組織の業務効率や生産性を高めるアイデアや方法はいくつかありますが、バックオフィス改革もそのひとつです。バックオフィス業務の改善により、業務効率化や生産性向上、コスト削減などさまざまなメリットを得られます。本記事では、バックオフィス業務の概要や効率化する方法、得られるメリットなどについて解説します。
バックオフィス業務とは
「バックオフィス業務」とは、裏方として組織の運営を支える業務を指します。業務そのものは直接的な利益の創出につながりませんが、フロントオフィスをバックアップする重要な仕事です。
なお「フロントオフィス」とは、営業や窓口業務など、顧客と直接的に関わり合う業務を指します。組織の利益に直接的な影響を及ぼす重要な業務であり、バックオフィスのサポートを受けつつ業務を遂行します。
バックオフィス業務には、組織のお金を管理する経理や、資金調達・財務戦略を担う財務、人材の採用・育成や入退社手続きを担当する人事などがあります。また、電話対応や資料の作成、各種事務手続きなどを担う一般事務も、代表的なバックオフィス業務といえるでしょう。
バックオフィス業務の改革が必要な理由
バックオフィス改革が必要な理由として、業務量の多さが挙げられます。例えば、人事部門の採用業務では、応募者の選考や面接日程の調整、面接の実施などがあるほか、労働条件通知書の交付や各種保険の手続きなど、さまざまな作業が発生します。
一般事務においても、取引先や顧客への対応をはじめ、データ入力や資料作成、必要書類の印刷・配布など、担うべき業務は多々あります。業務量が多すぎると、必然的に従業員へ大きな負担がかかってしまい、集中力やモチベーションの低下を招き、ミスの発生にもつながります。
また、バックオフィス業務のIT化やペーパーレス化が進んでいないと、テレワークにも対応できません。「新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入したものの、バックオフィスが未対応なばかりに書類提出のためだけに出社している」といったケースも起こりえるのです。
上記のような事情により、バックオフィス改革が求められています。業務効率化を図ることでミスの抑制につながり、コスト削減やテレワークへの対応が可能です。
バックオフィス改革を成功させるには、業務を標準化したうえで効率化を進めるのがポイントです。1日決算を目指しているOracle社では、業務を簡素化したうえで標準化→集中化に取り組み、さらに自動化ソリューションを導入し、コロナ禍の中で決算日程を短縮することに成功しました。
[RELATED_POSTS]バックオフィス業務を改革する方法
ここからは、バックオフィス業務を改革する具体的な方法についてご紹介します。すでにバックオフィス改革で成果を得ているOracle社の基本原則をもとに解説します。
社内向けチャットボット
「社内向けチャットボット」は、社内から寄せられた問い合わせにボットが回答するシステムです。頻繁に寄せられる質問に対する回答を用意し、AIがキーワードから適切な答えを導き出して対応します。
毎回同じ内容の質問や問い合わせに対応するのは非効率です。担当者の手がふさがってしまい、重要な問い合わせへの対応もできません。担当者に大きな負担がかかり、ストレスの原因にもなるでしょう。
チャットボットを導入すれば、このような事態を回避できます。担当者の代わりにチャットボットが対応するため、負担を軽減しつつ業務効率も高められます。また、自動対応であれば担当者の知識やスキルに依存することなくスピーディーに対応できるうえ、営業時間外でも対応が可能なため、属人化の防止や対応の均質化、時間外労働の是正や人件費の削減などにも寄与します。
ERP
「ERP」は「Enterprise Resource Planning」の略で、組織が有するリソースやデータを1つのプラットフォームで管理できるシステムです。人事や財務、生産、顧客管理などのデータを1ヶ所に集約でき、オンラインを介して部門間で共有できるのが特徴です。
従来では個々の部門に最適化したシステムを導入し、データの管理を行うスタイルが主流でした。これにより各部門で扱うデータの形式が異なるなど、情報の共有がしにくい状態だったのです。そのため、人事部から総務部にデータを送る場合、データを加工して送信したり、プリントアウトして手渡ししたりと余計な手間を要していました。
ERPを導入すれば、上記のような手間がなくなります。オンラインでスピーディーに情報を共有でき、データ加工やプリントアウトの必要もありません。必要な情報にもすぐアクセスできるため、バックオフィス業務の効率化を図れます。
バックオフィス業務を改革するメリット
バックオフィス業務を改革するメリットとして、生産性の向上が挙げられます。また、人的ミスやコストの削減、リスクの軽減といったメリットもあります。以下で詳しく見ていきましょう。
生産性の向上
定型作業の自動化ができれば、浮いたリソースをコア業務に投入できます。たとえば、チャットボットでよくある質問への対応を自動化すれば、担当者は重要な問い合わせにより注力して対応を行えます。
少ない人員で効率よく業務を遂行できる環境が整い、生産性の向上効果が期待できるのは大きなメリットです。人員を減らしても今までと同じ、もしくはそれ以上の成果が期待できるでしょう。リソースをより有効に活用できるようになり、採用や育成など強化したい業務へ人材や時間を投入できるのもメリットといえます。
人的ミスの削減
データの入力ミスや漏れといった人的ミスは、バックオフィス業務につきものです。ミスが生じると二度手間が発生するばかりか、データの信頼性を損ねるおそれもあるため注意しなくてはなりません。
データの集計や入力といった業務を自動化できれば、上記のようなリスクを回避できます。システムが自動的にデータの収集や入力を行うため、人間のように不注意や集中力の低下などでミスを生む心配がありません。
コストの削減
バックオフィス業務では、さまざまな書類を使用します。請求書や見積書、納品書など、業務で用いる書類の種類は多々あります。これらの書類を電子化し、ペーパーレスを実現できればコストの削減につながります。
各種書類を電子化すれば、そもそも印刷の手間が発生しません。そのため、インク代や用紙代、印刷に要する時間コストを削減できます。また、オンラインを介して請求書のデータを送信することで、郵送の手間や費用も抑えられます。
そのほか、ワークフローシステムで社内申請や承認のフローを電子化するのも、コスト削減に有効です。その都度書類を作成して申請・承認を得る、といったプロセスを簡略化でき、人的コストや時間コストの削減につながります。
リスクの軽減
リスクの軽減につながるのもメリットです。海外に拠点を展開している場合、現地の様子を事細かにチェックするのは困難です。目が行き届きにくくなるため、必然的に不正が発生するリスクがありますが、ERPの導入により回避が可能です。
ERPを導入すると、リソースの動きをプラットフォーム上で管理できます。資金や人材がどのように使われているのかを可視化できるため、不正の抑制につながるのです。
また、ERPは経営状況の可視化も可能です。売上の推移や人材の活用状況などを把握でき、リスクが顕在化する前に適切な経営判断を行えます。これらの情報はリアルタイムで確認できるため、海外に事業展開している企業にも適しています。
まとめ
バックオフィス改革に取り組むことで、コスト削減や生産性向上、リスク軽減などさまざまなメリットを得られます。従業員の負担軽減や満足度向上にもつながるため、これを機会にバックオフィス改革に取り組んでみてはいかがでしょうか。
「Oracle Fusion Cloud ERP」は、バックオフィス改革に有効なERPソリューションです。クラウドゆえ速やかな導入と運用が可能で、あらゆる規模の組織に適しています。バックオフィス改革を成功へと導くために、ぜひ導入をご検討ください。
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