IT技術の発展に伴い、EC(電子商取引)の市場規模は日々拡大しています。経済産業省の調査によると、令和元年の日本国内におけるBtoC向けのEC市場規模は19兆円を越えました。
(参考URL:
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/200722_new_kohyoshiryo.pdf p.2)
EC事業を重視する企業は、今後ますます増加していくでしょう。そんなECサイト構築において重要となるのが注文管理システム「OMS」です。今回はECサイト運営に必要不可欠なOMSの導入メリットや、選ぶポイントについて詳しく解説します。
OMSとは?
OMSとは、「Order Management System(オーダーマネジメントシステム)」の略称で、商品の受注を一括で管理・処理するシステムを指します。OMSを導入することで受注管理や在庫確認、配送手続きや請求書の作成など、ECサイトに関わるさまざまな業務を一元管理して効率化できます。システム管理によって受注業務を効率化することで、開発や企画といった企業価値を高めるためのマーケティング戦略にリソースを活用することが可能になるでしょう。
OMSの重要性
ECサイトの規模が大きくなればなるほど、受注管理業務に多大な手間と人手を必要とします。また、業務の工数が増えるほど作業が複雑化し、ミスも多発するでしょう。ミスが多発すれば生産性の低下を招き、ひいては企業の業績悪化へと至ります。
そこで、OMSを導入して受注管理業務を自動化することにより作業効率が大幅に高まります。そして、システムによって受注管理することで人為的なミスがなくなり、必要な人的リソースも減るため人件費の削減も期待できます。このような背景から、OMSは中規模以上のECサイトでは必要不可欠なシステムになりつつあります。
[RELATED_POSTS]OMS導入のメリット
ECサイトの受注に関する一連の流れを管理するOMSですが、具体的にはどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。ここではOMSを実際に導入することで得られるメリットについて解説します。
工数の削減
OMSを導入することで得られる最大のメリットは作業の自動化です。受注から発送に至るまでのさまざまな業務をシステム化することで、工数が大幅に削減されます。作業を行う人の負担も軽減され、人件費の削減にもつながるでしょう。
工数が減ることで得られるメリットは、人件費の削減だけではありません。それまで受注管理に割いていた人的リソースを別の業務に回せるため、業務の効率化と生産性の最大化が期待できます。また、業務効率化だけでなくペーパーレス化によるコスト削減にもつながるでしょう。
在庫状況の把握
過剰な在庫を抱えればキャッシュフローを悪化させて企業の資金繰りを圧迫します。反対に在庫不足による欠品は販売機会の損失を招きます。つまり、在庫は多すぎても少なすぎても企業の資産を失うことと同じ意味を持つのです。よって、在庫管理の最適化は必須事項だと言えるでしょう。
OMSを導入することにより在庫状況をリアルタイムで把握できるようになります。そして、データ分析によって品切れや不良在庫の防止につながるというメリットもあります。
トラブルの防止
電話やFAXによる受注の場合、注文した商品や数量が違うといったトラブルに発展することがあります。このようなトラブルの原因は、対応した従業員の聞き間違いや確認ミスなど、ヒューマンエラーによって起こるのです。OMSを導入して受注業務をシステム化すれば人為的ミスがなくなり、生産性の向上が期待できます。また、ヒューマンエラーをなくすことで顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
OMS導入のデメリット
OMSは多くのメリットを得られる一方で、導入によるデメリットも存在します。ここではOMSを導入することで、どのようなデメリットが発生するのかを解説します。
導入にかかるコストと労力
OMS導入の目的は、ITシステムによって受注管理業務を自動化することです。しかし、当然システムの導入にはコストがかかります。導入コストは初期費用0円のところも多くありますが、毎月数万円程度のランニングコストが発生することも、忘れてはいけません。そして、システムが高機能になればそれだけ利用料金は高額になり、多くの機能を搭載しているシステムでは、初期費用で100万円以上必要になる場合もあります。
OMSを導入する際は、こうした初期費用や月額費用を把握しておく必要があるでしょう。また、デジタル環境に慣れていない場合、操作を覚えるまでの労力や教育コストが発生することも念頭に入れておかなければなりません。
コミュニケーションの機会が減少
OMSの導入によって作業効率が大幅に向上する反面、顧客と直接コミュニケーションを取る機会は減少します。顧客との直接的なやり取りは、ユーザーが何を求めているのかを学べる絶好の機会でもあります。そうした機会が減るということは、よりよい商品やサービスを生み出す機会を失うことにつながるといっても過言ではありません。
OMSを導入する際には、定期的なメールマガジンの配信やコミュニティサイトの活用など、顧客との関係を構築する方法も同時に検討することをおすすめします。
OMS導入の選定ポイント
OMS導入にあたって重要なポイントがいくつかあります。ここではOMSを選ぶ際に、どのような点に着目すべきかについて解説します。
自社に合った製品か
ECサイトと一口に言ってもその業種はさまざまです。業種が違えば顧客のニーズも違います。そして、顧客のニーズが違えば必要なシステムも違います。よって、大切なのは高機能なシステムを導入することではなく、自社のビジネスモデルに合った製品を選ぶことです。企業の規模や業種によって、向いているシステムと向いていないシステムが存在します。導入前に業務の課題を洗い出し、必須となる機能や設定価格を満たす製品を選択しなければなりません。
操作性の良さ
どれだけ高機能なシステムであっても、使いこなせなければ意味がありません。多くの人が利用するOMSは、ITリテラシーが低い人でも扱いやすいかどうかが重要です。操作性の良し悪しによって業務効率は大きく変わります。よってシステムのUIとUXは妥協できない重要なポイントと言えるでしょう。製品によっては無料トライアルを実施している製品もあるので、実際に利用して操作感を確認することも大切です。
ほかの管理システムと連携できるか
ECサイトの業務は受注管理だけではありません。在庫管理や生産管理など、その業務は多岐にわたります。また、現在運用しているITシステムと連携可能であるかどうかも重要なポイントです。OMSを選ぶ際は、連携機能や一括管理できるシステムを選ぶと、さらなる業務効率化が期待されるでしょう。
クラウド型ERP「NetSuite」で注文業務を効率化
IT技術の発達と共にEC業界も凄まじい速さで発展しています。今後、EC企業が進化していくためには古い価値観に囚われることなく、柔軟に対応していかなければなりません。OMSの導入は今やECのスタンダードになりつつあります。自動化できる業務はシステム化することで業務効率を最大化すること。それがOMS導入の目的です。そこでクラウドERPシステム「NetSuite(ネットスイート)」の導入を検討してはいかがでしょう。
NetSuiteは世界22,000社以上の顧客に利用されている、世界的に高いシェアを誇るクラウドERPシステムです。受注管理はもちろん、高精度な見積書の作成や、請求エラーの削減に貢献してくれます。ECにおける主要業務を一元管理するNetSuiteの導入は、よりよいサービスを創出する一助となるでしょう。
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まとめ
受注に関わる業務をシステムによって一元管理し、企業がもつリソースを最大限活用することがOMS導入の目的です。顧客情報や商品情報、在庫管理や注文管理など、ECサイトの受注業務は多岐にわたります。こうしたさまざまな業務を個別管理していては生産的なオペレーションは望めません。生産性を最大化し、優れた商品やサービスを提供するためにも、OMSの導入を検討してみませんか。
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- サプライチェーン/生産管理
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- 物流管理