「KANBAN」と「KAIZEN」を推進するNetSuiteの在庫管理機能

 2021.11.26 

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日本型経営管理システムを象徴する「改善活動」と「かんばん方式」は、英語でそのまま「KAIZEN」と「KANBAN」して通用するほどの世界共通のビジネス用語として浸透しています。

今回はトヨタ自動車が起点となる「KAIZEN」と「KANBAN」の概念をモチーフに、企業のビジネスプロセスの効率化・最適化を促す経営管理システムについて考察していきます。

世界が注目する日本型経営管理システム「KAIZEN」

日本経営工学会編『生産管理用語辞典』では、「KAIZEN」を「少人数のグループまたは個人で、経営システム全体又はその部分を常に見直し、能力その他の諸量の向上を図る活動」と定義し、「改善の手順は、Plan-Do-Check-Actionの管理サイクルに基づく」と解説しています。

生産業務のPDCAサイクルを適宜見直し、現場の作業者が中心となってボトムアップで問題解決を図る「改善活動」は、小集団による現場からの業務改善を推進する「QCサークル」とともに、日本型経営管理システムとして世界から注目されています。

この概念は、トヨタ自動車の元副社長・大野耐一氏が確立したトヨタ式生産管理方式、同じく世界共通のビジネス用語となっている「KANBAN」(かんばん方式)から派生したものです。

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「KANBAN」は適正な在庫・発注管理で生産現場を効率化する

「KANBAN」(かんばん方式)は、自動車生産工場の後工程から前工程に「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」指示することにより、無駄な部品・原材料、仕掛品、完成品が在庫として発生することを抑える生産管理方式です。

大野耐一氏は、顧客の「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」在庫として確保するスーパーマーケットのビジネスモデルを応用し、顧客である後工程が「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」前工程に受け取りに行くことで、前工程がムダに部品を多く造り、後工程に貯めてしまうロスを改善しました。

スーパーマーケットでは、商品倉庫に商品名、品番、置き場所などの情報が記載されている商品管理用のカードを使用して在庫管理を行います。大野耐一氏はこれを応用し、部品名、型番、仕様、生産数量等が記された金属製の「かんばん」を通い箱に掲げ、前工程と後工程の連絡に用いて「必要な要件の見える化」を推進しました。(ちなみに金属製の「かんばん」は現在では「eかんばん」へと姿を変え、トヨタ自動車の生産管理システムを支えるプロコトルとして機能しています)

「かんばん方式」を活用することで、各作業間・ライン間・工程間のムダは排除され、3万点にも及ぶ部品から構成される自動車を大量かつ効率的に生産するトヨタ式生産管理方式「ジャスト・イン・タイム」方式が確立されました。

これを支えるためにトヨタでは、作業者の知恵を生産設備に織り込むことで同じ設備を使用する競合他社に差をつける「日々改善」、「よい品よい考(かんがえ)」の業務改善活動を推進し、グローバルな規模での成長をバックアップしていきました。現在、「KAIZEN」と「KANBAN」のトヨタ式生産管理方式は、日本国内の自動車産業に留まることなく世界中の生産現場に適用され、成長を志向する企業がビジネスプロセスに組み込むべきアーキテクチャとして幅広く認知されています。

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顧客視点からの「KAIZEN」がビジネスプロセスの再構築を推進する

トヨタ自動車では創業以来、「生産現場のムダの徹底的排除とものづくりの合理性」を世代を超えて追求してきました。生産現場の不効率な設備はムダな作業を生み、部分最適に陥った工程は全体のロスにつながり、無計画な生産管理は作業のミスと不要な在庫を生み、それぞれの要素が複雑にからみ合って、やがては企業経営そのものを圧迫していきます。

この危機感から、豊田自動織機製作所創業者の豊田佐吉氏は自動織機の発明により手工業からの効率化を為し遂げ、トヨタ自動車工業の創業者である豊田喜一郎氏は「物を造る場合の理想的な状態は、機械、設備、人などが全くムダなく付加価値を高めるだけの働きをしている」という理想に基づき、組立ラインに流れ作業を導入します。そして、豊田英二氏の代に至って副社長の大野耐一氏がこの理念を「ジャスト・イン・タイム」の生産管理方式として体系化して完成させたことになります。

事実、トヨタ自動車が強く自社に戒めた“大雑把な生産管理”と高度に分業化され部分最適に陥った非効率な組織体制のために、米国の自動車業界は1980年代から急速に業績が悪化し、人員のリストラが加速していきました。しかし、合理性を重んじる米国の経営陣は率先してトヨタ式生産管理方式「KAIZEN」と「KANBAN」に学び、より垂直統合的な経営管理を実現する成長エンジンを見出すに至ります。

1990年。マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマーと経営コンサルタントのジェイムス・チャンピーは、「KAIZEN」をビジネスの最も大切な要素である「顧客」価値の観点から再検証し、ビジネスプロセスの最適化の視点から組織、職務、業務フロー、情報システムを再設計して再構築を図る「BPR(Business Process Re-engineering/ビジネスプロセス・リエンジニアリング)」を提唱しました。

このビジネスアプローチを導入した米国企業が、IT技術の進化と連動して「リーン生産方式」や「ファブレス方式」などの革新的な生産管理システムを次々と創出し、2000年代からの急速な再生と成長を果たしたことは、記憶に新しいものと思われます。

NetSuiteはジャスト・イン・タイムな経営資源管理を推進する

日本が世界に誇る生産管理方式「KAIZEN」と「KANBAN」、そして顧客視点のアプローチからビジネスを革新する「BPR」の知見を集約して活用できる経営管理システムが、クラウドERP NetSuiteです。

そもそもERP(Enterprise Resource Planning/経営資源統合管理)は、生産管理の手法である資材所要量計画(MRP:Materials Requirements Planning)から派生してきた用語であり、生産管理や在庫管理だけでなく財務会計・販売・資産・人材・物流などの企業資産全体を一元的に管理することにより「全てがムダなく付加価値を高めるだけの働きをする」ための高次元な経営資源管理が実現します。

NetSuite は、需要計画、統合されたサプライチェーン管理、購買及びベンダー管理、購買から支払までのプロセスを含む調達、在庫管理のための包括的な顧客サービス機能を提供し、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」働かせる「ジャスト・イン・タイム」なビジネスプロセスを再構築します。

役割毎に最適化された状態で提供され、スマートデバイスからもアクセス可能なダッシュボードから生産活動の進捗や在庫状況が常に「見える化」され、在庫量が予め定めたレベルより少なくなった時点でアラートを通知して、リアルタイムな定量発注点管理を実効化します。

また、各商品へのシリアル番号の付与や一定数の商品をグループ管理する多彩な機能で、あらゆる段階での追跡管理や制御を行い、サプライチェーン全般のムダを徹底的に排除。余剰在庫を最小限に抑え、原価低減にも結びつく最適化されたコスト・コントロールを推進します。

共通のダッシュボードから生産の進捗と在庫状況をリアルタイムに可視化

共通のダッシュボードから生産の進捗と在庫状況をリアルタイムに可視化

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NetSuiteは自律的なBPRを促す成長エンジンとして機能する

「全てがムダなく付加価値を高めるだけの働きをする」経営資源の管理と「見える化」は、業務・工程ごとのPDCAサイクルを好循環させ、受注処理から商品の保管・梱包・発送、欠品ロスのない在庫管理、決済、苦情・問合せへの対応の全てを「KAIZEN」する仕組みをあらゆる企業のビジネスプロセスに内在させて、フロントからバックヤードに至る全ての業務がシームレスに連携した質の高い業務体系(フルフィルメント)を確立します。

大量の注文においてもピッキング、パッキングや出荷工程を管理し、商品の返品保証クレームに対しても返金、修理、交換の対応選択の承認を求めるインテリジェンスな自動化機能は、顧客にとって重要な作業工程への集中を促し、高品質な顧客サービスの提供と顧客満足度の向上を実現します。

企業の創出する価値に最適化された「全てがムダなく付加価値を高めるだけの働きをする」経営資源の管理と、企業の成長に合わせてオートマティックに「BPR」を推進する成長エンジンとして、NetSuiteをお役立ていただければ、幸いです。

ERP(統合基幹業務システム)の導入を成功に導く10のステップ

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