税務申告
税務申告とは?
税務申告とは決算で確定した利益・損失やその他の情報に応じて、企業など法人が納めるべき税金について国や自治体に申告するものです。法人格として確定申告のようなもの、と言うと分かりやすいかもしれません。法人が申告すべき主な税金は次の通りです。
1. 法人税
法人の所得(利益・損失)に対して課せられる税金です。各事業年度の収益から、損失や費用を控除して算出される企業会計上の利益に、法人税の調整を加えて所得を算出します。算出した所得に税率をかけた金額が税金額として確定します。申告期限は決算月から2ヵ月以内です。
2. 消費税
ほぼすべての取引に対して課せられる税金です。ただし、会社設立後2年間は免除事業者となり支払う必要はありません。資本金額が1,000万円以上、または前々年の売上が1,000万円以上の場合に納税義務が発生します。申告期限は決算月から2か月以内です。
3. 都道府県税及び事業税
法人が行う事業そのものに課せられる税金です。法人所得の金額に税率をかけた金額が税金額として確定します。申告期限は決算月から2ヵ月以内です。
4. 市町村税
地域社会の一員として個人と同じく法人にも幅広く負担を求めるための税金です。いわゆる「住民税」のこと。資本金額と従業員数に応じて定額で課せられる均等割と、法人税額を課税標準として課せられる法人税割によって構成されています。申告期限は決算月から2ヵ月以内です。
5. 源泉徴収税
源泉徴収義務者として従業員の給与から所得税・住民税を差し引いて、徴収した月の翌月の10日までに納付する必要があります。年末には年末調整をして清算を行います。
6. 固定資産税
賦課期日(1月1日)時点での固定資産(土地、家屋、償却資産)の所有者に対し、固定資産の価格をもとに算出される税額を、その固定資産を所有する東京都または市町村が課税する税金です。毎年1月末までに申告する必要があります。
背景/目的
税務申告を行う理由は、税務調査を避けるためです。企業が提出した税務申告に問題点が見つかると、強制調査や任意調査といった調査対象になることがあります。調査対象になると税務署から調査が入り、提出した情報に間違いがないかや不正がないかを調査されます。
税務調査を受けること自体は悪いことではありません。売上が急増した企業は、一度は税務調査を受けたことがあるかもしれません。何も不正がないとすれば、税務調査によって問題が起きることはまずないでしょう。
ただし、税務調査の対象になってしまうと税務署が指示する情報や資料を期日までに揃えなければならなかったり、税務調査への対応に時間とコストを取られてしまいます。なので税務申告は正しく確実に行い、税務調査の対象にならないよう心がけることが大切です。
課題
税務申告の課題は、申告のために記入すべき書類が非常に多く、その他複数の資料も添付しなければならないため手間がかかるという点です。加えて税金によって申告するタイミングが違うので、申告忘れが発生するケースもあります。主に次のような書類や資料を揃えなければなりません。
- 法人税申告書
- 消費税申告書
- 事業税報告書
- 市町村申告書
- 源泉徴収税申告書
- 固定資産税申告書
- 賃借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 勘定科目明細書
- 法人事業概況説明書
さらに、次の書類および資料は法律によって7年間の保存義務が定められています。
- 申告書の控え
- 総勘定元帳
- 領収書綴り
- 通帳や契約書などの証拠資料
- 給与にかかる一人別徴収簿など
こうした書類の作成や資料の添付、あるいは保管にかかる手間はコストが税務申告の課題です。さらに、企業が海外事業を展開していれば現地での税制度に対応する必要があるため、税務申告業務はもっと複雑になります。
ソリューション(解決)
税務申告の手間とコストを削減するためには、申告業務に対応した財務会計システムの導入が欠かせません。税務申告をシステム化して、人が入力する情報を少なくすることが目的です。
財務会計システムがあれば前述したような書類の作成も資料の添付も、シンプルな機能でスムーズに行えます。財務会計システムには決算作成のための機能も備わっているからです。そのため、決算書を作成すれば法人税や事業税などの申告はほとんど自動化できるでしょう。加えて法人税や住民税などは電子データでの申告が可能なので、税務申告をシステム化することで大幅に業務効率をアップできます。
もう一つ、税務申告の課題を解決するソリューションがあります。それが、財務会計システムを中心としてクラウドERPです。ERP(統合基幹業務システム)とは複数の業務システムを統合したプラットフォームであり、これをクラウドサービスとして提供するのがクラウドERPです。
財務会計システムに特化したクラウドERPを導入すると、グループ企業全体での連結決算が非常に楽になり、それに伴って税務申告も効率化できます。さらに、海外製品ならば外国の税務申告に対応している製品もあるので、グローバル全体の税務申告業務に最適です。
機能
クラウドERPは一般的に次のような機能を備えています。
- 財務会計システム
- 顧客管理システム
- 営業支援システム
- 人事管理システム
- 生産管理システム
- 調達管理システム
- 販売管理システム
- 在庫管理システム
- 出荷管理システム
- 受注管理システム
- 発注管理システム
- Eコマースシステム
- ビジネスインテリジェンス
一口にクラウドERPといっても様々な製品があるので、選択するものによって機能は異なります。
メリット
クラウドERPには税務申告を効率化する以外にも様々なメリットがあります。たとえば財務会計システムや営業支援システム、あるいは生産管理システムが生成するデータを経営者はリアルタイムに見ることができ、現時点での経営状況を把握できます。ビジネスインテリジェンスが搭載されているERPならば、情報分析およびレポートを素早く出力できるので、情報活用が進み経営意思決定が迅速になります。
クラウドサービスの観点からすれば、社内インフラを整える必要がないため運用負担が軽減するというのが大きなメリットです。さらにインターネット接続環境さえあればどこからでもシステムを利用できるので、ワークススタイルの変革にもなります。
デメリット
クラウドERPは良くも悪くも、これまでの業務形態を一新するソリューションです。そのためクラウドERPの導入に対する準備ができていないと、既存の業務形態を継続する部分が出てきたり、システムを使いこなせないことで生産性が下がってしまいます。
適切に管理するために、中長期的な運用計画を立てておくことが大切です。
選び方のポイント
クラウドERPを選ぶ際は、できる限り柔軟なものを選ぶのがおすすめです。ERPをゼロから開発するので、企業の業務要件に100%マッチする製品はありません。そのため、導入するクラウドERPが如何に柔軟性が高いかによって、業務形態の変更点が変わります。
既存の業務形態をできるだけ維持しつつシステム化によって業務効率を上げるというのがベストなので、クラウドERP選びの際は製品の柔軟性に着目してください。
まとめ
税務申告はどの企業や法人にも等しく課せられる申告業務です。これを如何に効率化するかによって、コア業務への集中度が変わり、競合優位なビジネスが展開できるかが変わるでしょう。税務申告を効率化したい、そのような場合は財務会計システムやそれに特化したクラウドERPをご検討ください。
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