購買戦略とは?購買部門の役割とその重要性

 2019.01.15 

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企業が継続的に高い利益を生み出していくためには「購買戦略」が欠かせません。しかしながら、購買部門の役割を誤解している企業も多く、正しい購買戦略を打ち出せていないケースが少なくないでしょう。

今回は購買部門の役割とその重要性を理解しつつ、購買戦略とは何かを解説します。

購買部門の役割とは?

購買部門にとって最大の使命とは「質を上げて仕入れ価格を下げる」ことです。しかしながら、多くの企業ではこれを怠っているケースも多く、「質を下げて仕入れ価格を下げる」という選択肢を選ぶ場合もあります。しかしながら質を下げて仕入れ価格を下げるのならば、誰でもできます。そうすると最終的には売上高に悪影響がでる可能性もありますし、経営者の考え方自体が「質を下げて仕入れ価格を下げる」になっていると、購買部門に優秀な人材が配置されることはありません。

購買部門の役割は「営業・商品開発部門の要望を充足」したり「積極的な商材の発掘及び開発」です。それに加えて「質を上げて仕入れ価格を下げる」ことが使命になるのですから、現状とは違った大きな工夫や知識が必要になることは言うまでもありません。

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購買部門の課題

次に、購買部門が持つ課題を確認していきましょう。購買部門は「営業・商品開発部門の下請けだから言われたことをやればよい」というわけではりません。しかしこうした考えを持っている方も意外と多いことも事実です。まずは現状を理解し、この考えを改善していきましょう。

課題1. サプライヤー叩き

購買部門の仕事は「サプライヤーを叩くことだ」と思っている人が多いのが現状です。しかしながらこれは大きな間違いです。こうした購買部門に対してサプライヤーは必ず対策を取ってきます。

具体的には提案価格が叩かれることを見越して、見積価格を上積みして提案してきたりします。交渉時には相手の要望を聞いたように見せて、実際の希望価格にします。こうすると大半の購買部は「自分が交渉によって仕入れ価格を落とせた」と満足しますが、実際はサプライヤーの掌の上で踊っているだけなのかもしれません。

サプライヤーが上手くコントロールできず、無茶な価格条件を飲まされた場合は、サプライヤーは必ず相手がわからないように品質を落とします。そうしなければサプライヤーの利益が出ませんので、この手の話は実際によくあることです。

課題2. 不正の温床

購買部門は複数ある部署の中でも不正の温床になりやすい部署です。今はすでに消失した某大手スーパーでは、商品仕入れだけでなく、立地開発部署でも金銭要求がありました。この企業が消失した理由は、多くの人が商品や立地が良くなることよりも私腹を肥やそうとしたからです。サプライヤーはそれらのお金を納入価格に上乗せしますので、この企業は賄賂・接待費が販売価格に転嫁され価格優位性がまったくない企業になっていました。

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課題3. ソーシング活動の欠如

購買部門の中で、自ら地方漁港や市場、スーパー等を飛び回って飛び込みで仕入先を開拓するような人はほとんどいません。ほとんどが商社や問屋に連れられて行っているだけなので、結果として「質を上げて仕入れ価格を下げる」ことが難しくなっています。

課題4. 飛び込み営業を門前払い

飛び込み営業を門前払いにしている企業は多いですが、実はそこにビジネスチャンスが隠れているケースが少なくありません。とある事例では飛び込み営業に対応したことで、同品質の商品を35%安く仕入れることに成功したというケースもあります。どこにビジネスチャンスが転がっているかはわからないので、飛び込み営業であっても無駄にすべきではないのです。

課題5. 怠慢

営業部門や商品開発部門から依頼があった場合、購買部門の多くはみずから適したサプライヤーを探すのではなく、取引先の商社や問屋、食品メーカーに探させます。直接探し出して取引をしてみれば、商社などへのマージンをカットできます。

課題6. サプライヤーへの敬意不足

購買部門の中にはサプライヤーへの敬意が不足しているところも多くあります。サプライヤーは日々工夫と努力を重ねて商品開発を行っていますが、そのサプライヤーに企画書やレシピを出させ、それを親しい企業へ渡し、同等の商品を作らせるという行為をする購買部門もあります。こうした行為の噂は簡単に広まりますので、良質なサプライヤーとの取引はできなくなります。

以上のように、購買部門が抱えている問題は意外と深刻なものです。大きな転換を迎えない限り、購買戦略から事業を立てるというアプローチは不可能でしょう。

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今すぐ実施すべき購買戦略

それでは上記の課題を踏まえて、今すぐにでも実践していただきたい購買戦略をご紹介します。

戦略1. 上流から仕入れる

基本中の基本ですが、商品は商流の、上流から仕入れるほど仕入れ価格をカットできます。しかし多くの購買部門では、新商品や新食材を使おうとしたら99%は既存取引先に依頼します。いくら親しい企業とはいってもどのようなルートを持っているか判断できないので、調査しながら同時に自ら探すというのがセオリーです。

戦略2. 新規取引先開拓

既存の取引先にとらわれず新規取引先を自ら探し回るということも大切です。上流から仕入れるということは新しい取引先を開拓することになり、それが仕入れコストのカットにつながります。新しい取引先ができることで既存取引先へのけん制にもなるので、事業成功にとって大切な要素です。

戦略3. 契約遵守

サプライヤーにとって最もリスクに感じるのが、約束した商品数量、契約した商品数量が売れないという理由で削減されることです。どんなに売れなくても契約数量は必ず引き取るようにしないと、その分のリスク料を価格に上乗せされる可能性があります。

戦略4. サプライヤーマネジメント

仕入価格が高いとか安いという目先の理由だけでサプライヤーを判断すると、中長期的には大きなマイナスになります。そこで有効的なのがサプライヤーによって取り組みを変えることです。さらに、企業の主力商品に関しては可能ならば3~4社に分けて購買するべきです。そうしないと、サプライヤーにコントロールされることになり、何らかのトラブルが発生した時には供給がストップすることを意味します。

戦略5. 全体最適化

購買部門が部分最適に陥ってしまうと品質低下や売上高減少を招いたり、店舗オペレーションを増加させてしまい人件費が増えます。こうしたリスクを回避するには仕入れ価格と品質、店舗オペレーションの軽減とバランスを考慮した購買を実施する必要があります。

戦略6. 集中購買

購買部門に優秀な人材を集めて購買業務に集中してもらい、その上で調達先や購入品目をひとつの窓口に集中購買することで新しいメリットを見出すことができます。

戦略7.購買部門に適した人材

購買部門で働くにあたって適した人材とは次のような条件があります。

  • 傲慢じゃない
  • 倫理観を持っている 
  • 全体を俯瞰できる眼がある
  • フットワークが軽い
  • 戦略眼を持っている
  • バランス感覚がある
  • 数値に強い

こうした人材がいれば積極的に購買部門に在籍させます。

いかがでしょうか?こうした購買戦略を実施することができれば、「品質を高めて仕入れ価格を落とす」ことも難しくありません。この機会にぜひ実践してください。

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