“IoT(アイオーティー)”という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、IoTについてなんとなくは理解しているけれど、詳しくは知らないという方はまだまだ多いのではないでしょうか?
今さら人には聞けない雰囲気もありますし、周囲は知っていて自分だけ知らないという状況にならないためにも、ここで解説するIoTについてを一読し、IoTへの理解を深めていただきたいと思います。
IoTってなに?
IoTは“Internet of Things(インターネットオブシングス)”という言葉を略したものです。
直訳すると「モノのインターネット」となります。これではちょっと意味が分かりづらいのですね。では「モノのインターネット化」と言い換えるとどうでしょう?少し身近になった感じがします。
IoTが具体的に何かというと、あらゆるモノをインターネットやその他のネットワークと接続して、モノ自体が持つ利便性を高めようという取り組みや技術のことです。たとえば皆さんが普段何気なく使用している冷蔵庫がインターネットに接続されたらどうなるか想像してみましょう。
冷蔵庫の中身を確認して不足しているものがあれば、冷蔵庫に付属したモニターから瞬時にネットスーパーで食材等を注文できます。晩御飯のメニューに困ったらその場でクックパッドにアクセスして、色々なメニューを参考にするのもよいでしょう。このように、IoTとはモノとインターネットが繋がることにより、もの自体が持つ利便性が向上したり、新しい便利さが生まれたり、ひいてはビジネスや私生活を豊かにしてくれるものなのです。
ちなみにこうした家電製品はスマート家電と呼ばれて、前述したような冷蔵庫はすでに製品化されています。付属のモニターからインターネットを使用できるだけでなく、外出先から冷蔵庫の中身を確認したり、冷蔵庫から音楽を流すこともできます。
IoTの今とこれから
上記の説明を呼んで「なんだ、IoTってスマート家電のことか!」と少し理解を深めていただけたのではないでしょうか?ただし、後述しますがIoTはスマート家電を指したものだけではありません。
総務省が発表した「平成29年版 情報通信白書(平成29年版 情報通信白書 第1部 特集 データ主導経済と社会変革)」によると、2016年時点でインターネットに接続可能なモノ(IoTデバイス)は世界で173億個もあり、2015年の154億個から12.8%も増加しています。今後はこの成長がさらに加速し、2021年まで年平均15%で成長していくようです。ちなみに2020年時点のIoTデバイスの数は世界で300億個を超えると予測されています。
わずか5年でIoTデバイスが2倍になるというのですから、私たちを取り巻く環境も劇的に変化していくのではないかと考えられます。
現在、一般消費者として購入可能なIoTデバイスはスマート家電は比較的小さなモノに限定されていますが、IoT技術によってインターネットと接続可能な自動車(コネクテッドカー)や、工場におけるIoT活用によるスマート工場化も進められています。
ドイツ政府が主体になって推進しているインダストリー4.0という取り組みは、工場内の至るところにセンサーを取り付け、その情報を収集することで大部分の製造工程を無人化するというものです。
ビジネスにおけるIoTの可能性
IoTの拡大によって私たちの私生活は以前よりも確実に豊かなものになっています。では、ビジネスにおけるIoT活用はどうでしょうか?もしかすると皆さんの職場環境でもすでにIoTが投入されているかもしれません。IoTを活用することで、企業は次のような可能性を見出すことができます。
商品に新しい価値を生み出し、収益性を高めたい
IoTは従来からある商品に様々なセンサーを取り付け、かつインターネットや固有のネットワークに接続することでその商品の情報を様々な角度から収集できます。たとえば産業機械にGPS等を取り付ければ、モニターから稼働状況を確認したり、盗難防止といった効果もあるでしょう。これをサービスとして提供すれば新しい収益性の確保にもなります。
生産性を向上させたい
日本には15万個以上の橋梁がありますが(「トンネルと橋はどのくらいあるの?」回答します。)、その多くで進められているのでIoT技術を活用することで橋梁の劣化状態をモニタリングして、適切なタイミングでメンテナンスを実施するという取り組みです。従来は経験や勘に頼ったり、定期的にメンテナンスを行っていましたがそれでは生産性が低下しますし、効果的に事故を防止できません。IoTを活用することであらゆる場面で生産性を高めることにも繋がります。
消費者の行動パターンを分析したい
商品化したIoTデバイスから消費者の位置情報を取得できるようにすれば、消費者の行動パターンを属性別に分析することも難しくありません。もちろん消費者への通知なしにデータを収集することは違法であり、消費者の同意を求めることが大切です。消費者の行動パターンを分析できれば新しい商品開発に役立てることも、消費者により革新的なサービスを提供することも可能です。
新しいサービスを生み出したい
IoTがあれば新しいサービスを生み出すことも難しくないでしょう。たとえば自動車保険会社を例に挙げると、自動車に搭載したセンサーからドライバーが走行した距離やブレーキを踏む回数等のデータを収集し、そのデータに応じて保険料を設定するという保険サービスを提供することも可能です。これならば自動車の走行状況に応じて適切な保険料が設定されるので、保険会社にとっても消費者にとっても嬉しいサービスになります。ちなみに建設機械を販売するのではなく、IoT活用で機械の稼働状況を把握し、それに応じた料金を徴収するというレンタルサービスはすでに世界で登場しています。
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IoTとERPの融合
ビジネスにおけるIoTの活用方法として近年注目されているのが、ERP(Enterprise Resource Planning)との融合です。ERPとは、企業に欠かせない業務アプリケーションの数々を総合的に提供し、事前に統合環境を構築したIT製品のことです。
財務会計システム、生産管理システム、営業支援システム、顧客管理システム、販売管理システム、人事管理システムといった複数の業務アプリケーションが統合されることで、相互にデータ活用が促進し部門最適化ではなく組織全体の業務最適化に貢献します。
今までのERPは、入力が人を介したものが一般的でしたがこれからはIoT機器などからの入力により大量のデータが蓄えられ、それらのデータを人工知能を活用してより戦略的な意思決定ができるようになるというのがERPとIoTの融合では注目されています。
つまり、今までにない切り口で情報収集が可能になり、情報資源を最大限活用するためのERPで分析することで、新しいビジネスの創出や事業拡大といった、企業としての成長のきっかけになるのです。
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IoTの今後に注目しよう
いかがでしょうか?IoTは今やビジネスでも私生活でも欠かせないものであり、これからさらにあらゆるモノがインターネット化していくことでしょう。そうした未来に乗り遅れないためにも、今日からIoTへの理解を深め、その動向を追っていきましょう。
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