経営計画とは?中期経営計画と長期経営計画の違い

 2019.07.23 

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すべての上場企業は、経営計画を策定してそれをステークホルダーに公開し、将来的なビジョンを描いています。ただし、それだけが理由ではありません。経営計画を策定することで数年後に会社としてあるべき姿を想像し、それに向けたKPIや経営指標を策定して、計画的に経営を推し進めていけます。

実は、中小企業の中には経営計画を策定していない企業が少なくありません。それでも問題無く経営が回っているという企業は確かに存在しますが、技術革新や市場での破壊的なイノベーション等が頻繁に起きている現代ビジネスにおいて、経営計画を策定しないことは、GPSも地図もコンパスも無しに太平洋を横断するようなものです。

本稿では、経営計画の基本から、中期経営計画と長期経営計画の違いについて解説しています。「そろそろ経営計画、策定した方が良いかな?」と考えた経営者の方は、ぜひここで経営計画に関する基礎知識を身に付けてください。

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経営計画とは?

今日の日本では、中小企業の事業承継が大きな問題として取り上げられています。経営者の高齢化、後継者不在、承継までの準備不足といった諸問題から中小企業の事業承継がスムーズに進んでおらず、数年後には相当数の企業が廃業にいたるとされています。

中小企業が事業承継を成功させるためにはまず、企業そのものを魅力的な組織として作り上げ、後継者が引き継ぎたくなるような環境を整えることがとても大切です。そのためには行き当たりばったりの経営ではなく、計画的に事業を成長させ、利益を生み出す企業体質に変換する必要があります。

経営計画はいわばそこに至るためにロードマップであり、しっかりと策定することで下記のような効果が期待できます。

①経営に迷わない

先ほど、経営計画が無い経営を「GPSも地図もコンパスも無しに太平洋を横断するようなもの」と説明しました。これは紛れもない事実であり、経営計画が策定されていない企業では、いつでも簡単に経営に迷うことになります。言い換えれば、経営に必要な指針がブレてしまい、最終的な経営目標に向かって一直線に進むことができないのです。しかし明確な経営計画があれば、経営目標に向かった最短距離を1歩1歩進むことができます。

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②他社と共有できる

どんな経営者にも、頭の中にたくさんの構想があるはずです。しかし企業という組織は経営者だけでは成り立っているものではないので、経営者の構想を他者と共有し、同じ経営目標に向かって一丸となり突き進むことが大切です。経営計画はそうした経営者の構想を表面化したものであり、計画として他者との共有が簡単に行えます。

③信用が高まる

計画的な人間と無計画な人間、どちらの方が信用が高いかは明白です。企業においても例外ではなく、経営計画がある企業とない企業、取引先や金融機関から信用される企業というのはあきらかに前者です。企業としての信用が高まることで、新規取引先を開拓しやすくなったり、資金調達が行いやすくなることで今までよりもビジネスがしやすい環境を手に入れられます。

④組織がまとまる

企業は組織であり、組織にまとまりがなければ経営は立ち行かなくなってしまいます。しかし、組織全体が同じ経営計画を共有し、同じ経営目標に向かって1つになって進むことで、より効率的に経営目標を達成することができます。

⑤経営の今が見える

経営計画を策定するということは、企業の現状をしっかりと把握した上で10年後、数年後、数か月後の企業について考えることになります。それは必然的に現状を可視化することになり、経営の今が見えることで課題も見え、より良いビジネス環境を構築するきっかけになります。

経営計画を策定するメリットは、必ずしも「経営の道筋を作ること」だけではありません。上記のように多様な効果を持つ経営計画を策定する手はありませんし、これからのビジネスにおいて必須とも言える経営ツールです。

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中期経営計画と長期経営計画の違い

経営計画というのは、大きく3つの区分があります。短期経営計画(1年)、中期経営計画(3~5年)、それと長期経営計画(10年)です。それぞれの異なる役割があります。

1.長期経営計画(10年)

企業全体としての経営方針や長期的ビジョン等を決めるのが長期経営計画です。10年後にこうありたいという姿をまとめ、具体的な数値に関してはあまり言及しません。たとえて言うならば、小学6年生の男の子が「将来はサッカー選手になって、Fバルセロナでプレーして日本代表に選出されるぞ!」と夢を描くようなイメージです。もちろん、長期経営計画ではもう少し具体的に策定しますし、売上など数値的なものだけでなく、社会的にどういった立ち位置にありたいかなども策定していきます。

2.中期経営計画(3~5年)

長期経営計画の内容を踏まえて、それを実現するために具体的な数値や施策に落とし込んだのが中期経営計画です。小学生が描く将来の夢のように、ビジョンを策定するだけでは何も実現しないため、長期経営計画で策定した経営目標を実現するために、数年後の売上規模や市場シェア率等を策定し、そのためにどういったアクションを実施すればよいか、どういった経営課題を解決すればよいかを考えます。この中には、IT環境の刷新や新技術の導入といったIT戦略を含めることも多くなっています。

3.短期経営計画(1年)

短期経営計画で策定したことを1年単位に落とし込んで、業務レベルまで落とし込んだのが短期経営計画です。中期経営計画を実現するために、年間でどれくらいの販売数が必要か、仕入れ数はどれくらいか、そこにかかる経費や人件費等はいくらかなど細かい項目を決定していきます。1つ1つの目標を達成できているかを随時チェックして、問題があれば即計画を修正し、中期計画を可能な限り実現できるようアクションを取ります。これらの計画をさらに半期、四半期、月次にまで落とし込んでいくこともあります。

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経営計画にITが有効?

企業が正確かつ現実的な経営計画を策定するためには、経営の現状把握がとても重要です。経営の今を可視化して将来的なビジョンと照らし合わせることで、今後やるべきことが見えてきます。しかしながら、その可視化こそが経営計画における大きなボトルネックであり、経営計画策定を阻む壁でもあります。

企業の経営状況を可視化するためには、組織内にあるさまざまなシステムからデータを集め、分析した正確な状況把握が必要です。そこには多くの労力が必要ですし、手作業ではデータの正確性に限界があります。そこで多くの企業が採用しているのが経営計画を効率的に行うためのITです。

たとえばOracle EPM Cloudなどの管理会計・予算管理にかかるプロセスを簡素化するITならば、経営状況の把握や容易になりますし、それらのシステムが連携していればそこから得られる情報をそのまま経営計画へと落とし込むことができます。経営計画を策定したいけれど、最初の現状把握でつまずいているという場合は、ぜひITによる経営計画の効率化に着目してください。

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