レガシーシステムとは?2025年の崖との関係・問題点・脱却方法を紹介

 2023.05.24 

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レガシーシステムの存在は、多くの企業にとって深刻な問題となっています。レガシーシステムは、古い技術やアーキテクチャに基づいており、現代のビジネス環境や最新技術への適応などが難しいからです。システムの刷新やクラウド化などの取り組みを通してレガシーシステムから脱却することは、企業の持続可能性を高めるために欠かせません。そこで本記事では、レガシーシステムの問題点と、レガシーシステムから脱却する方法を解説します。

レガシーシステムとは?2025年の崖との関係・問題点・脱却方法を紹介

レガシーシステムとは?

レガシーシステムとは、古い技術や仕組みで構築されているために、現在の技術や要件に適応できなくなっているシステムを指します。レガシーシステムの代表例のひとつが、自社の業務に合わせて設計されたオフコン(オフィスコンピュータ)です。オフコンは長年にわたって企業の業務を支えてきましたが、昨今では最新技術への適応やメンテナンスコストの増大などの問題が浮上しています。

経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」によると、約8割の企業が社内に何らかのレガシーシステムを抱えているとのことです。レガシーシステムの存在については、各企業はもちろん経済産業省にも問題視されており、そこからの脱却は日本の大きな課題のひとつになっています。

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レガシーシステムによる問題点

生産性が低下する

部分改修や機能拡張を繰り返してきたレガシーシステムは、開発当初の全体最適された状態から遠ざかり、構造が過度に複雑化しがちです。その結果、バグへの対応も難しくなり、データ消失などの深刻なトラブルも懸念されます。データ量が膨大になり、システムの動作が遅くなることも問題です。

そのため、システム担当者はさまざまな課題に絶えず悩まされることになり、システムを維持するだけで手一杯になってしまいます。現場にとっても古い技術で作られたレガシーシステムは使い勝手が悪い場合が多く、業務効率に悪影響を与えがちです。

コストが膨大になる

上記のように課題の多いレガシーシステムを運用し続けていると、エラーやバグへの対応、アップグレードやデータベースの維持などの保守管理にかかるコストも膨大になってきます。最悪の場合、システム障害が発生して業務そのものが停止してしまうリスクも否定できません。中長期的なコストパフォーマンスを考えると、無理にレガシーシステムを維持し続けるよりも思いきってシステムの刷新に取り組んだほうが合理的です。

変化に対応できない

レガシーシステムは、最新の技術や変化に適合できない恐れがあります。例えば、法改正への対応や、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みのためにシステムへ手を入れようとしても、レガシーシステムの場合は多大な手間や時間が生じがちです。レガシーシステムは基本的にオンプレミス環境での使用を前提にしているので、リモートワークなどの新しい働き方への対応も簡単ではありません。

属人化しがちである

レガシーシステムに付随する問題としては、開発に携わった技術者が高齢化していることも挙げられます。しかも、複雑に肥大化したレガシーシステムは全体像の把握が難しく、新しい技術者にとって馴染みの薄いコードが使われていることも多いため、仕事を引き続くのも容易ではありません。その結果、レガシーシステムの管理は高齢の技術者に属人化しがちで、その人が定年退職してしまったら、適切に管理ができなくなってしまう恐れがあります。

レガシーシステムと「2025年の崖」の関係

レガシーシステムと関連して、しばしば同時に言及されるのが「2025年の崖」という言葉です。日本でレガシーシステムの問題が注目されるようになったきっかけのひとつは、経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」ですが、「2025年の崖」という言葉はその文中や副題の中で登場しています。

簡単に言うと、2025年の崖とは、レガシーシステムをはじめとするIT関連の課題を放置した場合、2025年以降、日本に最大12兆円/年間の経済的損失が生じるリスクのことです。2025年は「DXレポート」においてIT業界の転機になる年と捉えられており、例えば以下のような出来事が重なると想定されています。

  • 稼働から21年以上の基幹系システムを利用している企業が6割以上になる
  • IT人材不足が約43万人まで拡大する
  • SAP ERPの保守サポートが終了する

2025年の崖を克服するためには、レガシーシステムを刷新し、DXを推進していくことが必要です。

レガシーシステムからの脱却方法

方法1. モダナイゼーション

モダナイゼーション(Modernization)とは「近代化」ないしは「現代化」という意味で、古いシステムを刷新することを指します。リライト・リプレイス・リホストの3つが、モダナイゼーションの具体的な手法です。

リライト:既存システムの開発言語を別の種類に書き換える手法。
リプレイス:既存システムを新しいシステムに置き換える手法。
リホスト:既存システムを新たなインフラやクラウドなどに移行する手法。

こうした手法でモダナイゼーションを行うことで、最新の技術への対応、パフォーマンスの向上、セキュリティの強化、保守管理の属人化からの脱却といった効果が期待できます。

方法2. マイグレーション

マイグレーション(Migration)とは「移動」や「移住」を意味する言葉で、システムやデータを別の環境に移すことです。システムの刷新という面が強調されやすいモダナイゼーションに対して、マイグレーションの場合は既存システムの機能や性能を保ちつつ環境だけ変えるというニュアンスが強くなります。既存のシステムの機能や使い勝手をなるべく変えずに有効活用していきたいのであれば、マイグレーションをおすすめします。

方法3. クラウドシステム

モダナイゼーションとマイグレーションどちらを選択するにしても、優先的に取り組みたいのがクラウドシステムの活用です。クラウドシステムとは、ネットワーク経由で提供されるシステムを意味します。クラウドシステムはインターネット上で利用できるので、場所にとらわれずにアクセスしたり、データのやりとりをスムーズにしたりできるのが大きな利点です。既存のクラウドサービスを利用すれば、サーバーの構築やシステムのメンテナンスなどを自社で行う必要もなくなり、システムの導入・運用を迅速かつ柔軟に行えるようになります。

クラウドERP

上記のクラウドシステムの中でも、特におすすめなのがクラウドERPの導入です。クラウドERPとは、従来オンプレミスで提供されてきたERP(統合基幹業務システム)をクラウド上で利用できるようにしたサービスを意味します。人事・会計・販売管理・在庫管理など、企業にとって必要な機能をそろえたクラウドERPを導入することで、企業全体のプロセスをクラウド上で統合的に処理できるようになります。クラウドERPは、ベンダー会社の専門チームによってさまざまな保護が施されているので、セキュリティ面も安心です。また、レガシーシステムとは異なり、バージョンアップなどもベンダー側で行ってくれるため、法制度や状況の変化などにも柔軟かつ迅速な対応ができます。

まとめ

レガシーシステムを放置することは、生産性の低下、コストの肥大化、セキュリティリスクの増大など、さまざまなリスクに繋がります。事業の持続可能性を高めるためには、モダナイゼーションやマイグレーションを通してレガシーシステムから脱却し、DXを推進することが重要です。DXの第一歩としては、特にクラウドERPの導入をおすすめします。

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