ソフトウェア開発とは? 流れや種類、手法を解説

 2023.06.08 

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近年ソフトウェア開発の関心が高まる一方で、ソフトウェアとひと口に言っても種類や使用されるプログラミング言語などは異なります。本記事では、ソフトウェア開発の実施を現在お考えの方に向けて、概要、開発のプロセス、種類、手法やコツなどについて解説します。

ソフトウェア開発とは? 流れや種類、手法を解説

ソフトウェア開発とは?

ソフトウェアとは、コンピューターに何らかの動作を起こさせるためのプログラムを指します。ソフトウェア開発とは、これを開発する作業です。

ソフトウェアは大きく分けて、基本ソフトウェアと応用ソフトウェアの2つがあります。前者は、ハードウェアの制御や言語処理などを行うソフトであり、Microsoft社のWindowsやApple社のiOSなどがよく知られています。PCやスマートフォンなどのハードウェアは、基本ソフトウェアであるOSがなければ使用できません。

応用ソフトウェアは、ハードウェアにインストールして使用するタイプのソフトです。ゲームアプリやExcelのような表計算ソフト、メールソフトなどのほか、SNSも該当します。

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ソフトウェア開発の種類

ソフトウェア開発には、Webシステムソフトウェア開発やアプリケーションソフトウェア開発、組み込みシステム開発などの種類があります。それぞれ特徴があり、開発に要する言語なども異なります。

Webシステムソフトウェアの開発

Webシステムソフトウェアは、Webブラウザで使用するソフトウェアを意味します。システムがWebサーバーに集約されていることからメンテナンス性に優れている点が魅力です。また、物理デバイスがインターネット接続されていれば、どこでも作動させられます。

Webシステム開発で使用する代表的な言語として、HTMLやCSSが挙げられます。HTMLはブラウザに表示される文字や画像のレイアウトを決定づけるマークアップ言語です。一方、CSSはHTMLを装飾するための言語で、見栄えのよいデザインに仕上げるのに不可欠です。

ほかにも、汎用性の高さと使い勝手のよさで知られるJavaや、シンプルなソースコードで知られるPHP、スピーディーな開発を実現できるRubyなども、Webシステム開発ではよく用いられています。

アプリケーションソフトウェアの開発

アプリケーションソフトウェアは、特定の目的に使用するソフトウェアです。たとえば、メールソフトや画像編集ソフト、表計算・文書作成ソフト、音楽再生ソフトなどが挙げられます。

さまざまなアプリケーションが存在し、なかには複数の機能を有するものもあります。実装される機能などによって、ソフトウェアの開発期間やコストが大きく変化する点が特徴です。

アプリケーションソフトウェア開発で用いられる言語としては、JavaやJavaScript、Rubyなどが代表的です。また、AI開発に適しているPythonやGo言語などもWebアプリケーション開発では用いられています。

スマートフォンで使用するアプリの場合、OSによって開発言語が変わります。Androidでは、JavaやKotlin、C#などが用いられ、iOSではObjective-CやSwiftなどが開発に要する言語です。

組み込みシステムの開発

組み込みシステムとは、物理的な機器の制御を行うためのシステムです。電子レンジや冷蔵庫などの家電、プリンタやスキャナーといったPC周辺機器、自動車などの機械に組み込まれたシステムを指します。物理機器の制御に用いるシステムゆえに、開発にはハードウェアに熟知した人材が求められます。

組み込みシステム開発に用いる言語は多々あるものの、代表的なのはC言語、Java、C++などです。C言語は長きにわたって組み込みシステム開発で使用されてきたため、ノウハウが蓄積されておりメンテナンス性に優れることから現在でも活用されています。

ソフトウェア開発の手法

自社でソフトウェア開発を手掛けようと考えているのなら、どのような開発手法があるのか把握しておきましょう。代表的な手法には、ウォーターフォールやアジャイル、プロトタイプ、スパイラルなどが挙げられます。

ウォーターフォール

ソフトウェア開発における定番の手法と言われているのが、ウォーターフォールです。ソフトウェア開発に必要な基本プロセスを、順に沿って段階的に進めていく手法です。

一般的に、ソフトウェア開発は要件定義→基本設計→詳細設計→実装・テストといったプロセスで進めます。ウォーターフォールでは、プロセスごとに成果物の検証やレビューを行う点が特徴です。

ウォーターフォールのメリットは、プロジェクトの見通しを立てやすい点です。上流工程から道筋に沿ってひとつずつ進めていく手法であるため、全体を見通しやすくスケジュールの把握も容易です。

一方、この手法は後戻りがきかないため、トラブルが発生すると余計な工数が増えてしまいます。結果的にスケジュールが大幅に狂ってしまう、といったことにも陥りかねません。

アジャイル

アジャイルは、プロジェクトに変更が生じることを前提とした開発手法です。やるべきことを小さな単位に分けて進め、短いサイクルで設計や実装、テストなどを繰り返していきます。納期に猶予がない、仕様変更の可能性がある、要件が不明瞭である、といったプロジェクトにおいてはアジャイル開発が適しています。

小さな単位に区切って開発を進めていくため、トラブルが発生した際の手戻りを少なくできる点がメリットです。また、クライアントと頻繁にやり取りをしつつ開発を進め、改善点や要望も速やかに反映させるため、ニーズに応えやすいのも特徴です。

ただ、小さな単位ごとに開発を進めていくため、全体のスケジュールを管理しにくいデメリットがあります。場合によっては開発期間が長引くことがあるほか、コストが増大するおそれもあるため注意が必要です。また、修正や変更、要件の追加などを繰り返しながら開発する手法ゆえに、方向性がぶれてしまうケースも少なくありません。

プロトタイプ

プロトタイプとは、開発過程において試作品を作り、クライアントからのリアクションを得ながら完成へと向かう手法です。主に小規模や新規開発のプロジェクトで用いられます。

プロトタイプのメリットは、認識違いの発生を回避できる点です。早い段階で試作品を作り、クライアントに確認してもらうため、双方における認識のずれを防げます。開発も終盤になったころ、認識違いが発覚すると大きな手戻りに発展しますが、そのようなリスクを回避できる点は大きなメリットです。

また、クライアントに試作品を確認してもらいながら開発を続けるため、満足度の高い成果物を作れます。その都度フィードバックを得られ、システムに反映させられるためです。

一方で、多大なコストと手間が発生するリスクがある点に注意しましょう。試作品を作るとなるとどうしても手間とコストがかかり、その回数が増えるに伴い負担が増大するため注意が必要です。

スパイラル

スパイラルは、開発プロセスを繰り返しつつ高品質な成果物を作成しようとする手法です。ウォーターフォールとアジャイル、双方のよいところを活かしたハイブリッドな開発手法です。

スパイラルは、仕様やスケジュールの変更に柔軟な対応ができます。初期段階で成果物の明確な設計をしないため、途中で機能追加や仕様変更を求められても、問題なく対応可能です。

一方、システムの全体像を把握しにくいのはデメリットです。開発を始める前に、入念な計画や設計を行わないため、プロジェクト全体の把握が難しく、見通しが立てられません。その結果、最終的に予想していたよりも多くのコストがかかった、多くの時間を費やすことになった、といったことも起こりかねます。

ソフトウェア開発の流れ

一般的に、ソフトウェア開発はクライアントへのヒアリング→要件定義→設計→開発→テスト→納品→運用・メンテナンスといった流れで進めます。

ヒアリング

ソフトウェア開発の第一フェーズは、クライアントへのヒアリングです。クライアントがどのようなソフトウェアを求めているのかを把握しないことには、開発はできません。どういった課題や悩みを抱えており、それをソフトウェアでどう解決したいのか、といったことを聞きだしましょう。

ここできちんとヒアリングができていないと、的外れなソフトウェアを開発してしまうおそれがあります。成果物に対する満足度にも関わってくるため、細かいところまで突っ込んでヒアリングしておきましょう。

運用開始の時期も確認が必要です。ソフトウェアの運用を開始したい時期が決まっているのなら、それに間にあうように開発しなくてはなりません。スケジュールを組む際にも必要な情報であるため、予算と併せて確認しましょう。

要件定義

要件定義は、クライアントが希望するソフトウェアを開発するのに、どのような機能や作業が必要なのかを抽出するフェーズです。クライアントからヒアリングした内容に基づき、業務要件やシステム要件などを明確にしていきましょう。

ソフトウェア開発は、要件定義した内容をもとに進められます。どのような機能を実装するのか、ユーザーインターフェースやセキュリティはどうするか、といったことも要件定義に含まれるため、ここで問題があればあとに続くすべての工程に影響を及ぼします。

クライアントからヒアリングしたら、要求を細分化したうえで書き出し、要件定義書に整理しましょう。要件定義書を作成することで、プロジェクトメンバーともスムーズに情報を共有できます。

設計

要件定義書の内容に基づき、ソフトウェアの仕様や開発の内容などを考えるフェーズです。設計には、ソフトウェアを使用するユーザーの視点に立った基本設計(外部設計)と、ソフトウェアの内部構造を決める詳細設計(内部設計)があります。

このフェーズでは、基本設計書と詳細設計書を作成します。基本設計書には、業務フロー図や構成図、機能の一覧、画面のレイアウト、データの出入力などを、詳細設計書には機能設計書やWebサーバー設定書、データベース設計書などを盛り込みましょう。

開発

設計が完了すれば、いよいよ開発フェーズへとシフトします。詳細設計書を確認しながら、プログラムを作成しましょう。プログラミング言語を用いてソースコードを記述していくグループや、デザインを担当するスタッフなど、上手にリソースを配分します。場合によっては、このフェーズでデータベースやインターフェース開発などを行うこともあります。

テスト

ソフトウェア開発において重要なフェーズのひとつがテストです。開発したソフトウェアをそのままリリースしてしまうと、万が一設計通りに動作しなかった場合に大問題です。会社の信頼にも関わるため、漏れなくテストしなくてはなりません。

テストは、単体テストと結合テスト、システムテスト、受入テストの四つに分けて行われるケースが一般的です。単体テストはユニットテストとも呼ばれ、プログラムが問題なく作動するかをチェックします。単体テストに合格したプログラムは、結合テストでうまく連携できるかを確認します。

システムテストは、要件定義がきちんと守られているかどうかを確認するテストです。実際の使用環境に近い環境のもとテストを行います。最後に、クライアントが本番環境で受入テストを行い、最終的なチェックをします。

納品

テストで問題がないと判断されれば、クライアントへ納品します。プログラムや設計書、マニュアルなどもクライアントへ渡しましょう。ソフトウェアの使い方や注意点などを、このタイミングで伝えることもあります。

運用・メンテナンス

クライアントが運用しているソフトウェアに、何らかの不具合などが発生した場合には、メンテナンス対応を行います。運用を開始したばかりの時期はシステムが不安定になることも多いため、積極的な対応が求められます。

運用が始まったあとで、クライアントからシステムの追加開発などを求められるケースも珍しくありません。クライアントとしっかり話しあったうえで、どのように対応していくか考えましょう。

ソフトウェア開発を成功させるには

ソフトウェア開発で失敗しないため、成功のコツを押さえておきましょう。それぞれのフェーズでコツがあるので、覚えておけばきっと役立ちます。

要件定義のコツ

要件定義のコツは、曖昧な部分を作らないことです。要件定義の内容が、そのままソフトウェア開発に用いられるため、曖昧な部分があるのは問題です。のちのち大きなトラブルに発展しかねないため、その都度曖昧な部分はクライアントに確認するようにしましょう。

また、要件定義を考える際には、どうすればクライアントの目的を達成できるのか、悩みを解決できるのかを軸に考えるのが基本です。クライアントの課題解決や目的達成に必要な機能を、予算等の視点も含めながら考えましょう。

設計のコツ

設計は、技術者とクライアントが二人三脚で行うことが大切です。ソフトウェア開発者だけで設計を進めてしまうと、クライアントの意に沿わぬソフトウェアが完成してしまうかもしれません。

また、ソフトウェアの完成した姿を明確にイメージしつつ、開発に取り組むのも大切なポイントです。クライアントが、必ずしもソフトウェア開発に詳しいとは限りません。最終的な姿もイメージできず、開発の終盤になって変更を申し出てくるおそれもあります。

明確な完成形をイメージしたうえで、それを反映させたプロトタイプを作成し、クライアントに使ってもらうことで認識のずれをなくせます。

テストのコツ

テストを行う際には、要件定義に記載されていない細かい部分まで行いましょう。たとえば、ユーザービリティが高いか、セキュリティが堅牢かどうかなどです。

要件定義書に、これらが具体的に記載されていないケースは珍しくありません。ただ、ユーザービリティや細部の機能や性能、セキュリティなどは満足度に大きく関わる部分であるため、テストは必須です。

特に、セキュリティ面はきちんとテストしておきましょう。サイバー攻撃のリスクに備え、さまざまな可能性を考慮したうえでテストを実施します。

ソフトウェア開発の課題

 しかし、ソフトウェア開発を進めるにもいくつかの課題があります。ソフトウェア開発の成功率をより高めるためにも、これらの課題を把握しておくことが重要です。

IT人材が不足している

ソフトウェア開発の需要はますます高まっている一方で、IT人材は不足している状況です。優秀なIT人材を喉から手が出るほど欲しがる企業も多く、採用したくてもなかなか採用できません。

ITの世界はトレンドの移り変わりが激しく、次々と新たな技術も誕生します。そのため、人材の育成に多大な時間を要してしまう問題があります。また、人手不足ゆえに個々のIT人材にのしかかる負担が大きく、長時間労働になることも多いため人材確保が困難な状況です。

プロジェクト管理が難しい

ソフトウェア開発では、複数のプロジェクトを同時進行するケースも珍しくありません。それゆえに、プロジェクト管理が煩雑となり、納期の遅延やプロジェクトごとの収支に対する認識不足などを招く原因になることもあります。きちんとプロジェクト管理ができる人材が不足しているのも、懸念すべき問題です。

まとめ

スムーズなソフトウェア開発を実現するには、開発に関する知識を得るのはもちろん、優秀なIT人材の確保も不可欠です。また、適切に工数管理を行える環境も欠かせません。

ERPを導入すれば、自社で扱うさまざまな情報の一元管理が可能です。ERPにはプロジェクト管理機能を実装したものも多いため、ソフトウェア開発における工数管理にも役立ちます。

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