近年、業務高度化への取り組みを進める企業が増えています。これから取り組みを始めたいと考えている企業経営者や担当者の中には、効率化との違いや得られるメリットが気になる方もいることでしょう。本記事では、業務高度化の概要や効率化との違い、企業が得られる具体的なメリットなどについて解説します。
業務高度化とは?
「高度化」とは、洗練された程度の高い仕組みや体制、方法などの確立を意味する言葉です。一方、「業務高度化」とは業務価値の程度を高めることで、最終的に組織そのものや提供している商品・サービスなどの価値を高めることを指します。
業務高度化が求められる背景として、消費者ニーズの多様化が挙げられます。現代は一昔前に比べ、あらゆるモノが簡単に手に入る時代です。また、インターネットやモバイル端末の普及により、誰もが簡単に情報を入手できるようにもなりました。
その結果、消費者は企業が提供する商品やサービスに対し、さらなる価値を求めるようになったのです。このような消費者のニーズに応え、組織として生き残るためにも業務高度化が求められています。
詳しくは後述しますが、業務効率化への取り組みにより、経営管理や顧客対応、人事業務などの改善が期待できます。これを機会に、組織の高度化へ舵を切ってみてはいかがでしょうか。
業務効率化との違い
高度化と混同されがちな言葉に「業務効率化」がありますが、これらは似て非なる言葉です。業務効率化とは、業務で発生するムダ・ムリ・ムラなどを排除し、効率的に仕事を進められる環境を整えるための取り組みです。
例えば、ITツールを導入したり、業務を可視化して適切に人材を配置したりといった施策が考えられます。少子高齢化に伴う労働人口の減少により、多くの企業は人手不足に頭を悩ませています。この課題を解決するには、限られた人材でスムーズに業務を遂行できる環境の構築が求められます。
一方の業務高度化は、組織そのものや消費者へ提供する商品・サービスなどの価値向上を重視しています。ここが効率化との大きな違いといえるでしょう。
なお、商品やサービスの価値を高めるには、業務効率化を進め、高度化の準備をしなくてはなりません。例えば、今まで以上に高品質な商品を提供したければ、業務効率化でムダをなくし、十分なリソースをコア業務に注力できる体制を整える必要があります。
業務高度化に向けたIT活用の動き
業務高度化の実現にあたり、ITの活用は欠かせません。例えば、BIツールを用いて収集したデータの分析を行い、新たな商品の開発に役立てるといった活用が挙げられます。顧客の属性や行動データなどを分析し、導き出した傾向や推論をもとに商品を開発できるため、ターゲット層のニーズを満たせるのがメリットです。
また、売り場における商品の配置にもITが活用されています。IoTを活かした動線分析により、売り場の中で顧客がどのように行動するかを分析することで、どこへ商品を配置するのがベストなのかを判断できます。このような動線分析は工場や物流現場などでも採用されており、従業員の効率的な作業をサポートしています。
近年では、AIを業務に活用する企業も増えてきました。よく知られているのは、問い合わせ対応へのAI活用です。従来、人が対応していたものをAIに代行してもらうことで、従業員の負担軽減とコスト削減につながります。また、AIチャットボットの導入により、顧客自身によるスムーズな情報収集を可能にすれば、満足度の向上効果も期待できます。
このように、今やITの活用でさまざまなことができるようになりました。ITをいかにうまく活用できるかが、業務高度化を実現できるかどうかの鍵を握るといっても過言ではないでしょう。
業務高度化によってもたらされること
業務高度化に関心を抱いている企業経営者や担当者の方なら、実際のところどういったメリットを得られるのか、組織に何をもたらしてくれるのかは気になるところでしょう。高度化によってもたらされる効果としては、主に以下が挙げられます。
経営管理の高度化
経営管理とは、組織としての目的を果たせるよう適切な管理のもと経営に取り組み、その時々に応じたベストな意思決定を行うためのものです。現代は市場や消費者ニーズの変化が激しく、従来のような勘や経験に頼った経営では対応が困難となりつつあります。
しかも、近年は新型コロナウイルスの感染拡大もあり、次々とイレギュラーな事態が発生する中で事業活動を展開せざるを得ない状況に追い込まれました。このような状況に対応するには、IT技術やデータを活かし、刻々と変化する状況の中でも迅速かつ適切な意思決定を行える環境・体制の構築が求められます。
IT技術やAI、データなどを活用できる仕組みを構築し、リアルタイムに状況を可視化できる環境も整えれば、その時々に応じた適切な意思決定を行えるようになります。しかも、経験や勘に頼らず、推論や根拠に基づく確度の高い意思決定を行えるなど、経営の高度化が実現するのです。
顧客対応の高度化
現代ビジネスの特徴として、顧客との接点の増加が挙げられます。電話やメール、SNS、ホームページ、ブログなど数多くの接点が誕生したことで、従業員の業務負担も増加し、データが分散してしまう問題も顕在化してきています。
このような問題を解決するには、顧客データの適切な管理による業務高度化が求められます。あらゆるチャネルから接点をもとうとする顧客の情報を一元的に管理できれば、シームレスな対応が可能です。
店舗における業務では、IoTを活かして動線分析を行うことで、対応を強化できます。顧客の行動をある程度把握できれば、よく一緒に購入される商品を近くに配置したり、顧客がスムーズに買い物できるようレイアウトを変更したりといったことが可能です。
生産業務の高度化
生産業務の高度化が著しく進んでいる業界として、製造業が挙げられます。たとえば、IT技術を活かした製造プロセス可視化による、ムダの排除や課題の抽出、機械の遠隔操作などが代表的です。
中国では、国を挙げて製造業の強化に動いており、高度化がますます進んでいます。製造強国化の実現に向けた政策を進めており、デジタル技術を活用した生産業務の高度化を推進しているのです。
我が国においても、生産業務の高度化に取り組む製造企業は増えています。手作業の代替としてロボットを投入する、保守や保全業務にIoTを活用するなど、業務高度化へ積極的に取り組むことで、生産プロセス全体の価値を向上させ、ひいては顧客にも価値ある製品を提供できるようになるのです。
人事業務の高度化
人事業務の高度化により、適材適所な人材配置を実現できます。たとえば、従業員の経験やスキルなどの情報を一元的に管理できれば、個々の適性に応じた人材配置が可能です。
AIを活かした採用活動に取り組む企業も増えています。実際、ある企業では新卒採用においてAIを活用しており、従来よりも客観的な評価のもと採用を行っています。1次や2次の選考をAIに代行させることで、担当者の負担軽減につながるのもメリットです。
このようにAIを活かした採用活動や、データを用いた人材配置ができるようになり、高度化が進めば、組織力全体の強化にもつながるでしょう。
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業務効率化・高度化につながるクラウド活用
業務効率化や高度化には、クラウドの活用が有効です。クラウド環境であれば膨大なデータを扱えるため、時間や場所にとらわれずスピーディーなデータやシステムへのアクセスが可能です。
またERPとの連携により、効果的な業務高度化を実現できます。ERPとは、組織が扱うあらゆる基幹情報を一元管理できるシステムです。現在では、クラウド型のERPもリリースされており、コストを抑えて導入できるのも魅力です。
「Oracle Fusion Applications」をはじめとしたSaaS型アプリケーションであれば、常に最新のシステムを利用できます。一貫的に優れた成果を生み出す手法を用いて、業務効率化や標準化を進められるため、より効果的に高度化を推進できるでしょう。
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まとめ
業務高度化への取り組みにより、経営全体や人事、管理体制などあらゆる業務の改善が期待でき、顧客へ新たな価値の提供も行えます。今後ビジネスの世界で生き残るためにも、業務高度化に取り組んでみてはいかがでしょうか。
業務高度化の実現にあたっては、クラウドとERPの活用が効果的です。Oracleのクラウド対応ERPなら、導入から運用までスピーディーに進められるうえ、経営の効率化と品質向上を実現できます。この機会にぜひご検討ください。
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- BPR/業務改善
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