ビッグデータ活用の台頭とそれに伴う分析環境の整備により、データドリブンな経営・マーケティングを目指す企業が増えています。まだ顧客分析を取り入れていなくとも「今後予定はある」という企業が多いのではないでしょうか?
顧客分析を始める上でまずはデータ分析基盤を整えることが先決ですが、どういった分析手法を使用していくのかを知るのも重要なことですね。
ここでは、実際の顧客分析に用いられている4つの手法について紹介していきたいと思います。
RFM分析
RFM分析はB2Cビジネスで特に取り入れられている分析手法であり、Eコマースや通販事業ではほとんどの企業と活用しています。概要を簡単に説明すると、「Recency(リーセンシー)」「Frequency(フリクエンシー)」「Monetary(マネタリー)」の3つで顧客をランク分けし、一人一人の顧客についてより詳細に理解するための手法です。
Recency:直近購買日
最後に商品を購入した日はいつか?という項目で、直近1週間以内や1ヵ月以内に購入した顧客の方がリピーター率が高くなります。ただし、「Frequency」との兼ね合いにより一概には判断できません。
Frequency:購入頻度
購入頻度が多い顧客はいわゆるリピーターであり、競合他社に持っていかれないよう率先してアプローチすべき顧客でもあります。「Frequency」の難しいところは商品によって購入サイクルが異なるので、商品ごとに適切なサイクルを見極めることです。マーケターの腕が試されるポイントでしょう。
Monetary:購入金額
購入金額が高いほど優良顧客であることは間違いありませんが、これも「Recency」と「Frequency」との兼ね合いにより変化するので注意が必要です。
以上3つの要素を持って5~7段階にランク付けすることで、各顧客の特性を理解することができます。
例えば5段階評価で「Recency」は直近1週間以内の購入で5ポイント、「Frequency」は購入頻度が高く5ポイント、「Monetary」は購入金額が高いのでこれも5ポイントだとします。この顧客は企業にとって最優良顧客であり、競合に取られないようアプローチしていく必要があるでしょう。
では「Recency」が直近1週間以内の購入で5ポイント、「Frequency」が初購入で1ポイント、「Monetary」がそこそこの購入金額で3ポイントだったとします。これらのポイント構成からこの顧客は新規顧客であり、かつリピーター率は比較的高いと言えます。
このように3つの指標で顧客分析を行うことで、その特性をより詳細に理解し、顧客によってアプローチ方法を変えていくことができるのです。パーソナライズされたマーケティングにより、リピーター率を高めていくことができるでしょう。
デシル分析
デシル分析とは売上貢献度の高い優良顧客を抽出するための分析手法です。「デシル」というのはラテン語で「10分の1」という意味があり、この分析手法が購入金額の高い順に10分の1クラスで顧客をセグメントすることに起因しています。
デシル分析を行う方法は以下の通りです。(顧客人数1,000人、総購入金額50万円として)
- まずは購入金額順に顧客を並べていきます
- 1,000人の10分の1ですので、デシル1~デシル10まで上位から100人毎のセグメントを作ります
- 各グセグメントの合計購入金額を算出します
- 総購入金額に対して、各セグメントの購入金額の比率を算出します
- 上位セグメントから累積で購入金額比率を算出していきます
上記の表では顧客全体の上位200名が60%の売り上げを、上位400名が80%の売り上げを占めていることが分かります。こうした売上構成を知ることで、セグメントごとに異なった施策を展開していくことができるのです。
[RELATED_POSTS]CTB分析
CTB分析とは「Category(カテゴリ)」「Taste(テイスト)」「Brand(ブランド)」の3つの指標で顧客をグルーピングしていくことで、今後どういった商品を購入するかという購買予測を行える手法です。
Category:大分類、小分類
大分類ではファッションアイテムや食品、小分類ではTシャルやボトムスなどのカテゴリに分けます。まずは顧客の大まか趣向を把握することが可能です。
Taste:色、サイズなど
テイストでは色や模様、形やサイズなど、どういった風合いを好むかを把握することができます。
Brand:ブランド
ファッションブランドやキッチンメーカー、キャラクターなどもグルーピングすることで、好みのブランドを把握することができます。
以上3つの要素から顧客をグルーピングし、いくつかのクラスター(集団)に分けていきます。
一般的なPOSデータ分析といえば売れ筋品番を抽出するというものですが、これでは全体的に売れている商品を把握するに過ぎず、パーソナライズされた販売戦略を打ち出すのはかなり難しくなります。
CTB分析ではクラスターごとの趣味趣向まで把握することができ、戦略的にパーソナライズされたマーケティングを展開することができるのです。
[SMART_CONTENT]
セグメンテーション分析
顧客の属性や購買履歴などから特定のセグメントを作り、マーケティングを展開していくための手法です。最もシンプルかつ簡単な方法ですので多くの企業で既に取り入れられているかと思います。
ただし、セグメンテーション分析で注意したいのは“あくまで属性ごとのグループ分け”しかできないことです。CTB分析にように顧客の趣味趣向を理解するための手法ではないので、セグメンテーション分析だけでマーケティングを展開するには効果が薄い場合があります。
こうした理由からリスティング広告やメールマーケティングで主に利用されています。
既存顧客に用いる際は、他の分析手法と組み合わせることでより効果を高めていくことができるでしょう。
まとめ
いかがでしょうか?今回は4つの分析手法を紹介しましたが。これらは高度な技術を有しない手法ですので、専門家がいない企業でも顧客分析を行えるかと思います。また、エクセルでも分析表を作成することができますので、やり方さえ覚えれば今日からでもスタートできるでしょう。
ただし、データ分析基盤の構築を忘れてはいけません。顧客分析とはデータあってのものなので、まずは顧客データを可視化するための環境が必要です。
こうした顧客分析環境を手に入れるために、クラウドERPソリューションは有効的な選択肢の一つでしょう。複数の業務システムを一気通貫で導入できることから、顧客データはもちろん組織全体のデータをリアルタイムで可視化することができます。
クラウドERPソリューションである「Netsuite(ネットスイート)」であれば、強力な分析機能を備えており、ビジネスデータの一元管理による効率化が期待できます。
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- データ分析/BI