販売管理とは? 業務プロセスやシステムの選び方を解説

 2022.07.15 

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販売管理とは、顧客から製品の受注を受け、支払いを受けるまでの一連の業務フローです。販売管理業務は、複数の部門にまたがって作業を連携したり、情報共有したりする必要があるため複雑になりがちで、業務効率性に問題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。本記事では、販売管理の業務フローについて解説するとともに、その課題解決に役立つ販売管理システムをご紹介します。

販売管理とは

販売管理とは、仕入・受注・在庫・出荷・納品・請求・代金の回収など、製品の販売に関わる一連のプロセスを管理することです。注文を受けたあと、どれほどスムーズにその製品を顧客のもとへ届け、その代金を回収できるかは、この販売管理を適切にできるかどうかにかかっています。

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販売管理の業務プロセス

販売管理の業務プロセスは、いくつもの複雑なステップで構成されています。以下では、各業務フローの内容を解説します。

販売管理のシステム

1.受注管理

販売管理の業務として第一に挙げられるのは、取引先からの購入依頼を処理する受注管理です。受注管理は大別すると、見積・契約・受注の3要素に分けて考えられます。

【見積】
企業間の取引、特に高額な取引においては、製品の購入や契約に至る前に、発注者側(顧客側)から見積書の提供を希望するのが通例です。この見積書には、製品の内容・個数・価格・納品予定日・支払方法(振込先)などの情報が記されており、顧客はこれらの情報を参照し、場合によっては複数社から見積(相見積)を取って、価格などを比較検討したうえで購入や契約の判断を行います。

【契約】
見積書の内容が発注者にとって納得のいくものであれば、発注者・受注者間で取引契約を締結します。

【受注】
契約を締結したあと、その内容に応じて確定した注文に対応するのが受注業務です。受注業務に際しては、受注伝票などの発行を行います。

2.出荷管理

販売管理においては出荷管理も重要です。出荷管理は「出荷業務」と「納品業務」の2種類に大別できます。

【出荷業務】
出荷業務とは、受注した製品を自社の倉庫などから顧客へ出荷するまでの業務です。出荷業務にあたっては、事前に在庫管理の担当者へ出荷に必要な諸情報を伝達し、納品日までに製品を届けられるよう、出荷に必要な書類の作成や、その他の発送作業を行います。

【納品業務】
出荷する製品が間違いなく顧客のもとへ届いたかどうかを確認することが、納品業務です。製品の内容や個数などが顧客の注文通りであることを証するために、納品書や受領証を発行し、顧客に署名や印鑑を押してもらいます。納品は、自社の営業担当者や配送部門が行うこともあれば、委託した配送業者に行ってもらう場合もあります。

3.請求管理

製品の納品後、顧客にその代金を適切に支払ってもらうことを請求管理といいます。請求管理は、大まかに「請求」と「回収」という2つの業務に分けられます。

【請求】
企業間の取引においては、製品と現金をその場で交換するのではなく、期日までに金融機関に振り込んでもらうのが通例です。そこで、「いつまでにここへいくら支払ってください」と示すために、請求書を発行して取引先に送付します。なお、請求方法には、取引ごとにその都度代金を請求する場合と、1ヶ月ごとなど一定期間内の取引を集約した代金を請求する場合の2通りがあります。

【回収】
請求した代金が正常に入金されたかどうかを確認する業務が、回収業務です。ここで問題がなければ、経理担当者は入金伝票を作成して仕訳処理を行います。もし指定した期日まで支払いがなかった場合は、営業担当者などが窓口になって、取引先に入金を促すことが必要です。

4.在庫管理

製品をスムーズに顧客へ供給するために、適切な在庫管理を行うのも販売管理の一部です。在庫管理は「受払」と「実地棚卸」の2つの業務に区分できます。

【受払】
受払とは、入出荷に応じて変動する在庫数を適切に把握する業務です。入出荷時に在庫の品目・数量・単価などの情報を正しくシステムや帳簿に記録することで、在庫数の変動をデータにその都度反映します。こうして詳細に在庫管理をすることで、営業部門などから在庫数の問い合わせなどがきたときに迅速かつ適切な対応が可能となるのです。

【実地棚卸】
実地棚卸とは、在庫の数や状態など実際に現物を見て確かめる業務です。帳簿やシステム上の数字だけで在庫を管理していると、入力漏れや入力ミスなどがあったときに発覚が遅くなってしまいます。また、在庫が食品などである場合、状態の劣化を適宜確認する必要もあるでしょう。実地棚卸に際しては、棚卸管理表を作成し、データとの齟齬があった場合は適宜修正していきます。

5.仕入れ管理

小売業などでは販売に際し、他社から製品を仕入れることが必要です。また、自社で製品を製造している場合でも、原材料の調達に関しては他社に依頼している場合が多いでしょう。こうした仕入れ業務は、大きく「見積・発注」「入荷・検品」「支払い」の3ステップに分けられます。

【見積・発注】
営業部門からの要請や在庫状況に応じて、業者に発注依頼を出します。その際は、コストを抑えるため複数の業者に依頼を出して相見積を取るのがおすすめです。ここで価格や納期などの各種条件が合致した業者に対して、最終的な発注依頼を出します。

【入荷・検品】
発注した製品を入荷したら、発注通りの内容・数量であるか、製品の状態に問題はないかなどを確認するため、検品作業を行います。ここで問題が見つかった場合は、仕入れ先に製品の返品や交換を依頼しなくてはいけません。特に問題がなければ、検収書などを発行して仕入れ先に報告します。

【支払い】
ここまでの一連の業務が終わったら、仕入れ先から渡された請求書の内容にしたがって、代金の支払い処理を行います。

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販売管理の目的

販売管理の効率化や最適化に企業が取り組む際の目的としては、主に「業務管理の適正化」「収益の向上」「顧客満足度の向上」の3つが挙げられます。

業務管理の適正化

先述したように、販売管理はいくつもの複雑な業務フローを経て成立します。その際、たとえば営業担当者と在庫担当者のあいだで情報共有がうまくいかなければ、納期遅れなどのトラブルも発生しかねません。そこで、受注内容や在庫状況をはじめとする一連の情報や業務の流れを可視化し、適切に管理することで、そうした問題の少ない効率的な販売管理が可能になります。

顧客満足度の向上

業務管理の適正化は、顧客満足度の向上に寄与します。販売管理に必要な業務フローを迅速に回すことは、それだけ早く顧客のもとへ製品を届けることにつながります。また、情報が可視化されていれば、顧客から何か問い合わせや要望があった際も、すぐに回答することが可能です。このような対応の素早さや情報の透明性は、取引先から信頼を勝ち取り、継続的な関係を築くうえで大いに役立ちます。

収益の向上

販売管理の適正化に伴う上記のメリットは、最終的に収益の向上へとつながります。たとえば、売上情報を可視化することで、どの顧客が自社に多くの利益をもたらす優良顧客かを明らかにし、営業戦略の改善などへ結びつけることが可能です。また、在庫管理を最適化することで、欠品を防いだり、余剰在庫を減らして無駄なコストを抑えたりできます。

販売管理で生じやすい課題

上記のように、販売管理の適正化は多くのメリットを企業にもたらしますが、その達成は容易ではありません。というのも、販売管理においては以下のような課題がしばしば発生するからです。

入力作業における人為的ミスが多い

販売管理においては、受発注作業をはじめ頻繁にシステムへの入力作業が発生します。昨今ではWeb経由での受発注も増えていますが、紙やメールなどで顧客とやりとりしている場合は手入力が多くなり、誤入力や入力漏れなどのヒューマンエラーが起きがちです。こうした入力ミスはデータと現実のあいだにギャップを生み、大きなトラブルにつながるかもしれません。

販売情報の管理の負担が大きい

入力作業が多いということは、それだけ管理すべき情報が多いということでもあります。こうした情報管理をすべて手作業で行っている場合、情報を入力するにも確認するにも、従業員の負担が大きくなりがちです。たとえば、実地棚卸においては多くの場合、かなりの数の在庫を確認することになるため、そのすべてを手作業で行うのは時間的にも労力的にも大きな負担となります。

また、請求書に関しては、取引先ごとに指定の書式を要求してくる場合も多々あり、そうした要望へ応えるのにも手間を要します。さらに、販売管理は複数の部門にまたがって処理されることも多いため、情報共有の面でも問題が多くなりがちです。

販売管理システムの活用で課題を解決

このような課題を解決するためにおすすめなのが、販売管理システムの活用です。販売管理システムとは、複雑な販売管理業務をデジタル上で一元的に管理・処理するためのITソリューションです。ここでは、販売管理システムの主な機能として、「販売管理機能」「在庫管理機能」「購買管理機能」の3つをご紹介します。

販売管理システムの活用で課題を解決

【販売管理機能】
販売管理機能には、見積・受注・請求処理などの一連の業務フローで発生する情報入力や情報検索をサポートする機能が搭載されています。ここに入力されたデータは、ExcelやCSV形式などで出力することも可能です。請求処理に関する機能としては、たとえば支払が済んでいない取引を抽出したり、入金後の消し込みをしたりできます。既存の会計システムと連携させるのもおすすめです。

【在庫管理機能】
在庫管理機能では、倉庫ごと、あるいは会社全体の在庫情報を一元管理できます。これによって、ユーザーはどこに何の在庫がいくつあるのかをすぐに確認でき、欠品や余剰在庫を防いで、効率的な販売管理を実現可能です。また、在庫管理機能にはハンディターミナルとの連携機能が付いている場合もあり、実地棚卸の際にこれを利用することで、作業の手間やミスを大幅に減らせます。

【購買管理機能】
購買管理機能では、受発注や仕入れ、債務管理などに付随するデータ処理をサポートする機能が搭載されています。たとえば受発注に関しては、関連する情報を入力・検索する機能や、見積書や注文書などの書類を作成する機能があります。また仕入れに関しては、仕入れが確定した段階で在庫計上したり、いつ仕入れが完了予定なのか確認したりすることが可能です。さらに債務管理に関しては、いつ支払いが行われるのか予定を確認したり、支払い済みの取引を確認して消込作業をしたりできます。

これらの販売管理機能の機能を活用することで、企業は次のようなメリットを得ることが可能です。

業務効率化につながる

販売管理システムは、業務効率化を大きく促進します。販売管理に付随する一連の業務フローを一元管理できるため、情報の可視化を実現し、部門横断的な情報共有を効率化します。また、販売管理システムにあらかじめ商品名などの各種情報を取り込んでおけば、簡単な操作で必要な情報を呼び出せるので、データ入力の手間を大きく削減できます。同様に、請求書などの複雑なフォーマット管理も楽になるでしょう。

記入、連携のミスが減る

上記のメリットと関連して、誤入力などのヒューマンエラーを減らせるのも大きな利点です。販売管理システムを使えば、多くの作業を自動化できるので、従来以上のスピードで作業をこなしつつ、同時に疲れや注意不足などによる人的ミスを減らせます。また、販売管理システムがもたらす部門横断的な情報共有により、営業担当者・在庫担当者間で起きがちな在庫情報の認識のズレなどを埋め、発注ミスを減らすことも可能です。

経営判断に活かせるデータが得られる

販売管理システムの導入は、経営判断の改善にもつながります。販売管理システムを活用すれば、自社の取引や在庫、売上などに関する最新の情報へリアルタイムにアクセス可能です。こうした情報を分析・活用すれば、たとえばどの商品の売れ行きが好調か、どの顧客企業の取引額が多いかなど、経営判断に役立つ数多くのヒントを得られます。

販売管理システムの選び方

ひと口に販売管理システムといっても、数多くの製品が存在します。最後に、数ある販売管理システムの中から自社に最適な製品を選ぶためのポイントを解説します。

自社の業態に合うシステムか

最初のポイントは、自社の業態に合ったシステムを選ぶことです。販売管理システムの中には、汎用型のシステムのほかに、特定の業界に特化したシステムもあります。こうした特化型システムは、その業界特有のニーズを満たす機能が搭載されているため、自社に該当する製品があれば、導入候補として積極的にピックアップするのがおすすめです。

他のシステムと連携しやすいか

他システムとの連携のしやすさも大切なポイントです。販売管理業務は複数の部門にまたがる複雑な業務フローであるため、単一のシステムで自社内すべてのニーズを満たせるとは限りません。たとえば、販売管理システムにおける請求処理は付帯的な機能にとどまる場合も多いため、会計ソフトと連携させるのがおすすめです。こうした他システムとの連携のしやすさは、業務フローの効率化にとって重要となります。

導入実績は豊富か

導入実績の豊富さも注目すべきポイントです。多くの企業が利用しているシステムは、少なくとも一定の信頼性が期待できます。したがって、とりわけ自社と同じ業界の企業が多く使っているシステムを探して、そこから選択肢を絞っていくと効率的に製品選びを進められます。また、自社が大企業か中小企業かによっても、システム要件や予算面などが異なってくるので、自社と同じような規模の企業が導入しているかどうかも要注目です。

まとめ

販売管理業務は部門横断的な業務フローや情報共有を必要とするため、手作業でそれらを行おうとすると、さまざまな課題が発生します。そこで重要になるのが、販売管理業務を一元管理する販売管理システムの導入です。販売管理システムを導入することで、業務効率化や情報共有の促進、そして顧客満足度の向上が見込めます。

販売管理システムは個別のソリューションとして提供されているほか、ERPの一機能として搭載されている場合があります。「NetSuite」も、販売管理システムを含んだERP製品のひとつです。NetSuiteを導入すれば、販売管理業務だけでなく企業の業務全体をトータルで効率化できます。システム選びにお困りの際は、ぜひご検討ください。

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