インダストリアルインターネット(Industrial Internet)とは直訳すると「産業のインターネット」ですが、「産業のインターネット化」と解釈するとその意味がグッと解りやすくなります。
ドイツでは「ドイツ流製造業を世界標準にする」というコンセプトのもと第四の産業革命であり「インダストリー4.0」を推進しています。インダストリアルインターネットは、インダストリー4.0が対象とする製造業だけでなく、エネルギー・ヘルスケア・公共・運輸を含む5つの産業を対象としています。
本稿ではインダストリアルインターネットの概要と、その狙いについてご紹介します。
インダストリアルインターネットとは?
冒頭でも説明した通りインダストリアルインターネットとは、5つの産業を対象とした産業革命のようなものです。これを推進するのはインダストリアルインターネットコンソーシアム(Industrial Internet Consortium)であり、ゼネラル・エレクトリック社、インテル社、シスコシステムズ社、IBM社、AT&T社の5社によって設立されました。参加企業は既に100社を超えており、米国のみならず日本企業や欧州企業など幅広い分野の企業が参画しています。
ゼネラル・エレクトリック社は世界最大の複合会社であり、コンソーシアムの中心に存在しています。同社はエネルギー、航空、家電、医療、金融などの複合事業を展開しており、「ハードウェア(機械)とソフトウェア(情報)を融合する新しい産業革命の実現」としてインダストリアルインターネットを掲げています。
噛み砕いて説明すれば従来IoTを使った取り組みを複数産業で実現しようというもので、そこにはやはりIoT(Internet of Things)が使われています。
IoTとは?
IoTとはインターネットや特定のネットワークに接続されたモノのことです。たとえば皆さんが普段使用しているスマートフォンもIoTの一種です。他にもインターネットに接続された家電や時計など、IoTは様々な製品化がされています。
なぜモノとインターネットを接続するのか?それはこれまでになかった革新的なサービスや機能が利用できるようになることで、ユーザーの利便性が向上するというメリットがあるからです。
たとえば冷蔵庫とインターネットが接続されていたら、付属のモニターからすぐに買い物をしたり、庫内の状態をスキャンしてメールにて通知をしてくれたりします。このように革新的なサービスや機能を実装することで商品品質が上がり、顧客満足度も上がります。
ちなみにインダストリアルインターネットではIoTという言い方はせず、Cyber Physical System(サイバー・フィジカル・システム)と言われています。IoTよりも総合的なシステム(構造)を視野に入れてのことでしょう。
インダストリアルインターネットの狙い
では、インダストリアルインターネットを実現するとどんなメリットがあるのでしょうか?
コスト削減と効率化
稼働している機械や設備、ハードウェアにセンサーを取り付けてそのデータを管理することで、それぞれの状態を常に監視することができます。稼働状況を細かく分析すれば無駄な稼働を減らすことができ、少ない稼働で最大限のパフォーマンスを発揮するようになります。無駄な稼働が減ればコスト削減や効率化に繋がるでしょう。
機械を最新の状態に保つ
機械や設備などは使用回数の経年によって劣化するものですが、できる限り長く使い続けることがROI(投資対効果)を高めます。そのためには機械や設備は常に最新の状態を保っている必要があり、インダストリアルインターネットはそのためにも用いられています。センサーを取り付けて管理することで部品交換時期を予測したり、故障やトラブルの予兆を感じ取ることでこれを未然に防ぐことが簡単です。
ソフトウェアをすぐに更新する
機械や設備とインターネットが接続されていると、機械や設備に組み込まれたソフトウェアを常に最新の状態として維持できます。さらに、すべての機械や設備に組み込まれているソフトウェアを入れ替えたり、必要に応じてソフトウェアのカスタマイズも可能です。
新しい価値を創出する
インダストリアルインターネットによって変化した管理環境において、それをサービスとして提供するという事例も増えています。たとえばレンタル建機にセンサーを取り付け、稼働状況に応じた適正料金をいただいたり、センサーから受信するデータをもとに予知保全を展開してそれをサービスとして提供することも可能です。
以上のように、インダストリアルインターネットを実現することで様々なメリットがあり、今後多数の産業や企業において爆発的に増加していくものと考えられます。
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インダストリアルインターネットの実現に必要なものとは?
デジタル化が進んでいる社会とはいえ、インダストリアルインターネットにも欠かせない要素があり、その要素が揃っていないと実現は不可能です。それが「ビッグデータ」と「ERP(Enterprise Resource Planning)」です。
ビッグデータは2014年頃からの注目ワードで、知らない人はいないというほどに浸透しました。簡単に説明すれば「大量、かつ種類が豊富、かつ入出力が高速」なデータのことです。そうしたデータを分析することでビジネスに新しい知識を発見し、それを活用することで顧客満足度を向上したり、画期的なサービスを提供できるようになります。
一方ERPとは統合的な業務アプリケーション環境を構築するためのIT製品です。基幹系システムと情報系システムを統合し、データ統合を図ることで様々なことが効率化されます。従来のITシステム環境というのは分断的なのが当たり前でしたが、ERPによってそれを統合することでより良いビジネスとサービスを展開できます。
この2つがインダストリアルインターネットに欠かせない要素です。ビッグデータはデータ分析のために必ず必要な情報ですし、ERPはそのビッグデータを収集したり統合するために欠かせません。
これらの2つの要素が合わさったとき、インダストリアルインターネットを実現するためのスタート地点に立ちます。
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Oracle ERP Cloudでインダストリアルインターネット
数あるERPソリューションの中でもOracle ERP Cloudはインダストリアルインターネットを目指す企業におすすめの製品です。オラクルは長年にわたりオンプレミス環境でのERPシステムの提供を行い、グローバルに展開する大規模な組織のお客様にも数多く利用していただいています。そしてこの実績豊富なオラクルのERPソフトウェアをクラウドサービスで提供することにより、より拡張性が高く柔軟な環境でご利用いただくことが可能になります。
クラウドサービスで提供されるので、ERPを導入するにあたって特別なインフラ環境は不要です。Oracle ERP Cloudを使用するための端末とインターネット環境さえあれば、すぐにでもERPを導入できます。
また、Oracle ERP Cloudはクラウドサービスなので運用面でも担当者の負担を大きく軽減し、統合的な業務アプリケーションを少ない負担で構築することが可能です。そんなOracle ERP Cloudは次のようなモジュールを持っています。
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- サプライチェーン管理
- リスク・コンプライアンス管理
- プロジェクトポートフォリオ管理
- プロダクトライフサイクル管理(PLM)
- 予算管理
- 統合業績管理(EPM) その他 多数
参考記事:サプライチェーンとは?5つのポイントで理解する物流の話
インダストリアルインターネットの実現を目指す際は、ぜひOracle ERP Cloudをご検討ください。
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