ERPのモジュールって何?どのような機能?にお答えします。

 2019.02.28 

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いまやERPは、あらゆる企業で導入されつつあります。特に昨今のクラウドERPの台頭により導入しやすくなったため大企業のみならず中堅・中小企業にも採用が加速しています。

ERPの導入によって企業が持つ複数の業務システムを一括管理できるので、ビジネスは可視化しやすくなり、意思決定の迅速化が図れます。また、業務プロセスが途切れることなく繋がるため作業効率が向上し企業全体の生産性向上が見込めるのです。

しかし、ERPはベンダーによって搭載している機能に違いがあり、どのERPが自社の業務に適しているのか判断がつきにくいことも少なくありません(市場では会計機能が搭載されているだけでERPと謳っているものも存在しているため混乱している事実もあります)。

ただ、機能に違いがあっても基本となるモジュールに大きな違いはありません。そこで、ここではERPの基本となる5つのモジュールの機能を中心に紹介していきます。

「モジュール」とは何か

ERPは、企業が持つ複数の業務システムを一括管理し、スピードや生産性を向上させるプラットフォームです。しかし、ERPは開発競争の最中にあり、各社がそれぞれ開発を進めている状況のため、ERPによって搭載している機能が違います。特にITに詳しくないユーザー企業はどのERPが自社の業務に適しているのか判断しにくい面があります。そこで重要になってくるのがモジュールという概念です。モジュールというのはシステムを構成する要素のことで、ERPの場合には組み合わせることもできます。

システムを車にたとえると、車がシステム全体にあたり、エンジンなどの部品はモジュールに該当します。エンジンはそれ自体でも機能しますが、システムを構成する要素でもあります。ERPにおけるモジュールも同じで、ERPというシステム全体の中にいくつものモジュールが組み合わさっていると考えることができます。

ERPのモジュールとはどのような機能か

EPRでは各機能をモジュールという言葉で表現することが一般的です。しかも、基本モジュールと呼ばれている機能はどのERPにもほとんど搭載されています。すべてのモジュールを洗い出すとかなりの数になりますが、基本モジュールは「財務会計」「管理会計」「販売管理」「在庫購買管理」「生産計画/管理」の5つとされています。また、財務会計にはサブモジュールとして「総勘定元帳」「債務管理」「債権管理」「固定資産管理」「特別目的元帳」があります。基本モジュールが5つあると言っても、その内容は業態によって変わります。たとえば、サービス業や小売業者の場合は商品を流通させるだけで製造することはないため、生産管理はあまり重要視しません。

一方製造業では、生産管理は企業にとってなくてはならない重要な部門です。同じ製造業でも、受注生産と見込生産では必要とする機能が違うため、それぞれにカスタマイズされたERPを導入しなければなりません。ここにERP導入の難しさがあります。

ERPは通常、モジュールごとに導入するため、まず導入したいモジュールについてよく知ることが必要です。しかし、ERPを導入するユーザーにとって、それは簡単なことではありません。

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たとえば、企業にとって特に大切なのが財務会計機能と管理会計機能のモジュールです。財務会計は、企業外部の取引先や株主などの利害関係者に営業成果を開示したり税務処理などを実現するための会計です。財務会計では貸借対照表、損益計算書、有価証券報告書、税務申告書などを作成します。

一方、管理会計は予算管理やコスト管理など、企業経営に必要な会計情報を提供するものです。財務会計が企業外部に開示するのを目的としているのに対して、管理会計は企業内部で経営管理に携わる人が見るための会計情報です。企業は管理会計情報から経営方針決定、自社の現状把握・経営の方向性の検討などを行います。経営方針にも影響する重要な管理会計ですが、ERPを利用すると販売、在庫、生産管理などを統合した総括的な会計情報を作成することができます。

つまり、ある品目について原価から在庫、利益、売上高など、企業にとって必要なデータを総合的に分析することができるようになるということです。このようにERPでは項目ごとにモジュールが設計され、それぞれが連携して情報を一括化する仕組みになっています。

ERP導入を売り込む側は、ユーザーの業務形態を細かく知ってからでないと、適切なモジュールを搭載しているERPの導入は不可能です。一方、ERPを導入するユーザーは、導入してから自社に合わないERPであることが判明しても後戻りが難しいため、慎重にモジュールについて検討する必要があります。

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ERPのモジュール例

生産管理

生産管理は製造業では必須のモジュールです。従って、生産管理部門に有用なシステムを導入することは製造業にとって企業経営を左右するほどの影響をもたらします。生産計画を円滑に行い、資材調達計画の立案や遂行、在庫管理に至るまでの工程は、QCD(品質、コスト、納期)の基準をクリアするために必要不可欠なものです。

また、生産管理には受注生産と見込生産がありますが、業態によって導入するERPが変わってきます。生産管理機能は、販売管理機能や債権・債務管理機能との連携の方法によっても違いが出ます。そのため、それぞれの機能がどのように結びついているのか、導入前に確認しておくとよいでしょう。

会計管理

会計管理には財務会計と管理会計があります。財務会計は取引先や投資家など、外部に向けて会計内容を開示するものです。そのため、財務会計は法律によって細かく決められた部分が多いので、ERPごとのモジュールにそれほど差はありません。

一方、管理会計は内部に向けてのデータ表示ですから、決められたルールはなく企業ごとにフォーマットが違います。業態によっても重点を置くべき項目が違いますし、同じ業態であっても企業ごとに必要なデータが違うので、形式は企業の数だけあると言っても過言ではありません。そのため、ERPもそれぞれの企業に合わせたものにカスタマイズする必要があります。

販売管理

販売管理は、サービス業や卸売業、小売業、販売まで行っている製造業などにとって非常に重要なモジュールです。販売管理は、商品を受注してから出荷するまでの業務について担当します。

その中には請求管理や売上管理も含まれますが、場合によっては債権回収が関係することがあります。また、同じ業種であっても販売の形態は企業ごとに違いますから、販売業務の内容もそれぞれ異なります。販売形態も企業によりさまざまで、営業マンが顧客と対面して契約する昔ながらのスタイルもあれば、店員が販売するものもあり、受注から納品・集金まですべてネットで行うケースもあります。

そのため、販売管理はその企業の販売スタイルに合ったものでないと、正確なデータ分析ができないことになります。場合によってはERPを導入したために、かえって業績不振に陥ることも考えられます。そうならないためには、自社の販売スタイルをしっかり把握して、それに合ったモジュールを搭載したERPを導入する必要があります。

調達(サプライチェーン)、在庫管理

製造業や卸売業では、ほぼすべての企業が在庫を持っています。在庫を持つ企業では、在庫管理のモジュールが非常に重要となります。製造業や卸売業で業績が悪くなった場合、在庫にかかる経費で企業が立ち行かなくなるケースが少なからずあります。

在庫管理のモジュールで在庫が商品別・倉庫別に短時間で把握できることは、在庫管理を円滑に行う上で非常に重要です。在庫管理は在庫のみならず、契約、発注、製造、納品、入金という、商品とお金の動き全般に関わってきます。在庫管理で分析できるデータには、その企業の業務のすべてが集約されていると言っても過言ではありません。

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まとめ

ERPの基本モジュールは、「財務会計」「管理会計」「販売管理」「在庫購買管理」「生産計画/管理」の5つです。また、財務会計の下にはサブモジュールとして「総勘定元帳」「債務管理」「債権管理」「固定資産管理」「特別目的元帳」があります。

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