企業の一部門である「事業企画」が、どのような業務を行う職種か知っていますか。事業は利益の源泉であり、事業企画の計画・実行する力が組織の未来を左右するといっても過言ではありません。本記事では、事業企画の仕事内容や必要なスキル、向いている人の適性を解説します。また経営企画との違いについても解説するので、職種について知識を深めたい方はぜひ参考にしてください。
事業企画とは
事業とは、企業が利益を得るための経済活動すべてを指します。言い換えると、お金を生み出すために顧客に提供する自社の商品・サービスに関わる活動はすべて事業に値します。建設業や製造業、飲食サービス業、金融業、不動産業などさまざまな業種によって、あらゆる事業が存在しています。
事業を営む中、事業企画では、企業が展開を目論む事業に関する計画の立案と推進を担います。事業企画書の作成や必要となるリソースの試算、収益のシミュレーションなどに取り組みます。実際の業務は多岐にわたり、たとえば新規で海外事業を立ち上げるケースでは「英語の資料を翻訳して決裁者に提出する」「現地の競合をリサーチする」といった事業を展開するためのさまざまな業務が発生します。なお、規模の小さな企業では、経営者が事業企画を担うケースも珍しくありませんが、中堅規模や大企業では事業企画部のような専門部署を設置している場合が多く見受けられます。
経営企画との違い
経営企画とは、組織全体の経営戦略を考える業務や部署を指します。経営方針に基づき、中長期的な視点で組織が成長できるよう企画を立案する立場です。たとえば、経営会議や株主総会の企画・実施や事業ポートフォリオのチェック、コーポレートガバナンスの見直しなどが該当します。
2つの大きな違いは、経営企画が組織全体の方向性を考えるのに対し、事業企画は特定の事業だけを対象としていることです。経営企画で打ち出された戦略に基づき、事業企画でより具体的な行動戦略を組み立てていくとイメージするとよいでしょう。
事業企画の主な業務内容
事業企画の主な業務は3つに大別できます。1つ目は、「事業の目標設定と実行のための対策」です。経営戦略に則したかたちで数値目標を立てて、どのように達成していくのか、対策を考えます。
2つ目は、「目標達成のためのヒアリングやKPIのチェック」です。ここでは目標達成への途中経過をチェックし、時には軌道修正をかけていく役目があります。具体的には関連部署や現場スタッフへのヒアリングやKPIが達成できているか進捗を確認します。
3つ目は、「新たな事業計画への準備」です。既存事業の収益性を安定させることはもちろん重要ですが、時代のニーズや顧客の価値観の変化などを汲み取り、新たな事業につなげるためのリサーチや協議も、事業企画が担う役目なのです。
[RELATED_POSTS]事業企画に必要なスキルとは?
事業企画の仕事に就く上で、必要なスキルは多々あります。ここでは求められる代表的なスキルをピックアップします。ご自身や社員のスキルや経験と照らし合わせつつ見てみましょう。
1. 豊富なマーケティング力
事業企画に求められるスキルとして、マーケティング力が挙げられます。収益性のある事業を展開していくためには、マーケットニーズを正確に把握しなければなりません。そのため、時代にマッチした情報収集力が求められます。
新聞やテレビのニュースだけでなく、インターネット上の掲示板やSNSなども活用し、あらゆる方面からさまざまな情報を収集できるスキルが必要です。また今後は、現状におけるニーズのみならず、将来的なニーズの変化を予測できる力も求められるでしょう。
加えて、市場調査や課題の分析、販売戦略の策定、的確な価格設定などを行えるスキルも必要であり、分析ツールなどを取り扱える人材は重宝される傾向にあります。
2. 適切な経理・財務感覚
経理や財務の感覚も事業企画担当には求められます。なぜなら、費用対効果を見極めた上で適切なコスト管理や予算計画を立てなければならないからです。
推進しようとしている事業でどの程度の収益を見込めるのか、また損失が出た場合、どの程度となるのかといったシミュレーションができる能力も必要です。事業に要する予算の調達やバランスシートの作成などにも、経理や財務の知識が求められます。
3. 高いコミュニケーション力
事業企画は、さまざまな部署と連携して業務に取り組みます。関連部署に新たな事業を説明したり、現状についてヒアリングしたりといった業務も担うため、高いコミュニケーション力が求められます。
たとえば、部署によっては事業企画に反対の声があがるかもしれません。「業務負担が増えてしまう」などの理由で反発されるかもしれませんが、このようなときでもきちんと納得させられるスキルがある方が望ましいのでしょう。
また、高いコミュニケーション力があれば、決裁権を持つ経営層に向けても納得させられるプレゼンや説明ができるでしょう。やり取りの中で、伝えたいこと、伝えるべきことをきちんとわかりやすく伝えられるためです。また、コミュニケーション力があれば、現場と経営層の橋渡しになることができ、スムーズな事業計画の遂行が期待できます。
4. 社内をまとめるマネジメント力
プロジェクトによっては、複数の部門や従業員と関わりが出てくるため、社内をまとめるマネジメント力が求められます。各部門における担当者のスキルや意欲を把握し行動を促すスキルのほか、設定した目標に向けて進捗管理が行える能力が必要です。
また、事業企画にはタイムマネジメント能力も求められます。タイムマネジメントができないと、期限までに目標を達成できないおそれがあります。これには「各部門に新規事業に関する業務の優先度を伝える」「工程を洗い出して無駄を排除する」といった働きかけも含まれます。
事業企画にはどんな人が向いている?
事業企画に向いている人とは、前述した4つのスキルを有する人です。またそれ以外にも、自社の事業に関する幅広い知識があること、複数のことを同時にこなせるマルチタスクの能力などもあった方がよいでしょう。
これらの能力は仕事をしていく中で培われるものであり、未経験からいきなり事業企画の職種を目指すのは、難しいといわざるを得ません。ただ事業企画そのものが未経験であっても、過去にマーケティングの仕事に携わったことがあったり、数値分析を担当していたり、さらに管理職の経験者であれば、業務で備わったスキルを活かせる可能性が大いにあります。
事業企画に今後求められること
近年、数多くの企業がグローバル化やIT化に向けた施策を講じています。このことは、事業企画という職種の将来性が高いことを意味します。なぜなら、今後はより広い視野で事業の方向性や展望を見極め、それらを経営計画とともに実際の事業活動に落とし込んでいく力が必要となるからです。
またIT化、DXによってさまざまなデータが得られる時代において、事業企画にはデータの活用スキルもより求められるようになってきました。膨大なデータの集計や管理からマーケットニーズを読み解く力が、企業利益に影響を与えることとなるでしょう。
したがって、従来必要だったコミュニケーション力やマネジメント力といった事業、ひいては企業活動を円滑に行うために必要だった調整能力に加えて、情報化社会の流れに沿った情報処理能力が求められるようになるでしょう。これは、事業企画に携わるご自身や一社員の能力向上だけが求められるのではなく、企業が新しい市場や技術革新に対応できるようにするための体制づくりも必要になることを意味しているのです。
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まとめ
事業企画は、経営戦略に基づいた特定の事業の計画を立案し、成功へ導くための具体策を考える役割があります。マーケティング力やコミュニケーション力などさまざまなスキルが求められ、企業にとって重要なポジションであることは間違いありません。未経験からいきなり事業企画を担うのは難しいかもしれませんが、過去にマーケティングや管理職を経験している場合は、培った経験が活かせる可能性が高いでしょう。
事業企画には、適正な財務管理や複数の部門の動きの管理、データの収集・分析や事業計画の進捗管理など正確かつ迅速に情報を管理できる体制が必要不可欠です。企業活動に欠かせないクラウド型のERP(基幹業務システム)に「Oracle Fusion Cloud ERP」があります。サプライチェーン管理や会計管理、予算管理など企業のあらゆるデータを一元管理でき、さまざまなプラットフォームやアプリケーションと連携できるのが特徴です。
事業企画の部門を必要なスキル・適性を持つ人材が活躍できる場にするためには、業務を効率化するためのツールが欠かせません。ぜひクラウドERPの導入についてもご検討ください。
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