クラウド化が進み、大企業が導入するイメージの強かったERPシステムは徐々に中小企業にも受け入れられつつあります。
この傾向を証明するようにクラウド型ERPへの投資は2016年で780億ドル(約7兆9,400億ドル)にも上ると言われており、従来型ERPシステムへの投資は30%縮小すると言われているほどです。(PwC調べ)
そもそもERPシステムはデータの一元化を実現し、現場だけでなく経営としてのシステムを構築するためのソリューションです。これを従来のオンプレミスではなくクラウド上に置くことで導入コストの削減や運用管理問題の解決など様々なメリットがあります。
しかし同時に“落とし穴“が存在するのもご存知でしょうか?
落とし穴と言うからにはユーザー企業から見て目立たない位置にあり、これに気付かないがためにハマってしまう事例が後を絶ちません。
そうなると当然、導入効果を得られなかったりむしろこれまで以上に業務が煩雑化する可能性があります。コスト増大も避けられないでしょう。
こうした落とし穴を避けて通るにはまず、アンテナを張り巡らせてどの位置に穴が存在するのかを確認することですね。今回はこのERPシステムの落とし穴について解説すると共に、有効的な打開策を紹介していきます。
ベストプラクティスが“ベスト”とは限らない
1990年代に日本へと渡来してきたERPシステムは、当時以下のような謳い文句で多くの興味・関心を惹きつけました。
「グローバルな大手企業はERPシステムを導入している」
「業務プロセスを大企業レベルまで引き上げることができる」
「ERPシステムには成長する手法・ノウハウ・プロセスが詰まっている」
つまり“ERPシステムはベストプラクティスの集合体である”という点をアピールしていたのです。これ自体は虚言ではなく事実と言えます。確かにERPシステムを導入することで業務プロセルを1ステージアップさせると共に、大企業と同様の手法やノウハウなどを手にすることも可能でしょう。
しかし問題なのは、そのベストプラクティスが“ベスト”とは限らないということです。
例えば同じ業界の競合同士であったとしても果たしてA社のベストプラクティスがB社のベストプラクティスとなるのでしょうか?ましてや業界も業種も風土も習慣も違う企業のベストプラクティスが自社のベストプラクティスと言えるのでしょうか?
答えは当然「NO」です。
しかしこのことに気付かないままERPベンダーの“ベストプラクティス”を信じて導入し、失敗する企業が非常に多くもったいないの一言に尽きます。
環境に合った製品をじっくり検討
まず「他社ではこんな効果が出ています」という事例は参考程度に留めておきましょう。重要なのはあくまで自社に最適な製品を選ぶことです。
現状課題を把握して機能要件に落とし込む。要件に適した製品をじっくりと選定して導入効果をシミュレーションする。実に基本的なことですが、これが何よりも重要です。
ERPシステムと業務の間には常に“ズレ”がある
2つ目の落とし穴は最も見落としがちな部分かもしれません。ERPシステムを導入する多くの企業が「最適な製品を選定して導入すれば万事上手くいく」と考えています。
つまりしっかりと製品選定をしてERPシステムを導入さえすれば業務が自動的に最適化すると誤解しているのです。
この誤解がかなり大きな落とし穴であり、誤解したままERPシステムを導入することで今まで以上の業務を強いられることになるでしょう。
フルスクラッチでERPシステムを開発するならまだしも、ほとんどの企業では開発コストが不要なパッケージ型を導入するかと思います。クラウドERP市場が拡大しているところを見てもパッケージ型のニーズが増大しているのは一目瞭然ですね。
そしてパッケージ型の特徴と言えば「機能が固定している」ということです。
ERPシステムと業務をパズルとするならば、フルスクラッチピースは変幻自在。業務ピースに合わせて形状を変化させることができます。この場合ERPシステムと業務のズレは発生しづらいでしょう。
しかしパッケージ型ピースはどうでしょう?業務ピースのように予め形状が決まっています。このため業務ピースに最適なパッケージ型ピースが探すか、業務ピースをパッケージ型ピースの形状に合わせるかのどちらかが必要です。
このことに気づかずにERPシステムを導入してしまうと、業務を大幅に変更したり追加業務でカバーするなどの問題が発生しERPシステムの導入効果を相殺(あるいはそれ以上)してしまう結果になります。
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柔軟性の高いERPシステムを導入する
打開策としては先に説明した業務に最適な製品を探すか、もしくはERPシステムに業務を合わせるかの2つがあります。
しかし特異な商習慣がある業界・業種ほど最適な製品を探すのは難しく、後者の打開策も慎重に行わなければ生産性の低下を招きかねません。
そこでもう一つの打開策として柔軟性の高いERPシステムを導入するという選択肢があります。
例えばクラウドERPとして提供されている「NetSuite(ネットスイート)」ではニーズによってカスタマイズが可能であったり、外部アプリケーションを開発したりとパッケージ型でありながら自由度の高いソリューションを提供しています。
つまり従来の業務を変更させないままERPシステムの導入が可能になるのです。もちろんパッケージ型である以上ある程度の機能は固定されているので、予め自社に適合可能かをじっくりと検討することが大切です。
[RELATED_POSTS]データ分析はきちんと活用してこそ意味がある
ERPシステムでデータを一元化し、各システムから生成されるデータをいち早く分析するためにはビジネスインテリジェンス(BI)が必要不可欠です。従ってERPシステムと同時にBIを導入する企業は非常に多く存在します。
しかしその多くでBIは「経営者のオモチャ」や「3年で使用されなくなるシステム」と言われています。
原因としてはデータを一元管理し可視化できるようにしても、それを上手く活用する術がないのです。冗談でなく、決して安くない導入コストをはたいたにも関わらず可視化されたデータを見て「営業部の○○は今期がんばってるな~」といった眺め方しかしない経営者が多く存在します。
また、ビジネスは日々変化の連続であり数年も経てばビジネスモデルや主力事業が変化するといったことは珍しくありません。しかしその変化にBIが付いてこれなければ次第に使用されないシステムへと変貌していきます。これは「3年で使用されなくなるシステム」と言われいる理由です。
経営者の情報感度を高め、変化に対応できるBIを
まず経営者(あるいは分析担当者)は可視化したデータをどのように扱うのかを明確にし、常に情報感度を高めなければなりません。可視化したデータをしっかりと活用するためにも多少の努力は必要です。
また、ビジネスモデルなど企業成長に伴う変化へと対応するためには、その変化に耐えうるBIが必要不可欠です。
先に紹介した「NetSuite」が提供するBI(標準機能として搭載)では、ユーザー企業のニーズに合わせてダッシュボードやKPIを自由にカスタマイズできます。データの優先順位を常につけることができるので企業成長に伴う変化にも十分対応できるでしょう。
ガラパゴスERPがグローバル展開をダメにする
「ガラパゴス化」という言葉をご存知でしょうか?これは孤立した環境・市場で“最適化”が著しく成長することです。例えば「ガラパゴス携帯」は誰もが馴染みのある言葉かと思います。
国内で使用する分には多機能で重宝するが、海外ユーザーには受け入れられない携帯電話のことですね。他にも非接触ICカードやゲームソフトなどもガラパゴス化していると言われています。
そして実は、ERPシステムもガラパゴス化が進んでいると言われているのです。つまり日本の独特な商習慣や業務プロセスに最適化されたERPシステムが多く登場しているということなのですが、グローバル展開においてこれは大きな危険を孕んでいます。
ERPシステム自体を他言語にするのは非常に簡単です。しかし、各海外拠点ごとに最適化されたシステムをガラパゴスERPで構築するのは非常に難しいでしょう。なぜなら前述したように日本企業向けに最適化が著しく進んでしまっているからです。
こうしたガラパゴスERPで「多言語対応だから」という理由だけでグローバル展開のキーマンとするのは危険です。特に日本の商習慣は海外と一線を画しているケースが非常に多いので、グローバル展開自体に大きな影響を及ぼしかねません。
世界的に導入されているクラウドERPを
まず、グローバルなERPシステムを構築するためにクラウドERPであることは外せません。クラウドベースで提供されていることからオンプレミス型と比べて導入と共有が容易であり、拠点間で統一されたシステムを構築することができます。
そしてクラウドERPの中でも世界で導入されている製品に目を付けるべきです。この点「NetSuite」では世界100カ国以上と30,000社以上の導入実績があり、グローバル展開をする上でベストな選択肢と言えます。
実際に海外拠点立ち上げの際に「NetSuite」で統合されたシステムを構築するグローバル企業が多く存在します。
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まとめ
いかがでしょうか?意外と多くの落とし穴が存在するERPシステム。しかし、その位置さえしっかりと把握していれば打開策を打ち出すことは難しくありません。
また、打開策を打ち出せるほどのパワーを持ったERPシステムを選ぶことも非常に重要でしょう。その中でも「NetSuite」はかなり強力なソリューションです。
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