RFPとRFQの違いは?それぞれの作成の目的、発行の流れを解説

 2024.12.18 

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企業が業務やシステムなどを外注する際、サプライヤーやベンダーと意見や要望、価格をすりあわせることが重要です。そのため、発注においてはRFPやRFI、RFQを活用します。この記事では、発注の工程で必要不可欠なRFPやRFI、RFQそれぞれの概要と違い、作成するプロセスや作成例、また作成時に注意すべきポイントを解説します。

RFPとRFQの違いは?それぞれの作成の目的、発行の流れを解説

RFQとRFPの違いとは?

サプライヤーを選ぶ際に発注者が送付する書類がRFQとRFPです。

RFP(Request For Proposal)とは?

RFP(Request for Proposal)は、日本語で「提案依頼書」と呼ばれる文書です。発注者である企業がシステムの導入やサービスの業務委託を行う際、サプライヤーを選ぶために使用されます。RFPは候補先であるベンダーやSIerに送付します。

RFPには、以下の提案内容を具体的に記載します。通常WordやPowerPointで作成され、数ページから数百ページに及ぶこともあります。

  • システムやサービスの目的や概要
  • 仕様と制限事項
  • 機能面の期待、技術的な必要条件、運用上の要望
  • プロジェクト費用
  • 完了期限と工程表

また、発注者側がRFPを用いるメリットは以下の通りです。

  • 要件や要望を正確に伝えられる
  • 複数の提案を効率よく比較できる
  • トラブル防止につながる
  • 自社の現状把握や課題の明確化に役立つ
  • 提案の質が向上することで適切な提案を受けやすくなる
  • サプライヤーへの説明の手間が省ける
  • 要件定義工程の負担が軽減される
  • 提案評価の基準となる
  • 社内調整がしやすくなる

一般的には、後述するRFQ(見積依頼書)の前にRFPは送付します。

RFPと混同されやすいRFIとの違い

RFI(Request For Information)は、「情報提供依頼書」または「情報要求書」と呼ばれる文書です。業務などの発注や委託を計画する際、候補となる業者から情報を集める目的で使用されますが、一般的に、製品カタログ、パンフレットなど送付を依頼します。

RFIは、RFPやRFQの作成に役立てる目的であるのが大きな違いです。

  • 目的
    RFPが具体的なプロジェクトや製品に対する詳細な提案を求める文書である一方、サプライヤーの一般的な情報収集や市場調査を目的とするのがRFIです。
  • 内容
    RFPでは、発注者は個々の提案や費用概算、スケジュールなどを求めます。RFIに発注者が求めるのは、サプライヤーの一般的な情報や技術情報です。
  • 活用タイミング
    RFPは、RFIで絞り込んだサプライヤーに発行します。対して、RFIはサプライヤーのスクリーニングに活用します。
  • 回答の性質
    RFPを発行した場合、発注者は各サプライヤーから個別の提案を受け取れます。一方、RFIは、発注者が各サプライヤーから受け取る情報の多くは他の企業が受け取るものと同じ内容です。

RFQ(Request For Quotation)とは?

RFQ(Request For Quotation)は、「見積依頼書」や「見積要求書」と訳されます。企業が物品やサービスの購入を検討する際、候補となるサプライヤーに対して価格や条件の提示を要求するための文書です。RFQは、サプライヤーや社内関係者とコミュニケーションを取ったり、情報共有したりするのに効果的です。的確なRFQは、公平な比較や効率的な決定を可能にします。

RFQに盛り込む情報は以下のとおりです。

  • 求める製品やサービスの仕様と数量
  • 納期
  • 支払い方法
  • 納品場所
  • 問題発生時の補償条件

RFQを発行する目的は、複数の候補先から得た見積りを比較して、最適な取引条件を見つけることです。そのため、特に複雑なプロジェクトでは、RFIやRFPで要件を明確にした後にRFQを発行することが一般的です。

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RFPとRFQの目的の違いと作成例

先述したように、RFPとRFQの発行はそれぞれ目的が異なります。ここからは、両者の具体的な目的と文書の作成例を紹介します。

RFPの目的:発注者と開発者の認識相違をなくすため

発注者と開発者の間で認識の相違をなくすことは、プロジェクトの成功に必要不可欠な要素です。RFPでは発注者が抱える課題やプロジェクトの目的、具体的に何をしてほしいかを明確に記載し、サプライヤーからの詳細な提案を求めます。これにより、サプライヤー側がプロジェクトの目的を把握できていない、発注者側がサプライヤーに任せっきりにする、などの事態を防げます。

RFPに網羅すべき内容は以下の通りです。

  • 現状の問題点や改善したい点
  • システム導入後に実現したい未来像
  • 開発の範囲や既存システムとの関係
  • 具体的に求める機能や要件
  • 提案評価におけるプロセスや基準

RFPでは予算に言及することが多いものの、主な焦点は開発内容の詳細を求めることです。これにより、発注者の要望を正確に伝え、サプライヤーからより適切な提案を引き出せます。

なお、ゼロからRFPを作成するのは手間と時間がかかるため、過去の事例やテンプレートを活用するのがおすすめです。ぜひ、下記のテンプレートをご利用ください。

RFP(提案依頼書)サンプル新統合基幹システム導入プロジェクト提案依頼書 | クラウドERP実践ポータル

RFQの目的:適切な予算で発注(受注)をするため

RFQを発行する主な目的は、発注業務を適正な予算内で行うことです。そのため、RFQでは予算や費用の記載に重点が置かれます。

RFQに記載するのは、一般的には次のような内容で、完全かつ具体的な内訳を記載してもらえるよう依頼することが重要です。

  • 企業名、連絡先、担当者名といった発注者の基本情報
  • 導入予定の商品・サービスの仕様
  • 商品・サービスに関する価格や支払い条件、納期など
  • 不良品や問題発生時の対応、保証内容など

RFQの発行により、発注者は以下のメリットを得られます。

  • 比較可能な見積りを入手できる
  • 最適な価格と条件で取引を行える
  • 予算管理を効果的に行える

RFQの適切な作成と活用は、プロジェクトの最適なコストパフォーマンス実現につながります。予算管理において非常に重要です。

RFI・RFP・RFQ作成の流れ

最後に、RFI・RFP・RFQ各文書をいつ、どのように作成すればよいのか、詳しく解説します。

1. RFIを発行する

RFI発行の手順は以下の通りです。

  1. 課題の洗い出しと商品・サービスのリサーチ
    自社の課題を明確化し、それらを解決できる可能性のある商品やサービスを調査します。
  2. サプライヤーのリサーチと選定
    適切な商品やサービスを提供するサプライヤーを調査し、自社の課題解決にふさわしい企業を5~10社程度選びます。
  3. RFIの作成と発行
    サプライヤーを選定後、RFIを作成し、各サプライヤーに発行しましょう。その際、プロジェクトの趣旨や目的、自社情報、発注範囲などを明確に記載することが重要です。また、回答項目を細かくし過ぎることは避けましょう。
  4. 情報の収集と分析
    サプライヤーからの回答を収集し、提供された情報を分析します。
  5. 要求仕様の具体化
    収集した情報を参考にしながら、プロジェクトの要件をより具体的にまとめましょう。
  6. 予算の目安作成
    得られた情報を参考に、予算目安を作成します。

RFIは、自社のニーズにあったサプライヤーを絞り込み、RFPやRFQを作成するための情報収集として欠かせません。

2. RFPを発行する

RFPを発行する段階では、プロジェクトの妥当性を判断します。主な流れは以下のとおりです。

  1. 選定したサプライヤーに対してRFPを作成
    通常は3〜5社程度のサプライヤーにRFPを発行します。RFPにはプロジェクトの背景と目的や現状の課題、機能要件や非機能要件、予算の目安などを記載しましょう。注意するべきポイントは、作成の際に部署や立場を超えて幅広くヒアリングを行うことです。
  2. 概要や目的を説明するオリエンテーションを開催
    各サプライヤーの理解度を確認し、質問に答える機会を設けましょう。
  3. 具体的な提案の要求
    RFPとオリエーションを通じ、発注者はサプライヤーに自社の要求仕様に合致する具体的な提案を求めます。
  4. 提案の評価と選定
    受け取った提案を評価し、最適なサプライヤーを選定しましょう。

適切に作成されたRFPは、サプライヤーとの認識の齟齬を減らします。RFPの発行は、プロジェクトの成功に大きく影響する重要なステップです。

RFPについてより深く知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。

RFPの書き方|必須の14項目について解説【無料サンプルDL可】

【無料サンプル付き】RFP(提案依頼書)を作成する際の注意点

3. RFQを発行する

RFQは、プロジェクトにかかる費用を明確にし、想定外の追加費用を防ぐために必要です。RFPとRFQを適切に活用することで、提案内容と費用の両面から最適なサプライヤーを選定できます。

RFQの発行プロセスは以下の通りです。

  1. サプライヤーの絞り込み:RFPの段階で2〜3社程度のサプライヤーに絞り込む
  2. 発行のタイミング:一般的には、RFPの評価後に選定したサプライヤーに対してRFQを発行する(提案内容と価格を同時に評価するため、RFPと一緒にRFQを発行する場合もある)
  3. 見積書の取得:発行したRFQに基づいた詳細な見積書をサプライヤーから取得する
  4. 見積書の評価:受領した見積書を基に費用面での比較検討を行い、最終的な発注先を決定する

RFQでは初期導入にかかる費用だけでなく、継続的な運用費用に関する詳細な見積りも要請しましょう。事前に明確な評価基準を設定しておくことも重要です。

まとめ

RFP(提案依頼書)とRFQ(見積依頼書)は、サプライヤー選定時に発注者が送付する書類です。RFPは提案を具体化するために使用され、プロジェクトの目的や要件を詳細に記載します。一方、RFQは価格や条件の提示を要求するために使用され、予算管理に重点を置きます。発注工程では、一般的にRFI(情報提供依頼書)、RFP、RFQの順に発行されます。

自社に最適なサプライヤーを選ぶためには、RFP・RFI・RFQそれぞれの文書の目的や記載内容を理解したうえで発行することが重要です。

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