資金繰りとは?黒字でも安心できない経営の基本

 2019.05.11 

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2018年、全国で倒産した企業件数は8,235件であり、そのうち半数近くは「黒字倒産」だとされています。「黒字で倒産?なんで?」と思われる方も多いでしょう。実は、企業が倒産するかしないかに、黒字か赤字かは関係ないのです。大切なのは「資金繰り」であり、それさえしっかりしていれば決算報告書上は問題があっても、健全な経営を続けている企業は存在します。本稿では、企業にとって欠かすことのできない「資金繰り」について解説します。

黒字倒産の仕組み

企業対企業(BtoB)のビジネスは信用の上に成り立っています。たとえばA社がB社に商品を販売した場合、販売した時点でお金が入ってくるわけではありません。まずA社に債権(お金を回収する権利)、B社に債務(お金を支払う責務)が発生して、双方の協議の上に「〇月〇日を期日として、商品代金を支払います」という契約を結びます。この期日通りに支払いが行われれば、そこでA社ははじめて商品代金を受け取ります。

つまり、A社の会計帳簿上では「売上」として記録された商品代金も、まだお金が入ってきたわけではないのです。では、もしもB社がA社に対して代金を支払わなかったらどうなるでしょうか?

当然、A社は入る予定だったお金がないのですから、大変困ります。これから入る予定のお金(売掛金)も含めて事業計画を立てているので、計画は狂ってしまいますね。しかも、A社は取引先のC社やD社から部品を仕入れており、各取引先に対する支払いも控えています。

このように、企業対企業ビジネスでは、商品を販売し売上が計上されたタイミングと、実際にお金が入ってくるタイミングが違います。このタイミングの違いにこそが、多くの企業が黒字倒産に陥る原因です。売掛金を上手く回収できなかったり、それによって手元にお金が無い状態が続いたりした企業が、黒字倒産してしまいます。

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資金繰りとは?

それでは本題でもある「資金繰り」について解説していきます。

まず、「資金」とは、現金・当座預金・普通預金・通知預金・譲渡性預金・コマーシャルペーパー・有価証券・公社債投資信託など、会社としてすぐに支払いに利用できるものを指していいます(上場株式は資金には含まれません)。

この「資金」は会社にとっての、体の中に流れている血液だと思ってください。資金の流れが止まってしまい、必要なところに資金を供給できないと、会社は生きていくことができず、死んで(倒産して)しまいます。つまり「資金繰り」とは、体の中の血液循環を円滑にするように、会社の必要なところに資金が行き渡るように、会社が持っている資金を管理し、正しく投資することです。

定期預金・貸付金・売り掛け金・不動産等はすぐに支払に利用できないものなので、資金ではなく「資産」に分類されます。

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資金繰りが悪化するとどうなるの?

企業には、従業員の給与支払い、導入設備費用の支払い、家賃や光熱費の支払い、取引先への商品代金支払い、福利厚生費用、など、常に何らかのお金が手元から出て行っています。ということは、これらの支払いや投資のための資金を、常に手元に置いておく必要があるということです。それが無ければ、企業は倒産してしまうでしょう。

資金繰りが悪化する原因はさまざまなものがあります。まず、赤字状態が続いたことで倒産した企業が大半を占めています。たとえば当月の帳簿上で1,000万円の赤字が計上されると、1,000万円分の資金がマイナスになったことを意味します。これで翌月に、赤字を帳消しにするほどのお金が入ればよいのですが、この赤字状態が続くと企業の資金はやがて枯渇し、いろいろな支払いが滞り、最終的には倒産します。

資金繰りが悪化する原因は、赤字状態が続くことだけではありません。急激な売上拡大によって資金繰りが悪化するケースもあります。たとえば、毎月コンスタントに2,000万円の売上を立てている企業が、大口案件によって当月に2億円の売上を立てたとします。帳簿上では2億円の売上になっていますが、実際のお金はまだ入っていません。しかし、それを考慮せずに大口案件のための仕入れ等をどんどん行ってしまうと、会社は取引先に支払うお金が無くなってしまいます。このように、先を見ずにビジネスを推進してしまい、資金繰りが悪化した企業が黒字倒産に陥ります。

資金繰りが悪化する一番の理由は、経営者やマネジメント層が資金情報について正確に把握しておらず、どんぶり勘定で経営を進めていることに他なりません。実は、ある程度規模のある企業においても、資金繰りを正確に把握している企業は多くありません。

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資金繰りを改善するためには?

特段、資金繰りに関して計画を立てたりしていないという企業は、今まではそれでビジネスが成り立っていたとしても、これからも同じようにビジネスができるかの保証はありません。どこかのタイミングで資金繰りに関係する問題から、経営が圧迫されることになります。では、現状の資金繰りを改善するためには何をすればよいのでしょうか?

一般的な方法としては「資金繰り表」を作成することです。

資金繰り表とは、会社はいまどれくらいの資金を抱えているのか?将来、中長期的に発生する支払いは何か?それによって資金状況はどうなるか?資金は不足しないか?このままではいつ資金が不足するのか?など、資金調達の計画を立てるための管理表です。

資金繰り表では、まだ資金化されていない資産を見直すことも忘れないでください。未回収のまま放置された売掛金、処分品として安価にすれば売れるはずの大量の在庫、生産活動に利用されていない固定資産、保有しておく必要がない有価証券など、まだ資金化されていない資産も含めて管理することで、資金繰りは問題なくなるはずです。

資金繰り表に関しては特定のフォーマットが存在するわけではありませんが、一般的に抑えておくべき項目は下記の通りになります。

営業利益

営業利益とは、本業において現金をどれだけ生み出しているかの項目です。総売上高から販売する商品の仕入れ原価である、売上原価を引いたものが「売上総利益」になります。この売上総利益から販管費を引くと、営業利益を求めることができます。

財務収支

財務収支とは、銀行からの借入金の収支のことです。プラスならば借入金が増え、マイナスならば借入金を返済したことを意味します。

経常収支

本業以外の財務活動などによる収入と支出を経常収支といいます。そのため、営業利益がプラスになっていても、借入金の返済や利息の支払い負担が大きい場合は、経常収支のプラス額が小さかったり、マイナスになったりします。

経常外収支

設備投資や税金の支払い等は経常外収支としてまとめることがあります。設備投資の金額によっては、経常外収支が大きなマイナスになることもあるでしょう。

常に資金繰りに目を向けて

企業経営者ならば、会社の資金繰りについて常に状況を把握し、適切な資金計画を立て、健全な経営を実現することが一つの責任です。それは会社を、社員を、その家族を、そして自分自身を護ることにも繋がり、継続的に成長できる企業体質を作るための土台にもなります。この機会にぜひ、資金繰りに積極的に取り組んでいただきたいと思います。

その際には常にリアルタイムで資金の状況がわかるクラウドERP Oracle NetSuiteOracle ERP Cloudなどの導入も検討されてみてはいかがでしょうか。

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