原価管理システムとは?

 2017.07.03 

  【2024年12月10日開催】Oracle NetSuite 体験会

「原価」とは一つの製品を製造するためにかかる費用です。原材料、人件費、配送費、間接費など、実に様々な費用が原価として計上されます。では、これらの費用を計算し把握することが「原価管理」なのか?と聞かれれば、実はそうではありません。

正確に言えば、原価管理とは単に製品原価を把握するためのものではなく、「原価計算を活用した業績を向上していくための仕組み」だと言えます。今回はこの点について具体的に解説していくと同時に、原価管理システムについて紹介していきます。

原価計算と原価管理

原価計算を「原価を把握するための道具」だとすると、原価管理はその道具を活用することで業績を向上するための仕組みや計画を指します。「管理」という言葉の意味をそのまま捉えてしまうと、原価管理の本質を理解することが難しくなってしまうので、ここで改めて原価管理について理解しておきましょう。

原価計算

製造や販売、サービスにかかる費用のうち、売上高に直接的な関係があるものを「原価」と呼びます。原価計算とはつまりこれらの原価を割り出し、固定的あるいは標準的な原価を把握するための計算方法です。

原価計算の方法については1962年に大蔵省企業会計審議会より「原価計算基準」が公表され、今日ではこの基準が日本での原価計算の実践規範となっています。

原価計算基準の第一章一項の「原価計算の目的」では、原価計算の目的を次のように定めています。

1.財務諸表作成目的

2.価格計算目的

3.原価管理目的

4.予算管理目的

5.基本計画設定目的

原価計算には実に多くの目的が設定されていますね。そして、この原価計算基準で定められている目的にも、原価管理の本質が表れています。

原価管理

原価管理については先に「原価計算という道具を活用し、業績を向上させるための仕組みや計画を作ること」と説明しました。これでは少しわかりづらいので、事例を用いて解説します。

例えばラーメン一杯を850円で販売するとします。そこでまずは、広告宣伝費など期間に対応する費用と、スープや麺など売上に直接対応する費用を分類します。分類した費用のうち、売上に直接対応する費用が原価であり、一人前ごとに集計するのが原価計算です。

New call-to-action
New call-to-action

原価管理とはラーメンの原価を把握した上で、いかにして利益を生み出していくかを考えます。使用する材料の変更、人件費の削減、設備費用の抑制など業績向上のための計画を立てます。

さらに計画に対して目標となる原価を算出し、目標原価を達成するための施策を展開します。こうした計画から施策立案、実行、さらには改善を繰り返し、業績を向上させていく仕組みを原価管理と呼ぶのです。

原価管理が重要視されている背景

原価とは常に揺れ動いていて正確に把握することは難しいものです。だからといって原価管理を行わないでいると、効率的に利益を生み出していくことはできません。

仕入価格や人件費が上昇しているのにも関わらず、販売価格を一定に設定しているとどうなるでしょうか?当然、利益率は下がっていきます。しかし、仕入価格などが上昇したからといって「どんぶり勘定」で販売価格を決定してしまうと、適切な価格設定ができず消費者が離れていってしまいます。

企業が継続的かつ効率的に利益を生み出していくためには、細かい原価計算と、原価管理による業績向上の仕組みが必要になるのです。

また、現代の消費者ニーズは非常に多様化し、様々な製品・サービス展開が求められている時代です。各製品やサービスの原価を正確に把握し、計画を立てていくことは企業にとってプラス方向に大きく働く力があるのです。

[SMART_CONTENT]

実に多い原価計算の種類

原価計算には実に様々な種類が存在します。それぞれに異なる目的があるので、原価管理を実践するにはまず原価計算の種類を知ることが大切です。ここでは一般的な原価計算の種類について解説します。

個別原価計算と総合原価計算

個別原価計算は個々に製品に対する原価を算出します。顧客からの発注に応じて生産する、いわゆる受注生産の場合は個別原価計算を使用することがあります。

一方総合限界計算とは、ある一定期間にかかった費用とその期間に製造した製品数で割り出すものです。大量生産し、かつ同一価格で販売するような場合はこちらの限界計算方法を使用します。

IT業界におけるソフトウェア開発の例で例えると、顧客からの仕様にもとづいてソフトウェア開発を行うのが個別原価計算。パッケージソフトウェアとして定価を付けて販売する場合は総合原価計算を使用します。

全部原価計算と部分原価計算

全部原価計算とは、製造に使った費用のすべてを原価として計上する方法です。対して部分原価計算とは費用のすべてではなく、部分的な費用のみを計上する方法となります。

会計上認められている方法は前者の全部原価計算です。つまり通常の原価計算は、すべて全部原価計算によって計上します。部分原価計算は社内において、特定の管理目的で主に使用されています。

実際原価計算と標準原価計算

実際に発生した原価にもとづいて計上する方法が実際原価計算であり、一つの製品に要する費用の目安金額を設定するのが標準原価計算です。

会計上認められているのは実際原価計算なので、原価計算では前述した全部原価計算と並行して使われています。

ここで紹介した原価計算方法は基本的なものです。総合原価計算はさらに、単純総合原価計算や工程別総合原価計算などに細分化されます。

原価管理システムが持つ機能とは

原価管理を支援するためのITツールが原価管理システムです。企業が原価管理システムを導入することで、原価計算を基準にして経営戦略を立てていくことができ、継続的に利益を生み出す仕組みを構築することができます。

では、原価管理システムにはどういった機能が備わっているのでしょうか?

原価計算機能

先に紹介した原価計算を、目的に応じて使い分けることができます。原価管理システムの基本的なシステムの一つであり、この機能がどれほど使いやすいかによって原価管理システムの使い勝手が決定します。

原価差異分析機能

目標原価と実際原価の差異。これを常に把握することは、原価と販売価格の適正化を図る上でとても重要な役割を果たします。原価管理システムではこの差異を自動的に算出してくれる機能が備わっているので、効率的に差異分析を行うことが可能です。

損益計算機能

損益分岐点を把握することは、原価管理に並び利益を生み出していく上で非常に重要なものです。損益計算を行うことで将来的な利益について知ることができます。

シミュレーション機能

原価計算のシミュレーションを行うことで、急激な原材料高騰や景気変動にも対応することができます。

連携機能

原価管理システム以外の様々なシステムと連携することで、全社最適化された業務を実現することができます。

[RELATED_POSTS]

まとめ

もしも現在、正確な原価情報を把握し、今後の業績向上のための計画に反映していきたいと考えるのであれば、原価管理システムの導入をぜひご検討ください。原価管理を完全に人手で行うことは難しく、負担も大きくなります。

原価管理システムを導入すれば、原価計算業務などを効率的に行い、効果的な原価管理を実践していくことが可能です。原価管理システムで効率的な原価管理と、継続的に利益を生み出していく仕組みを実現してください。

原価管理システムの選び方

RECENT POST「サプライチェーン/生産管理」の最新記事


サプライチェーン/生産管理

製造原価とは? 売上原価との違いや求め方、分類方法などを解説

サプライチェーン/生産管理

製造管理とは? 生産管理との違いやシステム導入のメリットを解説

サプライチェーン/生産管理

OEMの意味とは? ODMとの違いやメリットをわかりやすく解説

サプライチェーン/生産管理

原価/原価計算とは? 重要視される理由やシステムの選定について

原価管理システムとは?
わかりやすいマンガ形式で解説!会計ソフトの選び方まるわかりガイド
ビジネスでの時間不足を解消する3つの方法

RECENT POST 最新記事

RANKING人気記事ランキング

New Call-to-action