近年、業界特化型ソリューションに強みを持つ「Infor(インフォア)製ERP」が注目を集めています。この記事ではInfor社の基本情報からERPの特徴、主要製品の種類、導入に向いている業界までを網羅しているので、ERPの導入を検討しており、さまざまなソリューションをチェックしている経営者の方は必見です。
「Infor(インフォア)」とは
まずは、Inforの概要とInfor製ERPの特徴について理解しておきましょう。
Inforはアメリカのソフトウェアメーカー
Inforは、アメリカのニューヨークに本社を置くグローバルソフトウェアメーカーです。2002年に「Agilisys(アジリシス)」として設立され、2004年に「Infor Global Solutions」へ社名変更しました。現在では、世界中で事業を展開するソフトウェア企業として確固たる地位を築いており、170以上の国・地域でビジネスソフトウェアを提供しています。
Infor製ERPの特徴
「Infor製ERPには、以下のような特徴があります。
- 業界特化型
自社に適したERPは、業界・業種や企業規模などによって異なります。その点、Infor製ERPは「業界特化型」であるため、業界・業種や企業規模に応じて最適化されたものを提供しており、なかでも、製造業(組立・プロセス製造)や流通業での導入実績が豊富です。 - クラウドファースト戦略
Infor社は「インダストリークラウド・コンプリートカンパニー」を掲げており、クラウドベースのソリューション開発に注力しています。 - スムーズな導入
業界・業種特有のニーズに対応した機能をデフォルトで備えているため、導入後はカスタマイズ不要で、すぐに課題解決に取り組めます。 - 高い汎用性
顧客の要望と、業界・業種に特化したベストプラクティス(最善の方法)を取り入れることで、企業の業務プロセスに沿ったERPを実現できます。
Infor製ERPの種類
Infor製ERPには、以下の主要製品がそろっています。
- Infor CloudSuite
- Infor LN
- Infor SyteLine
- Infor M3
これらに業界特化型パッケージや関連ソリューションを組み合わせれば、多様な業界・業種や企業規模に対応可能です。
Infor CloudSuite
「Infor CloudSuite」は、InforのクラウドERPソリューションの総称であり、「Infor LN」「Infor SyteLine」「Infor M3」など、業界ごとに最適化されたERPを含みます。SaaS型のクラウドERPであることから、高い柔軟性と拡張性が特徴です。また、新しいプラットフォームテクノロジーの技術革新と機能強化により、企業がさらにスムーズで効率的に業務を進められるほか、顧客によりよいサービスを提供できるように設計されています。これらの理由から「ビジネスの変革と顧客サービスの向上を支援するソリューション」として位置付けられています。
Infor LN
「Infor LN」は、複雑なSCM(サプライチェーンマネジメント)の効率化と最適化を目的とした、大規模組立製造業向けのグローバルERPです。クラウドとオンプレミスのどちらにも対応できるうえ、21の言語と49の国・地域の規制に対応した多拠点統合管理を提供しています。
主な機能として、
- 高度なアナリティクス
- ニーズに基づいたサプライチェーン
- 拡張可能なアーキテクチャ
- プロジェクトライフサイクル管理
- サービスライフサイクル管理
- 品質管理
などが備わっています。
以下のソリューションを、クラウドで活用するコアERPとして位置づけられています。
- CloudSuite Aerospace & Defense(航空宇宙・防衛業界)
- CloudSuite Automotive(自動車業界のティア1サプライヤー)
- CloudSuite Industrial Enterprise(産業用機械など)
Infor SyteLine
「Infor SyteLine(現:CloudSuite Industrial)」は世界で6,000件以上、日本国内で200件以上の導入実績を誇る、中規模組立製造業向けに設計されたERPです。
産業機械やハイテク電子、金属加工業などの多品種少量生産が主流である業種に特化して、
- 受注生産(MTO)
- 見込生産(MTS)
- 個別受注生産(ETO)
- 受注組立生産(ATO)
などの柔軟な生産形態に対応しています。
主な機能としては、
- 生産管理や販売・顧客関係管理
- 在庫管理
- 会計管理
- サービス管理
- 品質管理
- サプライチェーン
などが挙げられます。
また、クラウドとオンプレミスのどちらかを選べるため、ITリソースが限られる中規模企業でも運用しやすい設計です。
Infor M3
「Infor M3」は、プロセス製造業と流通業に特化したクラウドベースのERPです。大規模製造業から中堅企業まで幅広く導入され、産業機械、流通、化学、設備、食品・飲料、ファッションなどの業界に必要な基幹システムとして活用されています。
製品の安全性を保証しつつ、一元管理による在庫を最適化するほか、多層ロット管理による迅速なトレーサビリティの確保や、品質基準の適用など法的要件を満たす運用のサポートなどが特徴です。
主な機能には、
- グローバルな財務の把握
- 消費者レベルのUI(ユーザーインターフェース)
- 迅速で安全性を確保した導入
- 革新的なアナリティクス
- 統合とワークフロー
などがあります。
バッチ生産やレシピ管理を必要とする業種向けに設計されており、以下のコアERPとして位置づけられています。
- CloudSuite Chemicals(化学)
- CloudSuite Food & Beverage(食品)
- CloudSuite Fashion(ファッション)
Infor製ERPの導入に向いている業界
業界特化型であるInfor製ERPは、以下のあらゆる業界で高い適合性を発揮します。
- 組立製造業
SyteLineコアでは、多品種少量生産や柔軟な工程管理を実現しているため、産業機械やハイテク電子、金属加工業などに最適です。 - 大型組立製造業
LNコアの強固なグローバルサプライチェーン管理機能が、自動車・航空機・重機メーカーによる複数拠点の連携を支援します。 - 航空・防衛業界
LNコアの規制順守機能(AS9100対応)やトレーサビリティ管理は、厳格な品質管理を要求される業界に欠かせません。 - 自動車業界
LNコアは組立やプレス、プロジェクト型、混流ライン同期など、自動車業界特有の多様な生産形態にも対応しています。 - 医療・化学業界
M3コアは、製法の最適化、品目属性の原価計算、規制コンプライアンス対応など、化学業界特有の課題を、30年以上の業界ノウハウをもとに解決します。 - ファッション業界
M3コアのソリューションは、他のビジネスシステムとの統合など、柔軟なカスタマイズが可能なので、商品のコンセプト化から消費者の手に渡るまでのプロセス全体を管理します。 - 食品・飲料業界
さまざまな要素によってリスクが変動する食品・飲料業界では、製造から流通まで段階ごとに管理できるM3コアのソリューションが必要です。 - 流通業界
M3コアの在庫分散最適化とAI需要予測は、在庫の輸送効率の向上や迅速な意思決定をもたらすため、グローバル物流ネットワークの効率化を実現します。
Infor製ERPのメリット
Infor製ERPの大きなメリットは、各業界の特性に合わせて開発された機能を提供している点です。例えば、製造業向けには生産管理や品質管理機能、流通業向けには在庫管理や物流管理機能が充実しています。自社のビジネスに適したソリューションを選ぶことで、業務効率の向上やコスト削減、競争力強化につながります。
また、Infor社は各業界のベストプラクティスを熟知しているため、導入後のスムーズな運用が可能です。各業界のリーディングカンパニーもInfor製ERPを採用しており、その効果が実証されています。
まとめ
Infor製ERPは、豊富な導入実績を誇る業界特化型ソリューションです。特に、製造業や流通業で多く導入されており、規模や業種に応じた最適な選択肢を提供しています。
また、クラウドERP実践ポータルでは、ERPの比較資料をダウンロードできます。ERP導入を考えている場合は、ぜひ参考にしてみてください。
- カテゴリ:
- ERP