顧客ニーズの多様化や市場ニーズの急速な変化、少子高齢化。そうした激動の時代にある今、企業には中長期的な“成長戦略”の策定が強く求められています。しかし、残念ながら この成長戦略が無い企業は、少なくありません。
成長戦略とは何か?
一般的な言葉を借りて言うなら「企業が将来にわたって成長が見込め、利益をもたらすと想定される分野へ、積極的かつ計画的に対応する方針」のことです。つまり企業が継続的に成長するために、常に市場需要を見極めて、適切な場所に投資することで企業を成長へと導びくための戦略を指します。
本稿でご紹介するのはそんな成長戦略を策定するための視点です。企業が存続、あるいは成長するために欠かせない成長戦略、皆さんの企業ではどういった戦略をお持ちでしょうか?
[RELATED_POSTS]企業の成長サイクル
企業には創立から衰退まで、次のような成長サイクルがあります。
- 幼年期 - 起業・創業 -
- 成長期 - 新規事業展開 -
- 成熟期 - 承継・M&A -
- 衰退期 - 事業徹底・改革 -
幼年期 - 起業・創業 -
第一のフェーズは企業の創業と事業の立上げです。このフェーズではまだ創業したばかりですので、最初は事業もまだ確立していません。そのため如何にスピード感を持って企業を成長期へと持っていけるかが成功のカギになります。
成長期 - 新規事業展開 -
事業に対する顧客やリピーターが増加していくと収益が安定していき、まず課題になるのが“人材確保”でしょう。企業の成長に人材確保は欠かせないポイントであり、このフェーズで確保した人材は将来的に役員等、経営上欠かせない人材になる可能性が高いでしょう。そのため、人材のスキルよりも人間性などを重視する傾向にあります。
成熟期 - 承継・M&A -
新規事業展開や事業拡大、人材確保を続けていくと組織はどんどん大きくなり、成熟期へと入ります。成熟といってもそこで成長がストップするわけではなく、一度立ち止まって組織体系や業務全体を見直し、更なる成長を遂げるために必要なフェーズです。
衰退期 - 事業徹底・改革
事業による収益が低下していくと企業は衰退期に入ります。この時迫られる選択が「事業撤退か改革か」です。収益が低下している事業に高い投資価値がないと判断すれば、早々に事業撤退することが大切です。ただし改革を実行することで収益が回復したり、より高い収益が見込めるような事業には様々な方法で改革を加えていきます。
企業の成長戦略を策定するにあたってまず大切なのは、現時点でどの成長フェーズに位置しているかを明確に把握することです。何事も“現状把握”が欠かせないように、成長戦略策定においても現状把握が大切です。
関連記事:企業の成長サイクルとは?幼年期、成長期、成熟期、衰退期の特徴と戦略
“成長”について定義する
「あなたの会社にとって“成長”とは何ですか?」という質問を投げかけると、「売上を伸ばすこと」や「事業拡大を図ること」という回答をする方が多いでしょう。
確かにそれは会社にとっての成長にはなりますが、成長戦略を策定するにあたってあまりにビジョンが曖昧過ぎます。
よくある成長戦略が「10年後に売上高1兆円」や「3年後の海外売上比率70%」といった目標です。戦略と目標は全く異なるものです。また、数値上は成長のための目標が掲げられていますが、周囲は意外と冷ややかな目でこの目標を眺めているかもしれません。
たとえば経営者の意を受けて中長期的な経営戦略を企画・発信する企画室や戦略スタッフは、「本音を言えばこれ以上の成長は難しい」と考えている可能性があります。
実際に売上はある一定の規模に達するとそこから向上させるのが非常に難しくなります。人員や事業の拡大が問題ではありません。そもそもその市場にそれ以上のキャパシティーが無かったり、シェア獲得が難しいからです。そのため単に売上を向上するという目標を掲げても、その目標を達成することは非常に難しいでしょう。
こうした企業に共通して言えることは「会社が思う“成長”が定義されていない」ということです。たとえば財務的な成長であっても売上の成長、利益の成長、戦略資源の成長と様々な“成長”があります。
売上の成長とは新規顧客を開拓したり製品単価をアップしたり、販売数のアップによる企業成長のことです。利益の成長とは事業規模の拡大は原価低減などによる利益率の成長のことです。戦略資源の成長とは経営計画等と円滑に実現するための資源の拡大を指します。
このように、一口に“成長”といっても様々な成長の形があります。
ある企業は会社の成長を「従業員の知識と技術を向上しお客様が持つ経営課題の50%を解決すること」だったり、ある企業では「顧客からの信頼を向上するために、製品品質の向上に励むこと」だったりします。
“成長”とは組織によって違うので、これを明確にすることで正しい経営戦略の策定が可能になります。
中小企業の成長戦略について
中小企業が自社の成長戦略について考える際は、前述した成長の定義についてはもちろん、以下の2つの視点から戦略を考えることが大切です。
専門化戦略
“専門化”とは企業が提供する製品やサービスの独自性を強めることです。専門化する領域を明らかにして、コアコンピタンス(競合他社に真似できない核となる能力)を確立することが大切です。
中小企業として高いコアコンピタンスを実現している例としては、鉄道やスカイツリーにも採用さている“ハードロックナット”を製造販売するハードロック工業です。同社は「絶対に緩まないネジ」として製品を提供し、ちょっとした着眼点からコアコンピタンスを高め事業成長を遂げました。
外部連携化戦略
“外部連携化”とはいわゆるアウトソーシングサービスを利用することで、外部資源を有効活用して会社の生産性を向上するための戦略です。具体的には次のような戦略を指します。
- サービス提供会社と連携して会社の一部業務を外注する
- クラウドサービスを利用して情報共有促進化を図る
中小企業では人材不足は生産性の低迷といった問題が長年あり、これを解決するためにアウトソーシングサービスやクラウドサービスを積極的に利用することは、今や当たり前の成長戦略です。
[SMART_CONTENT]
企業の成長戦略を根底から支えるITシステムとは
企業によって策定される成長戦略は様々ですが、いずれにおいても欠かせないものがITシステムです。特に統合的かつ柔軟性の高いITシステムが無いと、今後の成長戦略を支えられない可能性が高いでしょう。そこでおすすめするのが“クラウドERP”というITシステムです。
クラウドERPは統合的なITシステム環境をインターネット経由で提供するサービスであり、経営上欠かせない複数の業務アプリケーションが予め連携された形で利用できます。なぜクラウドERPが成長戦略に有効かというと、各業務アプリケーションのデータを一元的に管理し、情報活用が促進することでリアルタイムな経営の可視化と経営計画を立てられ、成長戦略の実現に向けた取り組みが行いやすくなるからです。
さらにクラウドERPは初期投資を抑えて導入でき、かつ運用負担を軽減して利用できるためIT人材が不足したり確保していない中小企業でも利用できます。もしも今後、中長期的な経営戦略を立てそれを実現したいと考えるのならば、クラウドERPによる根底からの支援をご検討ください。
クラウドERPならば企業成長に合わせてITシステムを拡大したり縮小したりと、自由自在に環境を変えられるのでそうした柔軟性も成長戦略に欠かせない理由の一つです。
- カテゴリ:
- コラム