3PLとは?

 2017.02.22 

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「サードパーティロジスティクス(3PL)」は近年注目され出した新しい物流サービスの形ですが、実は1990年代と意外と古くから存在するビジネスモデルでもあります。

3PLの源流は米国にあり、1990年頃には既に多くの物流事業者が3PLサービスを提供していました。

国内においても1996年~1997年にかけて3PLブームが到来しましたが、現在になって再度注目されているのはなぜでしょうか?その背景には、交通整理が進んだことや、経済不安定の時代においては、新たなビジネスを創出しようというニーズが高まったなどの理由が挙げられます。

今回は、この3PLについての情報を整理しつつ、3PLのメリットや課題、新たな物流サービスとして認識されつつある「フォースパーティロジスティクス(4P)」について解説していきます。

ロジスティクス(物流)の定義

まずはロジスティクスの定義について整理していきましょう。

ロジスティクスは国内外を含め様々な定義が存在する言葉であり、何が正解ということはなく、その時代や企業によって変化してきました。

以下は、国土交通省が米国のロジスティクス運営協会(CLM)の定義をもとに再定義したものです。

「ロジスティクス」とはサプライチェーンプロセスの一部である。これは、モノ及び

参考記事:サプライチェーンとは?5つのポイントで理解する物流の話

情報の流れや保管を計画し、実行し、制御することをいうが、こうしたモノ及び情報

の流れは、発地から顧客の目的地への流れである。

引用:「米国の3PLビジネスに関する調査結果」(http://www.mlit.go.jp/common/000012571.pdf)

一方では以下のような定義も存在します(ミシガン州大学による定義)。

「ロジスティクス」とは顧客の要求に応えることを目的として最も低い landed cost により在庫の移動及び配置を行うことである。ロジスティクスは一般的に、需要予測 や顧客サービス、輸送、保管や在庫管理などの機能を実施することを含む。

上記2つの定義は一見同じように見えて、一方は「顧客要求に応えること」など、違った観点からロジスティクスを定義しています。

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このどちらかが正解でもう一方が不正解ということはなく、専門家の立場や認識によって異なるものだと理解することができます。

強いてどちらの定義がより正解に近いのかに言及すれば、ビジネス的価値に触れず純粋にロジスティクスという事業を表現した、前者の定義が正しいように思えます。

データシート:NETSUITE アドバンスト在庫管理

3PL(サードパーティロジスティクス)とは?

前述したロジスティクスの定義をもとに、3PLについて解説していきます。

実は3PLを法令などで定義している文言などはなく、ロジスティクス以上に定義が曖昧なサービスだと言われています。

しかし、国土交通省のロジスティクスに関する定義を参考にすれば、3PLは「荷主と消費者双方間におけるモノ/情報の流れを計画/実行/制御するというサプライチェーンの一部を、一括で受託する第三事業者及びそのサービス。」と捉えることができます。

さらに、経済学者として物流ビジネスに精通している神奈川大学経済学部に在籍する斎藤実教授の著書「「アメリカ物流改革の構造~トラック輸送産業の規制緩和」によると、3PLとは「荷主企業の物流機能である輸送、保管、在庫、顧客サービス、荷役、情報サービスなどを、荷主企業に代わって一括(フルライン)して提供するか、もしくは、これらの機能を個別にまたはいくつかを組み合わせて、一定期間契約に基づいて提供する事業者のことである。 」と定義されています。

3PLを活用するメリット

企業が3PLを活用することで以下のようなメリットを享受することができます。

本業へ経営資源を集中できる

自社で物流業務まで行うことは企業にとって大きな負担であり、中小企業など経営資源を物流に割いてしまうと本業がおろそかになってしまう可能性があります。

そこで3PLを利用し物流の一部あるいは全部をアウトソーシングすることで、本業へと経営資源を集中させることができます。

物流にかかる投資費用を削減

物流に必要な倉庫、トラック、インフラ、人員などを揃えるとなると莫大な投資費用が必要となります。3PLを活用し投資費用を削減することで、事業投資を増加させることができます。

商品品質の向上

物流をアウトソーシングして本業へ注力することで、商品会開発や品質改善に集中できるので、品質向上に努めることができます。また、顧客サービスの品質向上も図れるので、ブランド力の強化にも繋がるでしょう。

在庫管理まで効率化できる

3PLでは物流だけでなく在庫管理までアウトソーシングできるサービス事業者も存在します。この場合、独自には難しい在庫の最適化なども可能となるため、業務効率化だけでなくキャッシュフローの改善など様々なメリットがあるのです。

物流コストが明確化する

自社独自に物流を運用している場合、コスト全体を明確にすることが難しいという課題があります。3PLでは物流にかかるコストが固定化するので、コストの明確化になり、予算計画も立てやすくなるのです。

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3PLの課題

利用することで様々なメリットのある3PLも、サービス提供事業者の観点から考えれば多くの課題が残されているという現状があります。

例えば、3PL事業による利益を捻出できていないことや、物流のプロフェッショナル育成が進まないといった課題は深刻なものです。

また、荷主側からも見ても3PLによる物流コスト削減効果が薄いという見解もあります。

こうした課題を解決するためには、サービス事業者は物流のプロフェッショナルを育成する環境を整え、価格低下ではなくサービスに付加価値を付けるなどの施策が必要になるでしょう。

また、荷主企業としても一方的なコスト削減を要求するのではなく、3PLサービスに新たなビジネス価値を見出すなどが求められます。

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4PL(フォースパーティロジスティクス)とは?

4PLは3PLの概念をさらに昇華させたものであり、物流業界のビジネス価値を生み出す新たなサービスとして注目されています。

4PLも源流は米国にあり、米コンサルティング会社が最初に提案したビジネスモデルだとも言われています。

日通総合研究所著である「ロジスティクス用語辞典」によると、4PLとは「包括的なサプライチェーンソリューションの構築・統合、運営を行い、伝統的な3PL 事業者を越える運営上の責任を負うもので、従来の 3PL と異なり、機能面での統合を行う」と定義されています。

つまり、サプライチェーンの一部であるモノ/情報の流れを保管/計画/実行/制御するだけでなく、そこに物流コンサルティングを掛け合わせるなど、3PL以上の事業責任を負いサービスを提供することだと言えます。

まとめ

3PLも4PLも、今後の物流業界において中心となるサービスであることは間違いありませんが、そのためには様々な課題が残されているのも事実です。

サービス事業者はビジネスとして利益を捻出するために、荷主企業は3PLを利用することでのメリットを最大化させるために、それぞれが3PLや4PLに対する理解を深め、業界全体の事業確立を目指すことが重要だと言えます。

また、サービス事業者も荷主企業も、物流情報を各基幹システムで活用するための統合的システム環境が必要になるのは言うまでもないでしょう。

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