商品管理の現場では日々効率化が求められています。管理にかかる人件費というのは実はかなり大きなものですので、上手く効率化できれば管理コストのダウンに繋がり、利益率を上げることが可能です。
そんな商品管理現場における効率化のトレンドと言えばRFID。IDの組みこまれた無線タグによって管理業務を効率化することができます。
今回はこのRFIDについて紹介していきましょう、
RFIDとは何か?
RFIDを噛み砕いて説明するとスキャナーから電波を発し、タグ情報を読み取ることで商品を認識することができるシステムです。つまり、通常のバーコードスキャナーではタグを一枚ずつ読み取り、商品を認識していく必要があります。
一方、RFIDでは一枚ずつ読み取る必要はなく、無線電波がタグ情報を読み取れる範囲内にあれば複数の商品を同時に認識することができるのです。
この特徴だけでも商品管理が大幅に効率化できることが分かりますね。しかしRFIDを導入するメリットはそれだけではありません。
RFIDを導入で実現できること
"無線電波でタグ情報を読み取る”ということが商品管理にもたらすメリットについて紹介していきます。
棚卸業務が1/10の時間で完了する
月次(会社によっては週次、日次)で行わなければならない棚卸業務ですが、通常業務と並行して行うことが多いので負担が大きくなり業務に支障をきたしたり、丸1日かけても終わらないことも珍しくありません。
棚卸業務を効率化することができれば、実は1ヵ月のうちでかなりの業務時間を削減することができます。
RFIDでは通常のバーコードスキャナーに比べて一枚ずつ読み取る必要はなく、無線電波の射程圏内にあればタグ情報を読み取ってくれます。つまり一枚ずつ読み取る必要はないので、棚卸業務の時間を1/10に削減することも難しくないのです。
検品、出荷業務の効率化
商品納入時は必ず検品作業を行うわけですが、段ボールを開封し一つずつバーコードリーダーでスキャンしていくという作業が必要です。棚卸業務と同じで、この検品業務も意外と時間のかかる作業の一つですね。
RFIDなら一つずつ読み取る必要もなく、段ボールを空ける必要すらなくタグ情報を読み取ってくれます。
また、出荷時も梱包後に一括でタグ情報を読み取ればかなり時間を効率化できるでしょう。読み取ったタグ情報から伝票発行するシステムがあれば、伝票作成作業まで効率化できます。
オンラインとオフラインの在庫一括管理
顧客の購買行動の大半がデジタル上に移行した現代において、実店舗とオンラインショップを同時に運営していることは今や当たり前のことです。こうしたビジネスモデルで度々問題になるのが在庫問題ですね。
つまり実店店舗用とオンラインショップ用に在庫を抱えなければならなかったり、一括管理していても双方の在庫状況が合わなかったりなど様々な問題が発生します。
こうして適正在庫が保てなくなるとキャッシュフローが悪くなったり機会損失も生まれてしまうので、経営的な打撃は避けられません。
RFIDを導入し在庫管理をシステム化することによって、オンラインとオフラインの在庫一括管理も適切に行えるようになります。読み取ったタグ情報をリアルタイムに反映できるシステムがあれば、在庫情報が一致しないという問題も防げるでしょう。
米国の大手百貨店であるMacy'sはRFIDの導入し、オンラインとオフラインの在庫を統合したことで、大幅な在庫圧縮を実現しています。
情報タグが汚れても読み取れる
商品管理の現場では情報タグが何らかの原因で汚れてしまう、読み取り困難になることも少なくありません。これは管理者のストレスと管理時間の増大を生んでしまっている原因でもあります。
RFIDはバーコード情報を読み取るわけではないので、欠損していない限り多少の汚れでも問題なく読み取れ、ストレスと管理時間の増大なく作業が進みます。
RFIDを導入するメリットは他にも色々とありますが、大切なのはメリットを享受するためではなく、自社課題を見つめあくまでそれを解決するために導入するという意識です。
また、メリットばかりに目が行ってしまい、注意点を見逃してしまう危険性があることも意識する必要があります。
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RFID導入の注意点
メリットがあればデメリットもありRFIDも例外ではありません。ここではRFIDを導入する上での注意点について紹介していきます。
バーコードに比べてコストが高い
タグに情報を印刷するだけのバーコードと、IDを埋め込むRFIDではやはり後者の方が導入コストが高くなります。種類にもよりますがタグ1枚にかかるコストが数円程度違うので、総合的にかなり管理コストに差が出ます。
環境によっては読み取り精度が下がる
無線電波を使用しているので金属の多い環境にはやはり弱く、読み取り精度が低下する恐れがあります。環境によってはバーコード管理が最適な場合もあるので事前に検証しておくことが大切です。
管理意識にスキが生まれやすい
RFIDではタグ情報を一枚ずつ読み取る必要がなく、移動しつつスキャナーを近づけるだけで読み取りができます。しかしだからこそ隙が生まれやすくもあるのです。
例えばRFIDを過信して棚卸業務を行った場合、万が一読み取り漏れがあったとしてもそれに気付かない可能性があります。こうしたちょっとした管理ミスが後々大きく響くので、管理者は注意が必要です。
RFIDを導入しても管理ルールをしっかりと作り、それを徹底させる環境が必要でしょう。
無線LANとの干渉
今やどこの店舗でも無線LANを設置していることでしょうが、RFIDは無線電波を使用したシステムですので無線LAN電波と干渉してしまう恐れがあります。これにより読み取り精度が悪くなったり正常に読み取らないという可能性もあるので、やはり事前に検証が必要になります。
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RFIDを活かした統合的なシステム環境
RFIDによって商品管理は大幅に効率化することができますが、さらに上の効率化を目指すのであればやはり統合的なシステム環境が欠かせません。つまり、各業務システムで連携が取れており、かつそこにRFIDを絡めていくことで総合的な管理環境を整えていくのです。
こうした環境を整えるためには、やはり「NetSuite(ネットスイート)」をはじめとしたクラウドERPといったソリューションを導入していく必要があります。クラウドERPとは商品管理システムや販売管理システムなど、複数のシステムを一気通貫で提供するソリューションです。
各システムは予め連携が取れているので、カスタマイズもネットワーク整備に必要ありません。かつ初期コストを押さえて運用管理業務もないので効率化に最適な環境を整えることができます。
こうした統合的な環境にRFIDを組み込むことができれば、商品管理だけでなく組織全体の管理業務を効率化することも可能です。
まとめ
いかがでしょうか?RFIDを導入する上での課題はまだまだ残されていますが、やはり導入によって得られるメリットは大きいのが事実です。従って導入課題と向き合っていく価値は十分にあると言えるでしょう。
大切なのは導入目的をはっきりとさせることと事前の検証です。皆さんもRFIDで商品管理及びその他の管理業務を効率化してみてはいかがでしょうか?
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