製造業を営む企業にとって、顧客のニーズをより的確につかむこと、そのうえで必要となる社会情勢の変化を把握することは重要なポイントとなります。市場や社会情勢などの情報把握は、常に適切な供給数を確保することにつながるためです。
しかし、適切な供給数を確保するために必要な需要計画については、計画を練るうえで欲しい情報が不足していることも多いでしょう。そのため、需要計画のポイントを押さえることは容易ではありません。
そこで今回は、需要計画の概要と作り方のポイントについてわかりやすく解説していきます。
需要計画とは
まずは、需要計画がどんな概念・考え方のことを指すのか、整理しておきましょう。
需要計画とは「不良在庫を抱えるほど在庫が余っている状態にならず、それでいて欠品が生じるほど在庫が少ない状態にもならないよう、在庫数の最適化を図るために必要とされる作業・管理」のことをいいます。
企業は在庫を多く抱えれば、保管や品質管理のコストを必然的にかけなければなりません。しかし逆にコスト削減を意識して在庫を減らしすぎると、今度は欠品というリスクが高まります。当然ながら欠品の状態が頻発すれば、顧客満足度を下げることにもつながります。
需要計画を適切に進めていくためには、主に以下のようなアプローチが効果的な方法として考えられます。
- 需要予測を活用し、誤差の少ないものを見極める
- 複数の予測値を組み合わせることで、適正となる値を見極める
これらの方法を採用することで、需要計画へとつなげていくことが可能となります。以上のアプローチを活用した具体的な計画の進め方については、次項で詳しく解説していきます。
[RELATED_POSTS]需要計画の作り方
需要計画の作成にあたっては、需要予測をチェックする方法やさまざまな予測値を組み合わせて総合的な値の判断につなげる方法などがあります。これらのアプローチをもとに、需要計画の作り方を具体的に見ていきましょう。
需要予測を実施
最初に行うのは、需要予測です。需要予測は、基本的に「統計予測」と「人的予測」の2つの軸に注目して行われる点がポイントです。
統計予測とは、今までのデータをもとにして統計的に需要を予測することを指します。一方、人的予測は、製造業における現場の経験などをベースに、予測となる値を見いだすという特徴があります。
具体的な手法としては、主に以下の手法があります。
- 移動平均法
- 指数平滑法
- 回帰分析
移動平均法は、少しずつ時期をずらしながら平均値を見つける手法です。過去の実績を平均して需要予測につなげていく点が特徴といえます。
指数平滑法とは、前期のデータと予測値を利用したうえで、重みづけを行い、今季の予測データを見いだす方法です。前期のデータとして活用されるのは、過去の実績の平均値などが一般的です。
回帰分析の方法は、因果関係があると見なされる変数間の関係を線形方程式で記述する統計手法になります。因果関係ありと判断される変数には、時間や販売数量などがあります。
これらの手法のうち、どれを活用すべきか迷った場合は、過去のデータを活用してすでに確定している過去のデータの予測を行い、予測の正確さを検証してみましょう。その中で最も誤差が少なく信頼できそうな手法を見つけ、需要計画の作成へとつなげていくことが大切です。
販売計画の集計
販売計画とは、販売対象とする顧客の属性を考えたうえで、どの商品・サービスをどんな顧客に販売していくのが効果的か計画することをいいます。
商品・サービスを提供する際、ただ販売したいものを販売して売上につなげようとするだけでは経営は成り立ちません。どういったニーズがあるのか、市場を整理したうえで、販売計画を明確に立てる必要があります。
需要計画を作っていくためには、より精度の高い販売計画の集計を組織・企業内部において行うことが重要です。
需要計画を作るポイント
ここからは、適切に需要計画を進めるうえで意識すべきポイントについて見ていきましょう。需要計画を適切内容で作るためには、あらゆるデータの活用と必要なシステムの導入が重要となってきます。
適切な販売履歴
需要予測を立てる際には、販売履歴がデータとして重要な役割を果たします。需要予測に関連する販売履歴の長さは、品目別にしっかりとチェックを行い、検討を進めていくことが大切です。
販売履歴は確かに大いに役立つデータの一つですが、あまりにも長きにわたるデータではデータとして参考になりません。もちろん短すぎるのもNGです。また、予測を行う際には、指数関数を活用した指数平滑法による販売履歴の重みづけも不可欠です。
内部動向を考慮する
需要計画を適切に進めるポイントとしては、内部動向のチェックも欠かせません。内部動向とは、販売履歴によって決まる消費動向のことです。
内部動向は、1品目もしくは1品目群の一つ以上の販売パターンを表している点が特徴です。販売パターンは、以下のようにパターン分けされるのが重要なポイントになります。
- 上昇傾向
- 下降傾向
- 季節パターン
これらのパターンが需要計画においては予測で使用されます。
例えば、寒い季節に売れる冬用の商品・サービスは、春~秋などのオフシーズンでの販売は難しいでしょう。こういった季節の販売パターンを一つひとつ把握していくことで、予測から的確な需要計画へとつなげることが可能となります。
外部動向を考慮する
内部動向の把握に対して、外部動向を配慮して情報を把握することも需要計画においては重要なポイントとなります。
外部動向とは、自社が持つデータとしての販売履歴から算出されるデータではなく、それ以外の外部データ・外的要因のことです。自社の過去データとして販売履歴などを参照するのではなく、まったく別の方向から参考になるデータを参照して、需要計画につなげていきます。
考慮すべき外部動向には以下のようなものがあります。
- 競合サービス・商品の販売実績
- 社会情勢
- 文化の変化
- 法や政令による変化
- 技術の発展や衰退
- 経済の動向
- 政治的要因
商品・サービスの需要には、単純な消費者の性質や季節的要因、流行などの要素以外にも、さまざまな外的動向が関わってきます。例えば、2020年以降、感染が拡大した新型コロナウイルスの影響などはわかりやすい外部動向の一つといえるでしょう。
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まとめ
需要計画は難易度が高く、予測をチェックする際には多くの手法が用いられます。単純な統計的データのみでは予測として不十分なことも多いため、需要計画を適切に行うことは企業にとって大きな課題といえるでしょう。
特に製造業の企業においては、自動的に需要計画を最適化できるシステムの導入は積極的に検討したいところでしょう。Oracle Demantraは、精度が高くより正確な需要予測をAIなどのシステムによって可能にし、需要計画の適正化に貢献します。
不備なくわかりやすい予測値を見極めるためには、システムによって算出された数値をチェックするのが一番でしょう。需要計画の効率化・最適化をお考えの際には、Oracle Demantraの導入をぜひご検討ください。
- カテゴリ:
- サプライチェーン/生産管理
- キーワード:
- サプライチェーン計画(需要計画/生産計画)