあります。
クラウド販売管理システムのデメリットは"オフライン環境下で利用できないこと" と "セキュリティに対する不安"でしょう。
インターネット経由で利用するシステムということは、裏を返せばオフラン環境下では利用できないことを意味します。
ですので、ユーザー企業としてはこれまで以上にインフラに注意する必要がありますね。
またクラウド販売管理システムでは販売管理データをクラウドサーバ上に保管することになるので、いわば自社データを社外に保管することになります。
ユーザー企業としてはセキュリティに対する不安は否定できないでしょう。
しかしほとんどの場合、データを自社管理するよりも堅牢であると言えます。
サイバー攻撃に対するセキュリティ対策はもちろんのこと、サーバ障害が発生した際のバックアップなど各ベンダーセキュリティには十分気を配っているので安心して利用できます。
企業によってはセキュリティポリシーで自社データを社外に保管できないケースもあるので、その点には注意が必要ですね。
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販売管理システムを含めた基幹系システムを統合したクラウドERP
販売管理システムの基本的な機能、そしてクラウド販売管理システムについて解説したところで、最後にクラウドERPについて解説します。
クラウドERPとは、ERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹業務システム)とういシステムをクラウドで提供する製品です。
つまり販売管理システムを含め会計システムや在庫管理システム、顧客管理システムなど企業経営に必要な基幹業務システムを一気通貫で提供しています。
クラウドERPを利用するメリットとしては、従来点在していた企業データを統合管理することにより、経営戦略と意思決定の迅速性を高めることです。
これまでは販売管理データは販売管理システムに、会計データは会計システムにとそれぞれのシステムにデータが点在している状態でした。
経営戦略策定のために複数のデータを確認しようにも、まずはそれぞれのシステムからデータを抽出/加工/分析をしてレポートを上げてもらう必要がありましたね。
しかしこれでは迅速な意思決定はままならず、市場競争激しい現代ビジネスにおいて後手に回る原因にもなります。
そこで全ての基幹業務システムが統合されたクラウドERPなら、あらゆるデータを一つのダッシュボードで確認することができ、必要なときに必要なデータをすぐに可視化することが可能です。
もちろん、これ以外にも顧客満足度の向上や部門間の連携強化など様々なメリットがあります。
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まとめ
いかがでしょうか?今回は販売管理システムの基礎からクラウド販売管理システム、クラウドERPの解説までを行いました。
販売管理システムは多くのサブシステムから形成されているものなので、煩雑化してしまいやすいシステムの一つでもあります。
このためシンプルなUIや使いやすさを追求することが導入成功の秘訣と言えるでしょう。
また、販売管理システムは在庫管理システムや会計システムなど、数多くの基幹業務システムの連携が取れていなければならないハブ的システムでもあります。
ですので他システムとの親和性に関しても重視しておきたい項目の一つですね。
こういった点に関してはやはりクラウドERPの特徴が大きなメリットになるでしょう。
そもそも多数のシステムを包括的に提供しているので、システム同士のドッグやマスターデータの整備なども必要ありません。
つまり、導入するだけでインタラクティブかつ強い連携の取れたシステムの構築が完了するということですね。
もちろん運用次第で失敗もあり得るので十分に注意は必要です。
今後、販売管理システムの導入を検討している企業ではクラウドERPがあることも頭にいれておくと選択肢の幅が広がるでしょう。
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