製造業において設備(以下、プラント)を様々な視点から管理することは欠かせない業務です。これを“保全管理”や“プラント管理”と言います。プラントを管理することのメリットは色々とあり、その反対としてデメリットもあります。
現状として、多くの向上がプラント管理を実施していますが、中には「設備管理台帳を作らずとも、仕様については都度メーカーに問い合わせればよいのでは?」という向上もあります
たしかにわざわざ設備管理台帳を作成せずとも、メーカーに問い合わせれば仕様や修理方法などは分かるでしょう。しかし、設備管理台帳を作成しないことでの弊害もあります。
今回は、プラント管理として設備管理台帳を作成するメリットとデメリットについてご紹介します。
設備管理台帳とは?
設備管理台帳は“保全管理台帳”や“プラント管理台帳”とも呼ばれています。これは文字通りプラントを管理するための台帳であり、様々な項目にて管理します。一般的に次のような項目が含まれるでしょう。
プラントの購入にかかわる項目
購入・契約年月日、導入年月日、稼働開始年月日、購入金額、保守金額、購入・リース金額
プラント自体にかかわる項目
メーカー、型式、製品名、仕様設計
整備にかかわる項目
定期メンテナンス状況、社内メンテナンス状況、点検年月日、点検者
故障・修理にかかわる項目
故障発生年月日、故障内容、暫定対処、修理内容、修理年月日、使用部品、修理金額
保険にかかわる項目
機械向け保険の有無、保険内容
これらの管理項目にて設備管理台帳を作成し、プラントを様々な視点から管理します。
設備管理台帳のメリット
それでは設備管理台帳のメリットからご紹介します。
保全計画を立てられる
プラントを運用するということは、定期的なメンテナンスに対応したり故障があった際に修理対応したり、あるいは予防保全によって故障が発生しないための管理を実施しなければなりません、そうしないと、プラントが停止して生産を大きく遅延させてしまう可能性があるからです。
設備管理台帳があるとこうしたプランと管理をスムーズに実施できます。最後にメンナンスを実施したのはいつなのか?次はいつすべきなのか?こうした保全状況を把握できることが第一のメリットです。
ただしそれだけではありません。保全を実施するということは、そこに大なり小なりコストが発生します。そのため保全計画を経てて保全のタイミングに加えて、支出するコストも把握できるのです。
故障履歴や修理履歴が明確になる
形あるものはいつか必ず壊れます。プラントとて例外ではなく、定期メンテナンスを実施していてもどこかのタイミングで故障が発生することでしょう。その度に修理を実施するわけですが、設備管理台帳が無い環境ではその故障履歴や修理履歴が積み上がらないために、同じ故障の予防や迅速な対処ができません。
反対に設備管理台帳があればプラントごとの“故障の癖”を把握できるので、予防保全を実施したり故障が発生した際に対処を迅速化できます。
使用部品が分かる
プラントの仕様設計や部品については、メーカーに問い合わせれば確認できるものです。しかし、プラントが故障した時間帯が夜でメーカーが対応できない場合はどうするのか?しかもその際に、故障した部品の型式番号が汚れた判別不可能な状態になってしまったらどうするのか?
こうした状況でも設備管理台帳があれば部品は簡単に確認できますし、それが夜だったとしても問題ありません。このように設備管理台帳には予防保全効果を高めるというメリットもあります。
全体としての労働生産性が向上する
以上のメリットから、設備管理台帳があると労働生産性向上が見込めます。メーカーに問い合わせるといっても時間はかかりますし、担当者が在席しているかどうかも分かりません。一つ一つの対処を迅速化することで労働生産性は確実に向上するので、やはり設備管理台帳は欠かせない管理業務です。
[RELATED_POSTS]
設備管理台帳のデメリット
次に設備管理台帳をエクセルで作成したり、紙書類として管理することのデメリットをご紹介します。
最新バージョンが分からなくなる
設備管理台帳をエクセルで作成し、ファイルサーバー上で管理する際にありがちな問題です。プラント管理に関わる技術者数人でファイルを共有するため、それぞれが思ったように設備管理台帳を更新してしまうと、一体どれが最新なのかが分からなくなってしまいます。
ファイルのコピーが生まれてしまったり、違ったファイル名で更新してしまったり、編集中に関係のない個所を削除または改変してしまったりと色々なトラブルが想定できます。そうすると、設備管理台帳を作成した意味はほとんど無くなってしまいます。
ルールを守らない人がいる
設備管理台帳は複数人で管理するわけですが中には管理ルールを徹底してくれない人もいます。プラント管理は何かと面倒の多い業務であり、そこに設備管理台帳があるよより面倒くさいと感じて、次第にルールが守られなくなっていきます。
たとえば紙書類で管理している場合、所定の場所に置いておいてくれないと次に編集する人が台帳を見つけられず、無駄な時間を対やしてしまいます。そうして労働生産性が下がっていくと、コア業務にまで影響を及ぼしてしまいます。
システム連携ができない
設備管理台帳をエクセルで作成したり紙書類で管理している場合、保全システムとの連携は不可能です。そのためプラント管理を徹底して効率化できないため、システムの効果を最大限引き出すことはできません。
以上のように、設備管理台帳を作成してもメリットばかりではありません。デメリットも多く、その側面が大きくなってしまえば業務に様々あ悪影響をもたらしてしまうでしょう。
設備管理台帳のシステム化
設備管理台帳を効率良く管理したり、かつビジネスに高い効果をもたらすためには設備管理台帳のシステム化がおすすめです。つまり保全システム上で設備管理台帳を作成することで、システム連携によって前述したデメリットを打ち消すのです。
設備管理台帳がシステム化されていると、エクセルファイルの共有管理が不要なので「何が最新なのか?」というトラブルは無くなります。システム上にある情報が常に最新の状態なので、バージョン管理を意識する必要はありません。
加えてルールの徹底も行いやすくなります。設備管理台帳を含めてプラント管理のすべてをシステム上で完結できるため、労働生産性が向上しコア業務により良い影響をもたらします。
さらに、設備管理台帳がシステムと連携することで、予防保全効果を最大限に高められます。特に設備管理台帳のデータの分析し、プラント管理に対する通知などをしてくれるシステムならば尚更効果は高いでしょう。
まとめ
設備管理台帳のシステム化にはERP(Enterprise Resource Planning)がおすすめです。ERPは保全システムを含め生産管理システムや調達管理システムなど、あらゆるシステムを一つに統合した製品です。そのため、保全システムはもちろん全体システムのデータを一元管理し、情報活用を促進できます。プラント管理状況を分析して予防保全を実施したり、さらにIoTとの連携が可能な製品もあります。設備管理台帳を作成したり、プラント管理を強化したいというニーズをお持ちの際は、ERPによる解決をぜひご検討ください。
- カテゴリ:
- サプライチェーン/生産管理
- キーワード:
- 生産管理