導入することで様々なIT課題を解決し、企業として強力な経営基盤を構築できる“ERP(Enterprise Resource Planning)”ですが、必ずしも全ての企業がそのメリットを享受できるわけではなく、導入失敗となってしまうケースが少なくありません。
ほとんどの場合が、導入プロセスにおいて重大なミスや見落としがあり、失敗に陥ってしまいます。
そこで今回は、ERP導入成功において重要項目の一つである“目的の再確認”について紹介します。
ERP導入の主な目的とは?
ERP導入の目的は企業によって多種多様ですが、まずはその主な目的をおさらいしていきましょう。
総合的な経営資源の可視化でスピーディな経営
ERPとはそもそも、製造に必要な部品数/在庫数やその他の資源を可視化することで生産計画を最適化するMRP/MRP2から組織全体に発展させたものであり、“経営資源の可視化”という重大な目的を持っています。
各部門に業務システムが点在し、分断された環境から統合的なシステム環境を構築することで、全てのデータを可視化することができるのです。
これにより企業は経営上の意思決定を迅速化し、かつ正確なデータで最適な経営判断を下していくことができます。
横断的なシステム環境で組織全体の業務効率化
従来の分断的なシステム環境では、部門毎に稼働している業務システムを、他部門からアクセスするといった行動が不可能であり、故に“業務のムダ”を生んでしまうことが多々ありました。
例えば営業部門が顧客から発注依頼を受けてから、在庫管理担当者や製造部門に連絡を取り、そこから具体的な納期を顧客に伝えなければなりません。
しかし、全体の連絡を滞りなく行うまでに数日間かかることも多く、レスポンスの低下が深刻な問題として存在しました。
ERPでは横断的なシステム環境を実現し、営業が製造部門のシステムへアクセスし、在庫状況や生産状況などを把握することも可能です。
これにより顧客対応のレスポンスを迅速化するなど、様々な二次的メリットが発生します。
グローバル環境で標準化されたシステムを構築(クラウドERP)
Webベースで提供されるクラウドERPは、グローバル組織全体での情報共有のために導入するケースが非常多くあります。
PCとインターネット環境さえあればERPを導入できるため、迅速に標準化されたシステム環境を構築できるのです。
低コストかつ拡張性/柔軟性の高いシステム導入(クラウドERP)
クラウドERPは専用ハードウェアの設置やソフトウェアインストールが不要であり、ユーザー数に応じてシステム規模が決定するので低コストかつ拡張性の高いシステム導入ができます。
また、製品によっては独自の開発プラットフォームを提供することで、ユーザー企業が自由にカスタマイズできる柔軟性の高い環境を提供しています。
皆さんの企業ではどのような経営課題を持っていますか?それらの課題を上記のような導入目的で解決できるのであれば、ERP導入は非常に有用な選択肢だと言えます。
ERP導入では常に“目的を見直す”ことが大切
ERP導入において目的の見直しが重要なのは、“手段の目的化を回避する“という理由があるためです。
ERPというシステム自体大規模なものなので、カットオーバー(新システムの本格稼働)までの期間が必然的に長期化します。
特にオンプレミスで構築する場合、半年~1年程度かかるのが基本なので、導入プロジェクトを進めていくうちに導入自体が目的化してしまうというケースはしばしば見られる光景なのです。
ERPとはそもそも既存経営課題、特にIT課題を解決するための“手段”です。従って導入自体が目的化してしまうと、課題解決どころか本末転倒な結果が待っていることも少なくありません。
目先の導入プロジェクトに没頭し周囲が見渡せなくなるという事態を避けるためにも、常に導入目的を見直し軌道修正していく必要があります。
KPI(重要業績評価指標)を活用しましょう
導入目的の見直しを行う上で有効的なのがKPIを活用することです。
KPIとはもともと、経営目標を達成するために設定する細かい評価指標ですが、ERP導入においても応用できます。
導入プロジェクトの達成に向けいくつかの評価指標を設定することで、自然と導入目的を見直し、ズレが生じれば即座に軌道修正できます。
KPIの詳しい解説については以下の記事も合わせてご覧ください。
参考:「本田宗一郎が最も重視したKPIとは 〜成功は99%の失敗に支えられた1%だ〜」
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その他ERP導入を成功させるために必要な事とは?
導入目的の見直しというのは、あくまでERP導入を成功させる一つの要素であり、全てではありません。他にも以下のような重要な要素がいくつかあります。
業務の棚卸を行いフィット&ギャップ分析を入念に行う
フィット&ギャップ分析とは、導入するシステムが既存の業務プロセスにどれほど適合し、また逆にどれほどのズレがあるかを分析/評価するための手法です。
基本的にはまず、全ての業務プロセスを棚卸した上で、ERP製品が持つ機能と照らし合わせフィット&ギャップ分析を行っていきます。
パッケージ製品を導入することが多いERPでは、重要業務がフィットしないというケースも珍しくなく、業務プロセスの複雑化やコストの肥大化を生んでしまうケースがあります。
こうした事態を避け適切な製品選定を行うためにも、入念なフィット&ギャップ分析を行うことが重要です。
ERPに関する情報力を高めた上で製品選定を行う
適切なERP製品選定を行うためにはやはり、情報力が重要な要素の一つとなります。導入プロジェクトリーダーや経営者はインターネットやビジネス誌に目を通し、ERPに関する情報武装をした上で選定に臨むことが大切です。
各部門の代表者を導入プロジェクトにアサインする
ERPは経営のための統合システムと理解されることも多いため、経営者の独断で導入することも少なくありません。
しかし、実際はエンドユーザーのためのシステムでもあり、全体を俯瞰した上での導入決断が何よりも重要です。
従って、導入プロジェクトには各部門の代表者をアサインし、組織全体の意見を反映させた上でプロジェクトを進めていく必要性があります。
上記以外にもある導入成功のポイントに関しては以下の記事も合わせてご覧ください。
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“クラウドファースト”も導入成功において重要な鍵に
いかがでしょうか?ERP導入を成功させるためには、目的の見直しや様々な重要ポイントを抑えて導入することが大切です。そして最後に“クラウドファースト”について紹介します。
クラウドファーストとは、システム導入や業務プロセス刷新の際に、クラウドサービスの導入を優先的に考えるという概念です。
欧米を中心に広まった概念であり、国内でも多くの企業がクラウドファーストでERP導入を進めています。
ERPをクラウドとして導入するメリットは、専用ハードウェアを必要としないため低コスト/迅速な導入を実現できることです。
こうしたメリットから特に中小企業におけるERP導入が拡大しています。
そして世界No.1のクラウドERPである“NetSuite(ネットスイート)”は、クラウドERP本来のメリットに合わせ柔軟な開発プラットフォームを提供しています。
これによりユーザーは独自のアプリケーション開発や、管理コードのカスタマイズなどができ、既存業務プロセスに合わせシステムを柔軟にフィットさせることができます。
既存業務プロセスの変更を極力避けることで、リスクの低いERP導入が実現するのです。
また、専任の管理者がいなく開発が難しい企業では、業界ごとに最適化されたテンプレートを使用することで迅速な導入を実現します。
“NetSuite(ネットスイート)”はあらゆる環境にフィットし、多くの経営課題を解決する革新的クラウドERPソリューションです。
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