経営者はもとより従業員であっても自社の業績は気にになるものです。この業績管理を徹底している企業は成長する可能性が高く、その一方で業績管理を行なっていない企業はなかなか成長しないという傾向があります。
会社経営で重要なことは利益を創出することです。そして業績管理をしっかりと行えば自ずと利益が創出される体質に変化していきます。業績管理を徹底することによって企業の利益率は向上するのか?もちろん、業績管理にどう取り組むかによっても違いますが、経営戦略の計画に基づいた実行や業務目標の効率的達成に大きく寄与するため、利益率の向上にも非常に有効です。
本稿では、そんな業績管理の基本についてご紹介します。
業績管理とは?
業績管理の役割を簡潔に説明すると、「企業の経営業績をスピーディに、正確に把握し、その情報から問題把握を行い、業績を向上させていくための仕組み」です。
では、具体的にどういった取り組みが業績管理と言えるのでしょうか?その1つに「短期決算」があります。一般的な決算業務は、決算期に1度いますが、短期決算では四半期ごと、月次、あるいは週次などで企業の業績を把握するために決算作業を行います。そうすることで、経営業績・営業業績・財務状況などの情報を素早く知ることができ、業績向上を阻害している問題を早期発見したり、目標達成のために必要な次のアクションを明らかにしたりします。
<短期決算の効果>
- 年度決算時の利益を予測して精度の高い決算見込みが立てられる
- 短期的な帳簿整理を実施することで年度決算を素早く正確に行える
- 年度計画時の営業費・売上高・純利益を目標として進捗管理できる
短期決済は一種の「管理会計」です。管理会計とは、経営戦略や業務目標に対して業績が伴っているかを確認すると共に、業の財務状況についても把握するための会計業務です。管理会計をより短いスパンで行うほど、経営状況をリアルタイムに把握することに繋がります。
KPI(Key Performance Indicator)とKGI(Key Goal Indicator)
業績管理に取り組むにあたり、経営戦略や業務目標が順調に達成できているかどうかの指標を作る必要があります。その指標が「KPI(Key Performance Indicator)」と「KGI(Key Goal Indicator)」です。日本語にすると「重要業績評価指標」と「最終目標達成指標」となります。
KPIとKGIについて分かりやすく理解するために、マラソンに置き換えて考えてみましょう。「42.195kmを2時間30分で完走する」という目標があったとすると、それがマラソンの最終目標になるためKGIということになります。それに対して、各中間ポイントにおけるタイムをKPIとして設定します。KPIとはつまり、KGIを達成するのに必要な指標であり、KPIを順調に達成できていれば必然的にKGIの達成に繋がるということです。
もしもKPIが順調に達成できていないという場合は、次の中間ポイントでのタイムを上げなければいけませんし、そのために問題把握と解決策を実行する必要があります。KPIがあることで、KGIに対して発生している問題の早期発見や、必要に応じた調整を加えることができるということです。
業績管理ではこのKPIとKGIが非常に重要になります。
業績管理はなぜ必要なのか?
「今さら業績管理を実施しなくても、問題無く経営している」という意見を持つ企業も多いかと思います。確かに、業績管理は必ずしも行わなくてはならないものではありませんし、業績管理を実施せずに持続的な経営活動を行っている企業も存在します。しかし、業績管理を実施しないことで以下のような問題が発生する可能性があるため、やはり業績管理は重要だと言えるでしょう。
1.利益創出の場所が見えない…
利益率を効率良く向上していくためには、利益創出の場所に投資を集中させることがポイントです。特にリソースが限られている中小企業の場合、適切なところに投資を集中させることは非常に重要でしょう。ただし、経験や勘に頼った投資計画を実施している企業も多く、それによって利益創出の要素を失っているのに気づいていません。業績管理を徹底していれば、どこで利益が創出されているのかを把握し、利益向上に向けた施策を展開することができます。
2.適切な人事評価が行えない…
適切な人事評価を行うということは、社員の「頑張り」を視覚化し正当に評価することで、それに応じた対価を支払う上でとても大切です。これができないと社員のフラストレーションは溜まり、企業への愛着心は薄れ、離職率が上昇するなど数々の問題を引き起こします。業績管理が徹底できていれば、人事評価は自然と適切に行えます。企業の中には不当な人事評価により、人間的・技術的に問題がある社員が出世することも少なくありません。
3.赤字になる理由が分からない…
プロジェクトの赤字や予算目標の未達成は、企業にとって大きな損失です。その状況が続いてしまうと、財務状況を圧迫し、経営が傾いていきます。そこで業績管理を実施して、なぜ予算目標が未達成になるのか?なぜ赤字になるのか?といった原因を追究する必要があります。そのために、業績管理は問題の早期発見に貢献するものなのです。
以上のように、業績管理を実施せずにいると様々な問題が発生します。いずれの問題も経営に悪影響を与える深刻なものなので、業績管理はすべての企業にとって必要な管理業務だと言えます。
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「PDCA」で考える業績管理
業績管理を実施する上で大切なポイントは、誰もが知るビジネスフレームワークである「PDCA」を意識することです。
- P⇒Plan(計画立案)
- D⇒Do(計画実行)
- C⇒Check(効果測定)
- A⇒Act(改善立案)
PDCAはこれを1つのサイクルとして、継続的にPDCAを回していくことで物事をより良い方向へと向かわせます。では、業績管理にこのPDCAを当てはめて考えてみましょう。
「Plan」にあたるのは年次経営計画や予算計画、四半期ごとの経営計画などが該当します。この時、KPIとKGIを設定しておくことで進捗管理を可能にしておきます。「Do」で計画を実行していきます。「Check」は特定のタイミングでKPIを用いて、経営計画等が達成に向かっているかを確認します。KPIに問題があれば計画を修正したり、計画達成に向けたテコ入れを行うために「Act」を実施します。
このように、業績管理ではPDCAを意識することで、継続的に管理活動を改善していき、経営計画や予算編成の目標達成に向けた取り組みが行えます。
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業績管理にERP(Enterprise Resource Planning)を!
ERPとは、複数の基幹系システムと情報系システムを統合したIT製品です。各システムは同じデータベースで繋がり、データの受け渡しをスムーズに行うことができます。従って、企業の業績管理や短期決算の迅速化を助け、リアルタイムに経営状況を把握することができます。
例えばOracle NetSuiteでは日々の業績管理をダッシュボードとして管理できるためリアルタイムでの進捗などが可能になります。業績管理を実施したい、短期決算を取り入れたい、これらを徹底したいという場合は、ぜひERPの活用をご検討ください。
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