基幹システムと業務システムの違いとは?ERPとの関係についても解説

 2018.11.12 

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現代ではITの進化とその活用が進み、企業における活動も多くの作業が効率化や自動化が進んでいます。 こうしたIT活用のメリットの一つは、ペーパーレスとなり地球に優しい企業活動を推進するだけでなく、データ化によって情報管理が容易になった点です。しかし、企業に導入されるシステムには「基幹システム」や「業務システム」があり、「ERP」という言葉もよく聞きます。ここではそれぞれの言葉の意味を理解し、どのような違いがあるのか見ていきます。

基幹システムとは

企業活動が発展するにつれてIT化が進み、在庫管理や生産管理、財務会計管理、サプライチェーン管理、購買管理など、それぞれの業務に専用のシステムが導入されるようになってきました。こうした「単純な繰り返し作業については、できるだけ人の手を使わないようにしよう」という流れによって、近代の企業が求めていた基幹システムが誕生したのです。基幹システムとは、企業活動の根本的な部分を支えるシステムで、さまざまな情報を管理しています。

基幹システムの例

基幹システムは、その名の通り経営の基幹を担うシステムの総称ですが、このような漠然とした説明では具体的にどのようなシステムを基幹システムと呼ぶのかわからない方もいらっしゃるかもしれません。そこで、現在広く使用されているシステムの中から、基幹システムに該当する代表的なシステムについて事例とともに紹介します。

基幹システムは会社の根幹を成す機能をシステム化したもので、在庫や仕入れの管理、販売、生産、会計、人事給与に関するシステムなどが該当します。例えば、製造業において在庫管理がずさんだとキャッシュフローの悪化や不良在庫の増加などの大きな損失を生む可能性があり、損失を抑えるためには在庫管理システムが必要不可欠です。 他にも、小売業などでは仕入れ管理システムが基幹システムに該当します。長期的な経営を可能にするため、過剰在庫を防いで適切な仕入れを行います。販売管理システムも生産から納品まで総合的に管理する基幹システムです。

会計管理も企業において必須の業務で、会計管理システムを導入することでさまざまな作業を効率化できます。場合によっては人が数時間かけて行う作業を数秒でできたりもします。基幹システムを上手に使いこなすことができれば、単調な作業の効率を大幅に改善できるでしょう。こうした会計管理システムは財務管理や経理管理とも呼ばれ、企業のお金のやり取りを把握することで企業の財務状況の明確化を図り、経営の意思決定にも関係してきます。また、企業によって人材は大切な資源となるものです。

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業務システムとは

システムの接頭にある「業務」と「基幹」という言葉からも分かるように、基幹システムの方が会社への影響力が高いと言えます。しかし、これらのシステムを完全に分離して考えることにそれほど重要性はありません。基幹システムと言っても業務に携わっていることに違いはなく、広義には業務システムであるという見方もできるからです。

あえてこれらを言い分ける場合は、基幹システム以外のものを業務システムとします。そのシステムが停止した場合に企業の機能面への影響があるかどうか、業務に致命的な影響があるかどうかなどで判断します。企業によってその基幹の考え方は異なるかもしれませんが、業務システムはある部門における特定の作業などを効率化させる仕組みを指します。

業務システムの例

業務システムは、ドキュメントを保持・整理する機能を持ったソフト等をイメージすると分かりやすいでしょう。ドキュメント管理などは、どの企業でも当たり前のように行われています。しかし、ドキュメント管理システムが停止したからと言って、会社としての機能に多大な影響を及ぼしてしまうという企業は少ないのではないでしょうか。そうした企業にとっては、ドキュメント管理システムは基幹システムではありません。

顧客管理システムも業務システムに該当します。顧客管理システムを導入すると業務の効率化は図られますが、顧客管理システムが停止したからと言って会社としての機能が損なわれる可能性は低いと言えます。そのため、顧客管理システムは業務システムではありません。 会社の中でチャットを使用して、仕事をする方もいるかもしれません。チャットは連絡に使うシステムですが、連絡が取れなくなったからと言って業務が滞るわけではありません。スマートフォンで名刺を管理している方も、そのデータがなくなったとしてもバックアップを取っていたり、紙媒体で管理していればすぐに復旧ができます。これらも基幹システムではないとイメージできると思います。

もし、これらの業務システムが停止した際に、企業の経営に多大な影響を及ぼすのであれば、それは基幹システムに該当します。通常の企業では業務システムと判断されるシステムも、企業によっては基幹システムと見なされている場合があります。

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ERPは基幹システムと業務システムが統合されたもの

ERP(統合基幹業務システム)とは、もともと海外で生まれた経営を効率化するための考え方を実現するためのソフトウェアのことで、生産管理の手法であったMRPを拡張して誕生しました。現在ではERPがシステムの名称として広く浸透しています。

ERPには例を挙げた在庫や仕入れの管理・生産・会計管理の基幹システムだけでなく、業務システムも搭載されています。統合基幹業務システムという訳は的を射ていて、基幹システムと業務システムを合わせたものという解釈ができます。しかし、ERPは単にこの両方をまとめたものというわけではありません。ERPの最大の特徴は、これらの機能間における情報のやり取りを円滑にし、経営の意思決定に役立てることができるという点にあります。

1,900年代終わりから、エンドユーザーコンピューティングの名の下にさまざまな事務がコンピューターによって代替されるようになりました。しかし、それぞれが便利なシステムであったとしても、独立したシステムで業務を効率化していたため、重複する情報が出てきたり情報を重ねて入力しなければならなかったりと多くの問題点を抱えていました。それぞれの領域内では優秀であっても、情報を人の手で再入力するという作業はヒューマンエラーを誘発する可能性を高めるので、企業は独立していた一連の業務を一元化されたシステムの下で運用する必要が出てきました。

こうした要望に応えるERPは、別々の場面で使用される機能や異なる部門ごとのデータを一元管理しています。それぞれのデータを統一の仕様としてデータベースにまとめていて、互いに関係性の薄い部門であっても、ERPのシステム内では情報が関連付けられています。 業務システム面ではさまざまな機能が搭載されています。例えば、企業内のコミュニケーションツールとしての役割を持つERPは、SNSのような形でメンバー間のやり取りができ、円滑な意思疎通が図れる環境を提供しています。また、社外からのアクセスを可能にしたERPや、遠隔での退勤管理などができるERPなど、企業ごとの業務体制に応じたシステムが実装できるようになってきています。

さらに、ERPにはデータを分析するツールなども含まれる場合が多く、社内の情報を分析することで経営の意思決定に役立てることもできます。リアルタイムの情報を把握することができるようになった経営者は、より企業の現状や市場を反映した経営戦略を打ち出せるようになります。そのため、企業全体としての業務効率が上がるばかりでなく、経営方法すらも一新する結果になる可能性を秘めています。

ERPと基幹システムや業務システムの違いは機能間の連携と流動性によって経営の意思決定にまでサポートされる点にあります。近年は、日本の企業でも導入が進み、中小企業においても利用しやすいタイプのものが開発されています。

まとめ

基幹システムは企業の運営に直接関係するシステムのことで、業務システムはそれ以外のシステムのことを指します。そしてERPは業務システムと基幹システムを統合したものであり、さらにシステム間の連携および互換性が高いという特徴があります。 ERPは従来の業務システムなどを単に機能の拡張したものではなく、一元化された情報管理によってリアルタイムの意思決定が可能になりました。経営の見える化を図るものとして近年注目を浴びているシステムで、近年急速に普及が進んでいます。


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