巷に存在するベンチャー創業者の集まりを見て思うことがあります。決して、それ自体が悪いとは思いません。
起業家同士、士気を高めあうのもいいでしょう。起業家にしかわからない苦しみを分かち合うのもよいでしょう。
そういう時期もあるでしょう。
でもやはり、ベンチャーがベンチャーと付き合っていても成功はないと思うのです。
なぜなら、起業家は大きく成功するために起業したはずであり、起業家の9割は失意のうちに消えていきます。
数多くいる起業家の中でもほんの一握りの特異な存在だけが成功するのです。
一緒に傷をなめあっている時間はありません。まわりが3回やるのならば、あなたはその100倍、300回やる必要があるのです。
最悪なのは、大企業に相手にされないのでベンチャー企業同士で取引を始めることです。お金がない者同士が取引をしてもじり貧になるだけです。
限りある時間、その時間は別のことに使いましょう。死に物狂いで大企業開拓をしましょう。
成功した企業は、その過程で必ず外部の大きな力を借りています。
それは、有能なベンチャー・キャピタルであり、銀行であり、政府であり、大企業です。同じ境遇の身近なベンチャー企業の力で成功した人はいません。
私が言うのもなんですが、成功は綺麗ごとではありません。
他人の人生を背負い、泥だらけになって這いずり回る先に成功があるのです。
今苦しんでいるのは資金調達ですか?
ほとんどすべてのベンチャー起業家が創業当初の資金調達で苦しみます。ベンチャー・キャピタルに一刀両断に断られてあきらめていないでしょうか。
- そのベンチャー・キャピタルがどんな案件に投資をしているか調べましたか?
- そのベンチャー・キャピタルがどんなポイントを見ているか食い下がりましたか?
- そのベンチャー・キャピタリストと個人的に関係を作れていますか?
- そのベンチャー・キャピタリストがなんの曲を聴いているか知っていますか?
- そのベンチャー・キャピタリストに何人子供がいるか知っていますか?
- そのベンチャー・キャピタリストが根を上げるまで追いかけまわしましたか?
大企業に対する営業も、銀行からの借り入れも、全部同じだと思うのです。きれいごとで通用する世界はありません。
だからこそ、起業家は他のベンチャー企業同士に貴重な時間を使っている時間はありません。大きな力に食い込むことにその時間を使うべきです。
- メールが来なくてあきらめていませんか?出向いて直筆メモを受付に渡しましたか?
- 電話が通じなかったら会社の前で出てくるのを待ちましたか?
そして、たとえ何も得ることがなくても、時間をとって話を聞いてくれたことに精一杯の感謝の気持ちを伝えましたか?
泥だらけになってもいいから、人より一歩先を行ってみましょうよ。
その道は一人きりでしょう。寂しくて苦しいでしょう。
でも、間違いなく、あなただけの道になります。
[RELATED_POSTS]著者紹介
齋藤 和紀氏
(Kii株式会社 ファイナンス・ディレクター兼コントローラー)
2013年9月Kii参画。以来、成長期にある同社の管理部門全般を統括。シリコンバレーを主とした海外投資家、シリコンバレー大手IT企業からの資金調達をリードし成功させている。それ以前には、米大手石油化学メーカーの国内10社以上の経理業務を統括する国内グループの経理部長や、米系コンピューター会社日本法人のファイナンスマネージャーの要職を歴任し、成長期や過渡期にある企業を財務経理のスペシャリストとして支えてきた。2008年には金融庁国際会計調整室において政府のIFRS採用計画策定に参加。早稲田大学卒、同大学院ファイナンス研究科修了。
Kii株式会社について
Kii株式会社は日本発のグローバルなIoTプラットフォーマーとして注目のベンチャー企業です。同社の中核サービスである「Kii Cloud」IoTプラットフォームや同社が北米を中心に展開する「Space」IoTエコシステムは、世界中の大企業からスタートアップに至るまで、様々なIoT製品やモバイルアプリを支えるツールとして利用されています。シリコンバレー、東京、上海、香港、台湾、スペイン、ロンドンにメインのオフィスを置き、グローバルに事業を展開しています。Kiiは業務革新にも最先端技術を積極採用、シリコンバレースタンダードのクラウドERPであるネットスイートが急成長するKiiの事業基盤を支えています。
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