OBIC7とは、株式会社オービックが提供している統合業務ソフトウェアです。導入実績が豊富な国内製のERPとして高い知名度を誇っています。本記事では、OBIC7の機能や特徴、導入メリット、注意点、評判、導入に適した企業の特徴などについて解説します。
OBIC7とは
OBIC7とは、株式会社オービックが提供している統合業務ソフトウェアです。会計機能をメインとしたERPであり、企業の業務効率化や生産性の向上、経営情報の有効活用を目的としています。
そもそもERPとは「Enterprise Resources Planning」の略であり、日本語では「企業資源計画」と訳されます。ERPは本来、企業全体最適の視点で経営リソースを一元管理し、意思決定の迅速化や最適化を目指す考え方・計画のことです。
その上で、経営リソースの一元管理や有効活用のためには基盤となるシステムが欠かせないことから、ERPがシステムを指すことも多くなっています。
OBIC7の提供ソリューション
OBIC7では、業務・部門や業種別にさまざまなソリューションが用意されています。
ここでは、業務・部門別のソリューションおよび業種別の主なソリューションについて、それぞれ解説します。
業務・部門別のソリューション
業務・部門別のソリューションとしては以下のようなものがあり、企業活動で必要なあらゆる情報をシステム上で管理することが可能です。
- 会計情報システム
- 人事情報システム
- 給与情報システム
- 就業情報システム
- 販売情報システム
- 生産情報システム
- クラウドソリューション
- 財務ソリューション
- 書類作成・事務支援ソリューション
たとえば、会計情報システムでは、単体会計や連結会計、原価管理、固定資産、債権・債務をまとめて管理できます。また、特許技術を使った自動仕訳や会計データの連携により、各業務・部門や経営全体の状況をタイムリーに把握することが可能です。
業種別のソリューション
業種別のソリューションとしては以下のようなものがあり、幅広い業界・業種に導入できるようになっています。
- 製造業・設計業向けソリューション
- 金融業向けソリューション
- 商社・卸売業向けソリューション
- 運輸・物流サービス業向けソリューション
- 小売業向けソリューション
- サービス業向けソリューション
- 不動産関連業向けソリューション
- 建設工事業向けソリューション
OBIC7の特徴
OBIC7の特徴としては、主に以下の点が挙げられます。
- 自社一貫体制によるトータルサポート
- ERP累計導入社数シェアNo.1の実績
- 導入形態をオンプレミス型とクラウド型から選択可能
OBIC7は、株式会社オービックがシステム企画からコンサルティング、開発・構築、運用サポートまでを一貫して行っていることが特徴のひとつです。
自社一貫体制でOBIC7を開発・提供しているため、顧客からの技術的な問い合わせ対応も含めて、手厚いサポート対応を行うことができます。
例えば、以下のような運用サポートを実施しています。
- 業務アプリケーションの操作・運用サポート、障害発生時の原因調査および対処
- ネットワーク環境の設定サポート、メンテナンス代行、技術的な問い合わせへの対応
- ハードウェア、データベース、ミドルウェアの運用サポート
ERP累計導入社数シェアNo.1の実績
OBIC7は1997年にリリースされてから、シリーズ全体で累計導入社数25,000社を超える豊富な実績を有しています。そしてERPの提供ベンダーが数多く存在している中で、ERP累計導入社数シェアNo.1を維持し続けている点も大きな特徴です。
株式会社オービックは、「自社開発」および「直接販売」を創業以来のポリシーとしており、長年にわたってERPの自社開発・販売に注力してきたことが大きな実績につながっているといえるでしょう。
導入形態をオンプレミス型とクラウド型から選択可能
OBIC7は、導入形態をオンプレミス型とクラウド型から選択できる柔軟性も特徴となっています。自社でサーバーなどのインフラ環境を用意し、セキュリティを重視しながら自社ネットワーク内で利用したい企業にとっては、オンプレミス型が適しています。
一方で、拠点を問わずに利用できる利便性や運用負荷の軽減を求める企業には、クラウド型がおすすめです。なお、OBIC7のクラウドサービスは顧客ごとのプライベートクラウドとなっているため、クラウド型でも堅牢なセキュリティ環境下でシステム運用を行うことが可能です。
OBIC7の主な機能
ここでは、OBIC7の主な機能について、以下の業務分野の機能ごとに分けて解説していきます。
- 会計業務に関する機能
- 人事業務に関する機能
- 給与計算に関する機能
- 就業管理業務に関する機能
- 販売業務に関する機能
- 生産業務に関する機能
- 財務業務に関する機能
会計業務に関する機能
会計業務に関する機能としては、主に以下が挙げられます。
- 仕訳処理機能
- 財務諸表・決算報告書作成機能
- IFRS対応機能(包括利益対応や過年度遡及修正など)
- 為替差損益計算機能
- 原価収支管理機能
- 債務・支払管理機能
- 固定資産管理機能 など
人事業務に関する機能
人事業務に関する機能としては、主に以下が挙げられます。
- 異動情報登録機能
- 異動変遷履歴の世代管理機能
- 汎用検索・ユーザーリンク機能
- 操作履歴や変更履歴のロギング機能 など
給与計算に関する機能
給与計算に関する機能は、主に以下のとおりです。
- 保険や財形の契約内容管理機能
- 支給差額の自動調整機能
- 入退社時に必要となる各種申請書の作成機能
- 汎用検索・ユーザーリンク機能
- 操作履歴や変更履歴のロギング機能 など
就業管理業務に関する機能
就業管理業務に関する機能としては、主に以下が挙げられます。
- 勤怠状況照会機能
- 勤務実績管理機能
- 勤怠シフト管理機能
- 時間外状況管理機能
- 各種休暇管理機能 など
販売業務に関する機能
販売業務に関する機能としては、主に以下のような機能があります。
- 受注・出荷管理機能
- 発注・入荷管理機能
- 売上・請求管理機能
- 仕入・検収管理機能
- 在庫・物流管理機能 など
生産業務に関する機能
生産業務に関する機能としては、主に以下が挙げられます。
- 見積管理機能
- 生産計画作成機能
- 所要量計算機能
- ロット管理機能
- 製造実績や検査成績の管理機能 など
財務業務に関する機能
財務業務に関する機能としては、主に以下が挙げられます。
- 有価証券管理機能(取引情報管理、決算処理、決算資料の作成など)
- 与信管理機能(財務情報の登録・分析、信用格付、取引先情報管理など)
- ファクタリング機能(ファクタリング契約管理、入金処理など)
OBIC7の導入メリット
OBIC7の導入メリットとしては、主に以下の事項があります。
- 中小企業から大企業まであらゆる企業規模に対応できる
- 社内のさまざまな情報を一元管理できる
- クラウド型でも高いセキュリティを担保できる
- 高いスケーラビリティを備えている
- 一貫したサポートを受けられる
- BCP対策にもしっかりと対応できる
- 法改正や制度改正に対して柔軟に対応できる
中小企業から大企業まであらゆる企業規模に対応できる
OBIC7の導入メリットのひとつは、中小企業から大企業まであらゆる企業規模に対応できる点です。
また、グループ企業の垣根を越えた共通のシステム基盤を提供できるため、単体企業だけでなくグループ企業全体での導入にも適しています。
例えば、グループ全体で共通する人事給与システムを構築することで、グループ企業間の人材流動があった際にスムーズな情報管理を行うことが可能です。
社内のさまざまな情報を一元管理できる
OBIC7にはさまざまな業務に対応するソリューションが用意されており、社内のあらゆる情報を一元管理できる点もメリットとなります。
OBIC7は、会計業務を中心に販売業務や生産業務、人事業務といった企業活動で必要となる一連の業務をカバーしています。
OBIC7によって社内情報を集約できれば、部門・部署間のデータ連携の効率化や業務効率化につながるでしょう。
クラウド型でも高いセキュリティを担保できる
OBIC7は、クラウド型ERPで懸念されがちなセキュリティ面で安心できる点もメリットです。
OBIC7のクラウドサービスは、会計管理や販売管理、生産管理などの一連の管理業務をプライベートクラウド上で行える仕組みになっています。
そのため、顧客ごとの独自業務やセキュリティ要件に対応でき、情報漏えいなどのリスクを低減することが可能です。
また、データセンターは最高レベルの安全基準であるティア4を獲得しているなど、客観的にも高いセキュリティ基準を有しています。
高いスケーラビリティを備えている
OBIC7は、機能の追加・拡張を柔軟に行うことができ、高いスケーラビリティを備えている点もメリットです。
OBIC7の各機能はコンポーネントとして分かれているため、それぞれの企業の要件に応じて容易にカスタマイズできます。
例えば、最初は会計業務にのみOBIC7を導入し、段階的に販売業務や生産業務といった他の業務に導入していくという方法も取ることができます。
必要に応じて機能を追加・拡張していくことで、新規ビジネス展開時や事業規模の拡大時などでも柔軟に対応することが可能です。
一貫したサポートを受けられる
OBIC7は株式会社オービックが自社で企画や開発、販売を一貫して行っており、サポートまでを含めた一気通貫の体制となっています。開発元と販売元が同じ企業であるため、顧客にとっては同一の窓口に対してさまざまな質問や相談を行える点がメリットであるといえるでしょう。
企画から開発、導入後のサポートまでを一貫して受けられることで、システム障害が発生した際の迅速な対処や導入後の改善提案などの効果も期待できます。
BCP対策にもしっかりと対応できる
OBIC7は、BCP対策がしっかりと行われている点もメリットです。
例えば、データセンターを複数の拠点に構え、それぞれを遠隔地域に分散させることで、大規模な災害が発生した際でも事業継続性を高めることができています。
また、データセンターが設置された拠点間で日次・月次でバックアップ同期を行っているため、業務データを常に最新の状態に保つことが可能です。加えて、オービックの事業拠点が全国に存在していることで、万が一の際にも近くの拠点から事業継続の支援を行える体制が整っています。
法改正や制度改正に対して柔軟に対応できる
OBIC7の導入メリットには、法改正や制度改正に対して柔軟に対応できる点も挙げられます。
例えば、スキャナ保存機能により会計帳簿や領収書などを電子保存でき、電子帳簿保存法などの法改正に対応することが可能です。
また、OBIC7は株式会社オービックが自社開発を行っているため、今後も法改正や制度改正があった際は開発部門と連携してスムーズに機能追加・改修が行われていくと考えられます。
OBIC7の動作環境
OBIC7の動作環境は以下のとおりです。
項目 | 要件 |
サーバー端末 | OS:Windows Server 2012以上 メモリ:4GB以上(推奨8GB) ハードディスク:50GB以上 その他:ハードウェアスペックに関しては、運用利用環境により別途相談 |
クライアント端末 | OS:Windows 8.1(Pro以上)/10(Pro以上) メモリ:4GB以上(推奨8GB) ハードディスク:1GB以上(OS領域を除く) ディスプレイ:解像度1280×768以上 |
OBIC7の価格・料金プラン
OBIC7の価格・料金プランは公開されていません。OBIC7の導入にかかる費用は、カスタマイズ方法や導入規模などによっても異なります。
したがって、詳細な見積もりを行いたい場合は、OBIC7の公式サイトから問い合わせるようにしましょう。
OBIC7導入における注意点
OBIC7はさまざまなメリットがある一方で、導入における注意点も存在します。主な注意点としては以下のとおりです。
- 詳細な費用は問い合わせなければわからない
- クラウド型の場合は、OBIC7のクラウド環境に依存することになる
- 社内で円滑に利用するためには十分な操作教育が必要
詳細な費用は問い合わせなければわからない
前章で説明したように、OBIC7の価格・料金プランは公開されていないため、詳細な費用について知りたい場合は問い合わせを行うことになります。
そのため、例えばERPを比較検討し始めた段階で、各企業に問い合わせる前に費用を比較したいと思っても、OBIC7の導入に必要な費用はわからないため、注意が必要です。
あらかじめERP導入費用として社内で予算を見積もっていたとしても、問い合わせを行った結果、想定以上の費用がかかることが判明して予算の再検討が必要となる可能性も考えられます。
クラウド型の場合は、OBIC7のクラウド環境に依存することになる
クラウド型のOBIC7を導入する場合は、オービック社が用意しているクラウドサーバー上でシステムを運用することになります。その場合、万が一OBIC7側のクラウド環境にシステム障害や不具合が生じた際に、事象を自社でコントロールできないため、注意が必要です。
クラウド型は自社の運用負荷を軽減できるなどのメリットがある一方で、外部要因によって業務運用に影響をきたす可能性がある点がリスクとなります。
社内で円滑に利用するためには十分な操作教育が必要
OBIC7を社内に導入して円滑に利用するためには、十分な操作教育が必要となる点にも注意が必要です。
OBIC7の特徴のひとつにカスタマイズ性の高さが挙げられますが、カスタマイズがしやすい分、特定の担当者にしか利用できないシステムとなるおそれもあります。
カスタマイズを行った箇所も含めてシステムの操作マニュアルなどを整備し、しっかりと社内教育を行っていくことが求められるでしょう。
OBIC7の評判
ここでは、OBIC7のユーザーからの評判について、良い評判と改善を希望する評判に分けていくつか紹介していきます。
良い評判
はじめに、OBIC7に対するユーザーからの良い評判の一例を紹介します。
「膨大なデータの管理が必要な売上管理業務をスマートに一元管理できます。複数の事業部が存在していても一元管理ができるので、会社の規模が大きいほど導入の恩恵は大きくなるのではないでしょうか。管理コストが削減されて助かります。」
「日々の仕訳業務や貸借対照表・損益計算書の作成がラクになりました。過去年度と次年度の比較もすぐにできるので、事業予算の計画もしやすいです。」
「従業員の勤怠管理や給与管理などを一元化できたので、非効率な作業が減ってスムーズに業務を進められるようになりました。ITリテラシーがあまり高くない年配の社員でも問題なく使えているので、わかりやすい仕様だと思います。」
「これまで自社のシステムを使っていた時はオフィス内でしか利用できませんでしたが、OBIC7は拠点や勤務形態に関わらずオービック上で承認できるので便利です。Webブラウザ上で経費精算などもできるため、リモートワークにも適していると思います。」
「これまでオンプレミス版の給与管理システムを使っていましたが、クラウド版のOBIC7の給与管理システムに変更したら、社員一人ひとりがアカウントを持てるようになりました。それにより、各社員が自分の給与明細を確認したり、過去分の源泉徴収票を自分で発行したりできるようになったので、かなり使いやすくなりました。」
「これまでの自社の在庫管理システムは使いづらくミスが頻繫していましたが、OBIC7を導入してからは使いやすく在庫管理のミスが大幅に減りました。システム内にあるデータはCSVやExcelの形式でダウンロードできるので、データ分析もしやすく助かっています。」
改善を希望する評判
OBIC7に対する、ユーザーからの改善を希望する評判についても一例を紹介します。
「リモートデスクトップで接続する際に、つながらなくなる時があります。つながらない時はアプリを再起動しなければならないので、少し手間に感じます。」
「トップメニューのUIは見やすくて良いのですが、申請画面が見づらいと感じます。申請画面についても、タイル表示など一目で内容がわかるようなUIにして欲しいです。」
「出張申請などの申請内容を間違えてしまった際に、途中で申請の削除ができず不便に感じます。誤った申請のまま承認された場合、最終的な経費精算の承認まで完了しないと削除できません。また、経費精算を行うたびに過去の誤った申請も表示されるので煩わしい。」
「承認フローでメールプッシュがないのが不便に感じます。自分が部下などの申請の承認をしなければならないタイミングの時に気づきにくいです。自分でOBIC7を立ち上げて申請が来ているか確認しないといけないので、すぐに承認の対応ができず見逃してしまうことがあります。」
「OBIC7の画面には入力項目が多くありますが、すべての項目を実際の業務で使っているわけではありません。入力しない項目はスキップすることもできますが、毎回スキップを選択するのも非効率だと思うので、必要な項目だけを表示できるようにしたいです。業務に合わせて入力画面をカスタマイズできたらより便利だと思います。」
「オービックのエンジニアは知識が豊富でどんな問い合わせにも対応してくれる点は素晴らしいのですが、専門性が細かく分類されすぎていて、システムや機能によって担当者が異なります。そのため、不明点や質問が出てきた際に、誰に聞いたらよいのかわからず迷う時があります。総合窓口のような役割を立ててもらえると、問い合わせをしたい際に迷わなくなるのでより便利になると思います。」
OBIC7の導入に適している企業の特徴
ここからは、OBIC7の導入に適している企業について解説します。
OBIC7の導入に適している企業の特徴としては、主に以下の項目が挙げられます。
- 事業規模がある程度大きな企業
- 実績豊富な国産ERPを求めている企業
- シフト勤務制を用いている企業
事業規模がある程度大きな企業
OBIC7は、自社の要件に応じて機能を柔軟に追加・拡張できる点が特徴のひとつとなっています。単一の機能でも利用できますが、複数の機能を組み合わせて運用したほうがスケールメリットを発揮し、より大きな効果が期待できるでしょう。
したがって、事業規模がある程度大きな企業のほうが業務効率化やコスト削減などの効果を享受しやすいと考えられます。
実績豊富な国産ERPを求めている企業
OBIC7は、豊富な導入実績で国内シェアNo.1を誇っているため、実績豊富な国産ERPを求めている企業にもおすすめできます。
知名度の高いERPには海外製のものも多い中で、国内企業のみで一貫して企画や開発、販売を行っている点は大きな特徴です。
実績のある国内製のERPを希望している企業にとっては、OBIC7は有力な選択肢になるといえるでしょう。
シフト勤務制を用いている企業
OBIC7では、早出や夜勤などのシフト勤務に対応した入力支援機能があるため、シフト勤務制を用いている企業にも適しています。
例えば、24時間稼働が求められる工場現場や医療現場などの勤怠管理にもおすすめできます。
まとめ
OBIC7とは、株式会社オービックが提供している統合業務ソフトウェアのことです。会計機能を中心にさまざまな機能があり、企業全体の業務効率化や生産性の向上、経営データの一元管理などに役立ちます。
中小企業から大企業まであらゆる企業規模に対応できますが、特に事業規模がある程度大きな企業のほうがスケールメリットを発揮しやすいといえます。また、実績豊富な国産ERPを求めている企業にとってもOBIC7は有力な選択肢となるでしょう。
ERPの導入を検討している企業に向けて、ERPの比較と選定ポイントを資料にまとめました。
資料を参考に、自社のニーズや将来的な目的に合う製品をしっかり比較検討しましょう。
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