改めて知っておきたい在庫管理の考え方【在庫と不良在庫】

 2016.08.30 

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今回はタイトル通り、主に製造業における在庫管理の考え方について解説していきたいと思います。

皆さんは“在庫管理”という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?

棚卸やピッキングなど、在庫数を数えたり確認したりする業務が思い浮かぶという方が多いのではないのかと思います。確かに「在庫を管理する」という業務の中に在庫数の確認は必ず含まれています。しかしこれは在庫管理の本質を捉えたものではありません。

”在庫管理”の本来の目的とは、常に適正な在庫数を維持することでコスト増加や機会損失を防止することです。つまり在庫数が多くても少なくてもいけませんし、状況に応じて変動できるよう対処しなければなりません。

そうです、在庫管理というものは決して在庫数を確認するだけのような簡単な作業ではなく、非常に難しいものなのです。

そこでまずは、“在庫管理”以前に“在庫と不良在庫”について改めて考えていきましょう。

“在庫”に対する考え方

製造業における在庫には以下の3つの種類があります。

  1. 原材料・部品
  2. 仕掛け品
  3. 完成品

それぞれ詳細に解説していきましょう。

1.原材料、部品

原材料とは鋳鉄や樹脂材など、そのままでは使用することのできないものを指します。このため調合・加工といったプロセスが発生するのが一般的です。例えば樹脂材をプレス機にかけて成形することで初めて部品として使用することができます。

部品は既に完成されたものとして保管する在庫であり、ネジやナットなどが一般的ですね。例えば自動車組み立て工場などはほとんどのものを部品として仕入れています。

原材料からの調合・加工はアウトソーシングし、最終的に自社で組み立てるといったプロセスです。

原材料と部品は発注リードタイムに大きく関わる部分です。

2. 仕掛け品

仕掛け品とは生産途中に発生した未完成品であり、そのままでは販売することのできないものを指します。あるいは、仕掛け品として販売できる状態のものを半製品と言ったりもします。

原材料を仕入れて加工した部品に関しては生産途中とみなされるので、仕掛け品に分類される場合がほとんどです。

製造リードタイムに大きく関わる在庫であり、トヨタ方式で知られる「ジャストインタイム生産システム」ではいかに仕掛け品を少なくするかがカギになります。

3. 完成品

部品を組み立て、顧客に販売できる状態の在庫です。他2種類の在庫と異なる点は、在庫が工場内だけでなく店頭に並んだり客先に届くという点です。

このため完成品は出荷リードタイムに大きく関わります。

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在庫はタイムロスや機会損失を防ぐために存在する

在庫が経営を圧迫することは少なくありません。適正在庫を保てないがためにコストが肥大化し、かつキャッシュフローが悪くなり倒産してしまう企業が存在するほとです。

にも関わらずなぜ在庫を抱える必要があるのか?それは在庫がタイムロスを調整し、機会損失を防ぐために重要な役割を果たしているからです。

例えばA社が取引先から1,000個の製品発注を受けたとします。もしもA社に在庫がなければ部品や原材料から仕入れることになるので、納品までにかなりの時間を有してしまうことになります。これはA社としても依頼をした会社からしても良い事ではありません。

取引先は欲しい時に製品が手に入らないというデメリットがあり、A社は需要があるのに供給できないというデメリットがあります。しかし両者で決定的に違うのは、取引先は別の会社に依頼することもできるという点です。そこでA社より短納期で製品を納品できるB社という会社があれば、取引先は当然そちらに製品発注をかけるでしょう。そしてA社は機会損失を受けただけでなく、かねてから付き合いのある取引先を失うことすらあり得るのです。

こうした事態を防ぐためにも、在庫というものが必ず必要になります。

皆さんもネットショッピングをする際は同じ商品を同額で提供している2つのショップがあれば、1日でも早く発送してくれるショップを選ぶと思います。製造業における在庫の重要性というのはこれと同じなのです。

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不良在庫をなくせば利益は上がる

皆さんにとって不良在庫とは何でしょう?部品が欠損して完成品や不完全な部品など、色々と思い浮かぶと思います。つまりは何らかの原因により適正価格で販売できなくなった、あるいは販売・使用すらできない部品や完成品を指します。

「適正価格で販売できないものも不良?」と思われるかもしれませんが、自身がネットショッピングを展開していると考えてください。

あなたはAという商品を原価1,000円で仕入れ、5,000円で販売しようとしています。これは人件費などを考慮した上で導き出された適正価格です。しかし思いの他商品が売れないために多くの在庫をかかえてしまいました。

そこで無駄にしないためにも価格を下げて販売しようとします。こうして適正価格を下回ってしまった在庫は利益が希薄なため、人件費などを考慮するとマイナスになるケースもあります。こうした在庫は明らかに不良在庫なのです。

不良在庫が発生する3つの原因

不良在庫が発生するのは主に「買い過ぎ」「作り過ぎ」「管理不備」の3つの原因があると言われています。

先ほど紹介した売れ残りのケースは明らかに「買い過ぎ」による不良在庫ですね。また、原材料や部品というものは鉄製であろうが樹脂製であろうが必ず経年劣化というものが起きます。つまり使用しないで置いておくだけでも次第に品質が下がってしまうのです。従って不良在庫を発生させる原因にもなるのです。

仕掛け品や完成品といった在庫に関しても必ず経年劣化が起きます。このため在庫の「作り過ぎ」によって不良在庫を発生しやすくするのです。製造業におけるものではイメージしづらいかもしれませんが、食品に置き換えて考えてみてください。製造日からの消費期限が30日間の商品を作り過ぎてしまったら、消費期限が迫ったものは当然廃棄する他ありません。ものづくりの世界ではどのようなモノであれ「作り過ぎ」は必ず不良在庫を生むのです。

各部品や完成品には適切な管理方法があります。温度や湿度を保ったり、保管場所に注意したり様々です。こうした管理方法を誤り「管理不備」を起こすと不良在庫を発生させやすくしてしまいます。

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不良在庫を減らすための方法

適正量を購入することで不良在庫を減らす

大量に購入することでディスカウントなどの待遇を受けられというのはどこの業界にもあります。しかし「安く大量に」買えればいいというわけではないのです。

例えばあなたが1日1本お気に入りのペットボトルジュースを飲んでいるとします。価格は150円です。そしてある日「100本以上お買い上げのお客さんに20%割引」というキャンペーンを目にします。通常なら100本購入して15,000円のところ、今回なら12,000円です。確実にお得です。しかし購入する方は少ないでしょう。

なぜか?その大半が無駄になる可能性が高いからです。

お茶など消費期限が長いものならまだ問題ありませんが、これが例えば牛乳だとしたら確実に消費できません。むしろお茶だとしてもいずれ飽きてしまったりする可能性もあります。

こうしたプライベートでは本能的に避けていることも、会社となると当たり前のように購入しているケースが少なくないのです。

結果、在庫が発生し経営を圧迫することになります。だからこそ、常に仕入の適正量を見極める必要があるのです。

生産管理を徹底して作り過ぎを防止する

在庫の作り過ぎを防止するためには、徹底した生産管理で防止する他ありません。そこで取り入れたいのが各システム連携の取れた環境を取り入れることです。

例えば生産管理システム在庫管理システム、販売管理システムなどで連携の取れた環境があると、常に適正在庫を把握することができます。つまり「いくつ在庫品を作ればいいのか」というのが明確になるのです。

こうすれば自然と在庫の作り過ぎを防止することができ、不良在庫を発生しづらくすることができます。

そしてこうした環境を作るためにはクラウドERPといったソリューションを導入するのが効果的です。クラウドERPとは生産管理システムをはじめ企業経営に必要な各システムを一気通貫で提供し、かつそれぞれが100%の親和性で連携を取っています。

つまり適正在庫を保つための環境を一手に導入することができるのです。

また、企業内のリソースを可視化することができるので、生産サイクルを迅速化して顧客満足度に貢献することもできます。

在庫を適正に管理できる環境を作る

管理不備による不良在庫の発生も、クラウドERPで解決できる問題の一つです。システムで在庫を徹底的に管理することで、製造年月日や管理場所・方法などを常に把握することができます。

こうすることで管理不備をなくし不良在庫を発生させない環境を作ることができるのです。

まとめ

いかがでしょうか?今回改めて在庫管理の考え方について解説してみました。大切なのは在庫の本質を理解し、いかにして不良在庫を出さないかを考えることですね。今回紹介した方法はあくまで一部であり、不良在庫を発生させないためには様々な管理方法が存在します。

今後は管理方法などを中心に解説していきたいと思うので、是非注目してください。

また、不良在庫を発生させない環境づくりとしてクラウドERPを紹介しましたが、クラウドERPのポテンシャルはこれに留まりません。連携の取れたシステムというのは組織全体で業務効率化を生みだしたり、経営判断や意思決定を迅速化させるというメリットも存在するのです。

皆さんの企業で抱えている課題というのはもちろん在庫管理だけではないと思うので、この機会にぜひクラウドERPについて深く知って頂きたいと思います。

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