予算管理規定とは?重要なポイントを解説!

 2019.10.18 

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予算編成を行う際は、内部統制ルールである「予算管理規定」に従って実施されるのが一般的です。ところが、この規定を作っていない企業も多く、ルールに則った予算編成が行われていないケースがあります。この場合、次のような問題が想定されます。

●事実にもとづいた予算編成が立てられずに、度々修正が必要になる

●過度な予算編成を立ててしまい利益率が下がる

●少なすぎる/大きすぎる予算編成を立てて、それを達成するための現場が疲弊する

これらの問題を考慮すると、ルールに合わせて予算編成を立てることがいかに大切かが分かりますね。本稿では、「予算管理規定ってどうやって作ったらいいの?」という方に向けて、具体的な作り方をご紹介します。

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予算管理規定の構成

予算管理規定は、予算編成にあたっての内部統制ルールです。国によって規定が定められているものではないので、企業によって内容は異なります。ただし、おおまかな枠組みはあり、大体の予算管理規定は「総則」「予算編成」「予算管理」の3章構成となっており、20~35個の条項で作られるのが一般的です。

予算管理規定の構成例

第1章 総則

第1条(目的)

第2条(予算管理の目的)

第3条(適用範囲)

第4条(予算期間)

第5条(予算体系)

第6条(最高責任者)

第7条(統括責任者)

第8条(事業別予算管理者)

第9条(部門別予算管理者)

第10条(予算委員会)

第11条(実施細則、マニュアル)

第12条(解釈上の定義)

第13条(改廃)

第2章 予算編成

第14条(予算編成方針)

第15条(予算編成手続)

第16条(販売予算)

第17条(製造予算)

第18条(購買予算)

第19条(一般管理費予算)

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第20条(研究開発費予算)

第21条(営業外損益予算)

第22条(資金予算)

第23条(設備投資予算)

第24条(投融資予算)

第25条(総合予算)

第3章 予算管理

第26条(予算の執行)

第27条(予算の差異分析及び報告)

第28条(対策)

第29条(予算の流用)

第30条(予算の繰越)

第31条(予算の追加)

第32条(予算の修正)

第33条(施行)

重要なポイントの解説

予算管理規定は上記のような構成で作られるのが一般的です。ここからは、重要なポイントを抜粋しながら解説していきます。

第2条(予算管理の目的)

この規定による予算管理の目的は、会社の経営計画に基づき、企業利益の目標を達成するため、これを計数的目標をもって明示し、これにより各部門の責任範囲を明確にし、かつ部門活動を管理、統制するとともに、予算と差異の分析を通じて経営効率の改善、及び向上に資することとする。

<解説>

ここでは、企業が予算管理を行う目的を「限られた資源を使い、最大の利益を確保するためのもの」と定義し、大まかな目的を明示します。上場企業とその連結対象子会社などにおいては、「信頼できる達成可能な業績見通しを、投資に公表できる体制」が重要になりますので、その点を意識しましょう。

第4条(予算期間)

予算期間は、会社の会計年度と一致させ、1ヵ年の年次予算とする。ただし、必要に応じて半期、四半期、月次の区分を設ける。

(ア)半期予算

①上半期、〇月〇日~〇月〇日の6ヵ月間

②下半期、〇月〇日~〇月〇日の6ヵ月間

(イ)四半期予算

①第1四半期、〇月〇日~〇月〇日の3ヵ月間

②第2四半期、〇月〇日~〇月〇日の3ヵ月間

③第3四半期、〇月〇日~〇月〇日の3ヵ月間

④第4四半期、〇月〇日~〇月〇日の3ヵ月間

(ウ)月次予算

毎月1日~当月末までの1ヵ月間

<解説>

予算期間について明示しておくことが、予算編成の際の認識のずれを無くすことは、投資家などに対して予算期間をハッキリさせることがポイントになります。必要に応じて半期予、四半期予算、月次予算を設定することでより細かい予算編成が可能です。

第5条(予算体系)

予算は、損益予算と資本予算に区分し、予算の体系を以下のとおりとする。

総合予算

損益予算

販売予算

売上高予算

売上原価予算

販売費予算

製造予算

生産高予算

材料費予算

労務費予算

製造経費予算

外注費予算

購買予算

原材料購買予算

一般管理費予算

研究開発費予算

営業外損益予算

資本予算

資金予算

設備投資予算

投融資予算

<解説>

上場企業の場合、内部予算と外部予算(決算短信の業績予想)があります。前者の場合、高い挑戦が求められるので、売上高及び利益が高くなる傾向があります。一方、後者の場合は投資家への情報開示が目的なので、達成の確実性が求められ売上高及び利益は低くなる傾向があります。

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第6条(最高責任者)

  1. 予算管理の最高責任者は代表取締役社長とする。
  2. 代表取締役社長は、総合予算編成方針を決定し、その実施を命令し統轄する。

第7条(統括責任者)

  1. 予算管理の統括責任者は経理部長とする。
  2. 統括責任者の職務は、以下のとおりとする。

(ア)総合予算編成方針案の立案

(イ)事業別予算案、部門別予算案の総合調整及び総合予算案の編成

(ウ)予算の執行状況及び結果の総合分析

(エ)予算の立案、執行、管理に関する関係部門への助言援助

(オ)予算委員会の事務局長

第8条(事業別予算管理者)

  1. 事業別予算管理の主管責任者は事業部長とする。
  2. 事業別予算管理者の職務は以下のとおりとする。

(ア)部門別予算の調整及び事業別予算案の編成

(イ)部門別予算の執行状況及び結果に対する差異分析

(ウ)事業別予算の執行状況及び結果の総合分析

第9条(部門別予算管理者)

  1. 部門別予算管理の主管責任者は各部門の長とする。
  2. 部門別予算管理者の職務は以下のとおりとする。

(ア)部門別予算案の立案および執行

(イ)部門別予算の執行状況および結果に対する差異分析

<解説>

第6条~第9条では、予算管理における役職を明確にして、その責任範囲を明示します。一般的には最高責任者からドリルダウンしていくので、組織規模に合わせた体系を明示していいましょう。

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第29条(予算の差異分析及び報告)

  1. 部門別予算管理者は毎月、当該部門の予算実績を把握し、その差が基準額を超えた場合、及び事業別予算管理者の指示に基づき差異分析を行い、事業別予算管理者に報告する。
  2. 事業別予算管理者は毎月、当該事業部の予算実績を把握し、その差が基準額を超えた場合、及び統括責任者の指示に基づき差異分析を行い、統括責任者に報告する。
  3. 統括責任者は毎月、事業別予算及び部門別予算の執行状況及び差異分析の結果を総合的に検討、及び分析し、予算委員会に報告する。

<解説>

ここでは、予算の差異分析において役割ごとの責任範囲を明確にしています。予算管理では編成時の予算計画と、実績が合致しているかを確認した上で、差異が発生した場合はその原因を特定し、解決策を提案する必要があります。差異分析の実施は月次だけでなく、上長からの要求があった場合も実施することを明記しましょう。

いかがでしょうか?予算管理規定を作るにあたって、いろいろと苦労することも多いですが、ルールがあるのと無いのとでは雲泥の差です。この機会に、自社の予算管理規定策定について検討してみましょう。

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