受注管理システム、生産管理システムなど各基幹系システムを包括的に提供し、日々生成されるデータを情報資産として統合・可視化・活用が可能なクラウドERP。
しかし「なぜ現在クラウドERPが注目されているのか?」「クラウドERP導入でどんな効果があるのか?」を知る方は多くありません。
ERP(Enterprise Resouce Planning:統合基幹業務システム)という製品自体は国内でも2000年頃から普及が広まりましたが、クラウドERPの導入が進み始めたのはここ最近のことです。
まだまだ若い市場であるからこそ、注目の理由や導入効果が未知数というのも仕方のないことなのかもしれません。
そこで今回はクラウドERPの注目理由や導入効果を理解して頂くために、世界No.1クラウドERPである「NetSuite(ネットスイート)」の導入事例をまとめてみました。
1.株式会社プリアップ
会社概要
事業内容:eコマースへの総合卸・小売業務並びに輸出入業
従業員数:14名
株式会社プリアップは国内では珍しいeコマース専門の中間流通会社として設立されました。
抱えていた課題
主な販売プラットフォームとしている大手eコマースAmazonでは、Amazon自身が販売元となっている商品とAmazonマーケットプレイス(Amazon以外の出品者)が販売する商品の2種類があります。
しかし消費者としては安心感を求めることからAmazonが直接販売する商品を購入する傾向にあり、AmazonマーケットプレイスとAmazonの間には埋められない“ギャップ”が存在していました。
同社はこの”ギャップ”に着目し上手く転換すれば一つのビジネスとして確立できるのではないかと考えましたが、「eコマースの卸問屋」はシンプルに見えて実際は多くの課題を抱えていました。
中でも最も大きな課題だったのは、多品種かつ膨大な商品を前に「いかにコスト効率良く、的確な商品管理システムを構築するか?」でした。
導入のポイント
同社の代表である明永氏は米国で10年以上の起業経験があり、当時から現地ベンチャー企業の多くがクラウドERPである「NetSuite」を導入しているという情報をキャッチしていました。
そこで明永氏の会社でも既存のオンプレミスERPからクラウドERPである「NetSuite」へリプレースしましたが、このときクラウドへの移行はそれなりの時間がかかると実感したそうです。
そこで、国内にて株式会社プリアップを設立した際は最初からクラウドERP「NetSuite」の導入を検討していました。
また、「Amazon」と「NetSuite」という2つのクラウドを掛け合わせることで、コスト効率を最大限に高めつつ膨大な商品数管理を可能にすると確信していたようです。
導入後の効果
結果から言うと、同社は「NetSuite」の導入で出荷ミス率を0.01%以下に抑えることができるようになりました。
これは1万個の商品を出荷して1個の発送ミスが起こる程度のもので、eコマース業としては理想的な数字と言えます。
この数字を実現するために同社が取り組んだことは、クラウドERP「NetSuite」と連携したiPadアプリを開発することでした。
専用端末ではなくiPadという汎用的な端末を活用することで、初めて触れる従業員も簡単に使い方を覚え、将来的な作業員増加にも容易に対応できます。
すべての受発注データと商品マスターを一元的に管理かつリアルタイムに可視化できるクラウドERPだからこそ実現できたシステムです。
参考:http://www.netsuite.co.jp/customer-testimonials/preapp.shtml
2.トムソン・ロイター・プロフェッショナル株式会社
事業内容:特許、医薬、学術文献に関する専門情報のデータベース提供
従業員数:60,000名(Thomson Reutersグループ全体)
世界的な報道機関として企業や専門家に高度な情報提供を展開するThomson Reuters社の日本法人。
抱えていた課題
同社では国内の企業・機関を主な顧客として情報提供を行っていましたが、近年海外企業との取引が盛んに行われていました。
もともと導入していたパッケージ型の販売管理ソフトでは海外対応がままならず、新たにCRMシステムを導入。
しかし導入したCRMシステムは過去のデータを保管することができず、売上げ分析ができない状態に。
そこで2つのシステムを保管するために顧客データベースシステムを導入したものの、3つのシステムの親和性がなく手作業でデータ移行を行っていました。
違う目的を持った3つのシステムの運用は負担が大きく、さらに他言語・他通貨に対応できないことからも現場の作業を煩雑化していたようです。
そして同社はこの問題を解決すべく、統合システムの導入検討を始めました。
導入のポイント
同社が統合システム導入にあたり重視した点は以下の4つです。
- 3つのシステムを統合し、膨大なマニュアル処理を解消できること
- 海外企業・機関との取引を円滑にするため多言語・多通貨に対応していること
- 内部システム監査で指摘された58の業務改善を解消できること
- コストを抑えて迅速な導入が可能であること
これらのポイントをクリアし、かつ同社の業務に合わせてフレキシブルに対応できるのがクラウドERP「NetSuite」であり、カスタマイズが可能であることも決め手の一つになったようです。
導入後の効果
こちらも結果から言うと、導入後、社員の残業時間が20~25%の削減に成功しました。
まず「NetSuite」の導入によりこれまで煩雑化していた3つのシステムは全て一つに統合され、膨大なマニュアル作業が一気に解消。
多言語・多通貨対応などもあり、取引業務がスムーズに運んだようです。
加えて、それまで月締めで対応していた売上げ処理に関しても、都度清算を取り入れることで月末に膨れ上がっていた売上げ処理業務を均一化することができ、現場の負担軽減に繋がりました。
また、柔軟性のあるカスタマイズが功を奏し、社内要望でカスタマイズを行う際もベンダーSEに相談することなく社内エンジニアで対応しているので、業務効率化に繋がっています。
参考:http://www.netsuite.co.jp/customer-testimonials/thomson.shtml
[SMART_CONTENT]
3.株式会社アイトー
事業内容:和洋食器の企画開発・卸売小売・輸出輸入、家庭用品・雑貨の小売及び 不動産賃貸業
従業員数:209名
株式会社アイトーは1949年創業の老舗食器卸売業者であり、古い伝統と商習慣を持つ業界でいち早くテクノロジーを取り入れた会社です。
抱えていた課題
創業から20年が経過した1969年、当時業界としては先進的なIT投資を推進しメインフレームでの基幹システム運用を開始。
同社は東西2つのエリアに分けた事業展開を行っており、東西合わせた基幹システムを取り巻くアプリケーションは400を超えていました。
そこで2007年頃から2年かけて東西のシステム統合を推進し、システムの一本化と削減を目指すことに。
しかし、システム統合が完了しようというところでネット通販事業という新たなビジネス展開を試みることになったのです。
ネット通販事業を開始した当初は目立った売り上げはなかったものの、リーマンショックから数年後になるとネット経由での売上げが毎月倍増。
これに伴いネット通販事業者から登録アイテム数増強の要請があり、毎月2,000点のアイテムを登録することが決定しました。
しかし当時の商品管理はエクセルで行われていたことから、将来的に数十万点に及ぶ商品管理が苦境に立たされると予測。
もともと6,000坪のオフィス兼物流センターを所持していることから、ビジネス拡大にチャンスがあると判断し、将来を見据えた統合システムの導入を検討し始めました。
導入のポイント
同社のネット通販事業は2014年末時点で登録アイテム数が1万点を超え、従来のエクセル管理はオンプレミスでのシステム開発が不可能と判断。
そこで同じネット通販事業を手掛けている取引会社からクラウドERP「NetSuite」の紹介を受けました。
取引先は「NetSuite」の受発注システムにiPadのアプリケーションを連動させ、これを受けた同社は「これならばITに精通していない現場の社員も使いこなせる」と考えました。
これをきっかけにクラウドERP「NetSuite」での受発注システム構築が必須であると考えたようです。
導入後の効果
同社が着目したのは「カスタムレコード」であり、これが業界特有の商品発送処理などに上手く適応しました。
マウス操作などで簡単にレコードを追加したり、レイアウトの変更も行えることから業務効率化に繋がり、わずか3ヵ月という期間でカットオーバーを迎えることができました。
参考:http://www.netsuite.co.jp/customer-testimonials/aito.shtml
[RELATED_POSTS]
まとめ
いかがでしょうか?今回紹介した3つの事例はいずれも中小企業のものであり、これまで「ERP=大企業が導入するシステム」という認識を取り払ってくれるのではないかと思います。
というのもやはり“クラウドで提供されていること”が大きく、サーバリソースの調達やシステム構築が不要なことで実現する導入の迅速性やコスト削減というメリットが受け入れられているのです。
そして世界No.1クラウドERPであり、現在もなお進化を続けている「NetSuite」は多くの中小企業のIT課題を解決するソリューションとして注目を集めています。
皆さんが現在抱えているIT課題とは何でしょうか?
その課題を解決できるのは、もしかすると「NetSuite」かもしれません。
- カテゴリ:
- ERP