本稿では数あるオープンソースの中でも、特に大規模なソフトウェアであるERP(Enterprise Resource Planning)をご紹介します。ちなみにERPは、部門ごとに分散している基幹系システムを統合的に提供するソフトウェアであり、情報資源を統合管理したり、業務プロセスを合理化するために欠かせない存在です。
現在では中小企業の導入率も高く、あらゆる業種でERPが注目されています。オープンソースERPならライセンスコストをかけずに導入できるので、本稿でご紹介するソフトウェアにご注目ください。
無料で使えるオープンソースERP 9選
1.ADempiere(エイデンピエール)
Compiereの開発コミュニティが2006年に、開発・提供したオープンソースERPです。Compiereの流れを汲み、新しいオープンソースERPとして話題を集めましたが、現在では多くの開発者がiDempiereに移行しているため、ユーザーは減少傾向にあります。オープンソースERPを導入する場合、コミュニティが活発になっているソフトウェアを導入するのが鉄則なので、導入するならばiDempiereの方がおすすめです。
2.Apache
OFBiz(アパッチオフビズ)オープンソースプロジェクトのパイオニアでもあるApache財団が開発・提供しているオープンソースERPです。Javaが主な開発言語なので、社内でのカスタマイズにも対応できます。さらに、エンタープライズレベルでの機能要件にも対応するため、カスタマイズ次第では中堅企業でも導入可能でしょう。
3.Compiere(コンピエール)
米Compiere社が開発したオープンソースERPです。現在では無料版と有料版の2種が提供されています。Compiereは日本語化されているのが特徴で、日本法人によるサポート(有料)が受けられるのが大きな利点です。サポートにはコストがかかりますが、オープンソースERPは基本的にサポートが提供されていないことを考慮すると安心して導入できるオープンソースERPだと言えます。
http://www.compiere-japan.com/
4.ERPNext(イーアールピーネクスト)
開発言語にPythonを、データベースにMySQLを採用しているオープンソースERPです。近年、クラウドサービスとしての提供も開始され有料化が進んでいます。オープンソースERPとして導入すればライセンスコストはかかりませんし、特別な機能制限もありません。
5.Odoo(オドゥー)
日本国内での導入が活発なオープンソースERPです。クラウドサービスが多数提供されており、日本語コミュニティも活発なので比較的導入の敷居が低いでしょう。高機能ですし日本企業にとって導入しやすいオープンソースERPです。
6.OpenBravo(オープンブラボ)
OpenBravo社が中心になり開発・提供しているオープンソースERPです。日本語コミュニティがいくつか存在していますが、現在では衰退化しているため導入に苦労する可能性があるでしょう。
7.Opentaps(オープンタップス)
Apache OFBizをベースに開発されたオープンソースERPです。ただし、日本語化されておらずコミュニティも活発ではないため、高い導入効果は望めないかもしれません。もしも自社要件にフィットする場合は効果を発揮するため、自社要件を整理した上で検討することが大切です。
[RELATED_POSTS]8.iDempiere(アイデンピエール)
ADempiereの後継にあたるオープンソースERPであり、日本語コミュニティがかなり活発化しているのが大きな特徴です。導入ノウハウもたくさん積み上がっているので、日本企業にとっても導入しやすいソフトウェアでしょう。OSGiの仕様を取り入れることでプラグインでの機能拡張が可能ですJPiereというプラグインは日本企業の商習慣に合わせた機能を実装できるメリットがあります。
https://www.compiere-distribution-lab.net/idempiere-lab/
9.xTuple(エックスタップル)
日本語化は進んでいませんが、世界中のオープンソースエンジニアから指示され2015年にBossie Awardsを受賞したオープンソースERPです。ただし、日本企業にマッチしないケースも多いため、慎重な検討が必要です。
https://www.gennai3.com/xtuple
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オープンソースERPの注意点と、クラウドERP
オープンソースERPは無料で導入できるソフトウェアなので、ライセンスコストがかかりません。しかしながら、サーバー調達や社内インフラの整備、導入後の運用に関してはコストがかかるため、ERP構築の一切をコスト削減できるわけではありません。細かいパラメータ設定なども必要です。
導入後は通常通りの運用負担がかかりますし、オープンソースソフトウェアということでセキュリティへの対応強化も必要です。オープンソースERPに割く社内リソースが必然的に多くなることから、必ずしもオープンソースERPにメリットが集中しているわけではないことを念頭に置きましょう。
また、最近ではERPもIoTとの連携や人工知能/機械学習との連携が必要不可欠な世界になりました。その点においてオープンソースERPはまだ劣っている部分もあるため将来的な製品戦略を見据えた上での導入が必要になります。
一方、クラウドEPRはサービス利用のために課金形式で料金が発生するものの、サーバー調達やインフラ整備も不要になります。加えて自社要件にマッチしたカスタマイズが可能なサービスや最新のトレンド技術の適用もあるため、オープンソースERPには無いメリットがたくさんあります。また、しっかりとしたデータセンターで運用されているケースが多いためセキュリティやコンプライアンス、事業継続性という意味では安心と言えるでしょう。
ERP導入を検討する際は、ライセンスコスト削減だけにとらわれず広い視野を持って、自社にとって最適なERPを選択していきましょう。その際にはOracle ERP CloudやOracle NetSuiteをご検討いただければ幸いです。
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