「ベンチャー企業」とはよく聞く言葉ですが、具体的にはどういった企業をベンチャーと呼ぶのでしょうか?VC(Venture Capital:ベンチャー・キャピタル)から出資を受けている企業がそうなのか?あるいは設立間もない企業がそうなのか?10年超えたらベンチャーではない?本稿では、気になるベンチャー企業の定義と社会的役割について解説します。
ベンチャー企業とは?
BusinessDictionaly.comによると、ベンチャー企業(Business Venture)とは「経済的利益を得ることを目的に設立された新興企業であり、小規模事業者であり、多くのベンチャー企業や1人以上または小さいグループによって投資されている」と説明しています。
参考:Business Venture BusinessDictionaly.com
一方、Wikipediaでは「ベンチャーとは、企業として新規の事業へ取り組むことをいう。このような事業をベンチャービジネス(英:Venture Business)という。事業は新規に起業したベンチャー企業によって行われるものを指すことが多いが、既存の企業が新たに事業に取り組む場合も含む」と説明しています。
実は、ベンチャー企業に対する明確な定義は存在しません。そのためベンチャー企業の定義にはさまざまな解釈があります。ただし、中小企業は中小企業基本法によって下記のように定義されています。
◯製造業、建設業、運輸業、その他の業 資本金3億円以下、常時従業員数300人以下 ◯卸売業 資本金1億円以下、常時従業員数100人以下 ◯小売業 資本金5,000万円以下、常時従業員数100人以下 ◯サービス業 資本金5,000万円以下、常時従業員数50人以下 |
このことから、中小企業の範囲にはベンチャー企業と非ベンチャー企業が混在していることになります。
ベンチャー企業に共通する要素
一般的にベンチャー企業と呼ばれる企業には、ある共通要素があります。その要素を理解することで、ある程度ベンチャー企業を定義することができます。
まず、ベンチャー企業のイメージについてアンケート調査を実施すると、必ずと言ってよいほど上位にくるのが「経営者が若く、魅力的な事業展開をしている」という回答です。これは、実績が乏しいベンチャー企業では優秀な人材を給与や福利厚生などの待遇面ではなく、経営者自身の魅力で惹き付ける必要があるためと考えられます。実際に、有名ベンチャー企業の経営者はメディアに積極的に露出し、そのカリスマ性をアピールしています。これによりベンチャー企業の特徴として印象づけられています。
さらに、「独自の技術とのノウハウを持ち、新規市場に参入している」という印象も強いでしょう。中小企業や大企業に比べてリソースが不足しているベンチャー企業は、技術力の高い中小企業や大企業に正面から立ち向かっても価値前はないため、それらの企業がまだ参入していないニッチ市場を狙ったり、少し前のIT業界のような成長性の高い市場をターゲットにしたりしています。
このほかにも「機動力が高くアイディアを武器としている」というのも、多くのベンチャー企業に見られる共通点です。米国の有名ベンチャー企業にDollar Shave Clubという会社があります。Dollar Shave Clubは寡占市場だった髭剃り市場において、月額わずか1ドルという料金のサブスクリプション方式で髭剃りを定期的にお届けするという、革新的サービスによって市場シェアを一気に獲得し、破壊的イノベーションを起こしたベンチャー企業です。Dollar Shave Clubは最終的に1,000億円でUnileverに買収され、ベンチャー企業の成功事例として語られています。
以上の、ベンチャー企業の特徴をまとめてみましょう。
- 経営者が若い
- 経営者にカリスマ性がある
- 設立から浅い
- 独自の技術とノウハウを持っている
- 機動力が高い
- アイディアが豊富である
- それを実現する実行力がある
- ニッチ市場に参入している
- 時に破壊的イノベーションを起こす
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日本の有名ベンチャー企業といえば?
日本にも多数の有名ベンチャー企業があります。ひと昔前に有名だったベンチャー企業といえば、ホリエモンこと堀江貴文率いる「Livedoor(ライブドア)」が有名でした。当時、メディアへの積極的な露出とその斬新な発言やアイディアから、ベンチャー企業の風雲児としてベンチャー企業市場を牽引してしました。粉飾決算により刑事罰を受けたものの、現在でもビジネス界のご意見番として知られています。
では、現代の代表的なベンチャー企業とはどの企業でしょうか?パッと思い浮かぶだけで様々なベンチャー企業が存在しますが、近年特に成長したベンチャー企業といえば「メルカリ」ではないでしょうか?
同社はフリマアプリのメルカリをサービス提供しています。そのビジネスモデルは、消費者同士(CtoC)の取引を仲介することで手数料を徴収し、その他様々なサービスを提供することで成長したベンチャー企業です。現在ではメルカリにチャージされた金銭を各種コンビニ等の支払いで利用できる「メルペイ」というサービスも開始しています。
メルカリが成長した要因の1つは、「シェアリングエコノミー」という時代の潮流をいち早く察知し、ニッチ市場ではあるものの成長性が高い市場を見極め、徹底したサービス提供を続けてきたことでしょう。シェアリングエコノミーとは「物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組み」を指します。
メルカリでは消費者個人が持っている者を消費者同士で売買するというニーズに着目し、従来から存在したネットオークションサービスとはまったく違ったコンセプトでサービスを提供することで、高い利益創出と成長を手にしました。
これ以外にも日本にはたくさんのベンチャー企業が生まれています。近年の傾向としては、何らかのITを駆使してサービス提供を開始するベンチャー企業が多いということです。IT技術の発展やコモディティ化によって、市場参入の障壁を下げ、大手企業も圧倒する破壊的イノベーションを生み出すベンチャー企業が数多く登場しています。
そのため、ベンチャー企業への就職率も年々増加傾向にあり、「企業の成長を共に味わえる存在」として人気を集めています。
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ベンチャー企業の動向に注目しよう!
現代ビジネスを牽引するベンチャー企業も多く、その行動から今後も目が離せません。この機会にベンチャー企業の動向に着目し、ベンチャー企業から学び、成長性高い事業を生み出していきましょう。
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