在庫管理の規模が大きくなるにつれエクセルでの管理では限界があります。そこで在庫管理ソフトの導入を検討する企業が多いと思いますが、導入形態に悩んでいる企業も多いのではないでしょうか?
利便性を重視してクラウドを導入するか?コストを重視したパッケージで導入するか?もしくは、今後の規模拡大を見越してシステム導入するか?
今回は在庫管理における3つの導入形態の特徴などを紹介していきたいと思います。
クラウド型在庫管理ソフト
クラウドとはインターネット経由で利用するWebサービスの総称であり、Dropboxなどのオンラインストレージが代表的でしょう。2012年頃から国内でも徐々に浸透し、現在では「クラウドファースト※1」という言葉が生まれるほどビジネスにおいて重要な位置づけにあります。
クラウドはインストール不要、ユーザーベースの月額料金で提供され、いずれもパッケージやシステムにはない特徴が多くあります。
市場はなおも拡大を続け、大企業や中小企業を問わず、さらに幅広い業種で利用されているサービスです。
※1:クラウドファーストとはシステム導入検討時にクラウドを第一候補として検討すること。
メリット
クラウドのメリットとしてよく知られているのが"初期コストの削減”と"運用管理業務の効率化”です。月額料金で提供されるクラウドはほとんどのサービスで初期費用が無料であり、購入したとしても数千円~数万円程度です。システムでの導入と比較すると初期コストを数十万~数百万削減することができるので、導入の敷居が低くなっています。
運用管理業務に関してはクラウドベンダーに位置にしているので、効率化というよりも業務が発生しません。従って管理者は本来業務に集中することができ労働生産性が向上します。
また、意外と知られていないメリットとして“セキュリティ性の向上”があります。外部にデータを預けることからセキュリティリスクが高いと考えられがちですが、クラウドベンダーのセキュリティ体制が強力ならばむしろセキュリティ性が向上するのです。
この他外出先でも利用できたり、簡単に共有できるなど様々なメリットを紹介しています。
デメリット
クラウドのデメリットは“カスタマイズ性に乏しい”こと、そして“オフライン環境では利用できない”ことです。システムはベンダーによって管理運営されているので当然ながらカスタマイズはほぼできません。
サービスによってはある程度カスタマイズできるものもありますが、新たな機能やアプリケーション開発はできないと考えておく方がいいでしょう。
そしてインターネット経由で提供されているということはオフライン環境では利用できないということ。障害などが発生するとそのまま業務ストップになるのでインフラを整備しておく必要があります。
パッケージ型在庫管理ソフト
パッケージとはメーカーが販売するソフトウェアを購入しPCにインストールして利用するタイプの在庫管理ソフトです。感覚としてはMicrosoft Officeなどと同じで、購入したソフトウェアをインストールすれば面倒な設定などなしに利用できます。
製品にもよりますが10,000円前後で購入できるものも多いので、小規模環境に多く導入されています。小規模ビジネス向けと言えるでしょう。
メリット
パッケージのメリットと言えばやはり“手軽さ”ではないでしょうか。安価に入手できる上にシンプルな機能性を提供しているので、大規模な在庫管理ソフトはいらないという環境に適しています。
また、最近ではパッケージの多機能化も進んでおり、在庫分析機能を備えた製品も登場しているので、意外とバリエーションが多く幅広いシーンに適用可能です。
デメリット
デメリットとしては“インストールしたPCでしか利用できない”ということと、"定期的な更新対応が必要”ということでしょう。
パッケージは基本的にインストールしたPCでしか利用できないため共有が難しく、複数人で在庫管理ソフトを利用する場合に適応できません。また、クラウドのように場所やデバイスを選ばずというわけにはいかないので、活用シーンの幅は確実にせまくなります。
定期的な更新対応というのも業務の妨げになる可能性があるのでデメリットです。また、更新しないと脆弱性を露出していることになる、セキュリティ性が低下するというリスクもあります。
バージョンアップ費用を計算するとクラウドよりもコストがかかるといったケースもあるので要注意です。
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システムとは自社サーバを調達してシステムベンダーから購入したソフトウェアをインストールし、ネットワークで接続されたPCから在庫管理ソフトを利用します。(ゼロから開発するフルスクラッチもあり)
大規模環境に適した導入方法ですが、最近ではクラウドにニーズが流れていることで縮小傾向にありますが、一部環境では大きな導入効果を発揮する導入方法です。
メリット
システムのメリットはやはり“自由度の高いカスタマイズ性”です。技術がある、あるいはシステムベンダーに依頼すれば機能追加もアプリケーション開発も可能であり、環境に最適な在庫管理ソフトを導入することができます。
特殊な商習慣があったりする一部環境ではこのカスタマイズ性が必要不可欠なケースも少なくないでしょう。
デメリット
デメリットしては“導入のハードルが高い”ことと、“運用管理業務が発生する”ことです。
システムはサーバ調達やソフトウェアのインストール、設定やネットワーク環境の整備を考えるとどうしてもコストが大きくなり、導入期間が長期化してしまうためハードルが高くなってしまいます。かといってカスタマイズ性が高ければ100%導入に成功するかと言えばそうではないので、さらにハードルを上げている部分です。
そしてクラウドでは発生しない運用管理業務があり、これが管理者の大きな負担になることが珍しくありません。システムアップデートの対応、障害対応、バックアップなどなど、運用管理業務は非常に多いので人材リソースに限りがある企業では難しいのが実情です。
また、独自にセキュリティ体制をとらなければならないので、システムのハードルをまた大きく上げています。
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狙い目はやはりクラウドか
それぞれの特徴やメリットデメリットを踏まえて考えると、やはりクラウドが優位であると考えるのが妥当です。もちろんニーズや環境によって最適な導入方法は異なりますが、クラウドは安定して多くの企業にメリットをもたらすでしょう。
そして、クラウドで在庫管理ソフトを導入するのであれば同時にクラウドERPの導入検討もおすすめします。クラウドERPとは在庫管理ソフトや販売管理ソフト、会計ソフトなど経営に必要な複数のシステムを包括的に、かつクラウドとして提供するサービスです。
クラウドのメリットはそのままに、統合されたシステム環境を導入することで意思決定の迅速化や組織全体の業務効率化につながり、ビジネスを一つ上のステージへと押し上げてくれます。
在庫管理ソフトが必要になるということは、その他の管理規模も大きくなっているということなので、このタイミングで検討しておくといいでしょう。
クラウドERP「NetSuite(ネットスイート)」は、小売、流通、卸業での実績も多く在庫管理についてもサプライチェーン全体の可視化と管理により、リアルタイムに主要仕入先、在庫、調達の指標を詳細に把握することができます。クラウドERP導入を検討されている方におすすめです。
まとめ
いかがでしょうか?在庫管理ソフトを導入する上で大切なのは、どの導入方法にしても企業にとって最適なものを選ぶことです。現状課題やニーズを全て洗い出し、時間をかけて導入検討を進めていただきたいと思います。
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