在庫回転率を確認することでニーズのある商品や経営状態を確認することができます。また、将来の需要予測を立てることも可能です。本記事では、在庫回転率の概要と重要性を解説したのち、向上させる方法についても紹介します。
【概要説明】在庫回転率とは?
在庫回転率とは、残っている在庫の金額と販売した原価金額を比較して、在庫がある期間に入れかわっている回数を表す指標です。例えば、1ヵ月で在庫が3回入れかわっていた場合、在庫回転率は3回/月となります。なお、今ある在庫の金額を棚卸資産、販売した原価金額を売上原価といいます。資産回転率は以下の式で算出可能です。
在庫回転率 = 売上原価 ÷ 期末の棚卸資産
値が高いほど商品が循環するサイクルは速く、値が低いほど在庫が倉庫に長期間留まっていることを示しています。つまり、在庫回転率の値が高い商品は売れ行き好調な商品であるのに対して、値が低い商品はあまり売れていない商品だということです。
在庫回転率が重要な理由
企業にとって商品の在庫は、現金化が図れる重要な資産です。企業が収益アップを図るためには、在庫商品を販売して現金化を図る必要があります。ここでは、在庫回転率が企業の在庫管理にとって重要である理由を解説します。
在庫回転率が重要な理由1. 年間の売上推移が把握できる
在庫回転率が重要な理由の一つとして、確認することで年間の売上推移が把握できる点が挙げられます。長期間確認することで、季節や年月による売上の増減を確認可能です。商品を仕入れる際の判断材料になるでしょう。
特に季節や年月によって売上が大きく変動するアパレル業界において、在庫回転率が重要だといえます。確認していないと、ニーズがない商品を大量に仕入れてしまう可能性も考えられます。
また、在庫回転率を確認することで、将来の需要予測を行うことも可能です。ニュースやSNSなどで話題になっている事項と照らし合わせることで、将来のトレンドを予想することができるでしょう。
在庫回転率が重要な理由2. 無駄なコストの削減
無駄なコストを減らせることも、理由の一つといえるでしょう。在庫回転率を確認することで、売れ行き不振の商品を把握できます。
売れ行き不振の商品が把握できれば、売れ行き不振の商品が在庫に占めている率を下げることでコスト削減に繋げられるでしょう。また、売れ行き不振の原因を把握したり、これからも売り続けていく必要があるのかどうかを判断したりすることも可能です。
売れ行き不振の商品の在庫を抱えると、在庫管理に人員を割く必要があります。在庫を保管するスペースを確保するための費用もかかるでしょう。在庫回転率を常に確認し、売れ行き不振の商品の在庫を減らすことでコスト削減できます。
在庫回転率が重要な理由3. 経営状態の把握
商品のみならず経営状態を判断できる点も、重要な理由といえます。在庫回転率の値の高い商品が多いほど経営状態は良好であると判断できるでしょう。一方で、値の低い商品が多い場合には在庫金額が膨らみ、キャッシュ・フローが減少して経営状態が悪化している可能性があります。
キャッシュ・フローの悪化は黒字倒産の原因にもなるため、在庫回転率を適宜確認してキャッシュ・フローを把握しておくことは大切なことです。ただし、在庫回転率のみで判断するのではなく、お金の流れを常に確認して総合的に判断する必要があります。
[RELATED_POSTS]在庫回転率の計算方法
在庫回転率計算の方法は、「売上原価 ÷ 期末の棚卸資産」という計算式だけでなく、個数基準で計算することも可能です。計算方法に関しては、売上金基準と個数基準の2種類があります。ここでは、在庫回転率計算の方法について、売上金基準の計算方法と個数基準の計算方法に分けて解説します。
売上金基準の計算方法
売上金基準の計算方法は、財務諸表を作成したり、経営状態を分析したりするのに適した計算方法です。売上金基準の計算式は「売上原価 ÷ 期末の棚卸資産」であり、売上基準を用いる際は、実際の売上高ではなく売上原価を用います。
実際の売上高ではなく売上原価を用いる理由として、実際の売上高で計算した場合、利益分が計上されてしまい正しい数値を算出できない点が挙げられます。売上原価は「期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高」で求めることが可能です。なお、より正確な在庫回転率を算出する場合には、以下の計算式を用います。
年間の売上原価 ÷ 年間の棚卸資産平均
個数基準の計算方法
個数基準で在庫回転率の計算をするには、出庫数を平均在庫数で除することで算出できます。なお、平均在庫数の算出方法は、期首在庫数に期末在庫数を足した数字を2で除すると算出可能です。個数基準での計算方法は以下のようになります。
- 在庫回転率= 出庫数 ÷ 平均在庫数
- 平均在庫数=(期首在庫数 + 期末在庫数)÷ 2
個数基準の計算方法は、売上金基準よりも簡単に在庫回転率を算出できるのが特長です。早急に知りたい場合は、個数基準の計算方法が適しているといえます。
売上金基準と個数基準の使い分け
売上金基準と個数基準は、目的や用途に応じて使い分けることが大切です。より正確な在庫回転率を知りたいときは売上金基準が向いているのに対して、現場で急いで計算をしたいときは個数基準が向いています。
また、売上金基準は決算書を作成といった、経営的な課題を明確にする場合に適しています。そのため、財務改善を目的に在庫回転率を確認したい場合は、売上金基準で計算するようにしましょう。さらに、適正在庫金額を決定する場合も売上金基準で計算するのが適しているといえます。
対して、個数基準は在庫の出入り数を把握しているため、必要なスペースなどを明確にする場合に適しています。また、現場で実務的に商品ごとの在庫回転率をモニタリングしたい場合も、個数基準だと比較的簡単に在庫回転率を算出可能です。
在庫回転率を上げるポイント
在庫回転率を向上させるには、適切な目標を設定し、高頻度で確認することが大切です。常に確認しておくことでニーズのある商品が把握できます。ニーズのある商品を増やすことで、さらに向上させられるでしょう。
また、労働リソースが割かれないように適した在庫回転率ツールを用いることも、在庫回転率を向上させることに繋がります。在庫回転率ツールを用いることで、在庫の動きを可視化することが可能です。可視化することで的確な在庫管理を行えるでしょう。
さらに、平均在庫を下げることも向上させるポイントの一つです。出庫数を平均在庫数で除したものが在庫回転率であるため、平均在庫数が少なくなるほど在庫回転率の値は高くなります。
まとめ
在庫管理の中で特に重要な指標の在庫回転率を向上させるためには、在庫回転率を常に確認し、ニーズのある商品を増やすことがポイントです。また、平均在庫を下げることも在庫回転率を向上させることに繋がります。いずれにしても、常に確認しておくことが重要だといえるでしょう。
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