実地棚卸とは? 実施する目的・手順・注意点をわかりやすく解説

 2024.10.29  クラウドERP編集部

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企業の在庫管理において、「実地棚卸」は重要な業務ですが、実施する目的や手順、注意すべき点について詳しく理解している方は少ないかもしれません。本記事では、実地棚卸とは何かを解説し、さらにその実施目的や具体的な手順、注意点までをわかりやすく解説します。実地棚卸の基本をしっかりと押さえて、在庫管理の精度を高め、企業経営の効率化につなげていきましょう。

実地棚卸とは? 実施する目的・手順・注意点をわかりやすく解説

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実地棚卸とは?

実地棚卸とは、企業が保有する棚卸資産(在庫)を物理的に数える作業のことです。棚卸資産には、販売を目的として一時的に保管されている商品、製品、あるいは仕掛品(しかかりひん)が含まれます。

この作業は、企業の会計年度終了時に必ず行うことが法人税法によって義務付けられており、たとえば決算が3月末の場合、3月31日に実地棚卸を実施しなければなりません(法人税基本通達 5-4-1参照)。企業が正確な在庫情報を持つことで、財務状況を把握し適切な納税を行うことが可能になります。

年度末だけでなく、四半期ごとや半期ごとに行う企業もあります。これは、企業の財務管理や業務運営において、より頻繁に在庫の実態を把握するための取り組みとして実施されることが一般的です。実地棚卸は法律で定められた企業の重要な業務であり、企業活動の信頼性を確保するためにも必要です。

参照元:国税庁「第4節 棚卸しの手続」

実地棚卸と帳簿棚卸の違い

帳簿棚卸は、帳簿上の取引データをもとに在庫数を計算する棚卸方法です。企業の経理システムや会計ソフト上で処理されることが一般的であり、日常的な業務管理に役立ちますが、物理的な確認を伴わないため、実際の在庫数と一致しない場合があります。そのため、実地棚卸によって定期的に在庫を確認することが重要です。

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実地棚卸を実施する目的

実施する目的は主に以下に挙げる3つです。

利益を確定させる

最大の目的のひとつは、利益を確定させることです。企業は、売上原価や売上総利益を算出する際、正確な在庫データをもとに計算を行います。もし在庫が正しく把握されていない場合、利益計算に誤りが生じ、納税額の算出にも影響を及ぼします。納税は企業にとって非常に重要な義務であり、納税を適正に行うためには、実地棚卸を通じて正確な在庫数を把握することが欠かせません。

在庫を管理する

在庫を適切に管理するためにも重要です。帳簿棚卸では、帳簿上の在庫数を計算しますが、実際の在庫と帳簿が一致しないことがあります。また、帳簿上の数量が正確であっても、在庫の一部が汚損や品質低下によって価値を失っていることもあるため、物理的に確認する必要があります。実地棚卸を実施することで、在庫の実態を正確に把握し、適切な管理を行えます。

不正を防ぐ

不正行為の予防や早期発見にも大きく貢献します。実地棚卸をしない場合、帳簿の改ざんや在庫の横領といった不正が行われても、発見が遅れてしまうかもしれません。特に在庫管理が複雑な企業ほど、このリスクは高まります。

しかし、定期的に実施することで、実際の在庫数と帳簿上のデータを照合し、不自然な差異がないかを確認できます。たとえ不正が行われていた場合でも早期に発見し、適切な対策を講じることが可能です。また、不正が発覚しやすい環境を整えることで、従業員の不正行為を抑止する効果も期待できます。

実地棚卸の手順

実地棚卸は、企業にとって在庫の実態を把握し、財務状況を正確に報告するための重要なプロセスです。効率的かつ正確に行うためには、事前の準備から集計、帳簿との照合まで、各ステップを慎重に進めることが求められます。以下では、実地棚卸の具体的な手順とポイントについて詳しく解説します。

マニュアルなど必要なものを準備する

作業手順を明確にするために、まず、棚卸マニュアルや詳細なタイムスケジュール、棚卸をする箇所の見取り図を作成しておきましょう。これらの資料があれば、従業員が迷わずに棚卸作業を進められ、業務の属人化を防ぐと同時にミスや遅延を抑制できます。必要に応じて、棚卸原票や記録用の用紙なども事前に準備しましょう。

また、倉庫や保管場所の整理整頓も重要です。特に、預かり品がある場合や、返品が予定されている商品が混ざっている場合、それらを事前に分けて管理しなければなりません。そうすることにより、棚卸の際に誤ってカウントされることを防ぎ、正確な在庫数を確保できます。企業によっては、棚卸当日に備え、倉庫の配置を一時的に変更する場合もあり、作業の効率化を図るための準備が求められます。

在庫を数えて棚卸原票に記入する

準備が整ったら、実際に在庫を数える作業に移ります。この段階では、事前に決めたタイムスケジュールに従って作業を進行し、時間通りに全ての在庫を数え終えることが理想です。棚卸には「タグ方式」、「リスト方式」の2種類の方法があり、特徴を理解したうえで適切な方式を選択する必要があります。

タグ方式は、商品や在庫にタグを付けて数える方法です。現場での視覚的な確認ができ、タグを使って一目でカウント状況を把握できるため、カウント漏れが少ないのが特徴です。現場で数を数えた後に、帳簿の数字と合っているか照合します。

一方、リスト方式は、帳簿上の在庫データと照合しながら、現物を確認していく方式です。この方法では、事前に用意されたリストと実際の在庫数を突き合わせ、差異があればその場で記録します。作業時間は短縮できるものの、カウントミスが生じやすいという注意点があります。

いずれの方法を選んだとしても、正確なカウントを行うことが最も重要です。カウントミスや漏れがないよう、複数人でダブルチェックをするなどの工夫を取り入れましょう。

帳簿棚卸と比較する

実地棚卸が終了した後は、集計した結果をもとに帳簿棚卸との照合を行います。これは、実地棚卸と帳簿棚卸の違いを確認し、在庫数に差異がないかを確認する重要フローです。棚卸原票に記入されたデータと、帳簿上の在庫データをひとつずつ比較し、差異が見つかった場合は、その原因を徹底的に調査します。

差異が発生する理由はさまざまですが、よくある原因としては、カウントミスや記録ミス、伝票や納品書の未着などが挙げられます。もし単純なミスであれば、その場で修正し、正確なデータをもとに再計算します。

一方で、どうしても差が解消されない場合には、帳簿上で適切な調整処理を行い、財務報告書に反映させなければなりません。また、この過程で不正の兆候が見つかった場合には、迅速に対応策を講じ、今後の管理体制を強化することが必要です。

実地棚卸の注意点

実地棚卸は、正確な手順を踏まないと在庫数の誤差や不正確なデータが生じ、最終的には経営に悪影響を与える可能性もあります。

在庫の移動をしない

実地棚卸中に在庫を移動してしまうと、カウント結果に誤差が生じる可能性が高くなります。棚卸中は、倉庫や店舗内の在庫の位置を固定し、正確にその場でカウントを進めることが必要です。

どうしても在庫の移動が必要な場合は、その分の移動履歴を正確に記録し、後から調整する必要があります。特に大型の商品や複数の倉庫を管理している場合、在庫移動は頻繁に発生することがありますが、移動分が棚卸に反映されないと正確な在庫データが得られなくなってしまいます。このため、移動の管理には細心の注意を払いましょう。

不良品や仕掛品などもカウントする

実地棚卸では、不良品や仕掛品、そして滞留品も見逃さずにカウントすることが重要です。これらがそのまま棚卸の結果に反映されなければ、在庫の実態を正確に把握できなくなります。なお、滞留品や不良品は、のちに廃棄など適切に処理する必要があります。

また、仕掛品とは、まだ完成していない商品や製品のことを指し、これも棚卸において正確にカウントしなければなりません。棚卸の時点でこれらの状態を正確に記録しておくことで、経営判断や在庫管理をよりスムーズに行えるようになります。

2人1組で実施する

実地棚卸は、可能であれば2人1組で行うことがおすすめです。1人が在庫のカウントを担当し、もう1人がそのデータを記録することで、作業効率が向上します。また、ダブルチェックをすることで、ミスの防止や早期発見につながるでしょう。

特に対象物の保管場所が大規模な倉庫であったり、多数の商品を扱ったりする場合は、複数のペアを編成して作業を進めることで、効率よく棚卸を完了させることが可能です。

在庫管理ならNetSuite

在庫管理を効率化したいとお考えなら、クラウドERPであるNetSuiteがおすすめです。NetSuiteの在庫管理機能は、無駄のない管理で企業の在庫状況を最適化し、業務改善を支援します。リアルタイムで在庫データを把握できるため、在庫過多や欠品といった問題を未然に防ぐことが可能です。

また、NetSuiteはダッシュボードやリアルタイム分析機能を搭載しており、在庫の動きを常時監視できます。在庫の変動を迅速に察知し、適切な対応策を講じることも可能です。複数の倉庫や店舗を持つ企業でも、一元的な在庫管理が可能となり、全体的な業務効率の向上が期待できます。

詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。

まとめ

実地棚卸とは、現場で物理的に在庫数をカウントする作業のことです。利益の確定や在庫の管理、不正の防止を目的として行います。効率的な実地棚卸を実現するためには、マニュアルなどの事前準備が必要で、作業中に在庫を動かさないといった注意点に留意しつつ丁寧に作業を進めることが必要です。

また、在庫管理を一層効率化したい場合は、NetSuiteのような先進的な在庫管理システムの導入もおすすめです。リアルタイムで在庫状況を監視できるため、業務の最適化にもつながります。

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