これだけはおさえておきたいDXと働き方改革の関係

 2020.03.09 

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昨今の多くの企業における経営課題といえば「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」と「働き方改革」でしょう。経済産業省が提起した「2025年の崖」へ刻一刻と近づいており、DXへの推進が遅れている企業はデジタル時代の敗者になると懸念されています。さらに、待ったなしとなった働き方改革関連法案により企業が現時点の労働環境を見直し、積極的に働き方改革へ取り組まなければいけません。いずれの対応にも負担は増すばかりであり、特に中小企業では苦しい現状を強いられているのではないでしょうか?

本記事では、DXと働き方改革の関係についてお話します。プロジェクトの並走が難しい企業でも、DXと働き方改革へ個別に取り組むのではなく、適宜クロスオーバーさせることで双方の効率的な実現を目指せるかもしれません。

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DXとは?

まず、DXとは何か?これはスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱したとされる「デジタル技術の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる(The digital transformation can be understood as the changes that the digital technology causes or influences in all aspects of human life.)」が最初の定義だとされています。これ以降、さまざまな学者や調査機関等がDXについて定義しており、最終的に経済産業省のDXレポートではIDC Japanが提唱する以下の定義を掲載しています。

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

 

出典:経済産業省:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

エリック・ストルターマン教授の定義から大きく変化し、DXは第3のプラットフォームを利用しながら製品やサービスはもとより、ビジネス・モデルの改革を通じて顧客に新しい付加価値を提供し、かつ競合優位性を手にするための取り組みと定義されています。

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働き方改革とは?

働き方改革は文字通り、既存の働き方を変えるための取り組みであり、もともととは「一億総活躍社会」の実現に向けて多様な働き方を提案し、老若男女がハンデの有無に関わらず活躍できる社会に向けた取り組みです。2016年9月より、第3次安倍第2次改造内閣のもとプロジェクトが始動しました。

安倍晋三首相の諮問機関として働き方改革実現会議が設置され、加藤勝信厚生労働大臣を働き方改革担当大臣に任命し、かつ十数名の有識者を集めて計10回の会議が開催されました。最終的に「働き方改革実行計画」が決定されました。その後2018年1月、働き方改革関連法案が国会の最重要法案の1つとして位置付けられ閣法として提出されました。6月29日、参議院本会議にて算数多数で可決され、成立します。

この働き方改革関連法案は2019年4月より施行され、大企業と中小企業を対象にさまざまな法案が順次適用されます。

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最も大きな柱と捉えられているのが「時間外労働の上限規制」と「同一労働同一賃金制度」です。前者は、これまで青天井だった時間外労働の上限規制を明確に指定し、それを超えての労働は罰則を受けることになります。後者は正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差を無くす目的で施行され、企業は同じ知識・技術・経験を持つ労働者の待遇を均一にする必要があり、非正規雇用労働者に対して待遇に対する説明強化義務が生じます。

従って、企業は働き方関連法案へ対応するためにさまざまな対策を考慮しながら、既存の労働環境を見直して新しい働き方を実現し、経営課題の解決を検討しなければいけません。

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DXと働き方改革の関係

IDC Japanの定義では「第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して~」と定義されていますが、必ずしもそれらを利用する必要はありません。大切なのは、経済産業省が提起している「技術的負債」を解消することであり、日本企業の多くは何らかのDXを推進しなければIT維持費用がIT予算の9割以上に達し、「攻めのIT投資」が不可能になると言われています。これに働き方改革を掛け合わせることで効率的なプロジェクト推進が期待できます。

その一例として、近年注目されているRPA(Robotics Process Automation)があります。RPAの仕組みは理解されにくいところも多いですが、簡単に言えば「パソコン作業を代行してくれるロボットソフトウェア」です。開発者が定義したプログラムとトリガーに従って、自動的にパソコン処理を実行します。主に手入力で転記しなければいけなかった作業を自動化してくれたりと、大幅な業務効率化が見込めます。RPAは技術的負債を抱えているITシステム環境において、リソースを生み出すためのツールとしても注目され、さらには働き方改革における業務効率化も実現できます。

もう1つ注目のITがERP(Enterprise Resource Planning)です。ERPは技術的負債を抱えているITシステムにおいて、シンプルかつあらゆる業務システムが統合された環境を用意に構築できます。IT維持費用が大半を占める既存のレガシーシステムと業務プロセスを刷新し、ERPを導入することで劇的に変化するビジネス要件にも対応できる柔軟性の高いITシステムを構築できます。また、ERPによって各業務システムが連携することで、すべてのデータが血液のように循環し、必要なデータを必要なプロジェクト・業務・部署で適切に活用できるようになります。つまり、業務効率が大幅に向上し、同時に働き方改革も実現できます。

このように、DXと働き方改革は個別のプロジェクトとして推進するのではなく、一体の取り組みと考え、「どういったITツール・ITシステムを導入することが有効か?」を考えることが大切です。現在ではクラウド型サービスも充実し、前述のITツール・ITシステムを導入するためのハードルも随分低くなりました。また、毎月固定の費用によって予算編成も組みやすく、経費としてシンプルに処理できます。

DX及び働き方改革へ取り組む際は、広い視野でこれらのITツール・ITシステムを検討し、自社にとって適切なものを選択しましょう。

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