原価管理システム選定のポイント

 2021.11.26 

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“原価管理”とは、「原価計算を活用し、業績を向上させるための仕組みや計画を作ること」です。常に揺れ動いている原価を正確に把握することで、商品やサービスの質を落とさない正しいコスト削減を行います。目標原価を達成するために様々な施策を打ち出し、繰り返し改善していくことで適正原価を維持するのです。

さらに、既存の原材料・部品の価格高騰が起こったり、調達困難になったときにために、代替案を取っておくことも原価管理の一つだと言えます。

こうした原価管理を実現するためのITツールが“原価管理システム”です。原価計算機能による業務効率化や、原価変動シミュレーション機能で将来的なトラブルに対処したり、原価管理を支援する様々な機能を提供しているのです。

しかし、すべての原価管理システムが優れた機能を持っているわけではありません。中には自社業務に一切フィットせず、導入損になってしまうケースも少なくないのです。

ですので原価管理システム導入の最初の課題は「自社にとって適切な原価管理システムを導入すること」だと言えるでしょう。

そこで今回は原価管理システム選定時のポイントについて紹介していきます。いずれも基本的なポイントですが、守ることで適切な原価管理システム選定が行えるのでぜひ参考にしてください。

ポイント1.カスタマイズやアドオン開発の必要性を考慮する

原価管理というのは、企業の数だけ多様な管理スタイルがあります。ですので導入する原価管理システムが必ずしも自社にフィットするとは限りません。もちろん、極力自社の管理スタイルに合った原価管理システムを導入することが大前提ですが、カスタマイズやアドオン開発が避けられない状況もあるでしょう。

このため導入前、導入後のカスタマイズやアドオン開発が必要になるかを把握しておく必要があります。

まずは原価管理システムの機能について理解しましょう。原価管理システムでは何ができて何ができないのか、この点を把握しておくだけで掘り下げた選定ができるようになります。さらに、自社の原価管理について改めて整理してください。システムと当時に原価管理を取り入れるという企業は、原価管理によって何を実現したいかを考えておくといいでしょう。

原価管理システムでできること、できないこと。これに対して自社の原価管理内容を比較し、カスタマイズやアドオン開発の必要性を探るのです。

もしもカスタマイズやアドオン開発が必要となった場合は、導入すべき原価管理システムが絞られます。パッケージやクラウドなど多様な提供形態がある中でも、カスタマイズ可能な原価管理システムを選ぶことです。

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ポイント2.ERPなど基幹業務システムとの連携が可能か

近年では、原価管理システムを生産管理スイートやERPの一つとして導入する企業が増えています。理由はサプライチェーン管理の重要性が再認されるようになり、生産全体での業務最適化が急務となっているためです。

原価管理はサプライチェーン管理の中でも製品価格を決定づける要因が大きいので、原価がかかり過ぎていると競合との競争力を失ってしまいます。

また、原価管理システムは購買管理システムや見積管理システムなど、周辺アプリケーションを連携することで導入効果を最大限に引き出せるのです。そのため原価管理システムを導入する際は、周辺アプリケーションとの連携性を確認しなければなりません。

さらに生産管理スイートやERP導入の検討もしておくことで、より具体的な原価管理システム選びができるでしょう。

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ポイント3.業界業種に特化した原価管理システムを検討する

原価管理システムは汎用型のものを導入するよりも、業界業種に特化した機能を有するものを導入した方が失敗は少なくなります。ですので自社業種に特化して原価管理システムを選ぶことは基本の一つです。

しかし、現実問題としてそうした原価管理システムを選ぶのは難しい側面があります。原価管理システムは前述したように周辺アプリケーションとの連携が大切です。また、生産管理スイートやERPの一つとして導入することもあるでしょう。

そうしたとき、業界業種に特化した原価管理システムを選ぶということ自体が難しくなるのです。複数の業務アプリケーションを同時に提供するようなITツールは、汎用的に作られている場合がほとんどです。

従って、原価管理システムだけ業界業種に特化したものを導入するということが難しくなります。ここでポイント1に戻って、カスタマイズやアドオン開発が必要な原価管理システムを選ぶことが大切です。

特に独自の開発プラットフォームを提供しているようなERPなどは、自社業種にフィットさせやすいため積極的に検討するようにしましょう。

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ポイント4.各拠点でのデータ統合が可能か

複数の拠点を抱えているような企業では「データ統合の遅延」が問題になることが少なくありません。組織全体で最適な原価管理を行うためには、拠点からのデータ集計を行い、それを分析した上で全体的な指針を決定する必要があります。

しかし、各拠点でのデータ連携環境が整っていないと、データ集計や分析だけに1ヵ月以上に時間を費やしてしまうケースが少なくないのです。

データは鮮度が大切なので1ヵ月以上前の情報を得たとしても、リアルタイムな指針を立てることはできません。常に現実と計画にタイムラグが発生してしまい「現状の課題」を打破することが難しくなってしまいます。

このためクラウドとして提供されている原価管理システムなど、各拠点でのデータ統合が可能なものの検討をおすすめします。クラウドはインターネット経由で利用するサービスなので、VPNなどを構築する必要なく各拠点でのデータ統合が可能になります。

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ポイント5.部門メンバーを導入プロジェクトに参画させる

原価管理システムの導入プロジェクトを推進するのは情報システム部門や上層部でも、導入後実際に利用するのが現場部門の従業員です。ですので部門メンバーを導入プロジェクトに参画させた上で原価管理システム選定を行うのが基本なのですが、情報システム部門や上層部の一任で導入してしまうことが往々にしてあります。

現場業務を理解していない者が原価管理システムを導入して成功するのか?答えは否、現場部門にとって使いづらい原価管理システムを導入してしまう可能性は大いにあります。

このため、機能要件を定義する段階から部門メンバーを導入プロジェクトに参画させる必要があります。特に原価管理システム選定時にはトライアルやデモを活用して、部門メンバーに積極的にシステムを触ってもらうようにしましょう。

実際に使用してみて選定を進めれば、より正確な原価管理システム選定が可能になります。

まとめ

原価管理システム選定時は、必ずトライアルやデモを利用してください。業務アプリケーション導入時は計画と現実のギャップがかなり開いているというケースも少なくありません。しかし、多くの企業がそのギャップに気付かないまま導入してしまい、失敗に陥ります。そして「きちんと選定したのに…」と漏らすのです。

今回紹介した原価管理システム選定ポイントでは「実際に使ってみる」を最重要ポイントとして、選定を進めていただければと思います。

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