予算管理を取り入れたはいいが、ただ管理するだけで経営情報を活用できていないというケースにはまっていないでしょうか?予算管理を行う企業の多くがこうした事態に陥ってしまい、予算管理本来の意義を見失っています。
システムとして予算管理を導入したにも関わらず、管理するだけで終わっている企業もあるでしょう。せっかく予算管理システムを導入しても正しく活用できなければ「もったいない」という言葉が尽きません。
そこで今回は、予算管理について皆さんに、改めて理解していただきたいと思います。また、予算管理システムとは何か?その点についても触れていきましょう。
「予算管理」とは?
予算管理は経営管理の一つとされ、企業の活動目標を定める上で重要な役割を持ちます。しかし、これはあくまで基本的な役割であり、予算管理にはさらに深い目的があることを理解していなければなりません。
予算を設定する目的
予算管理について理解するには、予算を設定する目的を知ることが最も近道です。
皆さんの企業では「予算」を何のために設定しているでしょうか?あるいは、特に目的を設定することなく、事業や部門ごとに使用できる経費を振り分けるためだけに活用してはいないでしょうか?
予算を設定する目的は実に様々なものがありますが、一般的には次のような目的があげられます。
- 活動目標を設定する…目標利益を達成するために必要な諸経費の上限
- 目標達成の計画を立てる…目標利益を達成する上で必要な経費はどれほどか?また、それは十分な金額か?を考える
- 経営戦略の浸透…予算編成を行う段階で経営戦略を従業員に伝える
- 責任の所在を決める…どこに、誰に予算を割り当てるかで責任の所在をはっきりとさせる
- 目標と実績の差異分析…予算計画に対し実際の予算を分析することで、成功率を割り出す
- 責任者を評価する…与えられた予算内で目標達成ができているかを評価する
このように、予算には案外多くの設定目的があります。つまり予算管理も、単に予算を管理するための業務ではありません。
予算の管理に始まりその後の評価や課題発見、さらには改善計画を行い経営戦略を実現していくことが、予算管理なのです。
予算ができるまで
予算編成の方法は多様であり、企業よって編成方法が存在すると言えます。ここでは、すぐにでも始められる簡単な予算編成について紹介します。
1.部門別に計画損益計算書を作成
計画損益計算書とは、その名の通りこれから予想される損益を計算した書類です。例えば売上100万という目標に対し諸経費が50万円必要なら、予算は50万円ということになります。
まずはこの計画損益計算書を部門ごとに作成しましょう。初めて計画損益計算書を作成するという場合は、昨年の損益計算書を部門ごとに割り当ててもいいでしょう。
また、部門ごとに予算を決定するということは、そこの責任者が予算を自由に使っていいということになります。従って予算は科目ごとに分類して、分類されない予算は「予備費」として計上しておきましょう。
部門ごとの目標は、責任者が達成すべきノルマです。
2.今後の行動計画を立てる
次に、計画損益計算書の目標数値をもとに、部門責任者に今後の行動計画を立ててもらいます。行動計画は主に一期・半期ごとに立てるのが一般的です。責任者が立てた行動計画をもとに、それを金額にするとどれくらいかを算出して計画損益計算書を修正してもらいます。
3.部門別計画損益計算書を合算および修正する
各部門の計画損益計算書が揃ったらそれを合算します。その数値が、一定期間企業が業績を上げていくための予算(仮)となります。この情報を基準に目標利益や資金繰りについて考えることで、予算が妥当であるかを考えます。
必要に応じて計画損益計算書の修正を行い、再度部門責任者に落とし込み、繰り返し調整を行っていきます。こうすることで、具体的な経営予算の完成です。
この予算編成の方法なら、初めて予算編成を行う企業でも比較的容易に、具体的な予算計画を立てることができるでしょう。ただし前述したように、予算編成方法は企業によって多様に存在するので、ここで紹介した方法に縛られず自社に合った予算編成方法を見つけることも大切です。
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予算管理システムで出来ること
初めて予算管理に取り組む企業でも、すでに取り組んでいる企業でも、予算管理システムを導入することで様々な業務を効率化することができます。予算管理システムは正しい予算管理をサポートし、かつ複雑な管理を効率的に行えるよう機能設計がなされているのです。
予算計画の自動化
予算管理システムの中核が「予算計画の自動化」です。もちろん、システムが全ての予算を自動的に管理し、予算計画を決定するわけではありません。予算管理を行うのはあくまで人なので、予算管理システムはそれをサポートするためのツールとなります。
では何が自動化なのかというと、部門ごとに項目別で予算計画に関連する情報を入力したり、その情報を自動収取して総合予算計画として反映させ、予算管理を大幅に効率化することができます。
また、入力項目をカスタマイズしたり、事業や部門ごとに特化したインタフェースを用意することも可能です。こうした柔軟性の高さも予算管理システムの利点であり、業務効率化ポイントでもあります。
リアルタイムなモニタリング
予算編成を組み、部門ごとの予算と目標が決定したら、次にそれが正しく達成されているかを監視する必要があります。もしも「計画した予算が足りない」なんてことがあれば、早期段階でそれを察知し予算を再編成する必要があるのです。
そのために予算管理システムはモニタリング機能を提供しています。各部門の予算使用状況と目標達成状況を監視することで、問題点を事前に察知し即座に対応できるようにしているのです。
評価、フィードバックの仕組み
予算管理において何よりも重要なことは「評価とフィードバック」です。予算編成をもとに施策を展開しても、それが効果を発揮しているかどうかを評価しなければなりません。部門責任者や現場担当者からのフィードバック環境が整っていることで、改善点をいち早く把握することができます。
こうした評価とフィードバックの仕組みを構築するのは、一朝一夕で出来るものではありません。特にフィードバックにはITツールを取り入れなければならない場合も多く、企業にとって負担になっているのです。
その点予算管理システムでは、評価とフィードバック、2つの環境を同時に手にすることができます。また、ERP(統合基幹業務システム)として導入することでさらに詳細な評価を行えるようになり、経営者はリアルタイムに経営情報やフィードバックを確認できます。
このように予算管理システムは予算管理を効率的に行ったり、継続的なPDCAサイクルを実現するために必要なITツールですが、何事も「運用次第」ということを忘れてはいけません。
運用方法一つで予算管理システムのメリットを最大限に引き出すことも、潰してしまうこともあるのです。
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まとめ
これを機に、皆さんの企業でもぜひ予算管理を取り入れてみてはいかがでしょうか?目標と進捗が明確になることで、部門ごとに経営戦略を達成しやすい環境を整えることができます。また、これを実現するための予算管理システムの導入もぜひご検討ください。
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- 経営/業績管理
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- 予実管理