ビジネスパーソンならばKPI(Key Performance Indicator)とKGI(Key Goal Indicator)を駆使して、計画的かつスマートに目標を達成したいものです。しかし、そもそもKPIとKGIの概要や違いをよく理解していない方も多いでしょう。本記事では、そんなKPIとKGIの違いについてご紹介します。
また、近年注目され海外の大手ITベンダーでも採り入れられているOKR(Objectives and Key Result)も合わせてご紹介します。
KPI(Key Performance Indicator)とは
ビジネスではいつの時でも計画と目標を重視することが大切です。特にスタートアップ企業や中小企業にとってはビジネスを軌道に乗せるためにしっかりとした計画と目標が必要になります。正確性の高い計画はタスクを整理し、効率良く業務を行うのに欠かせませんし、目標が決まっていなければモチベーションを維持するのも難しいでしょう。
組織において計画と目標の大元になるのが経営計画や事業計画です。そこから予算編成や販売計画、生産計画へと落とし込み、さらに部署ごとの予算編成や個人目標へと落とし込んでいきます。このため、社員の目標達成が部署の目標達成に繋がり、さらに組織の目標達成に繋がるというボトムアップの構造になっています。
KPIとは、各目標を達成するために設けられたチェックポイントのようなものです。目標達成には様々なタスクをこなし、いくつもの過程を実行しなければいけません。しかし、その過程が果たして目標に繋がっているものなのかどうか?これを測定するための指標が無ければ、どんなにタスクをこなしても目標を達成できない可能性があります。そこで、目標達成に向けて一直線に進めているかどうかをチェックするための指標が、KPIというわけです。
KPI設定に欠かせないSMARTとは
KPIを設定するにあたり、どんなときも欠かせない5つの要素があります。それぞれの頭文字を取ってSMARTと呼ばれています。
- Specific(明確性)
- Measurable(計量性)
- Achievable(現実性)
- Result-oriented or Relevant(結果志向または関連性)
- Time-bound(適時性)
KGI(Key Goal Indicator)とは
一方、KPIによく似た指標であるKGIは何を示すのでしょうか?それは、最終的な目標となる数値を表すものです。経営計画や事業計画、予算や生産計画、個人の業務計画にはすべて目標があります。前述のように、目標が無ければモチベーションの維持は難しいですし、計画遂行のための指針を持たないことにもなります。
その目標こそがKGIです。ただし、「顧客満足度を向上する」といった曖昧な目標ではなく、具体的な数値によって表すのがKGIのポイントです。例えば、顧客満足度を向上するという目標を数値的に表すには、リピート率や客単価の向上などが考えられます。ここでも注意すべきなのが、単純な売上高増加で考えないことです。
販売価格を下げてより多くの顧客が商品やサービスを購入できるようにすれば、単純に売上高がアップするかもしれません。しかし、だからといって顧客満足度が向上したとは限りませんし、利益率が上昇したとも言えません。
このため、「顧客満足度を向上する」という曖昧な目標に対して、どういった具体的な目標値を掲げることが目標を正確に表せるのか?と考える必要があります。この場合、「半年後のリピート率を10%から20%へと引き上げる」「1年後までに客単価は5%アップさせる」などのKGIを設定するのが適切です。
[SMART_CONTENT]例を交えてKPIとKGIの違いをご紹介
KPIは目標に対するチェックポイントを数値的に表し、KGIは目標達成に欠かせない数値を設定するものです。ここで、「テイクアウト専門の焼鳥屋の売上をアップさせる」という例を交えて、KPIとKGIの違いをご紹介します。
まずその焼鳥屋は、オープンから2年が経過し客足もそこそこ増えてきて事業が軌道に乗ったことをきっかけに、「売上をもう少しアップできないか?」と考えました。この時、まず設定すべきなのがKGIです。しかしこの焼鳥屋はオープンから2年余りなので、どれくらいの売上アップ率なら現実的なのか?の根拠になるデータがありません。そこでひとまず、「1年間で前年対比15%アップさせよう」とKGIを設定しました。
次にKPIを設定します。売上をアップさせる方法は「お客さんを増やす」「リピート率を上げる」「客単価を上げる」「販売価格を上げる」の4つがあります。しかし、テイクアウト専門で個人経営の焼鳥屋が、原価を下げたり販売価格を上げたりしてまで売上アップを目指すのは致命的なダメージに繋がるリスクが高いため、「お客さんを増やす」「リピート率を上げる」「客単価を上げる」の3つの方法からアプローチしようと考えます。
さらに深く考えたところ、そもそもこの焼き鳥店は口コミが広がって客あしが増えた店舗であり、なおかつ広告には多大なコストがかかることから「お客さんを増やす」方法についても適切ではないと判断します。残ったのは、「リピート率を上げる」「客単価を上げる」の2つの方法です。
ここで、リピート率と客単価をどれくらいアップさせれば、KGIとして設定した年間売上15%アップを達成できるのか?を計算します。KGIから逆算したKPIとして必要な数値を導き出します。その結果、今よりもリピート率を5%アップ、客単価を300円アップさせればよいことが分かりました。このためKPIは、「年間のリピート率5%アップ」「年間平均客単価300円アップ」という数値が設定されます。
これならば、100人の新規客のうち5人をリピーターに引き込み、なおかつ焼き鳥を2本程度多く販売することができればKGIを達成できます。現実的な数値ですね。このように、KGIとKPIは現実的かつ、頑張れば達成できる数値を設定するというのがとても大切です。
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OKR(Objectives and Key Result)とは
それでは最後に、KPIとKGIに代わって拡大しつつあるOKRについてご紹介します。
OKR(Objectives and Key Result)は日本語で「目標と主要な結果」と言い現わされます。この指標は、組織全体の目標(Objectives)を最初に設定し、その目標につながる主要な結果(Key Result)を設定することで、それぞれをリンクさせる形で部署ごとの目標と主要な結果、個人の目標と主要な結果といったように、ツリー構造に落とし込んでいきます。
イメージとしては、組織全体の目標から樹木型にOKRが広がり、組織の末端まで細かい目標と主要な結果が設定されているような感じです。OKRの利点は、目標と主要な結果を常にセットで考え、なおかつ組織全体から組織の末端までOKRがリンクされているため、一体感を持って目標達成に取り組めること、個々の目標達成が組織の目標達成に繋がることを強く意識できるため責任感が増すことです。
目標とそれに繋がる主要な結果をよりシームレスに整理したのがOKRなので、KPIとKGIの設定を考える際は、ぜひOKRも意識してみてください。
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