顧客管理システムの普及が本格化してからというもの、導入に失敗してしまう企業が後を絶ちません。多くの場合は「顧客管理システムを入れれば営業活動が効率化する」という思い込みと、正しい導入手順を踏んでいないことにあります。
失敗しない導入を目指すのであればまずは正しい導入手順を知り、導入後の運用計画もしっかりと立てておくことです。
そこで今回は導入までのステップについて紹介していきたいと思います。
顧客管理システムの導入までのステップ
導入目的を明確にする
基本中の基本ですが、顧客管理システム導入の成否を左右する大きな要素だからこそ、導入目的をはっきりと明確化する必要があります。もしも「営業活動を効率化する」といった抽象的な目的で進めているのなら要注意です。
目的はもっと具体的に、かつ整合性の取れたものでなくてはなりません。
「エクセル管理によって担当者ごとに属人化している顧客情報を全体で共有し、満足度の高いサービスを提供する。」くらいピンポイントで構いませんので、導入目的を細かく明確にしましょう。
現状課題を洗い出し要件を定義する
目的が定まったら営業活動における現状課題をすべて洗い出します。それに対し優先順位を付け、率先して解決すべき課題をいくつかピックアップしましょう。
顧客管理システムの要件定義はピックアップした課題をもとに考えていくわけですが、もしも前作業なしに要件定義を始めると不必要な機能まで盛り込んでしまう可能性があるので、失敗の確率が上がってしまいます。
ですのでしっかりと現状課題を洗い出し、優先順位を付けた上で要件定義に入ってください。
導入担当者もしくは導入チームを作る
顧客管理システム導入において担当者もしくは導入チームを作るのは非常に重要です。人材リソースが不足しているとしても、できるだけ専任として担当者を指名しましょう。
導入ではマニュアルの作成や環境整備などかなりやることが多いので、本来業務の片手間で完璧にこなせるようなものではありません。万が一兼任で導入を進めさせると顧客管理システム導入も本来業務も中途半端になってしまい、トータル的にマイナスな結果になりかねません。
それでも人材リソースが不足しているから仕方ないという場合は、導入チームを作り負担を分散させましょう。
導入範囲を明確にする
顧客管理システムの導入失敗ケースが意外と多いのが、いきなり全社的に導入してしまうということです。メリットを知り全社的に導入したくなる気持ちは分かりますが焦りは禁物です。
そもそも、顧客管理システムが全社的に必要なシステムかどうかと言われれば、必ずしもそうとは限りません。むしろ導入範囲を明確にしておく方が運用が回ることが多いでしょう。
導入後にそれでも全社的に導入したいというのであれば、徐々に拡大していけばいいだけの話です。
要件から製品をピックアップする
導入範囲を明確にしたらいよいよ製品選定ですが、ここで注意して欲しいのは徹底的に機能要件をもとにした製品をピックアップするということです。この時点でコスト面を気にするとその分選択肢が絞られてしまうので得策ではありません。
ですので、コスト面は気にせずにとにかく機能要件にマッチした製品をピックアップしていきましょう。
よく「機能要件にマッチしているならできるだけ低コストのものを」と製品を選びがちですが、実際に利用してみるまでどの製品が自社にマッチするかは分かりません。こういった点からも、まずはコスト面を考えずにピックアップしてください。
レビュー対象を明確にして試用する
製品をピックアップしたらそれぞれを試用していくわけですが、ここでレビュー対象を明確にしておきましょう。つまりいくつかの評価項目を設定し、各製品の導入効果を測定していくわけです
例えば導入目的が「エクセル管理によって担当者ごとに属人化している顧客情報を全体で共有し、満足度の高いサービスを提供する。」ならば、1週間の平均情報量や月末のフォロー案件数などを評価項目に入れるといいでしょう。
こうした評価項目を作れば導入効果の測定を簡素化し、自社に最適な製品をより選びやすくなります。また、評価をしっかりと数値化することが重要です。
[RELATED_POSTS]最低でも2週間~1ヵ月は試用する
試用を開始したら最低でも2週間から1ヵ月は実際に使用し、評価する必要があります。1週間やそこらでは完全に評価することは難しいのである程度の期間はやはり必要でしょう。
これも社内でどれくらいの期間で評価するかをしっかりと定めることで、時間の効率化を図ってください。
ベンダーのセキュリティ体制を確認する
サイバー攻撃が深刻化している現代において、システムのセキュリティ性は最重要項目と言ってもいいでしょう。万が一、情報漏洩事件にでもなれば企業としての信頼は崩れ経営的大打撃を受けてしまいます。
特に顧客管理システムは最も守るべき顧客情報を管理するものですのが、セキュリティの重要性も必然的に高くなります。
オンプレミスで導入する場合はベンダーというよりも社内のセキュリティ対策に依存しますたが、クラウドサービスとして顧客管理システムを導入する場合はベンダーのセキュリティ体制をしっかりと確認しておきましょう。
- SSL暗号化通信やファイアウォールなど基本的な対策は取れているか?
- その上で多層防御システムや改ざん検知システムなどより高度な対策はあるか?
- データを保管するデータセンターの物理的セキュリティや耐震性などは完璧か?
などなど、セキュリティ要件の確認事項は意外と多くあります。現在では大企業だけでなく中小企業もサイバー攻撃の対象となっているので、それだけに慎重さが必要です。
既存データをCSV形式にまとめておく
既存の顧客情報を顧客管理システムへとインポートするには、データをCSV形式でまとめておく必要があります。導入後になってまとめ始めると各担当者の都合との兼ね合いでなかなか業務が進まないので、導入前にすべてまとめておきましょう。
導入に対し社員の理解を得ておく
最後に重要なのは、顧客管理システム導入の前に社員の理解を得ておくことです。営業マンの中には現状の管理方法で十分と考えている人や、環境を変えることに抵抗がある人も多いかと思います。
そういった営業マンがいるということを認識した上で導入しなければ、社員のストレス源になり労働生産性を低下させるばかりか、最悪の場合導入自体が失敗に終わりかねません。
従ってなぜ顧客管理システムを導入するのか?どういったメリットがあるのか?導入することで何が変わるのか?など、導入前にしっかりと社員の理解を得るよう勤めてください。
環境の変化によるストレスを少しでも戒厳できれば、結果は大きく違ってきます。
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まとめ
いかがでしょうか?今回紹介したように顧客管理システム導入のステップは決して楽なものではありません。しかし失敗しない導入を実現するためには不可欠なことです。
今後顧客管理システム導入を検討している企業では、ぜひ参考にしていただければと思います。
また、顧客管理システムを導入するということは企業的に成長してきた証拠でもあるので、ERPソリューションの導入も視野に入れておくといいでしょう。ERPソリューションとは顧客管理システムを始め、会計管理システムやマーケティングなど、経営に必要な基幹系システムを一気通貫で導入するためのソリューションです。
その中でも「NetSuite(ネットスイート)」は、クラウドならではのメリットを最大限に活かし、中小企業から海外拠点があるような規模の会社までを網羅できるソリューションです。各システムが連携されている環境を整えることは非常にメリットが多いので、ぜひ検討してみてください。
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