サプライチェーンの起点とも言える“購買”は、適正化された管理によって様々な課題をクリアすることができます。例えば高品質の原材料や部品を低コストで仕入れれば、利益率を確保しつつ競争力の高い価格設定が可能です。仕入れ先を正しく管理すれば、仕入リードタイムの短縮にもなり、ひいてはサプライチェーン全体のリードタイム短縮にもつながります。
在庫管理や製造に対する改善へと積極的に取り組む企業は多いでしょうが、購買管理に目を向けている企業はそう多くありません。
そこで導入したいのが購買管理システムです。購買管理システムを導入することで購買業務における様々な導入効果があり、適正化された管理を行うことができます。
今回は、この購買管理システムにどのような機能があって、どのように購買管理を適正化するのかを紹介したいと思います。購買管理システム導入を検討している場合、基本機能について知ることがまず大切なので、本稿を参考に購買管理システムへの理解を深めていきましょう。
機能1.購買計画を立てる、把握する
生産計画に対して必要な原材料や部品をどこの仕入れ先から、どれくらい、いつまでに、いくらで仕入れるのかを決めるのが購買計画です。この購買計画に従って仕入業務を行っていくので、計画は見やすく、そして常に把握できるようでならなくてはいけません。
システム化されていない環境では、ExcelやPowerPointで作成している場合が多いでしょう。しかしそうした環境では、購買計画への進捗反映が難しかったり、計画資料をすぐに呼び出せないという問題もあります。
ExcelやPowerPointで管理している以上、これは避けては通れない問題でしょう。
購買管理システムにて計画資料を作成すると、ユーザーはいつでも容易に購買計画を確認することができます。また、システム上にて一元的に管理されていることで進捗反映も簡単で、負担に感じることもありません。
適正化された購買管理を行うためには、まず購買計画の適正化が重要なのです。
機能2.仕入先を管理する
仕入先情報、取引履歴、購買したもの・数、これらの情報を管理することは購買管理を適正化する上で大きなメリットとなります。例えば取引履歴が明確ならば価格交渉を有利に進めていくことができ、より低コストな仕入れを実現することが可能です。
こうした情報を気軽に管理できるのも購買管理システムならではの機能です。
機能3.EDIによる取引の電子化
仕入先との取引にEDIを取り入れれば、定期的な取引を効率的に行い、大幅な時間短縮とコスト削減効果があります。入金消込作業なども自動で行ってくれることが多いので、業務負担はかなり軽減されるでしょう。
しかし注意しなければならないのが、EDI機能を備えている購買管理システムが少ないということと、すべての取引先がEDIを受け入れるというわけではないことです。
EDIはこれまでの取引方法が一変するほど影響力の高い機能なので、取引先によってはこの環境変化を嫌う場合があります。従って、導入前に取引先からEDI化に関するアンケートを取ることが重要です。
機能4.発注管理による正しい仕入れ
製造業でも小売業でも、仕入先が一つとは限りません。複数社に発注をかける場合もあれば、同じ取引先に生産計画の異なる同じ原材料や部品を発注することもあるでしょう。このとき発注業務におけるミスが発生しがちです。
発注情報を正しく管理することができなければ、正しく検収作業を行うこともできません。
購買管理システムの発注管理機能では、発注先や発注数など、細かい情報をそれぞれ管理することができます。検品時に消込を行うことで、発注漏れなどが起きることもありません。
機能5.仕入価格を管理する
仕入価格を管理することは原価管理を行う上でとても重要な作業です。仕入価格は原価に直接関係のある要素なので、これを管理することで明確な原価を割り出すことができます。
ちなみに原価管理は製品の適正価格を維持したり、営業活動において正しい見積業務を行うためにとても重要な要素です。
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機能6.生産計画に対する仕入状況の把握
現在の仕入状況を確認することは、生産計画の微調整を可能にします。生産計画に対して仕入状況に遅れが出ていれば生産計画を少し遅らせたり、逆に予定よりも早い仕入状況なら生産計画を前倒しにしたりなど、こうした微調整を行っていくことで、より適正な生産計画を実行していくことができます。
機能7.検収、支払をスムーズに行う
発注した原材料や部品を納入した後、検収や支払をスムーズに行うことは仕入れ先との信頼関係を維持する上でとても重要です。また、自社にとっても次のアクションを迅速に行うことができるので、大きなメリットがあります。
機能8.他システムと連携する
サプライチェーンの一環でもある購買管理システムは、周辺システムと連携することで本来の導入効果を発揮します。在庫管理システム、原価管理システム、販売管理システムなど複数のシステムと連携できれば、サプライチェーン全体の効率化に大きく貢献するでしょう。
ですので購買管理システム導入時は、既存システムとの連携性を考慮しなければなりません。あるいは、ERP(統合基幹業務システム)の一環として導入するのもおすすめです。
ERPは購買管理システムに限らず様々なシステム群を統合的に提供するITツールなので、短期間で統合的なシステムを環境を整えることができます。
参考記事:サプライチェーンとは?5つのポイントで理解する物流の話
ERPを導入する際に注意したいことは?
購買管理システムをERPの一環として導入する場合、注意すべきはその適用範囲です。購買管理システムを単体で導入するのと違い、ERPは組織全体のシステムをカバーするようなITツールです。
このため、購買管理システムを導入するのと同じ方法で導入すれば、失敗する可能性がグンと上がってしまいます。つまり、ERPにはERPの導入方法があるということです。
例えば組織全体に関係のあるERPなので、導入検討時は各部門責任者を集めて検討を進めていく必要があります。購買管理システムは適正化されたが、他部門では不満の声が上がっているような状態では成功とは言えません。
大切なのは全社最適化を目指すことです。
そのためにも、各部門責任者を導入プロジェクトに巻き込み検討を進めていかなければなりません。また、単体で購買管理システムを導入する以上、トライアルを活用したシミュレーションが重要です。
実際に導入してみて何が良いのか、どんな課題があるのかを明確にすることで、期待と現実のギャップを埋めていくことができます。
こうした作業があって初めて、正しいERP導入が可能になります。
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まとめ
今回紹介した購買管理システムの機能は基本的なものなので、さらに細分化すれば多数の機能が存在します。そのどれもが購買管理を適正化するためのものであり、上手に活用することで効果を最大限に引き出すことができるでしょう。
しかし、単に多機能な購買管理システムを導入するのは避けましょう。機能数が多いからといって、必ずしも自社にフィットするシステムであるとは限りません。むしろ、機能が多いことでシステムが複雑になることもあります。
こうした点を踏まえて、慎重に購買管理システム選定を行えば、正しいシステム導入ができるでしょう。
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- サプライチェーン/生産管理
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- 販売/調達/購買